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防衛大臣定例記者会見 周辺国動向や自衛官処遇改善への政府の取組を説明(6月10日)

  • 日本の防衛

2025-6-12 09:43

 令和7(2025)年6月10日(火)09時15分~09時40分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 なし

記者との質疑応答

自民党安全保障調査会の提言について

記者
 先週金曜日に自民党の安全保障調査会から提言を受け取られたことの関係で伺います。提言の中でですね、統合作戦司令部の発足などに伴ってですね、方面総監部など中間司令部を減らすことも内容に盛り込まれました。このことについての受け止めと、また今後具体的に組織の効率化について検討する考えがあるかどうかを教えてください。

大臣:
 6月6日に、自民党の安全保障調査会から提言を受け取りました。その中では、中間司令部の数を減らして、統合作戦司令部の一元的な指揮の下で、少ない結節により陸・海・空自衛隊が有機的に行動できるようにするということが提言されておりました。
 これにつきましては、この中間司令部を含む組織構造の在り方については、既に防衛力整備計画において、統合運用体制の下、高い迅速性と活動量を求められる部隊運用を持続的に遂行可能な体制を構築するとされていることを踏まえまして、本年3月に、海上自衛隊の大湊地方隊、これを廃止をしまして、大湊地区隊を新編したところであります。
 その上で、より精強な自衛隊を目指して、防衛省としましては、防衛力を強化しながら新たな戦い方を遂行できる組織を構築していくために、昨年8月、「第3回人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会における中間報告」でお示しをしたとおり、現在、AI技術等の活用や陸・海・空自衛隊の特性を考慮しつつ、既存部隊の抜本的見直しなどの、部隊の高度化に係る取組について検討を行っているところであります。
 防衛省としましては、今回いただきました提言をしっかり受け止めて、より迅速かつ効率的な運用体制の構築に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

中国海軍空母2隻の太平洋展開について

記者
 防衛省は昨夜ですね、中国海軍の空母2隻が同時に太平洋に展開していることを初めて確認したと明らかにしました。こうした状況についての大臣の受け止めと分析、並びにですね、中国側の狙いをどう見ているのか、そしてこれを受けて防衛省がどのような戦略的メッセージを伝えていくお考えなのかをお聞かせください。またですね、近年、太平洋側の防衛力整備が課題として与党含めて指摘されていますけれども、今後、どのように対応していくのか、理由とあわせてお聞かせください。

大臣
 先週の土曜日ですけれども、7日、海上自衛隊は、南鳥島の南西約300kmの海域におきまして、空母「遼寧」を含む複数の中国海軍艦艇を確認をいたしました。また、同日、宮古島の南東約550kmの海域において、空母「山東」を含む複数の中国海軍艦艇を確認をいたしました。さらに、8日(日)には「遼寧」の、続く9日(月)には「山東」の、艦載戦闘機等による発着艦をそれぞれ確認をいたしております。
 この中国海軍の空母が硫黄島より東側の海域で活動したことを確認、公表するのは初めてであります。また、空母2隻がこの同時期に太平洋上で活動していることを確認、公表したのも、今回が初めてとなります。
 今般の事案に関しまして、外交ルートによりまして、中国側に対して、我が国として申し入れをしかるべく行っております。それ以上のことにつきましては、外交上のやり取りがあるので、お答えをすることは差し控えますが、外交ルートで申し入れは行いました。中国は、現在運用している2隻の空母の運用能力向上や遠方の海空域における作戦遂行能力を向上するということを企図しております。
 このような中、防衛力整備計画においては、太平洋側の広大な空域を含む我が国周辺空域における防空態勢を強化するために、太平洋側の島嶼部等への移動式警戒管制レーダー等の整備を推進することといたしております。
 いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、引き続き、これら2隻の空母を含む中国海軍艦艇群の動向を注視するとともに、警戒監視活動に万全を期してまいります。また、今後も、警戒監視活動等を通じた情報を適時適切に公表し、我が国が隙間のない情報収集・警戒監視を実施している旨を顕示することなどを通じまして、力による一方的な現状変更やその試みを抑止するとの我が国の意思と能力を示していく考えであります。

記者
 関連して、申し入れは、抗議とは違って申し入れとのことですが、どういったことを申し入れられたのでしょうか。

大臣
 外交当局を通じまして、今回、中国空母の活動について、日本の立場をしっかり伝えております。詳細については、外交上のやり取りでありますので、明らかにすることは差し控えさせていただきます。

記者
 確認ですが、日本の立場というのはどういう立場でしょうか。

大臣
 我が国の安全、また、脅威にならないようにですね、中国の活動に対して申し入れをするということです。

中国空母の活動フェーズと防衛力の強化について

記者
 今の質問に関連しましてお尋ねいたします。今回の空母2隻の確認や太平洋での活動は初ということで、「遼寧」を含めて中国空母が、いわゆる第2列島線の東側に出たのが初ということですけれども、中国の軍拡が拡大・活発化というのは、かねて防衛省が評価しておりますが、今回の確認で新たに何かフェーズが変わったというふうに大臣としては受け止めてらっしゃるんでしょうか。

大臣
 空母2隻、3隻目も今整備をしておりますけれども、現在運用している2隻の空母、これの運用能力の向上、それから遠方の海空域における作戦遂行能力の向上を企図しているものだと思います。このようなことに対して、この警戒監視を、引き続き、行っているということです。

記者
 中国の脅威のフェーズが少しまた上がった、そういった視点での受け止めはありますか。初めて確認したということが2点ありますので、その点についてお願いいたします。

大臣
 今回新たなことといたしましては、空母2隻が同時期に太平洋上で活動しているということを確認したと。そして、中国海軍の空母が硫黄島よりも東側の海域で活動したことを確認をしたということで、これも公表するのは初めてでありますので、活動範囲が広がっているということです。
 先ほど申し上げましたように、現在運用している2隻の空母の運用能力の向上、また、遠方の海空域における作戦能力の向上を企図しているものとみられますが、これに対しましては、しかるべき措置といたしまして、防衛力整備計画でも進めておりますけれども、防空態勢を強化するということで、島嶼部への移動式警戒管制レーダー等の整備を推進をするということにしております。

記者
 重ねて、いわゆる硫黄島、小笠原諸島の近海辺りの、いわゆる防空というのは、比較的、日本にとっては南西諸島に比べると、少し弱いという指摘もありますけれども、こうした今回の中国の動きを受けてですね、今後は強化していくようなお考えはありますか。

大臣
 今回の空母の行動については、しっかりと把握をして、警戒監視、これを続けているわけでございますけれども、やはり警戒監視活動を通じて、しっかりこの得た情報を適時適切に公表して、我が国が隙間のない情報収集・警戒監視を実施しているということを、しっかりと顕示をするということが大事であるというふうに思います。

嘉手納弾薬庫での不発弾破裂事故について

記者
 嘉手納弾薬庫の敷地内にある不発弾の一時保管庫で破裂事故が起こった件について、大臣の受け止めをお願いします。また、現状の原因分析と再発防止策、今後の不発弾処理に遅延が生じる可能性はあるのかも教えてください。

大臣
 昨日の9日ですが、米軍の嘉手納弾薬庫地区に所在する沖縄県の不発弾一時保管庫の敷地内におきまして、陸上自衛隊第101不発弾処理隊が回収をして、保管をしていた不発弾の状態を確認をしていたところ、当該の不発弾の一部が破裂をするという事故が発生をいたしました。
 この事故によりまして、自衛隊員4名がやけどなどの怪我を負ったものの、いずれも生命には別状なく、現在までのところ、周辺地域への被害は確認をされておりませんが、周辺の皆様方には御心配をお掛けしましたことをお詫びを申し上げます。既に昨日9日、陸上自衛隊第15旅団に事故調査委員会を立ち上げまして、事故原因の調査を進めているところであります。
 現在、事故原因の究明や再発防止に全力を尽くしてまいりますが、今後、発見された不発弾の回収を始めとする、不発弾処理業務の全てを直ちに停止をするということは考えておりません。沖縄県には、まだまだ多くの不発弾等が地中に埋没しているとみられるために、不発弾等に関する対策は重要な課題であると認識をいたしております。
 防衛省・自衛隊としましても、今後とも安全かつ確実に不発弾処理を実施をしていく考えでございます。

記者
 今の質問の関連でお伺いしたいんですけれども、まず事故調査委員会のトップにはどなたがなっているかを改めて教えていただきたいのと、それとですね、最初の消防への通報段階では、小規模な爆発事故ということで、隊員のほうから連絡があったということなんですけれども、その後、第15旅団とか、県のほうも旅団からそういう説明を受けたということで、破裂という表現に変わっています。爆発という表現から破裂という表現に変わる理由を教えていただけますでしょうか。

大臣
 現在、第15旅団に事故調査委員会を立ち上げて事故原因の調査を進めているところでありますが、その組織や細部につきましては、後ほど事務方にお問い合わせをください。それから、破裂とはどういう意味かということで、爆発とか破裂の定義は明確にはないもののですね、本事案は、弾薬本来の爆発を伴ったものではないことから、破裂という表現をいたしました。破裂を起こした現場というのは、嘉手納弾薬庫区域に隣接をしている米軍提供施設内の沖縄県が管理する不発弾保管庫でありまして、こういった不発弾の処理作業を自衛隊員が行っていたということであります。

記者
 弾薬本来の爆発というのは、発射して着弾して爆発するとか、そういう本来の機能というか、本来の爆発ではないというそういう理解でいいんですか。

大臣
 不発弾の処理中に破裂をしたということですので、細部はまだ現在確認中でありますが、状況としましては、第101不発弾処理隊が回収して、保管をしていた不発弾の状況、これを確認をしていたところ、不発弾の一部が破裂をするという事故が発生したということでございます。

日米拡大抑止協議について

記者
 5日から6日にかけて日米拡大抑止協議が行われました。今回の協議でどのようなことが話し合われたのかと、協議結果に対する日本側の評価を教えてください。あわせて、前回や前々回に比べて発表内容が大幅に簡略化されました。今回の発表自体は、戦略的メッセージングの強化から逆行するように見えますけども、発表が簡略化されたことへの日本側の受け止めと発表方法が変更になった経緯を伺います。

大臣
 発表の内容とか、仕方につきましては、日米拡大抑止協議に関する対外公表の内容でありまして、これは協議の都度ですね、日米の関係者間で検討しているものでありますので、今回の対外公表文も日米両者間で検討を反映をし、それで決められたものでございます。
 この拡大抑止協議につきましては、今月、6月の5日から6日まで米国で実施をしました。この拡大抑止協議におきましては、まず、拡大抑止に関する既存の日米同盟における協議とコミュニケーションに係る手続の強化、第2に、抑止を最大化するための同盟の戦略的メッセージングの強化、第3に、日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止のための取組の強化といった事項に関する議論を深めるとともに、昨年末に策定されました拡大抑止に関するガイドラインの意義を強調をしました。
 加えて、日米双方は机上演習を実施をしました。米空軍地球規模攻撃軍団を、その後、視察をいたしました。今回の協議は、トランプ政権発足後初めての協議でありましたが、拡大抑止に関するガイドラインや、これまでの協議を踏まえた議論を前進をさせることができて、非常に有意義であったと考えております。内容公表につきましては、日米間で協議をいたしまして、今回の内容の公表文となったわけでございます。

不発弾の安全管理の徹底内容について

記者
 不発弾に戻らせていただきますけれども、今回の事案を受けて、不発弾作業の全てを停止するわけではないが、というふうにおっしゃっていましたが、その理由をお聞かせください。

大臣
 今回の事故におきまして、現状を今、解明をいたしておりますけれども、各方面隊において不発弾処理の外注処分を伴う今回と同様の作業を停止をしておりますが、発見された不発弾の回収、また自衛隊による処理等について、現在のところ、安全管理を徹底した上、継続をするということといたしております。いずれにしましても、今回の事故を受けて、昨日、第15旅団に事故調査委員会を立ち上げて事故原因の調査を進めているところでありますので、自衛隊としては、今後とも安全かつ確実に不発弾処理を実施をしていくという考えであります。

記者
 今のNHKさんの質問に関連してなんですけれども、その徹底した安全管理というのは、何かその新たな安全管理というのが加わってという意味なのか、これまでやっていることを徹底するという意味なのか、改めて教えていただけますでしょうか。

大臣
 隊員のですね、今回の被害状況は4名が関係しておりますが、その内1名が左手のやけど及び顔の損傷、1名が右腕等を負傷をいたしましたが、いずれも命に別状はありません。残り2名は耳鳴り等で救急搬送されましたが、異状がないということでございます。今後の在り方等につきましては、当該部隊による本作業については一時中断をいたしまして、安全管理の徹底の上ですね、必要な対応を講じてまいりますが、不発弾回収のための緊急出動というのは、国民の安全のために必要不可欠な任務でありますので、安全管理を改めて徹底した上でですね、緊急出動は継続をしてまいりたいと考えております。事故調査委員会が設置をされまして、今、原因の究明と再発防止策の案出のためにですね、人的要因・環境要因、様々な観点から調査をしておりますが、細部につきましては今後調査をもってですね、究明、解明をするということにしております。

記者
 このテーマで関連して1点、私も確認させてください。沖縄で起きた不発弾について事故調査委員会を立ち上げてということですけれども、他の場所での不発弾処理は継続するということですが、これは例えば、弾種が異なるものについては継続していくとか、そういう何か安全対策は採るんでしょうか。

大臣
 今回の事故はですね、既に回収・保管をしていた不発弾を業者に引き渡すために作業の過程で行ったものであることを踏まえまして、この種の作業については、もう既に停止をいたしております。他方、不発弾の回収については、これを停止した場合は、市中で発見された不発弾の撤去もできなくなりますので、国民生活に支障を来しかねないということも踏まえまして、現在のところ、安全管理を徹底した上、継続をするということにいたしております。従いまして、今回、不発弾処理においては、まず自衛隊で発見された不発弾を回収・保管をした上でですね、状況に応じて業者に引渡処分がなされておりますけれども、この業者への引き渡すための作業の過程で行ったものでありまして、この種の作業については既に停止をしているということです。

T-4練習機の飛行再開に向けた状況

記者
 別件で恐縮なんですけれども、航空自衛隊のT-4の飛行見合わせの件で、一部報道で先週の時点で来週にも、再開の検討という報道がなされておりまして、実際は今週の月曜日から関係自治体では説明会が始まっているようなんですけれども、まずこの説明会をやっている狙いといいますか、どういう目的でされているのか、現時点での飛行再開の見通し、どのような状況なのか教えてください。

大臣
 5月14日の事故発生以降、航空自衛隊のT-4練習機につきましては、まず飛行を見合わせるということとともに、考え得る全ての要因を検討して、それを踏まえた対策を講じるために全てのT-4について特別な点検、これを実施をしています。また、T-4に搭乗する全ての搭乗員に対しては、安全管理、緊急時の対応に対する教育・訓練もあわせて実施をしています。その上で、飛行見合わせの解除の時期については、現時点で予断をもってお答えすることは困難でありますが、こうした対策をしっかりと行って、飛行の安全を確保をした上で、適切に判断していくことになります。

記者
 説明会を始められたのは、どういう目的で説明会をやってらっしゃるんでしょうか。

大臣
 先ほどお話したとおりですね、まず搭乗者に対しての教育、そして、この整備等に関係する人に対しても、必要な点検を更に実施をするということで、安全管理をしっかり今、点検中であるということであります。説明会等におきましては、関係した市町村、近隣の方々もいらっしゃいますので、現状についてですね、報告をしてですね、適時適切な御意見を頂戴しているところであります。

(以上)

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