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《特集》「世界陸上2025」で東京上空を飛ぶブルーインパルス どこで見る? どこで撮る?

  • 特集

2025-9-11 06:00

「東京2025世界陸上」の開幕にあわせて、9月12日と13日にブルーインパルスが東京の空を飛行します。ちゃんと見られるのはどこか? 記念になるような写真が撮れるのはどこか? 航空フォトライター、大金歩美が案内します。大金歩美 OGANE Ayumi

 2025年9月13日(土)、「東京2025世界陸上競技選手権大会」の開幕を祝して、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が東京都心で展示飛行を実施する。

 飛行時間は12時25分からで、前日の12日(金)には予行飛行も予定されている。今回の飛行では、国立競技場上空でおよそ10分間の展示飛行を行ったあと、代々木公園、東京スカイツリー、東京駅、東京タワー、渋谷駅、東京都庁といった都内のランドマークを巡る経路が計画されている。編隊の美しさと都市景観が調和する瞬間は、大会の幕開けを飾る象徴的な演出となるだろう。

コロナ禍に見舞われた2020年5月、医療従事者への感謝を込めて東京上空で航過飛行を披露したブルーインパルス。写真提供:航空自衛隊

東京の空に刻まれたブルーインパルスの記憶

 ブルーインパルスは毎年、全国約20か所程度で展示飛行を行っているが、東京都心を飛ぶ機会は限られている。1964年の東京オリンピックの開会式で五輪を描いたほかは、これまでに2014年、2020年、2021年(2回)の計4回しかない。

 2014年は5月末の旧国立競技場の閉場イベントで展示飛行を実施し、歴史ある競技場の幕引きを空から見送った。2020年5月には、新型コロナウイルス対応に尽力する医療従事者への感謝を込めたフライトで、都心各所の上空を巡って編隊飛行した。翌2021年には東京オリンピック(7月)とパラリンピック(8月)の開会式を飾る展示飛行を行い、五輪シンボルや三色のスモークで都心の空を彩った。

 そして2025年、世界陸上の開幕にあわせ、再び国立競技場を中心に都心の空へ舞い上がることになる。

2014年5月31日、旧国立競技場の閉場イベント「SAYONARA国立競技場 “FOR THE FUTURE”」の一環として、50年ぶりに首都上空を飛行したブルーインパルス。写真提供:航空自衛隊

過去のフライトと今回のルート

 過去の展示飛行を振り返ると、それぞれに目的やルートの特色があった。

 2020年は「医療従事者への感謝」を込め、都内の病院施設を結ぶルートを編隊で2周し、デルタ隊形とフェニックス隊形によるローパス(航過飛行)でエールを送った。2021年のオリンピックでは東京都庁を基準点とし、国立競技場上空で五輪シンボルを描くという象徴的な演出を行った。翌月のパラリンピックでは、代々木公園を起点に、赤・青・緑の三色スモークによる「スリーアギトス」を想起させる課目を取り入れ、都心を大きく周回した。

2021年8月24日、パラリンピックの開会に合わせて飛行したブルーインパルス。3色のスモークで航跡を描いた。写真:大金歩美

 2025年の世界陸上では、大会開幕の9月12日に、午前中の競技プログラムを終えた新国立競技場にエールを送る形で飛行が開始される。12時25分から10分間にわたる飛行を実施した後、東京スカイツリーや東京駅、東京タワー、渋谷駅、東京都庁といった都内のランドマークを次々に結ぶコースが予定されている。その大きな特徴は、新宿や渋谷といった高層ビル群の直上を編隊が航過する点である。

防衛省 航空幕僚監部が発表した、9月12日(予行)と13日(本番)の飛行経路(基準)。出典:航空幕僚監部 公表資料

 展示飛行の課目(演技内容)は公表されていないものの、過去の事例を踏まえれば、隊形を変化させながら航過飛行を繰り返すことが予想され、短時間の中で多彩な表情を見せてくれるだろう。都市景観と編隊美が重なり合う瞬間は今回ならではの見どころといえる。

建て替え前の国立競技場上空を飛んだ、2014年5月のサヨナラ国立競技場フライト。飛行時間はこのときも10分間で、皇居の西側に飛行空域を確保して競技場上空を北東・南西方向に2往復し、4回にわたり4つの隊形で編隊パスした。写真はリーダーズ・ベネフィット隊形での航過(ローパス)。写真:小久保陽一

撮影と観覧のヒント

 東京でブルーインパルスを見上げる際に意識したいのは「空が開けているか」という点だ。高層ビルの谷間では視界が遮られやすいが、大きな公園の広場や幅広い河川の橋からなら空を広く見渡せる。今回のルートでは代々木公園や新宿御苑、芝公園、東京スカイツリー近くの隅田川沿い、皇居周辺のエリアなども十分に楽しめるスポットになるだろう。

 背の高い建物の屋上に出るのも良い方法だ。都心の景色を一望できる展望エリアのある施設などでは、ブルーインパルスが各ポイントを旋回していく様子を見届けることができるためおすすめだ。

隅田川の吾妻橋から撮影した、2020年5月の医療従事者感謝フライト。隅田川に沿って飛んできたブルーインパルスを正面から迎え、見送ることができた。写真:Jウイング編集部

 その一方で、ブルーインパルスの飛行は、見る場所によって、まったく異なる表情を見せる。是非、撮りたい写真のイメージに合わせて、気になる場所に足を運んでみてほしい。

 そこで、過去の展示や今回のルートを踏まえ、撮影によさそうな狙いどころを整理した。撮影写真と共に、その具体例を紹介していこう。

国立競技場周辺

 展示の基準点となり、約10分間の展示飛行が予定されているため、最も長い時間ブルーインパルスをみることができる。世界陸上の臨場感とスモークの迫力を体感できるだろう。会場は非常に混み合うことが予想されるが、緑豊かなエリアも多く、近隣のひらけたスペースからの撮影も良さそうだ。

2021年8月のパラリンピックフライト。このとき国立競技場周辺の道路は大変混んでおり、警官が出動して警戒と交通整理にあたっていた。写真:藤原美奈子

東京都庁・新宿エリア

高層ビル群の上を駆け抜けていく姿をみることができるだろう。通過ポイントになっている都庁前の広場などは、スペースも広く撮影しやすいだろう。広角レンズなどを用いて、高層ビルとのコラボレーションは都心ならではの画を楽しめそうだ。

都庁の見える新宿中央公園の辺りから見上げた、2020年5月の医療従事者感謝フライト。写真:Jウイング編集部
新宿駅西口から撮影した、2021年7月のオリンピックフライト。写真:大金歩美

新宿御苑、代々木公園

 東京オリンピックの際に賑わっていた撮影ポイントの一つ。新国立競技場からも近く、視界も開けているため撮影しやすいだろう。美しい自然に囲まれながらも、目の前には新宿エリアの高層ビルも入り込み、様々なパターンの写真が撮影できそうなポイントだ。
 渋谷・代々木公園も新宿同様に高層ビルが立ち並ぶほか、街の賑わいが感じられる一枚が撮れそうだ。

新宿御苑で撮影した、2021年8月のパラリンピックフライト。撮影:大島孝夫

東京タワー・スカイツリー周辺

ランドマークとブルーインパルスの編隊飛行を重ねれば、まさに“東京らしさ”を象徴する一枚に。あえて望遠レンズでその一瞬を切り取ってみるのもおすすめな場所だ。

東京タワーの足元から見上げて撮影した、2021年7月のオリンピックフライト。写真:Jウイング編集部
隅田川の西岸から東京スカイツリーを入れて撮影した、2021年7月のオリンピックフライト。写真:Jウイング編集部

丸の内・東京駅周辺

赤レンガ造りの駅舎が特徴的な東京駅は、まさに東京を象徴する建物の一つ。2020年の展示飛行の際に筆者も訪れたが、駅前の広場には多くの人が訪れていた。建物と絡めて広角で撮影すると、周辺の高層ビルも入り込み、オフィス街である丸の内らしい写真が撮れるだろう。

東京駅の東側から撮影した、2020年5月の医療従事者感謝フライト。写真:大金歩美
魚眼レンズで撮影した、2020年5月医療従事者感謝フライトの東京駅 × ブルーインパルス。写真:大金歩美

 当然、見やすい場所、写真映えする場所には多くの人が集まる。通行人や周囲の方への配慮、撮影マナーには十分に注意してほしい。

 節目ごとに東京の空へと舞い上がってきたブルーインパルスのフライトは、今回もまた多くの人々の記憶に新たなページを刻むことになる。新国立競技場を出発し、都心のランドマークを結ぶ祝祭の飛行は、国内外の観客にとって、東京の空を共有する特別な体験となるだろう。

大金歩美OGANE Ayumi

幼少期を静浜基地の近くで過ごし、飛行機が身近な環境で育つ。大学卒業後、広告代理店や企業で広報の仕事をする傍らライターとして活動。航空雑誌の仕事をきっかけに撮影も始め、現在は『Jウイング』など各誌でブルーインパルス関連企画の執筆などを担当する。

月刊Jウイング編集部JWings magazine

1998年7月創刊、毎月21日頃発売のミリタリー航空専門月刊誌『Jウイング』の編集部。2025年10月号の巻頭レポートは「F-35B新田原基地到着速報」、特集は「世界のF-15 オーバービュー」、特別付録は「世界のF-15ステッカー」。

https://books.ikaros.jp/search/g105694.html

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