中谷防衛大臣が記者会見 ADMMプラス出席予定、防衛大臣補佐官の任命などに言及(11月19日)
- 日本の防衛
2024-11-21 11:20
令和6(2024)年11月19日(火)10時53分~11時11分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟第1省議室において閣議後会見を行った。
内容は、以下のとおり。
発表事項
大臣 :私は、第11回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)に出席をするために、11月の20日から23日の日程で、ラオスを訪問をいたします。私が防衛大臣としてADMMプラスに参加するのは、2015年にマレーシアで開催をされました第3回以来、2回目となります。このインド太平洋地域の国防大臣等が一堂に会するADMMプラスは、地域の安全保障上の課題などについて、各国との意見交換を通じて、我が国の考えを発信をいたします非常に有意義な機会となります。今回の会議におきましては、まず、地域や国際社会を取り巻く安全保障環境につきまして、しっかりと議論をし、そしてASEANを中心とした安全保障協力、また地域の連携の重要性を各国に訴えたいと考えております。また、この機会に時間が許す限り各国の国防大臣等と会談する機会を持てるように、現在最終的な調整を進めているところでございます。これらの会合を通じまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために、ASEAN諸国と緊密に連携を強めていきたいと考えております。
第2点につきまして、防衛大臣補佐官の任命につきまして、本日の閣議で、防衛大臣補佐官に若宮健嗣(わかみや・けんじ)さんが任命をされました。若宮さんは、これまで内閣府特命担当大臣や外務副大臣、そして防衛副大臣などを歴任をいたしておりまして、衆議院におきましては、安全保障委員会の委員長を務めるなど、行政の運営に関する確かな経験と、そして安全保障に関する深い知識を持った方でございます。こうした経験や知見を存分に活かしていただくという観点から、若宮補佐官には、防衛生産、そして技術基盤の強化の担当といたしまして、私をサポートしてもらいたいと考えております。この防衛生産・技術基盤というのは、いわば防衛力そのものでありまして、スピード感をもって、強化をしていく必要があります。その一環として、昨年10月には「防衛生産基盤強化法」が施行をされておりまして、今後、若宮さんの補佐を受けまして、私の下で関連する施策を強力に推進をしてまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
海自が導入決定した滞空型無人機(UAV)について
記者 :海上自衛隊に今後導入することが決まりました滞空型無人機UAVに関してお伺いしたいと思います。米国製のMQ-9Bシーガーディアンが機種として選定されておりますけれども、米軍も同様の機種を運用しておりますが、海自にこの無人機を導入することの意義をまずお伺いします。それから、導入によってですね、日米の情報収集面の連携というものをどう深めていくというふうにお考えなのか見解を伺います。
大臣 :海上自衛隊で導入をする予定であります滞空型の無人機でありますが、先般、機種選定を行いまして、MQ-9Bシーガーディアンを取得することを決定したところでございます。このシーガーディアンの導入は、平素から自衛隊の広域での洋上監視能力、これを強化するものであります。また、有事の際におきましては、人的損耗を局限をしつつ、任務を遂行することが可能になります。具体的な運用の詳細につきましては、今後検討を進めてまいりますが、一般論といたしまして、米国との緊密な連携の下、情報収集態勢、そして情報分析能力の一層の強化を図っていくということが重要でございます。例えば、令和5年の5月から令和6年の9月までの間、海上自衛隊では滞空型UAVの試験的運用を行いましたが、これはあくまでも基礎的な飛行法、そして目標の識別要領の確立、並びに搭載センサーの性能の確認等を目的としたものでございます。このように有効に活用してまいりたいと思っております。
中谷防衛大臣が意欲を示す訪韓計画について
記者 :大臣の韓国訪問についてお伺いします。かねて大臣は早期の韓国訪問に意欲を示されてきたと思いますが、最新の調整状況をお伺いします。12月下旬という報道もありますけれども、改めてお伺いします。
大臣 :訪韓の計画につきましては、具体的に決定をしたものはありません。その上で申し上げますと、地域の今、安全保障環境が厳しさと複雑さを増している中でですね、私の持論でありますが、日韓、そして日米韓の連携はますます重要であると考えております。例えば本年7月にですね、韓国の国防部長官が約15年ぶりに来日をされました。そして私も就任直後にですね、キム・ヨンヒョン国防部長官とテレビ会談を実施をいたしました。さらに、先日7日には、6年ぶりの寄港となります韓国海軍の練習艦隊の歓迎行事に参加をいたしまして、横須賀に寄港しました揚陸艦「マラド」にも乗艦をいたしました。このように、日韓の防衛協力・交流の強化に向けた意思は、私が感じましたところ、日韓共通であるということを実感をいたしました。こういった日韓防衛協力の進展を踏まえまして、防衛大臣の訪韓についても、できるだけ早い時期に実現できるようにですね、今、韓国側と調整を進めているところでございます。
衆院選で落選した若宮健嗣氏の防衛大臣補佐官への任命理由について
記者 :補佐官人事について伺います。若宮さんは、先の衆院選で残念ながら落選されてしまいました。今回の人事は、落選議員の救済人事ではないかとの指摘もありますが、改めて任命された理由を教えてください。
大臣 :あくまでも、私の補佐官としての適性、適任かという見地で考えました。若宮さんは、先ほども申し上げましたけれども、経歴といたしまして内閣府の特命担当大臣や外務副大臣、防衛副大臣などを歴任をしておりますし、また、安全保障委員会の委員長を務めるなど、非常に行政運営に関する確かな経験と、安全保障に関する知見を有しております。それから、8年前でありますが、私が防衛大臣の時に副大臣を務めていただきまして、特に平和安全法制の審議をしておりましたけれども、非常に良く補佐をしていただいて、その実力についても評価をしておりますし、私の後任の稲田大臣の時もですね、防衛副大臣をされました。このように、非常に能力が高い方でありまして、今後はですね、特に防衛生産、また技術基盤の強化、これを防衛省の課題としておりますけれども、この問題はですね、官民、内外問わず様々な課題を総合的に分析をし、検討を進めていくという必要がありまして、こういうことを考えますと、安全保障に対する高い見識と経験を有する若宮さんは、正にうってつけの人材だと考えまして、今般、任命をしたものでございます。このように、適材適所で行ったものであります。
第11回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)について
記者 :先ほどラオスの訪問を発表されましたので、それに関連してお伺いします。ASEANではですね、中国が非常に影響力を強めていますし、次のトランプ政権がですね、アジア太平洋地域にどこまで関与する意向を持っているかも不透明な状況となっております。こうした中で、出席されるわけですけれども、法の支配や民主主義といったですね、価値観の重要性等を、日本としてどういうふうに各国の信頼を得ていこうというふうにお考えなんでしょうか。また、対ASEANでですね、今回の会議などを通して、防衛省・自衛隊としてどういった取組を進めていくお考えでしょうか。
大臣 :私も2度目の参加になりますが、このASEANのADMMプラスというのは、まずはASEANの加盟国、それにインド太平洋地域の19か国の国防大臣級がですね、出席をする会議でありまして、非常に広域の安全保障課題、また防衛協力・交流などについては議論を行うことが可能でありますし、また、会議におきましても、地域の安全保障情勢について、各国の意見を交換をする予定でありますので、その際、我が国の考え方が発信できるし、またASEANを中心とした安全保障協力、また地域の連携の重要性、こういうことを確認をする場でございます。それから、二国間や多国間の防衛相会談も行いますので、各国との懸案になっているですね、問題や、また防衛協力・交流の推進についても意見交換をいたします。総じてですね、やはり政府の方針でございます「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためにですね、法の支配、また海洋安全保障の強化といった分野をはじめとして、ASEAN地域をはじめ世界各国とですね、防衛協力を緊密に積極的に取り組んでいく機会にしたいと考えております。
記者 :関連して、大臣御自身は、ASEAN各国に対する安全保障面での中国の影響というのは、どういうふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。
大臣 :私も累次、諸国を訪問する機会がございますが、非常に日本に対する信頼関係というのは各国とも厚くて、経済においても安全保障分野においても二国間で防衛交流や、また防衛協力も行っております。特に、防衛大学におきましては、シンガポールやタイからも留学生をもう30年以上ですね、継続して交換をしておりまして、そういうこれまでの防衛協力や安全保障の関係を更に拡大をしていくためにですね、各国と更に話し合いをしていきたいということで、一言で言いますと、日本に関する信頼関係、これは各国ともにですね、非常に大きなものがあると認識しております。
記者 :大臣すいません、お伺いしたいのは中国の影響力なんですけれども。
大臣 :中国の状況につきましては、二国間や多国間の中で話をしてまいります。非常に中国の国情等につきましては、特に南シナ海におけるサンゴ礁の埋立てとかですね、海域の拡大などですね、非常に影響力は大きくなっているというふうに認識しております。
記者 :現地ではですね、日中の国防相会談を調整していらっしゃるというふうに把握しております。先頃ですね、中国の軍用機の領空侵犯や領海の侵入といったことが相次いでおりますけれども、大臣としては、どういったメッセージを中国に対して伝えたいのか、また一連の軍事活動に関して、具体的に抗議するお考えはありますでしょうか。
大臣 :日中防衛相会談の実施につきましては、現時点で決まっておりません。色んな国との協議はいたしたいと思いますが、中国との協議は、今最終的な調整を行っているところであります。その上で、中国による我が国周辺における軍事活動、これが活発化をしておりますので、まずこの点、防衛省としても危機感をもって受け止めておりますので、日中間には、こうした安全保障上の多くの懸念があるからこそですね、防衛当局間で率直な意見、議論を重ねることが重要だと思っております。したがって、先日、日中首脳会談が行われまして、そこでも戦略的互恵関係を包括的に推進をし、建設的かつ安定的な日中関係を双方の努力で構築するという大きな方向性が確認をされましたので、仮に防衛相会談が実現される場合におきましても、防衛当局間においてもですね、先ほどお話をしました各種の懸念、この伝達を含めまして、率直な意思疎通を行っていく所存でございます。
11月10日に火災で沈没した海自の掃海艇「うくしま」について
記者 :話題変わりまして、「うくしま」の沈没事故の関連でお尋ねいたします。現在の捜索状況とですね、海幕長からも米軍からの協力の申し出があったという旨の発言がありましたけれども、米軍との連携の内容、あるいは今後の引き揚げの見通しなどを教えてください。
大臣 :現状につきましてですね、現状の火災につきましては、火災の状況を今総合的に勘案をいたしておりますが、ディーゼルエンジン、これが設置をされている機械室から火災が発生したものだと考えられておりますが、この原因につきましては、事故調査委員会において調査をしてまいります。船体の引き上げにつきましては、16日から17日にかけて契約をいたしております民間業者によりまして、現場の海域における調査が実施をされました。今後、調査結果を踏まえて、船体の引き揚げの可否、また引き揚げの方法について検討、調整を進めてまいります。引き続き、行方不明者の捜索に全力を尽くすとともにですね、原因の究明、そして再発防止、これを行ってまいりたいと思っております。そして、現在の捜索状況としましては、海上保安庁と連携しまして、海上自衛隊の艦艇約10隻及び艦載ヘリによる現場海域の捜索並びに漂流物の捜索及び回収を目的とした陸・海・空自衛隊員による現場海域の沿岸捜索を実施をしております。また、先週の14日から17日までの間に、米軍の水中処分員による水中捜索、これの支援を得ました。引き続き、行方不明者の捜索を実施をしております。火災に関する詳細につきましては、現在「うくしま」乗員への聞き取りを行っているところでございます。
記者 :重ねて補足で、米軍による水中捜索というのは、あくまで沈んだ船の中ではなくて、船の外という理解でよろしいでしょうか。
大臣 :今のところ、外だと聞いております。
(以上)
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