齋藤海上幕僚長が定例会見 令和8年度インド太平洋方面派遣、韓国出張などについて(4月14日)
- 日本の防衛
2026-4-17 09:00
防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年4月14日(火)、同日13時30分~13時50分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。
海幕長定例記者会見要旨
令和8年度インド太平洋方面派遣(IPD26)について
幕僚長 :
本日私から2件、発表します。
1件目は、令和8年度インド太平洋方面派遣についてです。海上自衛隊は、4月13日から9月16日の間、令和8年度インド太平洋方面派遣(IPD26)を実施します。本派遣の目的は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、インド太平洋地域の各国や同地域に艦艇を派遣している各国海軍等との共同訓練を実施し、海上自衛隊の戦術技量を向上させるとともに、各国海軍等との相互理解の増進、信頼関係の深化及び連携の強化を図ることにより、地域の平和と安定に寄与するものです。今回の派遣部隊は、3つの水上部隊のほか、潜水艦部隊、航空部隊、派遣立入検査部隊、派遣施設隊により編成されます。様々な多国間共同訓練等に参加しつつ、15カ国を訪問予定です。細部についてはお手元の資料のとおりです。
韓国出張について
幕僚長 :
2件目は、韓国出張についてです。明日から16日まで、韓国を訪問し、ケーラー米太平洋艦隊司令官及びキム韓国海軍参謀総長と日韓参謀長級懇談及び日米韓参謀長懇談に参加します。海上幕僚長の韓国の訪問は、2018年以来、約8年ぶりとなり、地域の安全保障環境を含め、今後の防衛交流等について、幅広く意見交換を実施する予定です。以上です。
IPD26の詳細と意義
記者 :
IPDに関し、内容の詳細と意義について、改めてお聞かせください。
幕僚長 :
今回でIPDは10回目となります。同盟国のほか、志を同じくする地域の各パートナーとの多角的・多層的な防衛協力・交流の一つであるとともに、外務省、海上保安庁などの関係省庁と連携し実施する重要な活動であると認識しています。海上自衛隊は、このような考えに基づき、引き続き、諸外国との共同訓練、艦艇の親善訪問等を実施し、相互理解及び連携強化を促進しつつ、地域諸国海軍とともに、地域の平和と安定、海洋秩序の維持・強化に貢献していきます。また、お配りした公表資料では、長い期間が設定されておりますが、すべての部隊が、すべての期間で展開しているわけではなく、その期間でいずれかの部隊が展開しているというもので、短い部隊は1か月、長い部隊は3か月程度展開することとなっています。
IPD25と比べた訪問国の減少
記者 :
昨年度のIPD25に比べ、訪問国が7~8か国減っているようですが、減った背景があれば教えてください。
幕僚長 :
訓練に関する様々な調整は、数年前から行っています。短期的な調整だけではなく長期的も実施しており、その調整結果が今回の訓練計画となっています。
昨今の情勢を踏まえた派遣内容の変化
記者 :
今回の派遣で、昨今の情勢を踏まえて変わったところがあれば教えてください。
幕僚長 :
例年実施している訓練内容に大きな変更はありません。通信訓練、戦術訓練、対水上戦、対空戦、対潜戦等、各種戦術技量向上のための訓練を行っており、内容に特段の変更はありません。
砕氷艦「しらせ」退役と南極観測船運用の行方
記者 :
砕氷艦「しらせ」が2034年に退役することに伴って、政府は海上自衛隊による南極観測船の運用を撤退するという報道がありました。事実関係と海幕長の見解をお願いします。
幕僚長 :
報道については承知しています。南極観測に関する議論は、南極地域観測統合推進本部に付随する次期輸送体制検討小委員会の中で議論が行われていることとなっており、近いうちに開かれると聞いております。現時点で決まったものはないと認識しております。
ホルムズ海峡の機雷と流出の可能性
記者 :
イランのホルムズ海峡封鎖に関連する質問です。一部の海外メディアが、ホルムズ海峡に撒かれた機雷が流されて、イラン革命防衛隊ですら位置が分からなくなっていると報じました。一般に機雷は、設置後に流されて位置が分からなくなったりするものなのか教えてください。
幕僚長 :
一般論で言えば、係維機雷であれば、錘にワイヤーでつながっているものです。通常は、位置を確認して敷設し、必要なくなったときは確実に除去できるようにします。また、それが流れるかどうかについては、海流が強い場合はそのような可能性もあるとは思いますが、あの海域の海流は2から3ノット程度と認識しています。その程度であれば、一般論として流れることはないと思っています。細部については広報室長に確認させます。※2
ホルムズ海峡封鎖による原油不足の海自への影響
記者 :
イラン情勢に関連して原油不足についてお伺いします。ホルムズ海峡封鎖の影響で原油不足が続いていますが、先週に引き続いて恐縮ですけども、現時点での海上自衛隊への影響について教えてください。
幕僚長 :
現時点で中東情勢の影響による任務行動や部隊運用への影響が出ている状況ではありません。今後の中期的な影響については、様々なことを勘案して考えていかないといけないとは思います。今この時点で予断をもって回答することは差し控えますけども、我々としては行動、警戒監視等に必要な燃料の確保にしっかりと努めていきたいと思っております。
記者 :
何か節約をされていたりであるとか、そういったところがあるのでしょうか。
幕僚長 :
現時点で海上自衛隊として、ここを節約しなさいと私の口から指示しているものはありませんが、部隊として何か努力しているところがあるかもしれません。そこについては十分把握はしておりません。部隊としての努力はしているかも知れません。
記者 :
部隊としての努力について何か例示などでおっしゃっていただけるところはありますか。
幕僚長 :
細部については、私は把握しておりませんので確認して、広報室長から報告させます。※3
海自自衛官が政党会合に参加した事例の有無
記者 :
陸上自衛隊の話題で大変恐縮なんですけども、先日の自民党の党大会で陸自の自衛官が国歌を歌っていた件で一つ伺います。これまで海上自衛官がある政党の公式的な会合に招待されて、海上自衛官だと紹介された上で、今回のように参加者の面前で何らかの活動をした事例というのは、今まであるのか教えていただけますでしょうか。その行動は法令違反にあたるかどうかは関係なくて良いので教えてください。
幕僚長 :
私はこの配置に就いて、今日までの時点ではそういった実績は記憶にありません。またその前の配置は自衛艦隊司令官ですけど、そのさらに前、海上幕僚副長を1年間やりましたけども、海幕で勤務したその1年間でも、あった記憶はありません。
記者 :
今回の陸自の隊員の行動は、法令違反ではなかったんですけれども、仮に法令違反でなかったとしてもですね、今回の件のように、一般の方が政治的行為じゃないかと勘違いしてしまいそうな自衛官の行動について、海上自衛隊では引き続き行っていかないというような認識でいらっしゃるのか教えてください。
幕僚長 :
私人としての行動については、私どもが組織としていろいろ言う立場にはないと思いますので、そこはしっかりと今、現状のルールに従って判断していきたいと思います。
米中央軍の船舶規制と海自の情報収集活動への影響
記者 :
イラン情勢に関してお伺いします。米中央軍は、イランの港湾を出入りする船舶を規制する旨公表し、その対象エリアにはオマーン湾、アラビア湾、沿岸国があります。現在、海自の中東における情報収集活動のエリアと重なっている可能性もなきにしもあらずだと思うんですけども、影響があるかどうか教えてください。
幕僚長 :
情報収集活動のエリアについては公表していないと思いますので、そのあたりついては、説明を割愛させていただきたいと思います。護衛艦、P-3C1機が情報収集活動あるいは海賊対処活動に従事しておりますけども、大臣からの指示に基づき、隊員の安全を確保しつつ、活動を継続しなさいということですので、その方針に則って行動を行っております。ですから先ほど記者さんが言われたものとの関係性については、発言を差し控えたいと思います。
海自における無人機・スタートアップ連携の取組
記者 :
昨日、陸上自衛隊の方でいわゆる無人機艦隊と言いますか、研究組織が発足しました。それから航空自衛隊も、これよりだいぶ前ですけれども、虎ノ門オフィスでスタートアップとかですね、こういった常設の取組が陸空にありますけれども、海上自衛隊として今後同じ理屈でですね、USVですとかUUVで、とりわけスタートアップやインキュベーションなどの、いわゆる専門分野が違う知見だったりを取り入れていく必要があるのかなと感じておりまして、そういう定期的な交流の場やファストパス調達ではないですけれども、それに近い取組みについて、すぐには計画できないかもしれませんが、期待や考えについてお聞かせください。
幕僚長 :
特に無人機等については、進化の状況が極めて速いし、新しい情報を仕入れたり、そういったことに従事する民間企業との協力は極めて重要だと認識しております。陸上自衛隊に先日発足しました無人機に関する研究室、残念ながら人的に余裕がない海上自衛隊としては特別に室を設けることはできませんが、既存のチームで、各課またがるところはプロジェクトチーム的に仕事するような仕組みを構築してやっております。組織内ではそうですけれども、組織外ではさきほど言われた航空自衛隊の虎ノ門オフィス、そういったものとの交流ということですけれども、それについては海自も既にやっております。細部は広報室長に確認させますけれども※4、毎日ではないんですけれども、そのオフィスに週に何回かつめさせて、いろんなものを吸い上げてきたり、我々が要求しているものを出したり、そういう仕組みを既に構築していると思っております。記者さんが言う通り、そういったものはとても速いテンポで流れていく必要があると思いますので、海上自衛隊としてもそういった取組には引き続き積極的に関与していきたいと思っております。
8年ぶりの韓国訪問と日韓関係の構築
記者 :
話題変わりますけれども、冒頭発言のありました韓国の出張関係ですけれども、2018年以来8年ぶりと言われているということで、2018年はレーダー照射問題があった年ですけれども、もちろん政府レベルで問題を解決していこうという状況になって、実際韓国海軍の護衛艦が日本に来られるという実績がありますけれども、実際今回行かれる状況下で今後のですね、現場のトップとしてどのような関係を構築していきたいか意気込みをお願いします。
幕僚長 :
レーザー照射の後も私防衛部長という立場で、その件に関する実務者協議に参加しましたけれども、その後まもなく、日米韓の3カ国の防衛部長レベルでの会議があったときに参加しまして、様々な意見交換を行ってきました。今回、久々に2国間での協議があるということと、海上幕僚長としては8年ぶりに訪問するということであります。厳しい安全保障環境を踏まえればですね、しっかりと日韓、あるいは日米韓の連携が重要であるというのは言うまでもないと思っております。日韓の重要性を踏まえながら、防衛協力あるいは防衛交流の将来像をしっかりと議論していきたいなと思っております。
朝鮮半島情勢と韓国海軍との連携の意義
記者 :
北朝鮮が原潜を建造したりですね、韓国の西側の黄海に中国が巨大構造物を建造しているなどですね、朝鮮半島は以前にも増して、海に関わる安全保障環境の負担と言うように見受けられるんですけれども、こうした中でも韓国海軍との連携の意義であったり、海幕長から見た朝鮮半島の地政学的な重要性など海幕長の考えをお聞かせください。
幕僚長 :
まず今回行くのは就任したばかりのキム大将との個人的な信頼関係を構築するというのが大きなところだと思っておりますので、まず信頼関係を構築した上で、様々な意見交換をやっていきたいなと思っております。その中には、現在の朝鮮半島も踏まえることも必要だと思っております。繰り返しになりますが極めて厳しい安全保障の中、日韓でどういったことができるか、日米韓でどういったことをやるのか、といったこともですね、警戒監視も含めて議論していきたいなと思っております。
記者 :
海幕長からみた朝鮮半島の地政学的な重要性をどういうふうにお考えなのか。
幕僚長 :
我が国に極めて近いところにありますし、北朝鮮あるいはロシアが存在するということも踏まえれば、韓国という存在意義は非常に大きなものだと思っておりますので、しっかりと一緒に手を組めるところは、組んでいきたいなと思っております。
※1 南極地域観測統合推進本部に訂正
※2 強い時で3ノット程度である旨、補足説明
※3 個別の部隊名を伏せた上で、温水プールやシャワー、冷暖房などを部隊判断で制限している事例を説明
※4 海自のインキュベーションの取組(虎ノ門)について補足説明
(以上)
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