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小泉防衛大臣の防衛大臣着任訓示を発表(10月22日)

  • 日本の防衛

2025-10-29 09:25

 防衛省は令和7(2025)年10月27日(月)、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣の防衛大臣着任訓示について、動画付きで公開した。

防衛省・自衛隊公式動画チャンネル|小泉防衛大臣 着任訓示|令和7年10月22日(水)

出典:防衛省公式動画

小泉 進次郞 防衛大臣着任訓示

 この度、防衛大臣を拝命いたしました小泉進次郎です。

 我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する中、諸官とともに、我が国の防衛という国家存立の基本である崇高な任務を担うことになりました。大変光栄に感じるとともに、改めてその重責に身が引き締まる思いです。

 本日より私は、防衛大臣として、3つの重大な使命を担うこととなります。

 それは、国民の命と平和な暮らしを守り抜くこと、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くこと、そして、これらの任務にあたる隊員一人一人とその御家族を守り抜くことです。

 なお、今般の就任にあたり、高市内閣総理大臣から様々な御指示をいただきました。

 国家安全保障政策を一層戦略的かつ体系的なものとして実施し、民生技術の積極的な防衛目的での活用、防衛技術の社会への還元、将来の戦い方を見据え、自衛隊の人的基盤の強化に取り組むこと

 などについて、今後、総理の指示を踏まえ、一層強力に取り組んでまいります。

 総理から頂いた御指示も踏まえ、改めて、防衛大臣としての私の決意と覚悟について申し上げます。

 ロシアによるウクライナ侵略が示すように、国際社会は戦後最大の試練の時を迎えています。既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入しています。

 我々の暮らす東アジアにおいても、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性を排除できません。

 しかし、いかに厳しい時代、環境であろうとも、国民の命と平和な暮らし、そして日本の領土領海領空を断固として守り抜くことは、政府の最も重大な責務です。そして、防衛省・自衛隊25万人の先頭に立って、全身全霊その責務を果たすことが、防衛大臣として私に課せられた至上命題です。

 この使命を果たす上で、防衛力の抜本的強化が極めて重要であることは、論を俟ちません。一層急速に厳しさを増す安全保障環境の中では、これまで以上に強い危機感と切迫感をもって、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくための取組を進めていかなければなりません。

 例えば、今後は、無人機をはじめとする「新しい戦い方」や、長期戦に耐え得る継戦能力といった分野でも、防衛力を抜本的に強化していくことが不可欠です。加えて、我が国の抑止力を向上させていく上では、VLS搭載潜水艦の開発を含む将来の能力の中核となるスタンド・オフ防衛能力のより一層の強化も、また不可欠です。あらゆる選択肢を排除せず、抑止力・対処力を向上させていくための方策について検討していかなければなりません。

 そして、こうした厳しい安全保障環境を踏まえ、緊迫感を持って、高市総理が訴えてこられた戦略三文書の見直しを検討する必要があると認識しています。

 昨日の総理記者会見での戦略三文書の見直しの作業に取りかかる指示を出したいとの高市総理の発言も踏まえて、私自身、真に実効的な防衛力の構築に向け、全力で働く所存です。

 次に、日米同盟は、我が国の安全保障政策の基軸であり、インド太平洋地域の平和と安定の礎です。トランプ大統領は力による平和を掲げていますが、地域の平和と安定を守り抜くには、裏付けとなる確固とした抑止力・対処力が必要です。この認識の下、現下の安全保障環境に即して進化を続ける自衛隊と米軍が、その能力を最大限発揮できるよう、私自身が先頭に立ち、カウンターパートであるへグセス長官とともに、同盟の抑止力・対処力をより一層強化していく決意です。着任後すみやかに、直接へグセス長官と会談の機会を設け、日米の同盟関係を更に発展させていくための、強い信頼関係を築いていきたいと考えています。

 同盟の抑止力・対処力を強化するためには、日米間の相互運用性及び練度の一層の向上が必要です。例えば、先般実施した共同訓練レゾリュート・ドラゴンでは、航空自衛隊がアメリカ海兵隊の装備品を輸送するなど、日米のあらゆるレベルが緊密に連携して、これまでにない内容を含む高度な訓練を実施しました。今後もより高度かつ実践的な共同訓練を増加させるなど、不断の取り組みを積み重ね、日米同盟の更なる進化へと導いていこうじゃありませんか。

 一方で、現在も多くの米軍施設・区域が集中する沖縄をはじめ、地元の負担軽減のためにも、日米間の協力を一層加速させる決意です。

 また、力による一方的な現状変更を許さない安全保障環境を創出するには、多角的・多層的な防衛協力・防衛交流の推進も不可欠です。近年我が国は、オーストラリア、インド、フィリピン、英国やイタリアをはじめ欧州各国など、幅広い国々との関係を強化しています。私は、こうした国々のカウンターパートと速やかに、積極的に会談し、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、共同訓練や能力構築支援等、より具体的な防衛協力・交流を実施すべく先頭に立ち、世界中を飛び回る覚悟です。

 またこうした防衛協力を更に推進するため、そして、国内の防衛産業・技術基盤を一層強化するためにも、防衛装備移転を更に推進していくことが必要です。今般の自民党・日本維新の会の合意を踏まえ、今後、防衛省として、装備移転制度の在り方について、関係省庁とともに検討を行ってまいります。こうした新たな取組に当たっては、諸官の柔軟で積極的な検討を求めます。

 防衛力の根源は、人であり、自衛隊員です。そしてその御家族も、我が国の防衛を支える大切な一員です。厳しい環境の中、国内外で、日夜任務や訓練に励む隊員諸官は、我々の誇りであり、国の宝です。時代や社会が変化する中にあっても、全ての隊員が、職種や年齢、性別、勤務地を問わず、誇りと名誉をもって、任務に邁進できる環境を作り上げること。そしてまた、隊員諸官が時には遠い海の向こうで、過酷な環境の下、任務に汗を流している中、家族が安心して生活し、その帰りを安心して待てる環境を整えることも、私に課せられた重要な使命です。これまでの例にとらわれず、自衛官の恩給制度の創設といった新たな検討にも取り組みます。隊員の処遇や生活・勤務環境の改善、そして生涯設計の確立に向け全力で取り組んでまいります。

 こうした検討や取組においては、現場の声が何よりも重要です。私はこれまで地元横須賀で、市民として、一議員として、多くの隊員やその御家族と関わり、一人一人と言葉を交わし、時に酒を酌み交わし、日々の任務や生活の御苦労を聞いてきました。官舎の換気扇や網戸を自腹で購入しなければならないこと。エアコンが壊れたままで集団生活を送っている生徒の健康を心配するご家族の声。国防という崇高な使命を負う隊員やその家族の声に、これからもしっかりと耳を傾け、課題解決に全力を尽くします。今後とも改善に向けた要望は、遠慮なく私に伝えてください。冒頭申し上げたとおり、隊員とその御家族を守り抜くことは、私に課せられた重要な使命です。

 最後に、
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務める。」

 私は防衛大臣として、この言葉の重みを胸に、常に皆さんの先頭に立ち、皆さんとともに「我が国を守る・国防」という崇高な使命を果たしていく覚悟です。

 私は、国会議員になる前、生まれ育った横須賀で、自衛隊に体験入隊したことがあります。その時にお世話になった自衛隊の皆さんに加え、陸上自衛隊高等工科学校や防衛大学校の生徒・学生たちと身近に接したことが、私の自衛隊への思いの原点です。あの日寝食を共にした、彼らに続く若者達が、将来にわたり夢と希望を持って働ける自衛隊を作るため、私はいくらでも汗をかきます。

 そしてまた、今から20年以上前、私の父 小泉純一郎は、内閣総理大臣すなわち自衛隊最高指揮官として、人道復興支援活動のための自衛隊のイラク派遣を決断し、その任務遂行に当たり、全ての責任を負っていました。当時、私は大学生でしたが、遠いイラクの地で任務に当たる派遣隊員の安否を常に気遣い、心配する父の姿を鮮明に覚えています。私はこれから防衛大臣として、25万人の隊員諸官の命を預かる立場となります。あの日の父の姿も胸に、その使命と責任の重さを、今ひしひしと感じています。自衛隊は今この瞬間も、我が国周辺における警戒監視活動に、また、遠く海を越えたソマリア沖アデン湾では海賊対処行動の任務に当たっています。24時間365日、国内外の過酷な環境下で、危険を顧みず任務に当たる隊員たちのことを、片時も忘れることはありません。

 皆さん、お互いの責務を全力で全うし、防衛省・自衛隊をより良い組織に創り上げ、国民の皆さんからの高い期待に応えようじゃありませんか。以上、私の着任訓示といたします。
 今日からお世話になりますが、どうぞよろしくお願いします。

令和7年10月22日
防衛大臣 小泉 進次郎

(以上)

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