木原防衛大臣、着任から1年余を振り返る最後の記者会見(10月1日)
- 日本の防衛
2024-10-4 10:31
令和6(2024)年10月1日(火)11時08~15分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛イノベーション科学技術研究所の開所式後、同所において閣議後の会見をおこなった。
公表された内容は、以下のとおり。
大臣からの発表事項
防衛装備庁に設置した、ふたつの研究所
大臣 :新たな研究機関の設置について、1点申し上げます。
本日、防衛装備庁に防衛イノベーション科学技術研究所及び新世代装備研究所を設置しました。
ここ防衛イノベーション科学技術研究所では、外部人材も活用し、様々な可能性を有する科学技術の探索、従来の常識を覆すブレークスルーへの挑戦、科学技術の迅速な活用まで、防衛イノベーションにつながる取組を実施してまいります。
また、新世代装備研究所では、レーダーやセンサー等の電子装備品、AI、サイバー、宇宙、指向性エネルギーシステムなど、新世代の装備品の研究開発を実施してまいります。
これらの研究所は、防衛生産・技術基盤の強化につながるとともに、我が国の防衛力の抜本的強化に向けた重要な役割を果たすものと期待をしております。
記者との質疑応答
イノベ研、立ち上げた意義
記者 :今ですね、正にイノベーション研究所のことを触れられましたけれども、この研究所に期待すること、そして、先ほどDIU(アメリカ国防イノベーションユニット)のですね、東京オフィスについても話されましたが、海外との連携や、なかなかすぐに成果が出るものではないと思いますけれども、そこにこうして研究所を立ち上げることの意義をお聞かせいただけますでしょうか。
大臣 :一層厳しさを増す安全保障環境というのは、常々申し上げているところでありますが、その中で我が国の国力を確保していくためには、防衛当局者だけでなく、企業、大学、研究機関等の叡智を結集し、先端技術を社会実装につなげていく必要がございます。
このため、ここ防衛イノベーション科学技術研究所には、安全保障分野における産学官連携のハブ拠点となり、防衛省・自衛隊の活動だけでなく、社会や生活を大きく変化させるような従来の常識を覆すブレークスルーを実現すること、そのことを期待しております。このために、諸外国の防衛イノベーションを目指した組織、研究機関とも積極的な連携を進め、防衛イノベーションを実現してもらいたいと考えています。
イノベーションというのは、人類や社会の課題を解決し、社会変革を進めていく上で不可欠なものであります。このことは防衛分野においても同様だと考えております。独創的な成果や、世界を変えるような新技術を生み出すため、今、御質問あったように、すぐに成果が出るとは限らないイノベーションにも投資するということは重要だというふうに考えています。
内閣総辞職を受け、この1年を振り返って
記者 :本日、岸田内閣が総辞職されました。この1年で、例えば日米ですとか日韓の防衛協力が進んだ半面、不祥事というのも相次いで発覚したかと思います。この1年の振り返りをお聞かせいただきたいのと、次の防衛大臣にどういったことを求めるかをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣 :まず、1年の振り返りということでございますが、政策の分野について申し上げれば、昨年9月に私、着任をいたしました。浜田前大臣からバトンを引き継いだわけですが、防衛力の抜本的強化というものが、この防衛省・自衛隊における課題、いわゆる戦略3文書に基づいてですね、それを1日でも早く進めていくということが私に課せられた課題の一つでありました。
まず、私が取り組んだのは、トマホークの導入時期の1年前倒しというものがございました。また、統合作戦司令部の設置の決定など、申し上げるとたくさんありますが、多くの取組を進めることができたと思っております。
また、御指摘の日韓関係、韓国との連携については、熟慮に熟慮を重ね、本年6月、シャングリラ・ダイアログのサイドの場においてですね、約5年半ぶりに日韓防衛協力・交流を正常化させるということを合意をし、7月にはですね、韓国のシン国防部長官、当時ですけれどもね、今、彼は安保調査局長になってますが、その当時の国防部長官の15年ぶりの来日に繋がり、東京において会談をすることもできました。
そして、また、今御指摘のあったように、防衛省・自衛隊における不適切な事案が相次ぐ中で、私自身、信頼回復のため、先頭に立って取り組んでまいりました。
新たに着任される防衛大臣には、防衛政策を引き続き力強く進めていくとともに、国民の信頼を取り戻すため、全力で職務に臨んでいただくこと、そのことを期待しております。
また、能登半島地震への災害派遣活動も含め、大臣として様々な仕事をする中で、正に現場で働く自衛隊員というのは、この国の宝であるという思いを新たにいたしました。
振り返ると、あっという間の1年間ではありましたけれども、私を支えてくれた全ての隊員に心から感謝を申し上げるとともに、これから立場は変わりますけれども、防衛省・自衛隊の応援団として、これからもですね、私自身隊員とともにあり続けたいなと、そういう思いです。
レバノン情勢への対応
記者 :イスラエルがレバノンへの限定的な地上侵攻を開始しました。レバノン情勢を巡っては、自衛隊機派遣命令出ていますけれども、最新の対応状況を教えていただけますでしょうか。
大臣 :中東情勢に関する御質問ですが、現下のレバノン情勢を受けまして、9月の27日に外務大臣から、現地に滞在する邦人等の輸送に向けた準備開始の依頼を受けました。同日、私からは、自衛隊輸送機をヨルダン及びギリシャまで移動させ、待機することを命じたところです。
この命令を受けて、在レバノン共和国邦人等輸送統合任務部隊を編成したところであり、現在速やかに所要の準備を完了させ、各種調整が整い次第、直ちに航空自衛隊の輸送機をはじめとする自衛隊の部隊をヨルダン及びギリシャに出発させる予定となっています。防衛省・自衛隊としては、現地邦人の安全の確保のため、引き続き、関係省庁と緊密に連携しながら対応してまいります。
記者 :出発は調整中という認識でよろしいですか。
大臣 :この瞬間調整中です。
(以上)
なお、この会見が木原防衛大臣の最後の会見となった。
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