中谷防衛大臣が山口県の部隊視察に伴う臨時会見 「宇宙領域防衛指針」「防衛省次世代情報通信戦略」などに言及(7月28日)
- 日本の防衛
2025-7-30 11:06
令和7年7月28日(木)16時01分~16時14分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は航空自衛隊 防府北基地(レーダー地区)において、山口県の部隊視察に伴う臨時会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
山口県における部隊視察について(空自 見島分屯基地、海自 小月航空基地、空自 防府北基地、SSAレーダー)
大臣 :
本日、航空自衛隊見島分屯基地、海上自衛隊小月航空基地、そして、航空自衛隊防府北基地を視察をいたしました。いずれも、我が国周辺空海域の警戒監視、隊員の育成、宇宙領域の把握など、我が国防衛の要となる役割を担う部隊であります。
まず、航空自衛隊見島分屯基地は、日本海の要衝に位置をしておりまして、弾道ミサイル対応を含め、日本海を24時間絶え間なく警戒監視することで、我が国の防衛の重要な一翼を担っております。今年はちょうど分屯基地創設70周年とのことでありまして、人口約600人の島では、長年にわたって、隊員の地域イベントへの積極的な参加や協力を通して、地域住民の方々に自衛隊の活動への御理解と御協力をいただいているとの説明を受けました。引き続き、地域の皆様と共に在る自衛隊を目指して活動してまいります。
また、海上自衛隊小月航空基地は、小月教育航空群が所在をし、海上自衛隊の幹部搭乗員になるための登竜門でありまして、第2の故郷とも呼ばれているところであります。今回の視察では、海上自衛隊の搭乗員を目指す隊員が、熱心に訓練に励む現場を視察をいたしました。隊員たちが、このような厳しい訓練を経まして、一人前のパイロットとして巣立つこの場所で、国を守りたいという熱い想いを確認することができ、大変頼もしく感じました。
そして、防府北基地では、航空学生、これは高校を出られてすぐに入隊された方々が中心でありますが、航空学生の授業風景、そして、初等練習機T-7、これの整備の様子を視察をいたしました。この整備は、委託を受けた民間企業により行われていましたが、そこでは、再就職した退職自衛官が、航空整備士として、自衛隊で培った知識・技能・経験を活かして活動をしておりました。昨年末に取りまとめておりました基本方針に基づきまして、政府一体となって、自衛隊で培った知識・技能・経験を活かせる環境を整えられるように、再就職の支援の一層の充実・強化に取り組んでまいります。
さらに、宇宙領域把握に不可欠な衛星妨害状況把握装置とSSAレーダーを視察をいたしました。その運用状況を確認をし、これらを運用する宇宙作戦群は、今年度末までに宇宙作戦団として新編する予定でありますが、各隊員とも、新たな分野において、非常に士気が高く任務に従事をしておりました。この宇宙空間の利用、また、宇宙空間も活用して広範に整備されている情報通信インフラは、いかなる時も国民生活に欠かせない基盤であるとともに、司令部から現場部隊に至るまで、自衛隊の全ての活動における生命線であると言っても過言ではありません。このような考え方の下に、本日、7月28日、防衛省は、宇宙領域における防衛能力強化、そして、次世代情報通信技術の活用推進の方向性を示す2つの文書、すなわち「宇宙領域防衛指針」と「防衛省次世代情報通信戦略」これを、それぞれ策定いたしました。いずれの分野におきましても、急速に進展をし続ける民間の技術をいかに早く取り込んでいくか、これが鍵となります。これらの文書に基づいて、防衛省としましては、一貫性をもった取組を進めてまいります。
今回視察したそれぞれの部隊では、自衛隊の活動を支えてくださる地域の方々、一人前の自衛官を目指して日々訓練に励む隊員たち、退職後もその知識・技能・経験を自衛隊のために活かそうとしている元隊員の方々などの様々な人の支えの上に立って、我が国の安全保障は成り立っていることを認識をいたしました。今回新しく策定した戦略を含めまして、防衛省の考え方を積極的に外部に発信をすることで、民間の優れた技術、また、人材の取り込みを進めてまいります。こうした取組を通じまして、防衛力の抜本的強化、そして、防衛力と経済力の好循環の創出というものを進めていきたいと考えております。
記者との質疑応答
「宇宙領域防衛指針」「防衛省次世代情報通信戦略」の策定理由について
記者 :
本日発表されました、「宇宙領域防衛指針」と「防衛省次世代情報通信戦略」をこのタイミングで策定した理由は何でしょうか。また、指針の策定の意義や狙い、期待することは何でしょうか。
大臣 :
宇宙空間の利用というものは、今や国民生活の基盤そのものであるとともにですね、安全保障面でも指揮統制・情報収集基盤の中枢をなすものとなっております。また、情報通信インフラは、国民生活や社会経済活動基盤であるとともに、自衛隊のすべての活動の基盤となっております。現在、これらの分野において、民間を中心に急速に技術が進展をしておりますが、防衛面においても、各国はこうした技術を積極的に取り込み、宇宙の戦闘領域化や、AI等を活用した高度なデータ処理・分析、これを背景とした新しい戦い方が顕在化をしております。防衛省・自衛隊としては、こうした流れに対応して、宇宙・情報通信分野において急速に進展をし続ける民間の革新的な技術を取り込み、宇宙空間の利用、また、次世代情報通信技術の活用・促進、これを図るということは待ったなしの課題であります。
こうした強い問題意識の下で、今般、「宇宙領域防衛指針」及び「防衛省次世代情報通信戦略」これを作成したものであります。これによりまして、防衛省・自衛隊としての考え方を示すとともに、民間企業等の予見可能性を高めて、これらの分野において官民の連携、これを深めていくということを企図しております。そして、「宇宙領域防衛指針」においては、宇宙の戦闘領域化が進展する中にあって、防衛省・自衛隊が任務遂行上利用する衛星、これを防護するというのは当然のことであり、政府・民間の宇宙利用も確保していくことの必要性を明確化した上で、我が国の宇宙利用を確保するために必要な施策を明らかにするものであります。また、「防衛省次世代情報通信戦略」では、新たな戦い方の前提となります、リアルタイム、これの大容量通信等を可能といたします、次世代の情報通信技術について、近年の急速な進展も踏まえて、防衛省の活用の在り方、これを明らかにしております。
このように、2つの文書において、新たな戦い方に対応していくために必要な施策を明らかにすることで、民間技術や人材の取り込みの促進を図っていく考えであります。同時に、最先端の民間技術を活用した防衛力の強化によりまして、民間における技術の進展に寄与し、民間技術が防衛力を支え、防衛力の更なる強化・発展につながるといった、防衛力と経済力の好循環を実現をしてまいります。是非、民間企業の皆様にもこれらの文書を手に取っていただき、我々と手を携えて、革新的な技術に積極的に投資をしていただくということを期待をいたしております。
視察した山口県の部隊について所感や意義
記者 :
各基地を視察された所感や意義についてお伺いします。また、視察を踏まえて、我が国の防衛にどのようにつなげたいとお考えでしょうか。
大臣 :
各基地での所感については、先ほど述べたとおりでありますが、ここ山口県は、本日訪問をした基地のほかにも、山口駐屯地、岩国基地、下関基地など、陸・海・空自衛隊の各部隊や米軍の部隊が所在するなど、防衛省・自衛隊にとりまして重要な地域であるというふうに認識をいたしております。所在する部隊も多岐にわたっておりまして、今回の視察を通じまして、まず、防衛省・自衛隊の活動の幅が、我が国周辺の海空域から宇宙領域に至るまで、これまでになく広がっているということ、そして、それぞれの領域の活動には密接な繋がりがあることを実感をするとともに、各部隊の任務一つ一つが、我が国の抑止力・対処力全体の重要な構成要素であるということを実感をできました。そして、こうした現場で自衛隊が円滑に活動するためには、民間企業、そして、地域住民の皆様の御理解と御協力が不可欠であるということも、改めて感じました。防衛政策や自衛隊の運用に対して国民の皆様の御理解と御協力を得られますように、引き続き丁寧に説明をし、対話を繰り返しながら、防衛力の抜本的強化を進めてまいりたいと考えております。
参院選の結果を受け、総理の進退などについて
記者 :
今日、自民党本部では、両院議員懇談会が開かれています。党内や地方県連からは石破総理の退陣を求める声が高まる一方、総理だけの責任ではないという意見もあります。中谷議員は総理の進退、参院選の結果についてどう向き合うべきだとお考えでしょうか。総会開催を求める署名活動が進むなど、自民党内で対立が激化している現状についてどう思われますか。大臣としてではなく、議員という立場でお答えください。
大臣 :
本日、石破総理は、両院議員懇談会におきまして、国家、国民に対して、決して政治空白を生むことがないよう責任を果たす旨、述べられたと承知をいたしております。防衛大臣としまして、この職にある以上、石破内閣の一員としまして、引き続き、その職責を全ういたしまして、石破総理を支えていくということは、当然のことであると考えております。
記者 :
後段で伺った、自民党内で対立が激化している現状について、どうお感じになっているかお聞かせください。
大臣 :
非常に今、大切な時期でありますので、あまり党内でですね、混乱するようなことは決して良くない、特に防衛・安全保障においてもですね、ひと時の隙間もなく、そして、こういった引き続きですね、国としての責務を果たさなければいけないわけでございますので、私は石破内閣の一員として、石破内閣を引き続き、支えていきたいと考えております。
(以上)
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