《レポート》ブルーインパルス、万博開かれる大阪上空を飛行(4月10日)
- 特集
2025-4-13 13:05
「2025年大阪・関西万博」の開幕に際し、航空自衛隊のブルーインパルスが大阪に展開した。開幕初日である4月13日(日)の飛行は中止に終わったが、その前々々日の10日(木)、事前訓練のフライトを披露した。
万博開幕に向けブルーインパルスが大阪に展開 35年ぶりに飛行
4月10日(木)、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、大阪市街地と「2025年大阪・関西万博」の会場となった夢洲(ゆめしま)の上空を舞った。この飛行は万博の開幕初日に向けた事前訓練で、13日(日)にも飛行する予定だったが、当日は悪天候のため中止となった。
ブルーインパルスの展示飛行は、年間約20回程度、全国各地で実施されている。大阪での飛行は、過去に1970年の「大阪万博」(開会式、ジャパンデー、閉会式)と1990年の「国際花と緑の博覧会」(花の万博)があるだけで、実に35年ぶり。東京オリンピックなど、歴史的な節目ごとに全国の空を彩ってきたブルーインパルスが、再びこの地に戻ってきた。
ブルーインパルスの展示飛行には大きく2つの形式がある。ひとつは、自衛隊の航空祭などに飛行場の上空で行われるアクロバット(曲技飛行)を中心とした展示飛行、もうひとつは離着陸する飛行場から離れた会場の上空で行われる編隊での演技を中心とした展示飛行だ。
今回の大阪では後者が実施され、アクロバット飛行こそ行われなかったものの、万博会場へ至る飛行ルートでは大阪ならではの景観とのコラボレーションが楽しめる演出となった。
4月9日に関西国際空港に展開、10日に事前訓練を実施
万博での飛行に備え、飛行隊長の江尻卓(えじり・すぐる)2等空佐率いるブルーインパルスは、4月9日(水)に関西国際空港へ展開し、翌10日(木)には本番同様の飛行経路を用いた事前訓練飛行を実施した。
大阪市街を中心とした広範囲を飛行し、通天閣、大阪城、太陽の塔、ひらかたパークなど、大阪の象徴的なランドマーク上空をなぞるように通過、ラストは夢洲上空での飛行で締めくくった。
大阪市内上空での飛行では、6機がデルタ隊形を組み、各ランドマーク上空を通過しながら、ポイントごとにスモークを出す航過飛行を実施。そして夢洲の万博会場上空では、スモークで大きな円やハートを描いたり、素早く隊形を変更したりと、7つの課目(演技)を披露した。※4月10日の実施課目は、「デルタ360°」「サクラ」「キューピッド」「720°ターン」「チェンジ・オーバー・ターン」「360°ターン」「レベル・サンライズ」の7課目。
筆者が撮影を行った大阪城では、多くの観光客で賑わう中、突如現れたブルーインパルスの飛来に大きな歓声があがり、写真撮影を楽しむ人々の姿が見られた。「本番は天気が不安なので、今日思い切って来ました」という遠方からの来場者もおり、大阪城とブルーインパルスを組み合わせた写真が撮れたことに、満面の笑みを浮かべていた。
大阪出身のパイロット・松浦1尉 「万博で飛びたい」とブルーインパルス志願
開幕当日、大阪の空は低い雲と雨に見舞われた。ブルーインパルスのT-4×6機のうち第1陣の1、2、3番機は関空を離陸したが、第2陣の4、5、6番機は離陸できず、フライトキャンセルとなった。
今回の飛行には、大阪府出身の松浦翔矢(まつうら・しょうや)1等空尉が操縦士として参加していた。松浦1尉は、昨年11月に愛知県で開催された「フォーラムエイト・ラリージャパン2023」でブルーインパルスの公式展示飛行のデビューを果たした新鋭パイロットだ。
吹田市出身で、昭和45年の大阪万博の会場跡地にほど近い場所で育った松浦1尉は、幼い頃から「万博で空を飛びたい」という夢を抱き、今回のタイミングでブルーインパルスへの志願を決意したという。
民間空港からのフライトという“歴史的一歩”
今回の展示飛行の拠点として、民間専用空港である関西国際空港が用いられた点にも触れておきたい。
自衛隊機は従来、防衛省所管の基地や官民共用空港での運用が原則とされている。2022年には秋田空港や宮古空港が使用された例があるものの、民間空港への本格展開は極めて珍しい。今回のように、国内の主要空港からの発着を伴う展示飛行は、制度面・運用面の両面で、大きな一歩となる事例だろう。
関空展開の背景には、滑走路長や拘束バリアの要否といった技術的な観点に加えて、燃料の国際規格統一により、民間空港での補給・運用が可能になったことがある。近年、自衛隊では有事・平時を問わず柔軟な展開を可能にする「機動分散運用」(=全国各地を拠点にした柔軟な運用体制)の構築が進められており、今回のブルーインパルスによる関空展開は、その象徴的な実例とも言える。
(以上)
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