日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

小泉防衛大臣が記者会見 F-35B訓練開始、熊被害対策での秋田県への自衛隊派遣など(11月4日)

  • 日本の防衛

2025-11-7 11:25

 令和7年11月4日(火)10時58分~11時08分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は参議院別館3階防衛省政府控室で閣議後会見を実施した。
 大臣からの発表事項はなく、以下のように記者との質疑応答が行われた。

記者との質疑応答

ASEAN各国が日本の防衛装備品に関心 潜水艦など協議へ

記者
 昨日、初めての外遊から帰国されまして、ASEANとの会合の中でですね、日本の防衛装備品に対する関心が示されたというお話がありましたけれども、具体的にどのような装備品の導入を求める声があったのでしょうか。また、今後ASEAN諸国以外の国々にですね、どのように防衛装備品をトップセールスしていくお考えかお聞かせいただければと思います。

大臣
 今回、マレーシア訪問の中のADMMプラス、そして日ASEAN防衛担当大臣会合への出席に加え、計9回の防衛大臣会合を行いました。それで、今御質問あったようにですね、今回の訪問中に、いくつかの国からは、日本の潜水艦を含む日本の防衛装備品の取得について関心が示され、今後協議を進めることになりましたが、その詳細については相手国との関係があることからお答えできないことを御理解いただきたいと思います。
 防衛装備移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策的手段であり、私自身、地域の平和と安定のためにASEAN以外の国も含め、各国へのトップセールスを強化をしていく考えです。
 まずは、ASEAN以外の国々という話もありましたが、「もがみ」型護衛艦の移転についてオーストラリアへの納入期限に間に合うように、今年度中に契約を結ぶための調整を進めていくとともに、ニュージーランドを含め、我が国の装備品に関心のある国々に実際に現地で見てもらうなど、個々の関心に沿った対応を執ってまいりたいと考えています。

台湾海峡の平和と安定は「日本と国際社会にとって極めて重要」

記者
 今の質問に続きますけれども、日中防衛相会談では台湾海峡の平和と安定について強調されたと思います。その後、大臣の方から言及する機会はなかったと思いますが、台湾をめぐっては、安全保障に関して大臣も言及されると思いますけれども、安倍元総理は台湾有事は日本有事だというようなことも言っています。改めてこの海峡の平和と安定についての大臣の認識についてお聞かせください。

大臣
 台湾は、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーで大切な友人であります。資源や食料の多くを海外との貿易に依存する我が国にとって、シーレーンの安全確保は極めて重要です。そして、台湾は、南シナ海、バシー海峡、東シナ海、太平洋の接点に所在し、我が国の重要なシーレーンに面しています。
 さらに、「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの下で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現していくためにも、地域の平和と安定の確保は重要です。
 このように、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要です。防衛省・自衛隊として、地域の平和と安定を確保するとともに、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、いかなる事態にも対応できるよう、万全を期してまいります。

F-35B飛行訓練が新田原基地で開始 騒音調査を今年度から実施へ

記者
 宮崎県新富町の新田原基地に配備されたF-35Bについて伺います。今日4日から飛行訓練が開始されます。受け止めと改めて意義を伺います。また、防衛省は負担軽減策を打ち出しましたが、垂直着陸訓練の騒音など地元の不安や懸念は残ります。騒音区域の見直しに向けた調査のスケジュールなど、どのように理解を求めていくか教えてください。

大臣
 本日から、航空自衛隊新田原基地において、最新鋭のステルス戦闘機F-35Bのパイロットを養成し、その技量を維持するための訓練を開始する予定です。
 我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中において、今般の訓練開始は、F-35Bの早期戦力化に大きく貢献するものであり、日本の安全保障上、非常に重要な意義があると考えています。
 一方で、新田原基地周辺の地域の御負担を軽減する観点から、訓練内容について精査・見直しを行い、先般、新富町をはじめとする住民の皆様に対し、一つ一つ丁寧に、かつ真摯に御説明を行ったところです。防衛省としてお約束した負担軽減策を着実に実行してまいります。
 また、出来る限り早期にF-35Bの配備も踏まえた騒音対策を実施するため、第一種区域等の見直しを行うこととしており、先月27日に騒音調査のための入札公告を行ったところです。今年度から9年度にかけて騒音調査を実施する予定であり、地元自治体の御意見も伺いつつ、丁寧に対応してまいります。
 新田原基地を含め、自衛隊施設の安定的運用と円滑な部隊活動の実施に当たっては、地元の皆様の御協力が不可欠です。防衛省としては、引き続き、運用の必要性と住民生活のバランスを図りつつ、周辺地域への影響を局限できるように、最大限の努力をしていく考えです。

日中防衛相会談 ホットラインの円滑運用を確認

記者
 日中防衛相会談に戻ってお伺いします。会談で大臣は日中のホットラインの重要性について指摘されたと思いますが、これについて中国側の反応はどのようなものだったのでしょうか。また、このホットラインですね、開設以降、十分に機能していないという指摘もありますけれども、大臣はこの点についてどのような問題意識をもっているかと、また機能させるためには何が必要だとお考えでしょうか。

大臣
 先日の日中防衛相会談において、日中防衛当局間のホットラインについては、私から、不測の事態やそのエスカレーションを未然に防止する観点からも重要な役割を担っており、適切かつ確実に運用していくことが重要であると考えているところ、この考え方を明確に伝達をしました。
 薫国防部長からは、中国の立場に関する発言がありました。ホットラインの個別具体的な使用状況については、相手国との関係もあり、円滑な意思疎通をしっかりと確保する観点から、お答えを差し控えさせていただきますが、2023年5月に運用を開始して以降、円滑に意思疎通を行える状態を確保しています。
 防衛省としては、引き続き、ホットラインを含む海空連絡メカニズムの適切かつ確実な運用を中国側との間でしっかりと確保していく所存です。
 そして、ホットラインに限らず、ADMMプラスのように、今後も対面での対話の機会を得ることについて日中の認識は一致しており、そうした機会をもって、難しい課題があっても目を背けずに取り組んでまいる所存です。

韓国空軍機の那覇飛来は中止 給油支援は自衛隊法で対応可能

記者
 自衛隊が韓国の空軍機に給油支援を予定していたという一部報道について改めてお伺いします。まず、事実関係として韓国側から自衛隊に対して給油支援についての要請はあったのかどうか教えてください。その上で、こちら一般論として構わないのですが、自衛隊が韓国軍機に給油支援をすることが可能な制度的根拠というのは現在あるのでしょうか。

大臣
 御指摘の件については、日韓の防衛当局間の調整が整わなかったため、韓国空軍機の那覇基地への飛来は中止となりました。これ以上の詳細については、相手国との関係もあり、お答えは差し控えます。また、一般論でという話があった給油の根拠についてでありますが、例えば、自衛隊法第116条第1項に基づく需品の貸付、これで行うことが可能であります。

秋田県で熊対策支援へ 自衛隊が輸送支援を実施

記者
 熊への対応について伺います。大臣、先週の会見でですね、自衛隊、部隊の派遣の方針を示されておりますが、その後の調整状況についてお聞かせください。

大臣
 秋田県からは、熊の捕獲に伴う活動支援として箱罠の運搬に伴う輸送支援などの要望を受けており、依頼の内容に鑑みて、自衛隊法第100条に基づく輸送事業として、これを実施すべく所要の調整を進めてまいりました。防衛省・自衛隊として、派遣の準備は概ね整いました。
 これを受け、明日、県との間で活動内容等について合意するとともに、明日以降、支援先の市町村の準備が整い次第、秋田県から示された地域で順次活動を開始する予定です。
 防衛省・自衛隊の本来任務は国防であり、無制限に熊対策を実施することはできませんが、国民の命と暮らしを守り抜くことを任務とする観点から、今般の事態の特異性も鑑み、今般、秋田県における輸送支援を実施することといたしました。引き続き、県や市町村と緊密に調整しながら、必要な取組を行ってまいります。

自衛隊海上輸送群が南西防衛を強化 奄美基地にも新部隊を新編予定

記者
 自衛隊の海上輸送群についてお伺いします。海上輸送群が発足して、3月に発足してから7か月ほど経ちました。主に陸上自衛隊の隊員が担い手となっていますけれども、あえて海上自衛隊主体ではなくて、主に陸海を跨いだ部隊が輸送船を運用する意義について改めて大臣どうお考えかお聞かせください。また、現在は呉に拠点を置いていますけれども、今後、例えば離島ですね、南西諸島そういったところに拠点を設ける考えはあるのでしょうか。

大臣
 本年3月に新編した自衛隊海上輸送群は、主に陸上自衛隊の輸送を担っていますが、海上・航空自衛隊の輸送も行う部隊であり、統合運用による円滑な任務遂行を図るため、陸海空共同の部隊としています。
 また、自衛隊海上輸送群は、南西地域の島嶼部への機動展開能力を向上させるため、これまでに中型輸送艦及び小型輸送艦を海上自衛隊呉地区へ配備をしてきています。
 今後、令和7年度末には小型輸送艦2隻が追加で配備されることに伴い、同艦を運用する海上輸送隊1個部隊を、係留能力等を考慮して海上自衛隊阪神基地内に移転をさせる予定です。
 さらに、小型輸送艦では接岸が難しい小さい島嶼への輸送を可能にするため、令和8年度に輸送艇1隻の部隊配備を行う予定であり、その運用を行う海上輸送隊1個部隊は、九州と沖縄本島の中間地点に位置し、かつ陸自の駐屯地や海自の基地など一定の活動の基盤があることなどを踏まえ、海上自衛隊奄美基地内に新編する予定であります。
 このように、各種輸送船舶を導入することにより、大小多くの島々が点在する南西諸島において、迅速かつ継続的な輸送が可能となり、南西防衛体制の強化に資するものと考えています。

(以上)

◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。

Ranking読まれている記事
  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
bnrname
bnrname

pagetop