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中谷防衛大臣が記者会見 昨年7月の護衛艦「すずつき」中国領海誤侵入、中古護衛艦輸出などについて回答(8月26日)

  • 日本の防衛

2025-8-28 11:00

 令和7(2025)年8月26日(火)11時01分~11時19分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 なし

記者との質疑応答

昨年7月に護衛艦「すずつき」が中国領海に誤侵入、信号弾で警告を受けたとする報道について

記者
一部報道でですね、昨年7月に海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が中国領海に侵入し、中国側から信号弾による警告を受けたと報じられています。この領海侵入の事実及び中国側による信号弾等での警告があったという事案について、防衛省として把握されている事実関係をお聞かせください。

大臣
防衛省・自衛隊は、平素から、我が国周辺海空域におきまして警戒監視活動を始めとした様々な活動を行っております。こうした活動に際しましては、自衛隊が、憲法、国際法、国内法に従って行動をするというのは当然のことであります。他方、自衛隊の活動につきましては、逐一、これを明らかにすることで、自衛隊の態勢や能力、これが明らかになっていきますので、このことによって国の安全が害され、そして現場の自衛官の活動にもですね、安全にも影響を与え得る情報が含まれているわけでありますので、これはお答えができないということを御理解いただきたいと思います。

記者
重ねてお伺いします。この件、中国側からは一部事実ということで既に発表されていまして、防衛省もですね、これまで中国側による日本への領海、領空侵入事案については、その都度、詳細な事案を公表しています。さらに、中国を名指しで強くこれまでも抗議されていますけれども、領海侵入についてなぜ中国側の行動は公表し、自衛隊側の行動については公表できないのでしょうか。その判断基準にどのような違いがあるのか明確にお答えください。

大臣
御指摘の中国側のですね、記者会見や報道は承知をいたしております。しかしながら、あくまでも我が国の安全保障を考えまして、自衛隊の活動の逐一についてはですね、これを明らかにすることで自衛隊の態勢や活動、そして能力、これが明らかになるわけであります。そのことによって、やはり国の安全に関して、これをしっかり今後警備をするということも害され、そして現場の自衛官の安全にも影響を与える情報が含まれているということでありますので、お答えできないということを御理解いただきたいと思います。

フィリピン海軍などへの中古護衛艦輸出の検討状況について

記者
中古護衛艦の輸出の関連でお尋ねします。フィリピン海軍が今月、長崎県佐世保基地で、海自の「あぶくま」型の護衛艦「じんつう」を見学したとの一部報道があります。「あぶくま」型についてフィリピン海軍は調達を検討していることを既に明らかにしていますが、今回の見学の事実関係と狙い、また省内での輸出の検討状況について教えてください。

大臣
海上自衛隊では、平素からフィリピンを含む同志国の海軍との交流、これを積極的にですね、実施をしております。先立っても、私フィリピンに参りまして、防衛相会談や現場の部隊等の視察もいたしましたけれども、これ、両国間で今協議をいろいろやっておりますが、この調整が整ったところでですね、フィリピン海軍との間で装備品の紹介、また視察を含む部隊間交流、これは実施をいたしております。こうした部隊間交流を重ねるということは、同志国の軍隊との間で相互の理解を深め、そして協力・連携を深めるという意味では非常に有益だと判断をし、そして本年5月にシンガポールで私は「オーシャン(OCEAN)」という防衛構想を紹介をし、そしてお互いに協力を広げて共有をするという上でも有意義であるということを承知をいたしております。今回の部隊間交流の日程細部、そして具体的なやり取りの内容につきましては、これは相手国との関係もありますので、お答えできないことは御理解いただきたいと思いますが、その上でですね、フィリピンとの間では、両国間の防衛協力の強化のため、あらゆるレベルでのやり取り、これを重ねておりますけれども、御質問の「あぶくま」型も含めてですね、護衛艦のフィリピンへの移転につきましては現時点で何ら決まった事実はありません。

記者
フィリピンに加えて、インドネシアやベトナムを念頭に、輸出拡大を検討しているとの一部報道もありました。現在の検討状況などの事実関係を教えてください。また、東南アジアと安全保障面での連携を強化できる一方で、5類型に該当しない護衛艦を中古の仕様変更で、共同開発・生産と位置付けることには異論がでることも予想されますが、大臣の現時点の考えを聞かせてください。

大臣
現行の防衛力整備計画におきましては、この就役から相当年数が経過をしまして、拡張性等に限界がある装備品につきましては、早期の用途廃止、また、早期の除籍等の活用により同志国への移転、これを検討するということにいたしておりますが、フィリピンを含めてですね、中古の護衛艦の移転につきましては、現時点におきまして決まったものはございません。一般論として申し上げれば、国際共同開発・生産に該当するか否かにつきましては、個別的に判断をするということにしております。「あぶくま」型も含めて、中古の護衛艦の移転については何ら決まった事実はございません。また、予断をもってですね、お答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、具体的な移転につきましては、装備移転三原則及び運用指針に従って、移転の可否を厳格に審査をしてまいっております。

自衛隊による中国空母を想定した攻撃訓練について

記者
自衛隊による中国空母を想定した攻撃訓練の関連でお尋ねします。中国海軍の空母2隻が6月に日本周辺の太平洋上などに展開した際に、尖閣諸島北方海域、直前に空母「遼寧」が通過した地点で、F-2に搭載した空対艦ミサイルで、空母を攻撃する手順などを確認したという報道が出ていますが、事実関係を教えてください。訓練は、中国海軍に対し、対抗する用意ができていることを明確に示す狙いがあったとのことですが、柔軟に選択される抑止措置の一環としての訓練の重要性や戦略について大臣の考えを聞かせてください。

大臣
御指摘の報道につきましては承知をいたしておりますけれども、自衛隊の運用に関する事柄であることからですね、お答えを差し控えさせていただきます。その上で、一般論として申し上げますと、自衛隊の実施する訓練というものは、特定の国、また地域、これを念頭に置いたものではございません。

アメリカ政府が検討中とする在日米陸軍改編について

記者
アメリカ政府が在日米陸軍を改編する形で、陸・海・空や宇宙、サイバーなど複合的な戦闘能力をもつ司令部機能の設置を検討していると一部報道がありました。事実関係と防衛省が把握していることを教えてください。また、このような部隊が日本に置かれた場合、日本政府として在日米軍とどのような連携ができると考えていらっしゃいますでしょうか。

大臣
御指摘の報道につきましては承知をいたしておりますが、報道の一つ一つについて、お答えすることは差し控えさせていただきます。仮定の質問にお答えするということは困難でありますが、一般論として申し上げますと、防衛省・自衛隊と在日米軍との間で、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けた連携を進めるということは当然のことで大変重要であると考えております。防衛省としましては、引き続き米側と緊密な意思疎通を行いまして、在日米軍の動向に関してお示しできる情報につきましては、可能な限りお伝えをしてまいる考えでございます。この件につきましては、先ほどお答えしたとおりですね、現時点においては、お答えすることはまだ困難であるということです。

昨年11月に発生した大型作業船火災、フランス軍関係者の関与と捜査状況について

記者
昨年11月25日に沖縄本島北部の羽地内海で、大型作業船が燃える火災が発生しました。捜査関係者への取材で、防衛大学校の研修に参加する公務のために来日したフランス軍関係者への捜査が進んでいたことが分かりました。捜索や任意聴取の前に出国したため、捜査が行き詰っているようですが、研修後の管理責任を含めて、大臣の見解をお願いします。

大臣
火災などのですね、事故に関する捜査機関の捜査状況に関しましては、防衛省としてはお答えする立場にはございません。捜査状況につきましては、海上保安庁が所管をしておりまして、そちらの方にお尋ねいただきたいと思います。

記者
研修後の管理責任のことについては、見解をお願いします。

大臣
その点につきましては、フランス軍人がですね、関与していたかどうかも含めましてですね、先ほどお話をしたとおり、この事故に関する捜査機関の捜査状況に関して、防衛省としてはお答えをする立場にはないということです。

沖縄・与那国町長選挙を受け、自衛隊の南西諸島での体制強化への懸念について

記者
先日、与那国町長選挙が行われまして、新人の上地さんという方が当選しました。上地さんは、与那国での自衛隊の体制強化にですね、慎重な姿勢を示していて、日米共同訓練の実施などには反対の姿勢を示しています。防衛省としてはですね、与那国での体制強化であったりとか、日米共同訓練の実施というものをこれまでも進めてこられているかと思いますが、今後、どういうふうに理解を得ていきたいというふうにお考えなのかという点と、あわせて、いわゆる南西シフトというか、自衛隊の南西諸島での体制強化への影響とか懸念、その点について何かお考えがあれば教えてください。

大臣
基本的には地方選挙の結果については、防衛省としてコメントすることは差し控えをしたいと思います。その上で、戦後非常に厳しく複雑な安全保障環境を踏まえますと、やはり防衛力の抜本的強化、そして、与那国駐屯地の部隊配備も含めた南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題であると認識をいたしております。そして、国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、必要となる自衛隊の部隊配備、そして施設整備のほか、我が国の安全保障の基軸であります日米同盟の抑止力・対処力を向上させ、我が国の防衛力を実効的なものとする、その日米共同訓練を含む訓練や演習につきましても、引き続き、しっかりと実施をする必要がありますし、また、実施していきたいと考えております。そのためにも、やはり沖縄のですね、関係自治体を始め、地元の住民の皆様方の御協力・御理解、これが不可欠でありまして、今後、丁寧な説明、そして、適時適切な情報提供、これを行うことは極めて重要であると考えております。私自身も、今年1月に与那国島を訪問しまして、部隊を視察するとともに、住民の方々と意見交換もさせていただきました。非常に地元の皆さんも自衛隊の活動については理解をし、また、協力もしている方々もたくさんおられたわけでございますが、今後とも地元の方々の声を伺う機会をもっていきたいと思います。そして、南西地域の防衛体制の強化にあたりましては、引き続き丁寧に地元の調整を進めて、理解と協力と納得、これが得られますようにですね、努力をしていきたいというふうに思います。

議員個人として、総裁選の前倒し実施への考え

記者
大臣としてではなく、議員としてお尋ねしたいのですけれども、先の自民党の両院議員総会で臨時総裁選の実施について、総裁選選挙管理委員会が所属の国会議員などの意向を確認する方針が決まっています。総裁選の前倒しをめぐっては、党内でも様々な意見がありますが、中谷議員は前倒しを実施すべきとお考えか、理由とともに教えてください。

大臣
基本的には自民党内の問題でですね、自民党の中でしっかりと協議をして判断していただきたいと思いますが、個人的にはですね、やはり政局というのは水際までというふうに言われます。この大変激しく厳しい国際情勢の中でですね、やはり外交や安全保障に影響を与えるようなことを実施するということは、私個人としてはですね、現時点において、行うべきでもないし、行う必要もないと考えております。というのは、やはり石破政権は非常に就任以来ですね、外交安全保障に全力を挙げておりまして、例えばアメリカとの関税交渉、それからTICADなどのアフリカ諸国の会議、それから一連の東南アジア首脳との会談、先立だっても韓国との会談後ですね、非常に円滑に友好的にですね、これを踏まえて、非常に大きな成果を与えているわけでありますので、現時点において、総裁選を前倒しして行うという必要は、私はないというふうに思っています。

記者
総裁選の実施状況をめぐっては党内の意見も分かれていますし、また記名方式になる見通しになっていますよね。求める人は記名でという見通しになっていますが、これに対しても党内では是非が分かれていますけれども、中谷議員としてはこの記名方式になるということについては、どのように考えられますか。

大臣
これまでこの規定を使って実施されたことはないということであります。現時点においては、逢沢選挙管理委員長を中心にですね、選挙管理委員会が議論を続けておられますので、この内容等につきましては、選挙管理委員会でしっかり議論をして決めていただきたいというふうに思います。

(以上)

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