中谷防衛大臣、4月15日の定例会見 佐賀駐屯地の開設、DSEI Japanへの出展などについて発表
- 日本の防衛
2025-4-17 09:15
令和7(2025)年4月15日(火)09時24分~09時46分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は参議院本会議場議員食堂側で閣議後の会見を行った。
内容は、以下のとおり。
発表事項
アーミテージ米国の元国務副長官の訃報について
大臣 :
先ほど、アーミテージ米国の元国務副長官の訃報に接しました。誠に残念でありまして、謹んでお悔やみ申し上げます。アーミテージ氏とは、2001年に私が防衛庁長官の当時にですね、アーミテージ氏は米国の国務副長官でありまして、日本に初めて来日された折に、防衛省に初めて、まず最初にですね、御挨拶に来ていただきました。要するに、防衛相会談をしたわけでありますけれども、非常に日本に対して常に温かい心をもってですね、日米同盟、これの構築のためにですね、御尽力を果たされました。ちょうどその年に、アメリカの同時多発テロ事件がありまして、9.11のあとですね、私も訪米をいたしましたけれども、その際にも、お目にかかりましたが、非常にこういう厳しい時代の国際情勢の中で日米同盟がいかにあるべきかということも、御示唆をいただきました。全般的に20数年にわたってですね、日米同盟の強化、そして、世界の平和の安定のためにですね、本当に先頭に立って汗を流していただきました。それ以降もアーミテージ氏とは何度もお会いをしまして、日米、そして世界の様々な課題についてお話を伺いましたけれども、何と言っても知日派であったと、日本の安全保障に対して誰よりもですね、心がけて御心配をいただいておりましたけれども、このアーミテージ氏が亡くなられたこと、我が国にとりましては大変大きな損失でありまして、私個人にとっても長年の友人であり、また、先人の尊敬すべき方でありまして、非常に寂しい思いをいたしております。改めて、アーミテージ氏の長年にわたります貢献に敬意を表しますとともに、謹んでお悔やみ申し上げたいというふうに思います。
陸上自衛隊佐賀駐屯地の開設について
大臣 :
陸上自衛隊のオスプレイについて佐賀駐屯地の開設をはかります。長崎県の相浦駐屯地に所在する水陸機動団と一体的に運用を行うという観点から、佐賀空港の隣接地に佐賀駐屯地を開設をして配置をするということといたしております。現在、現地におきましては、駐屯地開設に向けて、オスプレイの移駐に必要な施設整備、これを進めておりまして、本年6月末までの完成に向けて、工事は順調に進んでいるところであります。これを踏まえて、本年7月9日に佐賀駐屯地を開設をし、オスプレイを運用する輸送航空隊、これを木更津駐屯地から移駐をさせることといたしました。この移駐に当たっては、飛行の安全を最優先に、オスプレイを順次飛来させることとしておりまして、移駐の完了時期は8月中旬になる予定であります。防衛省といたしましては、佐賀駐屯地の開設及び陸上自衛隊のオスプレイの移駐に向けまして、引き続き、全力を挙げて取り組んでまいります。
日本トンガ国防相会談について
大臣 :
日本トンガ国防相会談の実施につきまして、明日、4月16日水曜日、トンガ王国のウルカララ皇太子殿下を防衛省にお迎えをいたします。ウルカララ皇太子は、本年1月より、国防大臣と外務大臣を兼任されておられます。ウルカララ皇太子と防衛大臣との会談は、昨年3月、第2回日本太平洋島嶼国防衛大臣会合において、トンガ代表としてご参加いただいた際に、当時の木原大臣と会談をされております。また、私、トンガ議員連盟の会長をいたしておりまして、トンガ王国とは非常に親しくお仕えをさせていただいておりますけれども、トンガ王国は、民主主義、また、法の支配等の基本的価値を共有する重要なパートナーであります。同国とは、JPIDDへの参加、そして、海自艦艇の寄港、また、能力構築支援など、近年大きく防衛協力・交流が進展をしておりますが、そのような中で、防衛大臣に就任されたウルカララ皇太子とですね、防衛相会談を実施するということは、非常に有意義でございます。ウルカララ皇太子殿下の来省を心から歓迎を申し上げますとともに、会談におきましては、両国の防衛協力・交流事業について率直に意見交換を行いまして、今後の結びつきの強化に努めてまいりたいというふうに思っております。
DSEI Japan 2025への出展について
大臣 :
DSEI2025の出展につきまして、来月の5月21日から23日までの間、我が国で開催される唯一の国際的な防衛・セキュリティ総合展示会であります「DSEI Japan 2025」が幕張メッセで開催をされます。この展示会は、2019年、そして、2023年に続きまして、3度目の開催となりますが、防衛省は、この展示会を後援をするとともにブースを出展をしまして、我が国の防衛装備品と高い技術力について広く情報発信をする予定であります。今回からは防衛装備庁ブースに加えて、各自衛隊の装備品を展示する特設ブースをそれぞれ設けまして、より装備品の能力や技術の高さを知っていただけるように演出を凝らしております。また、多数の国内防衛関連企業も出展をする予定でありまして、マッチング、これの良い機会となることを期待をいたしております。防衛省としましては、引き続き、国際装備展示会を通じた情報発信をはじめまして、様々な取組を進めて、官民一体、これに伴いまして、この防衛装備移転三原則の下で適切な装備移転を推進してまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
トランプ政権による関税政策の見直しについて
記者 :
トランプ政権による関税政策の見直し交渉に向けて、赤澤大臣が16日から訪米を予定しています。防衛関係ですと、在日米軍駐留経費の負担増加ですとか、米国製装備品の追加購入、もしくは新規購入などいろいろないくつかの候補案が取り沙汰されていますけれども、防衛省としてですね、どのような提案が相対的に良いとお考えでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
大臣 :
どなたがですね、そのようなことを言ったり、取り沙汰していたのか、私は伺ったことはございません。今般の措置を始めまして、米国政府による広範な貿易制限措置は、日米の両国の経済関係、ひいては世界経済、また多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼしかねないものと認識をいたしております。お尋ねの米国の関税措置に係る今後の米国との協議につきましては、政府として、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なものであるのかということを考えながら取り組んでいくものであります。いずれにしましても、こうした措置に関しては、防衛省としましても、先般、石破総理からの御指示を踏まえまして、関連情報を収集をするなどして、引き続き、関係省庁と密接に協力をすることによりまして、しっかりと取り組んでいくという考えでございます。今後、日米交渉が進んでまいりますけれども、防衛省としてもしっかり注視をしてまいりたいと考えております。
記者 :
関連情報というのは、例えば、いろいろな外交筋なり情報筋のほうから例えばアメリカがこういうのを要求するらしいとか、そういうようなイメージの情報でしょうか。
大臣 :
様々な関連情報、特に、今回政府を挙げて閣僚会議も設置をされておりますので、より密接にですね、関係省庁と連携をしながら、また情報も共有しながらですね、判断していきたいと考えております。
防衛関連予算について
記者 :
防衛関連予算について伺います。2025年度予算で防衛費とそれを補完する取組に係る経費を合わせてGDP比は何%になるのか、国家安全保障戦略において記載されているとおり、22年度のGDPを基準にした場合と、25年度のGDP見通しを基準にした場合のそれぞれを教えてください。また、25年度は防衛力整備計画の折り返しとなります。米側からは、GDP比の3%までの増額を要求する声もありますが、現状を踏まえて今後どのように抜本的強化に取り組んでいくお考えでしょうか。教えてください。
大臣 :
国家安全保障戦略におきましては、令和9年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせて、そのための予算水準が、この戦略の策定時、これは令和4年度でありますが、このGDPの2%に達するようにですね、所要の措置を講ずることといたしております。先日成立しました令和7年度予算におきましては、防衛力整備計画の対象経費として8.5兆円、そして、補完する取組に係る経費としては1.5兆円、これが計上されております。これらの合計をいたしますと、9.9兆円となるために国家安全保障戦略の策定時、令和4年度のGDPと比較すると、1.8%となります。また、政府としては、GDP比を考える場合に、国家安全保障戦略に「現在のGDPの2%」とあるとおり、これを算定した令和4年度のGDPと比較することが適切といたしておりますが、仮に令和7年度におけるGDPの見通しを用いて、機械的に計算をいたしますと、1.6%となります。これらの数値は、戦略3文書に基づく取組が着実に進捗をしているということを示すものでございます。その上で、これまでも繰り返し申し上げているとおり、防衛力の抜本的強化について、大切なのは防衛力の中身でありまして、我が国自身の判断と責任で進めるということが重要であります。累次国会でも答弁しているとおりですね、今後とも、我が国として主体的に抑止力・対処力を強化をするための取組を不断に検討し、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力の抜本的強化、これを着実に進めてまいりたいと考えております。
護衛艦のカンボジア寄港について
記者 :
護衛艦のカンボジア寄港について伺います。海上自衛隊の護衛艦が中国の支援で工事したカンボジアのリアム海軍基地に、今月中旬にも寄港するとの報道がございますけれども、この事実関係について、まず教えてください。それからこの基地は、中国の支援を受けて拡張工事が行われていて、一部では、見返りとして中国に軍事利用を認める秘密合意があったとも報じられています。大臣は、中国によるこの港や地域への影響をどのように認識されているのでしょうか。また、その上で、今回の寄港は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、どのような意義があるとお考えでしょうか。よろしくお願いします。
大臣 :
御指摘のカンボジアのリアム海軍基地につきましては、今月の5日、これに改修工事の完成式典が開催をされたということは承知をいたしております。中国の海外における港湾などの活動拠点を確保しようとする動きは、近年非常に顕著になってきております。防衛省としましては、こうした動きについて重大な関心を持って注視をしているところであります。その上で、4月の19日の土曜日から22日の火曜日にかけまして、海上自衛隊による「令和6年度インド太平洋・中東方面派遣(IMED25)」、これに派遣中の海上自衛隊の艦艇が、カンボジアのリアム海軍基地に寄港するという予定であります。改修後のリアム海軍基地に外国艦艇が寄港するのは、これが最初の事例になると承知をいたしておりまして、我が国とカンボジアのですね、友好関係を象徴するようなことでございます。今回の寄港は、日・カンボジア間の安全保障・防衛分野における協力の進展の表れであります。また、この基地が「より開かれた港」となることに寄与するものでありまして、この「自由で開かれたインド太平洋」の実現、ひいては日本を含む地域の安定と平和の実現にとって重要であると考えておりまして、防衛省・自衛隊としましては、今回に限らずですね、今後も機会を見て寄港を考えて、そして追求していきたいと思っております。
普天間飛行場代替施設の建設について
記者 :
普天間飛行場代替施設建設についてお伺いします。2020年にアメリカのシンクタンクCSISが施設の建設に疑問を投げかける報告書を発表した際に、日本政府から「基地建設のためにどんな高額でも支払う」、また「基地を建設するためには資金をいくらでも投入するつもりだ」と反論があったことが明らかになりました。シンクタンク側への接触の経緯とですね、2020年時点で工費の増額について認識していたのかどうかをお伺いします。
大臣 :
御質問は2020年時点で工費の増額について認識をしていたのかということでありますが、この普天間飛行場の代替施設の建設事業等の経費の概略につきましては、2019年(令和元年)12月、沖縄の防衛局が、地盤改良工事の追加に伴う工事計画の見直しの結果や、当時の工事の状況等を踏まえまして、約9,300億円とお示しをしております。お尋ねの2020年(令和2年)時点においても、同様に認識をしていたところであります。その上で、一般にシンクタンクとの個々のやり取りにつきましては、相手方との関係もありますので、その有無を含めまして、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、防衛省としては、普天間飛行場の一日も早い全面返還、これを実現するために、引き続き、経費の抑制に努めながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めていきたいと考えております。
ミャンマー地震への支援について
記者 :
大臣、先日ミャンマーに派遣されていた空自隊員の帰国を出迎えされましたが、部隊からどのような報告があったのでしょうか。また、JJOCの隊員による現地調整所の活動状況や、今後のミャンマー支援についてのお考えをお聞かせください。
大臣 :
地震に関して、8日にですね、小牧を出発したC-130輸送機は、翌日の9日にマンダレー国際空港に到着をしまして、我が国の国際緊急援助隊・医療チームに、人道支援を継続するために必要な医療資機材等を無事引き渡しをいたしました。その後、12日に小牧に帰還をした隊員を出迎えるために、現地に赴きましたが、非常に粛々とですね、任務を遂行した、そして堂々とですね、胸を張ってですね、帰還をした隊員を見まして、非常に誇らしく思いましたし、またその際、報告も受けました。この際、私からは、在外邦人等輸送を含む国際任務、また能登半島地震等への対応を通して培った様々な経験を十分に活かして、統合作戦司令部発足後、初の国際緊急援助活動となる今回の任務を、無事、遂行してくれた隊員諸君に、心から敬意と感謝を表したというところでございます。現地におきましては、現地の調整所の要員が引き続き、情報収集を継続をしております。今後の支援のあり方につきましても、現時点で決まっているものはありませんが、今後とも、現地のニーズを踏まえてですね、適切に対応してまいりたいと思います。
オスプレイの移駐について
記者 :
オスプレイの移駐なんですけれども、5年以内を目標としていたところ、結果的に1か月ほど超過していることについて大臣はどのようにお考えですか。
大臣 :
まず第1にですね、この移駐につきましては、地元の皆様方の理解、それから納得をですね、得るということで非常に丁寧にですね、行ってまいりました。その上で、移駐につきましては、飛行の安全確保、これが最優先でありまして、機体の整備の状況、これを総合的に勘案して順次進めていく必要があるというところから、8月中旬頃までにですね、移駐を完了できるような計画で進めてまいりたいというふうに思っております。
(以上)
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