高市総理とポーランド首相が首脳会談、「包括的・戦略的パートナーシップ」に格上げし、共同声明も発表(4月15日)
- 日本の防衛
2026-4-17 11:00
外務省は令和8(2026)年4月15日(水)、同日に実施した日・ポーランド首脳会談及びワーキング・ランチについて以下のように発表した。日・ポーランド共同声明の骨子と和文仮訳も同時に全文転載する。
日・ポーランド首脳会談及びワーキング・ランチ



4月15日、午前11時45分から約1時間30分間、高市早苗内閣総理大臣は、訪日中のドナルド・トゥスク・ポーランド首相(H.E. Mr. Donald TUSK, Prime Minister of the Republic of Poland)と日・ポーランド首脳会談を行うと共に、社会保障協定署名式、共同記者発表及びワーキング・ランチを行いました。
1 冒頭
1. 高市総理大臣から、2015年に表明した「戦略的パートナーシップ」に基づき幅広い分野の協力が着実に進展し、日・ポーランド関係は飛躍的に深化していることを歓迎の上、今後も経済面や安全保障分野を始めとした協力を一層緊密化させたい旨述べました。
2. これに対し、トゥスク首相から、経済、安全保障等を始めとした様々な分野で、両国の関係を一層強化していきたい旨述べました。
3. 両首脳は、今般、両国関係を「包括的・戦略的パートナーシップ」に引き上げ、一層強固な関係を築くことで一致しました。
2 二国間関係
1. 両首脳は、安全保障面での協力を強化するべく、情報保護の枠組策定のための議論を含め、当局間で議論を進めることで一致しました。
2. 高市総理大臣から、ポーランドの順調な経済成長及び約400社の日系企業のポーランド進出による雇用創出等に言及の上、二国間の経済交流の一層の促進に資するものとして、今回の社会保障協定の署名を歓迎しました。両首脳は、地域の連結性向上に資するインフラ分野、AIを初めとした先端技術分野を含む経済面での協力を更に深化させていくことで一致しました。
3. 高市総理大臣から、来年の日・ポーランド国交回復70周年が両国の文化交流の重要な機会となることを期待する旨述べました。
3 地域情勢
1. 高市総理大臣は、ウクライナ支援のハブとしてのポーランドの重要性に言及の上、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みを容認すべきでないという原則的考えに変わりはなく、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現に向け、引き続き、ポーランドと共に取り組みたいと強調しました。
2. 両首脳は、中国、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応を始めとするインド太平洋情勢や、中東情勢についても意見交換を行い、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現のため緊密に連携していくことを確認しました。
日・ポーランド共同声明骨子(PDF)
1 日・ポーランド包括的戦略的パートナーシップ
・日・ポーランド戦略的パートナーシップに基づく二国間関係の深化及び国際安全保障情勢の複雑化を受け、二国間関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げ。
2 世界の戦略・安全保障環境
・ルールに基づく国際秩序を力強く支持し、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対。
・ロシアのウクライナ侵略を非難するとともに一貫したウクライナ支援を再確認。公正かつ永続的な平和を実現するため復興・復旧に向けた緊密な両国間協力を表明。また、露朝協力への深刻な懸念を表明。
・米国とイランが4月8日に発表した一時停戦を前向きな動きとしつつ、ホルムズ海峡の航行の安全を含む事態の沈静化の重要性を強調。外交を通じた最終合意が早期に成立することを期待。中東地域の平和と安定に向けた外交努力の継続を再確認。
・自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の必要性を強調。東シナ海・南シナ海を含め力又は威圧によるあらゆる現状変更の試みに強く反対。台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、対話を通じた平和的解決を促す。国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化に引き続きコミット。拉致問題の即時解決を北朝鮮に強く要求。
・強靱かつ信頼できるサプライチェーンの構築を含む経済的強靱性、経済安全保障における協力を強化し、経済的威圧や重要鉱物等の輸出規制に対処していくことを確認。
3 二国間関係の新たなフェーズ
・ハイレベル協議を通じて政治、安全保障、貿易、投資等の協力を強化していく。
・AI等における共同イノベーションや学術交流を促進していく重要性を強調。
・トゥスク首相の訪日の機会に、3つの成果文書に署名。
・日・ポーランド社会保障協定
・農業分野の協力に関する協力覚書(MoC)
・宇宙機関間の共同宣言
日・ポーランド共同声明 和文仮訳
2026年4月15日、高市早苗日本国内閣総理大臣とドナルド・トゥスク・ポーランド共和国首相は、東京で首脳会談を行った。2015年の日本国とポーランド共和国との間の共同声明「自由、成長及び連帯への戦略的パートナーシップ構築」に基づき、両首脳は、それ以来達成された実質的な進展を確認した。本日、両首脳は、2025年から2029年までの行動計画に従い戦略的パートナーシップの新たな段階を立ち上げ、変容し一層複雑化する国際安全保障環境と両国の共有された願望に照らして二国間関係を包括的・戦略的パートナーシップのレベルに引き上げることを決定した。
国際戦略・安全保障環境
両首脳は、国連憲章を中核とするルールに基づく国際秩序、自由かつ公正な貿易及び人権の普遍的尊重に対する揺るぎないコミットメントを再確認した。両首脳は、欧州・大西洋地域、インド太平洋地域又は世界の他の地域であるかを問わず、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みや、国際法、特に国連海洋法条約(UNCLOS)に反するあらゆる行動を取ることに強く反対した。今日の相互に結びついた世界において二つの地域の安全保障は不可分であるとの認識の下で、両首脳は、関連する国際・地域安全保障機関への関与、志を同じくするパートナーとの緊密な協力、米国との同盟、国防能力の継続的な発展を積極的に維持、強化することを決意した。
両首脳は、国際法及び国連憲章の原則の明白な違反であるロシアによる継続するウクライナ侵略を非難する。両首脳は、自らの自由、主権及び領土一体性を守るために戦うウクライナへの支援に対する揺るぎないコミットメントを再確認し、公正かつ永続的な平和を実現するためにウクライナの復旧及び復興に向けた取組に緊密に協力する用意があることを表明する。また、両首脳は、拡大する北朝鮮とロシアとの間の軍事協力について、それが関連する国連安保理決議に違反しインド太平洋及び欧州双方の安全保障に悪影響を及ぼすと認識しつつ、深刻な懸念を表明する。
4月8日に米国とイランにより攻撃の停止が発表されたことを前向きな進展と認識し、両首脳は、ホルムズ海峡の航行の安全を含む事態の沈静化が図られる重要性を強調し、外交的手段を通じて最終的な合意に早期に至ることへの期待を表明した。両首脳は、国際社会と緊密に協力しつつ、中東の平和と安定に向けた外交的努力の継続にコミットすることを再確認した。
両首脳は、自由で開かれたインド太平洋の必要性を強調するとともに、東シナ海及び南シナ海におけるものを含む、力又は威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに強く反対する。両首脳は、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、建設的な対話を通じた両岸問題の平和的解決を促す。両首脳は、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画を深く懸念している。また、両首脳は、暗号資産窃取や北朝鮮IT労働者の活動を含む北朝鮮の悪意あるサイバー活動に対する深刻な懸念及びこれらに共に対処する必要性を表明する。両首脳は、関連する国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化に引き続きコミットしている。両首脳は、拉致問題の即時解決を北朝鮮に強く求める。
この文脈において、両首脳は、両国の外務省間及び防衛省・ポーランド国防省間の二国間協議が進展しており、議論を深めるために両者が外務・防衛当局間協議を開催することで一致したことを歓迎した。また、両首脳は、ウクライナ支援のための協力を含む安全保障当局間の協力が発展していることを強調した。
さらに、両首脳は、組織された偽情報キャンペーン、国家に支援されたプロパガンダ及びサイバー攻撃を通じて、経済的安定性、社会的結合及び民主的プロセスを損なおうとするいかなる主体による行動に反対する。日本及びポーランドは、志を同じくするパートナーとの強化された二国間及び多数国間協力を通じて、重要インフラの安全を含め、ハイブリッド脅威に対する強靱性を強化することにコミットし続ける。
両首脳は、強靱で信頼性の高いサプライチェーンの構築、非市場的政策及び慣行並びにそれらに起因する過剰生産への対応、経済的威圧及び特に重要鉱物、その派生品に対する輸出規制並びにデュアルユース品への対処及び重要・新興技術の流出防止など、経済的強靱性及び経済安全保障に関する協力を強化する決意を再確認した。
また、両首脳は、2024年の安全保障・防衛パートナーシップを基礎とすることも含め、欧州連合及び日本との間の戦略的パートナーシップを更に強化する決意を再確認した。両首脳は、日本・EUの協力が、持続的な経済成長の促進、文化・科学交流の推進、地域・国際安全保障への一層の貢献において重要な役割を果たしていることを認識した。両首脳は、日本とNATOの協力、特に2025年9月にニューヨークにおける国連総会の機会に行われた豪州、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、ポーランド、大韓民国、英国の外相間及びハイレベル実務者間の会談を通じた、欧州とインド太平洋地域間の同様の協力を深化させる必要性を確認した。
これらの共有された原則に基づき、両首脳は、共通の価値及び安全保障へのコミットメントを政治、経済、技術及び社会の領域における具体的な協力に転換することによって、二国間の戦略的パートナーシップを深化させるコミットメントを再確認した。両首脳は、両国の戦略的連携の次の段階に向けた基盤を構築する共同のイニシアティブを前進させる意図を表明した。
日ポーランド関係の新たなフェーズ:包括的・戦略的パートナーシップ
両国は、政治対話、安全保障、貿易、投資協力などを容易にするハイレベル協議を通じた協力を強化することを追求する。両国の戦略的パートナーシップは、農業、食料市場、防衛・デュアルユースセクター、エネルギー(原子力、水素及びアンモニア)インフラ、宇宙(衛星プログラム、地球観測及び宇宙探査)及び研究を含む多様なセクターに広がっている。さらに、両首脳は、経済的繁栄を促進し、地球規模課題に対処するために、AI、バイオテクノロジーにおける共同イノベーション及び学術交流を推進する重要性を強調した。
ビジネスミッションの活発な往来に示されるように、二国間経済関係はダイナミックで多次元的である。日本の投資は、自動車、インフラ、エネルギー、デジタル化、製薬及び食料産業を含むポーランド経済の重要なセクターを支援し続けている。今日、400近い日本企業の海外拠点がポーランドで活動しており、ポーランドの経済成長を強化している。両首脳は、開かれた、透明性のある、かつ、差別のないビジネス環境を確保する重要性を確認しつつ、日本の経済産業省とポーランドの経済発展・技術省によって行われる日ポーランド経済協議が、経済関係を更に強化し多様化しなければならないこと、そして、経済関係には、日本の農林水産省とポーランドの農業・農村開発省によって支援される農産・食品ビジネスが含まれることを再確認した。
また、両首脳は、ウクライナの復興及び復旧における協力の推進を継続することを決定した。この協力は、能力構築支援の提供に焦点が置かれるとともに、ビジネスセクターを関与させることになる。両者は、この分野における日ポーランドのビジネス協力を高く評価し、それを支援する意向を再確認した。
ポーランド首相の日本訪問は二国間の制度的枠組みを更に強化した。以下の重要な協定及び文書に署名された。
1 社会保障協定及び行政取決め
2 農業分野における協力覚書
3 POLSA-JAXA間の潜在的民生宇宙協力に関する共同声明
また、両首脳は、情報保護協定の将来的な交渉に関する議論が最近開始されたことを歓迎した。これらのイニシアティブは、日ポーランド戦略的パートナーシップの新しい、包括的なフェーズの範囲及び活力が拡大している、また一つの例である。
(以上)
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