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中谷防衛大臣が記者会見 就任1年の総括や馬毛島視察、統合演習などに言及(10月17日)

  • 日本の防衛

2025-10-21 08:55

 令和7年10月17日(金)11時~11時38分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室で閣議後の記者会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答が以下のとおり行われた。

記者との質疑応答

就任1年の総括と「9つの指示」の進捗

記者
 大臣の就任から1年が経過しましたが、振り返っての所感をお願いします。また、就任時の会見で、石破総理から9つの指示を受けたというふうにお話をされていたと思いますが、この1年でどの程度達成できたとお考えでしょうか。特に印象に残っていることなどあれば、あわせて教えてください。

大臣
 防衛大臣として、防衛省で勤務をするというのは8年ぶりでありまして、防衛庁長官として、2001年の小泉内閣の時に初めて就任をいたしましたけれども、その時から比べましても、そして前回に比べましても、我が国を取り巻く安全保障環境が非常に複雑で厳しくなってきておりまして、石破総理からの御指示も念頭にですね、国民の命や暮らしを断固として守り抜くという、常に緊張感と使命感をもってその任に当たってまいりました。
 この瞬間におきましても、陸・海・空の各部隊が警戒監視任務に当たっているということとともに、東京都八丈島では、台風22号・23号に伴う災害派遣活動を行いまして、また、遠いソマリア・アデン湾におきましても、海賊対処行動に取り組むなど、隊員一人一人が、過酷な環境下で全力を尽くして任務をしていただいております。
 部隊視察も何箇所か回りましたけれども、我々が知らないところで、そして目立たないところでですね、黙々と任務を遂行している隊員には、頭が下がる思いでございます。防衛大臣としましても、常にその先頭に立つ覚悟をもちまして、全身全霊で取り組んできたということでございます。
 まず、昨年の10月に着任して、取り組んだというのは、防衛力の抜本的強化、強い自衛隊を作ることでありました。就任後、防衛力の抜本的強化の担い手となる自衛官の確保、これが課題となる中で、石破総理から強いリーダーシップの下で、速やかに関係閣僚会議、これが立ち上げられました。関係閣僚が、これまでにない規模とスピードをもちまして、自衛官の処遇、また、生活・勤務環境の改善、そして新たな生涯設計の確立に係る各種施策を実現した、たくさんの手当、給与改定等が行われたわけでございますが、これは大変意義深いと考えております。
 第2点として、防衛力の抜本的強化を進めるに当たりまして、強く逞しい自衛隊を作ろうと、私は常にこれを呼び掛けました。そして主体性と主導性を旨として取り組んでほしいということを言いました。大きなこととしましては、今般の令和8年度概算要求においても、この強い自衛隊を作るために、無人アセット防衛能力の強化、そしてスタンド・オフ・ミサイルの量産や研究開発、並びに人的基盤、そして防衛生産・技術基盤の強化に資する施策を含めまして、過去最大の8兆8千億円に上る金額を計上をいたしました。
 さらに、防衛力の抜本的強化に資する有識者会議を開催をしていただきまして、今後の防衛力の抜本的強化に向けた貴重な御提言をいただきました。私にも報告をしていただきましたが、今後、政策の主体的・主導的な推進に当たりまして、これは大いに活用し得るものと思います。そして沖縄をはじめとする事業も推進をいたしましたし、また地元負担の軽減も着実に取り組んできております。
 加えてですね、第5に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けまして、同盟国・同志国等と連携強化にも積極的に、そして精力的に取り組みました。
 特に、1年間で延べ14か国に赴くとともに、各国の防衛大臣との間で、「2+2」なども含めまして延べ60回を超える会談・会合に出席をいたしました。また、アジア安全保障会議、シンガポールのシャングリラの会合では、私から、価値と利益を共有する各国の防衛当局が、協力・連携を深めていくための精神、「OCEAN」の精神を提示いたしました。
 これらの取組も通じまして、例えばオーストラリア海軍の次期汎用フリゲート「もがみ」型能力向上型の選定を始め、多くの歴史的な成果に繋がったものと考えております。対応に当たりました部局の関係者の方々には、本当に敬意と感謝をいたします。本当に御苦労さんであるということを言いたいです。
 そして米国との関係におきましても、ヘグセス長官との率直なやり取りを重ねまして、実践的な共同訓練の充実など、同盟における最優先課題に取り組んできました。特に本年3月の統合作戦司令部(JJOC)の発足、これは自衛隊の統合運用のみならず、日米の司令部間の連携強化にも大きく寄与するものであります。
 その上、私は「人は石垣、人は城」という言葉を使っておりますが、防衛力の最大の基盤は人であると、自衛官であるという信念の下でですね、この1年間、北は北海道、南は沖縄、さらに、海を越えたジブチに至るまで、各地の部隊を訪れ、現場の隊員を激励するとともに、各国の防衛駐在官や各国の大使はじめ防衛関係者の方々にも挨拶をして、激励をした次第でございます。常にしっかりと隊員の声を聞いていく、この特に現場の隊員をめぐる処遇、また生活環境に係る実情、要望についても、生の声を聞いていくということを大切にしましたけれども、常に緊張感をもってですね、真剣に職務に専念する隊員と接しまして、この場で確認をしてですね、本当に自衛隊はしっかり頑張っているなという感想をもちました。こういった様々な政策を推進していく上でですね、何と言っても自衛隊が行動する、任務を果たすということにつきましては、まずは国民の理解と、そして納得・共感、これを得ることが不可欠であるという認識を常にもちまして、国会における丁寧な答弁や見解、また記者会見などによって様々な場面でですね、丁寧に努めてまいった次第でございます。
 こうした一つ一つの積み重ねを通じまして、国民の皆様の信頼関係に、常に全力を注いでまいりましたけれども、こういった取組を通じまして、石破総理就任時の指示につきまして、私なりに力の及ぶ限り実行したものと考えております。今後もその任にある限り、国民の皆様の信頼を確保することを大切に、丁寧な説明に努めつつ、そしていかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、緊張感をもって対応に全力を期してまいりたいと考えております。

同盟・同志国との連携強化(OCEAN、会談実績、JJOC)

記者
 先ほども御発言がありましたが、中谷大臣就任から1年を経過しまして、この間、先ほど14か国とおっしゃっていました、各国との防衛協力が進んだと思います。3回目の大臣として就任してからを振り返って、関係強化が進んだ国と、これから日本として協力関係を重視すべき国や地域はどこにあると考えるか、大臣の考えをお聞かせください。

大臣
 先ほどもお話しましたが、延べ14か国に赴くとともに、「2+2」を含めまして延べ60回を超える会談・会合に出席をいたしました。
 特にまず第1に、米国との間では、それぞれの指揮・統制枠組の向上、また実践的な訓練・演習等の各種取組を進めて、日米同盟の抑止力・対処力を着実に高めてまいりました。
 第2に、オーストラリアにおきましては、次期汎用フリゲートへの「もがみ」型護衛艦の能力向上型の選定、並びに次期戦闘機の日英伊共同開発のための政府間の国際組織でありますGIGOを設立をしたこと。
 また、防衛大臣として10年ぶりに韓国を訪問をしまして、日本の防衛大臣としては、この3回目のですね、日韓防衛首脳会談をすることができました。そしてまた日本の防衛大臣として、初めてNATO防衛相会議に出席することができまして、こういったG7も出席をさせていただきましたが、初めて西洋のですね、国防大臣会議に出席をしたと。並びにASEANなどにおきまして開かれた会議を通じまして、日米豪比韓、この5か国の防衛相会談が実現をしたことなどのことができたということです。
 また個人的には米国のヘグセス長官、オーストラリアのマールズ大臣、英国のヒーリー大臣、イタリアのクロセット大臣、フィリピンのテオドロ大臣、また韓国のアン長官をはじめ、多くの国々の国防大臣との個人的に良好な関係も築くことができまして、率直かつ緊密なコミュニケーションを図ることができました。また駐日のグラス国防大使とも、非常に友情に基づく緊密な関係が構築できまして、非常に率直にですね、色んな協議をすることもできました。
 こうした我が国自身の取組に加えまして、同盟国・同志国がそれぞれ進める防衛協力・交流の取組を有機的に連携をさせまして、シナジーを生み出すことが効果的であると考えまして、シンガポールのシャングリラ会合で「OCEAN」の精神をですね、多くの国々に共有いただけるようにですね、提示をし、そして各国を訪問した際には、必ず「OCEAN」の考え方を説明をしましてですね、働きかけを実施してまいりました。
 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、今後とも日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、同志国・同盟国等のネットワークを有機的・重層的に構築しまして、それを拡大をし、抑止力を強化をすべくという各種取組を進めてまいりたいと考えております。

東富士演習場:MLRS/HIMARSと国道規制、トンネル化の意図

記者
 静岡県の東富士演習場での国道規制を伴う自衛隊、米軍の射撃訓練についてお伺いします。大臣、14日に地元関係者に説明した際にですね、国道のトンネル化やバイパス化について言及されたと思いますが、防衛省・自衛隊としては東富士演習場で、今後も継続的に自衛隊の多連装ロケットシステム等の射撃訓練を実施する考えなのか、国道の付け替えに言及された真意について御説明をお願いします。

大臣
 先だって開催をされました、東富士演習場使用協定運用委員会拡大会議に先立ちまして、私から地元の皆様方に直接、平素からの東富士演習場の安定的な使用及び陸上自衛隊の多連装ロケットシステム(MLRS)の射撃訓練、先だって実施をいたしましたが、それに関する感謝を申し上げますとともにですね、今後厳しい今の安全保障環境を踏まえて、米軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)の訓練実施に対しまして御理解をいただきたい旨を述べさせていただきました。
 また、陸上自衛隊のMLRS訓練や米軍のHIMARSの訓練実施に当たりましては、地元の皆様方に一時的な国道の規制という御負担をおかけすることになりますが、このため、防衛省としましては、地元の負担を軽減するための方策についても、しっかり検討をしていく必要があります。
 御指摘の国道のトンネル化等によりまして、これは交通規制の回避ができるわけでございますが、このような強い問題意識の下にですね、方策の一つの案としてお示しをしたものでありますが、地元の皆様の御意見を伺いながらですね、しっかりと検討してまいりたいというふうに思います。
 これらの訓練の実施につきましては、現下の厳しい安全保障環境を踏まえますとですね、各国の火器の射程能力が向上しておりますし、その数もですね、拡大をしてきておりますので、この東富士演習場における訓練は、抑止力・対処力の向上に必要な意義があると考えております。
 今後の訓練の計画につきましては、現時点で予断をもってお答えすることは困難でありますが、この演習場で実施する具体的な計画が生じた際には、地元の皆様方に丁寧にですね、説明をしてまいりたいと考えております。

地元負担の軽減:分散実施の経緯と影響最小化の取組

記者
 関連で、地元の負担を軽減するということなのですけれども、その地元負担についての見解についてお伺いしたいのですけれども。例えば、東富士演習場ではですね、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練を分散実施を受け入れていたりもしますし、今後そういった射撃訓練が偏重していくことについての不安もあると思いますが、そのあたりについてどのように考えていくのかについてお願いします。

大臣
 当時、私も自民党の国防部会の一員でありまして、とにかく沖縄の負担軽減ということで、この104号線越えの実弾射撃訓練の分散・実施については、この沖縄県の負担軽減を図るためにですね、平成8年12月のSACO最終報告に基づいて、平成9年度から実施をしてまいってきております。
 現在も非常に厳しい安全保障環境が続いてきておりますけれども、先ほどお話ししたようにですね、東富士演習場での、こういった射撃訓練については、何といっても日本の抑止力と対処力を保有する上において、非常に重要な意義があると、そして、訓練をしておかなければですね、実際機能できないわけでございますので、非常に重要な意義があると考えております。
 これらの一連の訓練によりまして、地元の皆様方に一時的な国道の交通規制という御負担をおかけいたしますけれども、この交通規制に当たりましては、極力時間を局限するとともに、関係機関と緊密に調整した上でですね、国道を通過をしております路線バス会社、また自動車学校等に事前にお知らせをするとともに、一般の皆様方、また地元の方々にもですね、あらかじめ告知看板を設置をしまして予告及び迂回路を明示をし、訓練による影響を最小限に留めるというように努めてまいっております。
 防衛省としましては、この訓練の実施に当たりましては、地元の関係自治体へ丁寧な説明を行うとともに、地元の皆様方の御負担を軽減するためにですね、どのような協力ができるのか、これは御意見を伺いながらですね、しっかりと進めてまいりたいと考えております。

野党提案への所感:安全保障政策の議論を継続

記者
 昨日、日本維新の会が、自民党との連立政権樹立に向けた政策協議の場で、12項目の政策実現を求めていまして、安保政策では戦略三文書改定の前倒しや防衛装備移転三原則の運用指針5類型撤廃、次世代動力を活用したVLS搭載潜水艦保有などが盛り込まれました。大臣の受け止めと、今後の協議や政策議論にどのようなことを求めたいか、お考えをお聞かせください。

大臣
 御指摘につきましては、現在各政党間でですね、協議をされておりまして、これは首班指名をめぐるですね、個々の政党の対応にも関わる事柄でありますので、今後党として適切に判断されていく事項であると思います。石破政権の一員という立場としましては、現在進めている防衛力の抜本的強化の取組、これを残された期間ですね、引き続き、着実に進めていくということに尽きております。その上で、新内閣において様々な政策課題への対応については、まず与党における検討、そして野党との協議の状況などを踏まえながらですね、新内閣で検討をされていくものであると考えております。いずれにしましても、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国の平和と独立、そして国民の命と平和な暮らしを守り抜くために何が必要なのか、しっかりと検討をし、説明をし、議論をし、国民の皆様方に何と言っても理解・納得・共感、これを得られていくことが重要ではないかと考えておりますので、非常にこのテーマでですね、しっかりとした議論を継続していただきたいというふうに思います。

馬毛島視察の狙い:FCLP/F-35B訓練の早期移転と地元負担軽減

記者
 大臣は15日、鹿児島県西之表市の馬毛島を視察されました。視察の意図と所感を伺います。また、今回、種子島の地元首長さん達と面会をされなかった理由もよろしくお願いします。

大臣
 15日に日帰りでありましたが、馬毛島を視察をいたしました。この馬毛島基地は、米空母がアジア太平洋地域で恒常的に活動する上で不可欠な艦載機の着陸訓練(FCLP)、これを実施する施設でありまして、新田原基地に配備をされたF-35Bの訓練施設でもございます。先月実施されましたFCLPでは、硫黄島における火山活動の影響によりまして、同島で実施できずに、やむを得ず岩国基地で行われました。この岩国市をはじめとする地元の方々から、大変厳しい声をいただきました。
 私も岩国市長をはじめ自治体の方々から、わざわざ上京をされましてですね、要請をいただきました。そしてF-35Bにつきましても、8月に新田原基地に配備をされましたが、その垂直着陸訓練に際しまして、地元の皆様から厳しい御指摘をいただいております。先月には、新富町長、新富町議会議長、そして地元の町議会議員の方々が防衛省にお越しになりまして、私も直接そのお言葉を聞かせていただきました。
 そして、馬毛島基地の運用が開始をされましたら、こうしたFCLPやF-35Bの訓練の多くが馬毛島基地で実施をされるようになり、これらの地元の皆様の負担が軽減をされるということになります。この認識の下に、こういった現在の地元の厳しい声を直接聞いた立場として、防衛大臣たる私が馬毛島まで施設の整備の現状、これを直接把握をする必要があると考えまして、視察を行ったものでございます。
 現地では、完成しました飛行管理棟、滑走路の舗装工事、また管制塔等の工事中の施設の状況を視察をしました。そして運用開始に向けて多くの関係者が懸命に作業に従事をしておりまして、大変暑い中ですね、工事が着実に進んでいる様子を確かめるということができました。
 この馬毛島基地の早期完成に引き続き作業いただきますように、激励をするとともに、既に先遣隊がですね、一部到着をしておりまして、各種機能のですね、準備に入ってきておりますが、FCLPやF-35Bの訓練を可能な限り早期に開始できる方策をですね、引き続き、検討するように担当者に指示をしたところでございます。
 このように馬毛島先遣隊は、隊員一人一人がですね、南西地域の防衛体制の強化に向けて、緊張感と使命感をもって任務に励んでおりましたので、こういった姿を改めて確認をすることができたということで、非常に有意義な視察でございました。
 今回、この種子島の地元の首長さん等とですね、面会がされなかったわけでございますが、これは今回の視察の目的がですね、自衛隊の部隊及び馬毛島における自衛隊施設の整備状況、これを視察をし、確認をし、現状を把握するとともに、隊員を激励して士気高揚を図るということを目的としたものでありまして、他の視察の日程等の都合もありましてですね、今回地元の首長の方々とお会いをできませんでしたが、今後ともですね、地元の皆様方にも状況を報告をしてですね、御理解をしていただく努力というのは必要であるというふうに思っております。
 これまでも防衛省としましては、西之表市、また鹿児島県の皆様とですね、様々な場面で意思疎通を図ってきたところでございますので、今後とも西之表市を始めとする地元自治体等と緊密に連携しながらですね、施設整備を進めてまいりたいと考えております。

臨時国会と首班指名:防衛の空白は許されない

記者
 秋の臨時国会の関係で、来週21日に召集されることになりましたけれども、首班指名の日程は現時点で決まっていません。影響についてどのようにお考えか教えてください。

大臣
 これは完全に政治で決定される事項でございまして、この現在ですね、首班指名選挙の日程を含めまして、召集日以外の国会運営に関することは国会において決定されるということで承知をしておりますので、現在は政党間でですね、協議をされているようでございます。
 その上で、私の立場から申し上げますと、我が国の防衛に一分の隙も空白もあってはならないと考えております。防衛大臣の任にある限りですね、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、対応に万全を期してまいりますので、こういったことにつきまして、やはりしっかりとした手続きを基にですね、決定していただきたいというふうに思っております。

次期内閣への期待:厳しい安保環境下での継続課題

記者
 来週にも実施される見通しの首班指名に伴い近く組閣がある見通しです。その場合、新内閣の防衛大臣に期待すること、先ほどこの1年で特に取り組まれてこられたことの振り返りもありましたが、この先も引き続き取り組むべきこと、取り組んでもらいたいことなどあれば教えてください。

大臣
 新政権におきましては何ら一つですね、現在決まったことはございません。いずれにしましても、現状としましては戦後最も複雑で、そして厳しい安全保障環境の中でですね、我が国の平和と独立、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという責務を果たしていくためには何が必要なのかということを検討しですね、責任を持って取り組んでいくということが重要と考えております。

令和7年度 自衛隊統合演習:高知(須崎港)での訓練目的と安全配慮

記者
 来週から全国で始まる自衛隊統合演習についてお伺いします。高知県でも、須崎港などで訓練が行われる予定なのですけれども、地元の市民団体からは演習は県民の安心安全を脅かすことにつながるなどとして中止を求める声が上がっています。県民からの不安の声にどういうふうに向き合いますか。また、この訓練場所に須崎港が選ばれた理由を教えていただきたいのと、その須崎港が特定利用空港・港湾に指定されたことも、今回、訓練場所になったことの一因としてあるのかということもあわせて教えてください。

大臣
 防衛省・自衛隊としましては、今月20日から31日にかけて、日本全国において「令和7年度自衛隊統合演習(実動演習)」、これを実施をいたします。この演習は、陸・海・空自衛隊が統合により演習を行うということで、自衛隊の統合運用能力、これを維持・向上させるものであります。
 高知県におきましては、高知駐屯地における統合電磁波作戦訓練や、須崎港において海上自衛隊の訓練支援艦への燃料・資機材の搭載訓練、これを実施してまいります。これらの訓練の目的というのは、戦後、最も複雑な安全保障環境の下にですね、あらゆる事態に切れ目のない対応ができるように、そのことによって、国民生活を守るためにですね、必要な訓練であるという認識の下に実施をいたします。
 この訓練の実施につきましては様々な御意見があろうかと思いますけれども、地元の皆様方の御理解と御協力が得られるようにですね、地元の皆様に対する丁寧な説明、また、適切な情報提供に努めていくとともに、安全面に十分配慮をし、住民の皆様への影響が最小限に留まるように努めながら、各種訓練をしっかりと実施をしていくということが大切であると考えております。
 また、須崎港の訓練につきましては、訓練内容や参加部隊等の状況を踏まえて決定をしたということでありまして、これは須崎港が特定利用港湾とされたことをもってですね、この訓練を実施するものではございません。いずれにしましても、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、このような演習を通じて、我が国の防衛に係る堅固な意志を示していくとともに、その能力を維持・向上させていくという考えでございます。

特定利用空港・港湾:高知龍馬空港を候補とする理由と現時点の計画

記者
 特定利用空港の件で追加でお伺いをします。今年の8月にですね、防衛省の担当者の方などが県庁を訪れて、高知龍馬空港も特定利用空港の新たな候補に挙がっているという説明がありました。高知龍馬空港を候補とした理由を教えていただきたいのと、この指定に対しても県民からは不安の声が上がっていまして、高知県とか地元の南国市も指定について国から丁寧な説明をするように求めています。武器とか弾薬を含む物資を輸送・保管するかなど、具体的な説明をするお考えはありますか。中谷大臣のお考えをお聞かせください。

大臣
 この特定利用空港・港湾というのは、やはり大規模な災害とかですね、有事の際にですね、利用することができるようにですね、その整備を行うために指定をされると認識をしておりますけれども、自衛隊としましては、やはり、あらゆる事態にですね、切れ目のない対応ができるように訓練をしておかなければなりません。
 このように、自衛隊が多様な空港・港湾を平素から円滑に訓練等で利用できるようにするということは、現下の厳しい安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行う上で重要であると認識をいたしております。
 特に、部隊の近傍に所在する高知空港を特定利用空港とすることは、国民保護や部隊の展開、災害時の対応等において、自衛隊の能力を最大限発揮することに繋がるものであると考えておりまして、これまでも自衛隊の訓練の実施に当たりましては、地域住民に及ぼす影響を考慮しまして、訓練内容や規模によっては、事前にインフラの管理者や関係の自治体への説明を実施してきております。
 これは、特定利用空港・港湾となる前であっても、そしてなった後でも、このことは変わりません。高知空港につきまして、現時点で弾薬・武器の輸送や保管について具体的な計画はありません。
 そして、引き続き、自治体等の調整を丁寧に行いまして、公共インフラ整備の取組をですね、進めてまいりたいと思っております。

米国防長官ヘグセス氏との関係:防衛費言及なし、実務的連携を確認

記者
 日米関係についてお伺いします。大臣は、就任後、ヘグセス米国防長官と会談を重ねてこられましたが、ヘグセス長官とは日本の防衛費の在り方を含めて、意思疎通は十分図れてきたとお考えか、感想を教えてください。

大臣
 ヘグセス長官とは、数度ですね、直接、防衛相会談を実施をいたしました。最初に挨拶した時にもですね、お互いに、ピート、ゲンという関係で呼ぼうじゃないかと、向こうの方から言っていただきましたが、これも今までの経歴でですね、私は陸上自衛隊のレンジャー教官で小隊長もやっておりますし、ヘグセス長官も米軍のですね、小隊長を経験して、お互いそういう境遇に対する共通の認識があるからこそですね、生まれた親近感がありまして、現在も非常に信頼感をもちまして、何でもですね、話をすることができる関係にあります。
 これまで数度、直接ですね、会談を行いましたが、その内容につきましては、皆様方に報告したとおりですね、日米間の関係強化に繋がるものでありまして、国防費につきましては、先方から全く言及もなくですね、日本の立場を説明をしまして、現在に至っておりますので、特にそういう話はなかったということです。

記者
大臣とへグセス長官との相性、個人的な関係といった点では、どういった感想をお持ちでしょうか。

大臣
 先ほど申し上げましたけれども、同じ部隊の小隊長ということを経験しておりますので、いかに部隊の統率、運用が困難なものであるのか、そして現在の国際情勢なども話をしましたけれども、より厳しい環境の中でですね、2人に共通するものは、やはり日米同盟というのは非常に大事な関係であってですね、これをしっかり維持、発展していこうという意識がありましたので、非常に会談自体もですね、有意義な内容でありまして、これからにおきましてもJJOCのですね、整理などにおいて、非常に日米間でより内容の伴うですね、会議をして検討をしなければならないというふうに認識しています。

(以上)

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