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島嶼防衛用新型対艦ミサイルの研究は1回目の試射が終了:防衛装備庁シンポジウム レポート②

  • 日本の防衛

2025-11-14 19:33

2025年11月11、12日に東京のホテルグランドヒル市ヶ谷で、防衛装備庁が年に一度その研究・開発を発表する「技術シンポジウム2025」が開催された。いくつかの展示を紹介させていただこう。稲葉義泰 INABA Yoshihiro

 防衛装備庁の「技術シンポジウム2025」において、「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」の説明パネルが展示された。展示者は統合装備担当の装備開発官だ。

発表パネル 撮影:編集部
発表パネル 撮影:編集部
発表パネル 撮影:編集部

 これは、侵攻してくる敵艦艇や上陸部隊に対して、遠距離から攻撃を実施することにより安全に敵部隊を撃破することを目的とする、長射程の巡航ミサイルに関する研究である。現在、川崎重工と契約して、このミサイルについて研究試作を実施中だ。ただし、このミサイルはあくまでも将来の対艦ミサイルに関する技術研究のためのプロトタイプ機であり、そこから派生した技術が今後開発されるミサイルに組み込まれることはあり得るものの、これ自体が装備化されるという予定は今のところない。

 今回のシンポジウムでは、2025年に航空装備研究所新島(にいじま)支所で実施された発射試験及びドイツで実施された弾頭試験の成果が展示された。とくに発射試験では、長射程化の肝となる川崎重工製の小型・高性能エンジンや、敵の対空火器による迎撃を回避するための高機動性を実現する大型主翼によるバレルロール機動など、このミサイルに関する研究で達成を目指している各種の革新技術開発の順調な進捗が確認された。

パネルの脇に展示されていたディスプレイ。画面はエンジン内部の燃焼シーンだと思われる 撮影:編集部

 今後、2026年にはミサイル間で情報をリアルタイムにやり取りするデータリンク試験を実施するほか、2027年にはモジュール弾頭を搭載した少し大型のミサイルで2回目の発射試験を実施する予定だという。

(以上)

稲葉義泰INABA Yoshihiro

軍事ライターとして自衛隊をはじめとする各国軍や防衛産業に携わる国内外企業を取材する傍ら、大学院において国際法を中心に防衛法制を研究。著者に『「戦争」は許されるのか 国際法で読み解く武力行使のルール』『“戦える”自衛隊へ 安全保障関連三文書で変化する自衛隊』(イカロス出版)などがある。

https://x.com/japanesepatrio6

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