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中谷防衛大臣が記者会見 閣議決定した「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」、先の日米首脳会談その他について回答(2月12日)

  • 日本の防衛

2025-2-14 09:30

 令和7(2025)年2月12日(水)09時31分~09時52分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室で閣議後会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」が閣議決定

 本日の閣議決定でありますが、「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」、これが本日の閣議で決定をされました。この法律案は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえまして、自衛隊の任務の円滑な遂行のため、所要の措置を講じるものでございます。具体的に申し上げますと、第1に、昨年末に関係閣僚会議で取りまとめられました基本方針に基づきます人的基盤の抜本的強化のための各種措置、第2に、自衛隊等の部隊の新編、改編など、自衛隊の任務をより効果的に遂行し得る体制の整備、第3に、ACSAに関連する規定の整備など、同志国等との協力を強化する内容でございます。法律の内容や必要性につきましては、丁寧な説明を心がけて、国会で早期の成立を期してまいります。基本方針に基づく人的基盤の抜本的強化につきましては、もう既に決定をしまして、皆様方に説明をした内容でございます。

記者との質疑応答

先日の日米首脳会談について

記者 :先日の日米首脳会談についてです。安全保障関連では、日米同盟のほか、クアッドなど多国間連携の強化が確認されました。一方で、防衛費の増額幅は示されませんでしたが、首脳会談の大臣としての受け止めをお願いします。また、「2+2」の早期開催も共同声明に盛り込まれ、防衛大臣として議論したい点や、いつ頃の開催を検討しているのか、現時点での調整状況を教えてください。

大臣 :先日の日米首脳会談におきましては、両首脳は、日米同盟の抑止力・対処力を高め、日米が直面する地域の戦略課題に緊密に連携の上、対応していくということで一致をいたしております。また、今回の会談におきましては、石破総理から、日本の防衛力の抜本的強化への揺るぎないコミットメントを表明をし、トランプ大統領はこれを歓迎したと聞いております。その上で、日米首脳会談におきまして、米側から、防衛費増額に係る要望が具体的にあったわけではないと承知をいたしております。いずれにしましても、国家安全保障戦略では、2027年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせ、そのための予算水準がGDPの2%に達するように、所要の措置を講ずることとしておりまして、今後の予算水準については、我が国自身の判断で決定をしていくということは言うまでもありません。今回の首脳会談は、非常に実りのあるものであったと認識をいたしております。私としましては、会談の成果を踏まえまして、国家安全保障戦略等に基づいて、防衛力の抜本的強化を着実に進め、あらゆるレベルにおいて日米同盟を更なる高みに引き上げつつ、我が国の抑止力・対処力を強化するための取組も不断に検討をし、進めていく考えであります。お尋ねの日米「2+2」の開催につきましては、現時点で具体的な開催時期などが決まっているわけではありませんが、今般の共同声明の指示を踏まえまして、今後早期開催に向けて、日米間で調整を進めていきたいと考えております。

記者 :関連で日米首脳会談について伺います。共同声明で「サイバー空間の分野における二国間の安全保障協力を拡大する意図を有する」と明記されました。既に防衛省とアメリカ国防総省の間で決まっていることがないか伺います。また、この内容を踏まえて今後、どのように防衛省・自衛隊が米側とサイバー分野で協力を深めていくお考えか伺います。

大臣 :サイバー・セキュリティでのお尋ねでありますが、これは日米同盟の基盤の一つであります。これまでも、継続的に、日米の防衛当局間で、サイバー協力の深化について確認をしておりまして、今回も、協力を拡大するということで合意をいたしております。日米間のサイバー協力としましては、日米サイバー対話や日米ITフォーラム、日米サイバー防衛政策ワーキンググループといった枠組みがありまして、協力を深化してまいりました。今後の具体的な協力として、防衛省としては、こうした枠組みも活用しつつ、例えば、米国防省との意見交換による自衛隊のサイバー人材の育成、また体制拡充、そして、二国間・多国間訓練によるサイバー専門部隊の能力向上などに取り組むことで、引き続き、日米防衛当局間の連携強化を進めてまいりたいと考えております。そして、今後ですね、日米首脳間でサイバー空間における安全保障協力を進めていくということで一致をしたということを踏まえまして、日米のサイバー協力を様々なレベルで強化をしまして、日米間の相互運用性、これを高め、日米同盟の基盤としてのサイバー・セキュリティの強化を推進してまいります。

記者 :日米首脳会談に関連して伺います。共同声明では、現行の防衛力整備計画に定めた2027年度より後の防衛力抜本的強化に言及しました。この点を日米間で確認するのは初めてと承知していますが、まず、この抜本的強化の内容について具体的にどのようなことを想定してこの文章を盛り込んだのか、防衛費の更なる増額も含んでいるのかお答えください。あわせて、現在国会で現行計画の内容を議論している最中ですけれども、国会での議論より先に日米政府間でこうした点を確認することというのが、順番が逆ではないかという指摘がなされると考えるのですが、それについて大臣のお考えをお願いいたします。

大臣 :今般の日米首脳会談の共同声明、これよく読んでみますとですね、2027年度までに日本の防衛を主たる責任を確固たるものとする能力を構築をするということ、そして、この重要な基盤の上に2027年度より後も抜本的に防衛力を強化をしていくということ、これに対する日本のコミットメントを米国が歓迎をする旨が示されております。そこで現行の国家防衛戦略におきましては、防衛力の抜本的強化は、将来にわたり、維持・強化をしていく必要があると示されております。御指摘の今般の日米共同声明における2027年度より後も抜本的に防衛力を強化していくということは、こうした国家安全保障戦略等に基づく取組を示しているものでございます。また我が国としては、防衛費の更なる増額、これを約束をしたものではございません。その上で、現行の国家安全保障戦略等の戦略3文書は、2022年12月に策定をされておりまして、政府としてはその後の国会等においてこれを丁寧に内容を説明をしてきております。従いまして、国会より先に、日米政府間で27年度より後の防衛力強化を確認するということは、順番が逆ではないかという御指摘は当たってないものではないかなというふうに思います。

オーストラリアへの防衛装備移転(「もがみ」型護衛艦)について

記者 :別件で、オーストラリアへの防衛装備移転についてお伺いします。「もがみ」型の護衛艦を近くオーストラリアに派遣するとの一部報道がありますが、事実関係をお願いします。

大臣 :既に現在オーストラリアに対してですね、話し合いをいたしております。防衛省・自衛隊は、令和7年の2月17日から4月3日にかけて、護衛艦「のしろ」を派遣をし、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためにですね、令和7年オーストラリア方面派遣訓練、これを実施をいたします。この派遣におきましては、オーストラリア進出及び日本への帰投において、オーストラリアやフィリピンに寄港しまして、豪海軍等と共同訓練を実施する予定であります。こうした訓練を通じて、我が国と基本的価値や戦略的利益を共有をし、米国に次ぎ緊密な防衛協力関係を構築をするオーストラリア等との間で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて協働している姿を示してまいります。この訓練は、海上自衛隊の戦術技量の向上、そしてオーストラリア海軍等との連携の強化、並びに各国との相互理解の増進などを目的として実施するものでございます。

記者 :関連なのですけれども、改めて日本政府としてオーストラリアへ護衛艦輸出を目指す意義についてもあわせてお伺いします。

大臣 :これは既に国家安全保障戦略におきましてですね、この装備移転につきましては、今後積極的に行っていくということを書いているわけでございますが、特にオーストラリアにつきましては、まず我が国の安全保障の観点からこの次期汎用フリゲート艦の共同開発・生産について積極的な意義を有しております。というのは、我が国とオーストラリアは基本的な価値、また戦略的な利益を共有をしておりまして、インド太平洋地域の特別な戦略的パートナーシップを結んでおります。また、本件の海外移転は、今後、我が国が選定をされた場合に、豪州の次期汎用フリゲート艦を豪州と共同開発・生産をするとともに、豪州自らが行う運用・維持についても必要な支援を行うものでございます。つまり、第1に、我が国の国家防衛戦略において、日米防衛協力に次ぐ、緊密な関係を構築するということにしておりますオーストラリアとの防衛協力の一層の強化に資するとともに、日豪の相互運用性及び相互互換性、これを大幅に向上させるものでございます。第2に、オーストラリア国内で次期汎用フリゲート艦を共同開発・生産することは、地域の艦艇建造・維持整備基盤、これの向上に資するとともに、我が国の艦艇の能力向上にも資するものであります。第3に、今般の移転を認め得るとしました令和6年度型の護衛艦(06FFM)は、米海軍との相互運用性が高くて、日米豪協力の強化に資するものでございます。また両国が防衛装備協力を含む様々な分野で多層的に協力を推進をしていくということは、インド太平洋地域や国際社会の平和や安定に資するものに繋がるわけでございます。

オーストラリア訪問中の若宮健嗣(わかみや・けんじ)防衛大臣補佐官への期待

記者 :関連で最後に、若宮補佐官が今オーストラリア視察中だと思いますけれども、この補佐官のオーストラリア訪問に期待することをお願いします。

大臣 :若宮補佐官は、2月11日から16日にかけてオーストラリアを訪問をしまして、オーストラリアの政府関係者などと懇談をする予定でございます。若宮補佐官は以前、私が防衛大臣の時に副大臣を務めておりまして、各国との防衛装備などについて、いろんな会談をしたり、また訪問をしたりして、非常にこういった面において詳しい方でございます。オーストラリアに向けた次期フリゲートの最終候補に我が国の艦艇が残っているということも踏まえまして、日豪間で防衛装備・技術協力に関する協議を推進をしていただくことを期待をいたしております。

記者 :今のに関連してなんですけれども、実際に「もがみ」型、豪州にて共同訓練をするということによって豪州側にどういったところをですね、見てもらいたいのか。また、その選定に資するというふうにお考えでしょうか。

大臣 :これにつきましては、選定を決めるのはオーストラリアのことでございますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、今回の派遣訓練というのは、主な目的としましては、海上自衛隊の戦術技量の向上、そしてオーストラリア海軍との連携強化、並びに各国との相互理解の増進などを目的として実施をするものでございまして、この護衛艦の「のしろ」はですね、豪州やフィリピンへの寄港等を予定をしておりますが、この訓練を実施することによりまして、その相互の信頼関係の向上とか、日本オーストラリアの防衛協力に資するものであるというふうに考えております。

記者 :お伺いしましたのは、選定に資するかどうかということなんですけれども。

大臣 :先ほども申し上げましたとおり、この選考につきましては、全てオーストラリア側の意思決定によるものでございますので、オーストラリアが決めることでございます。

中国が尖閣諸島周辺海域に設置したとみられるブイについて

記者 :尖閣諸島周辺の海域で中国が設置したとみられるブイについてお伺いします。中国側が昨日、このブイを移動させたと発表しましたけれども、日本政府として把握している事実関係と大臣の受け止めをお願いします。

大臣 :確かに、今回、東シナ海の地理的中間線の東側の我が国のEEZにおいて、本年の7月に設置が確認をされておりました中国の海洋調査ブイとされるものについては、撤去された旨を承知をいたしております。現時点においては、中国の狙いも含めまして、関連する動向を注視しているわけでありますが、そもそもここは我が国のEEZ内でありまして、国際法によりますと、他国のEEZでですね、無断で海洋調査を行うということは、これは国連海洋法条約等もございますけれども、国際法に違反するものでありまして再三再四、日本政府は中国にですね、撤去の要請を行ってきたものでございます。その上で、我が国固有の領土である尖閣諸島周辺海域におきましては、中国海軍艦艇が恒常的に活動しているほか、中国の海洋局に所属する船舶が我が国の領海に侵入を繰り返すなど、中国は力による一方的な現状変更の試み、これを執拗に継続をしておりまして、断じてこれは容認ができません。このブイの撤去もですね、これは明らかに我が国のEEZ内のことでございますので、国際法に違反するものとしてですね、これを今まで抗議をずっとしてまいりました。今後、引き続き関係省庁と緊密に連携しながら警戒監視に万全を期すとともに、我が国の領土・領海・領空、これを断固として守り抜くという考えの下に、毅然として、かつ冷静に対処してまいりたいと考えております。

(以上)

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