防衛装備庁、プロジェクト管理対象装備品等49品目について令和6年度の分析・評価結果等を公表(4月17日)
- 日本の防衛
2025-4-21 10:00
防衛装備庁は、令和7(2025)年4月17日(木)16時00分、プロジェクト管理対象装備品の現状について以下のように公表した。
プロジェクト管理対象装備品の現状について
  防衛装備庁では、平成27年度以降、プロジェクト管理を実施する対象装備品を選定しており、現在、対象装備品は58品目(42品目の重点対象装備品及び16品目の準重点対象装備品)となっております。 
  今般、令和6年度に行った分析及び評価結果等(49品目について、現状をとりまとめましたので、お知らせいたします。 
  なお、公表資料の詳細は、下記URLをご覧ください。 
プロジェクト管理対象装備品等の現状について(取得プログラムの分析及び評価の結果の概要等)
1 防衛装備庁におけるプロジェクト管理
  防衛装備庁では、効果的かつ効率的な運用及び維持を可能とする最適な装備品等の取得を実現するため、平成27年度以降、プロジェクト管理重点対象装備品等※1 (重点対象装備品)や準重点管理対象装備品等※2(準重点対象装備品)を選定し、プロジェクト管理の実施に当たっての基本となる計画(取得戦略計画※3又は取得計画※4)の策定や、これらの計画との比較により取得プログラムの進捗状況等を確認する分析及び評価を実施するなど、対象装備品の計画的なプロジェクト管理に取り組んでいる。 
  下表にプロジェクト管理対象装備品等の合計を年度ごとに示す。※5 

 ※1 プロジェクト・マネージャー及び統合プロジェクト・チームを置いて重点的にプロジェクト管理を実施する装備品等 
 ※2 プロジェクト・マネージャー及び統合プロジェクト・チームを置かずに重点対象装備品に準じた方法で管理を行う装備品等 
 ※3 重点対象装備品について、計画的なプロジェクト管理の実施のために対象となる装備品等の取得に係る一連の業務をプログ 
 ラム(取得プログラム)としてまとめ、当該取得の目的及び範囲を定義した上で、取得プログラムとして達成すべき目標やその 
 管理などに関する基本的事項を定めた計画 
 ※4 準重点対象装備品を対象とした計画であって、取得戦略計画に準じてライフサイクルコストやリスク等の主要な管理項目のみ 
 を定めた計画 
 ※5 選定したプロジェクト管理対象装備品等の現状一覧は別図参照 
2 取得プログラムの分析及び評価の結果の概要等
(1) 令和7年3月現在、プロジェクト管理対象装備品等に選定されている58品目のうち、令和6年度に行った分析及び評価結果等(49品目)について、現状をとりまとめた。
(別表及び別冊参照)
 1. 12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型・艦発型・空発型) 
 2. CH-47J/JA 
 3. 03式中距離地対空誘導弾(改善型) 
 4. 島嶼防衛用高速滑空弾 
 5. 極超音速誘導弾 
 6. 島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型) 
 7. 03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上型 
 8. 目標観測弾 
 9. 新地対艦・地対地精密誘導弾 
 10. 水陸両用車 
 11. 16式機動戦闘車 
 12. 装輪装甲車 
 13. 陸自UH-2 
 14. オスプレイ(ティルト・ローター機) 
 15. 19式装輪自走155mmりゅう弾砲 
 16. 10式戦車 
 17. SM-3ブロックⅡA 
 18. トマホーク 
 19. 潜水艦発射型誘導弾 
 20. 「もがみ」型護衛艦 
 21. 29年度型潜水艦 
 22. イージス・システム搭載艦 
 23. 管制型試験UUV 
 24. 新型FFM 
 25. SH-60L 
 26. P-1 
 27. 23式艦対空誘導弾 
 28. 23式空対艦誘導弾 
 29. 掃海艦 
 30. 哨戒艦 
 31. 新型補給艦 
 32. グローバルホーク(滞空型無人機) 
 33. SDA衛星システム 
 34. C-2 
 35. F-35A 
 36. KC-46A 
 37. E-2D 
 38. F-35B 
 39. スタンド・オフ電子戦機 
 40. F-15能力向上 
 41. 次期戦闘機 
 42. 次期警戒管制レーダ装置 
 43. ASM-3(改) 
 44. 宇宙状況監視システム 
 45. RC-2 
 46. HGV対処用誘導弾システム 
 47. 将来レールガン 
 48. 島嶼防衛用新対艦誘導弾 
 49. 長期運用型無人水中航走体(UUV) 
注)件名に下線があるものは重点対象装備品
(2) 取得プログラムの目標の達成状況及びスケジュールの進捗状況については、いずれも課題解決に取り組みつつ目標の達成に向けて進捗しており、計画の細部において課題が生じているものについても、それぞれ必要に応じた対策が進められている。
(3) そのほか、コスト状況について検討を行った結果、計画の見直し、または計画の見直しの検討を行うこととした対象装備品は、次のとおり。
  ア   SH-60Lについては、今般行った分析及び評価において、取得機数の減少及び近年の物価上昇や為替変動等に伴い航空機の取得経費が増加したことから、平均量産単価は現行基準見積りに対し120.3%、当初基準見積りに対し140.1%となり、計画の見直し調整基準を超過した。 
  一方、四方を海に囲まれた我が国にとって、洋上、沿岸海域及び主要な海峡における脅威への対処は重要な任務であり、その任務に従事する護衛艦と一体となって対潜水艦戦、対水上戦、警戒監視、情報収集等に当たるSH-60Lの取得は、我が国の安全保障上、必要不可欠である。 
  それらを踏まえた上で、SH-60Lは共同履行管理型インセンティブ契約を通じて製造のコスト、スケジュール、リスクを適切に管理するとともに、今後更なるライフサイクルコスト削減に資する対策の実施と検討を行うことによって、LCCを抑制した計画を進めていくこととした。 
  イ   掃海艦(あわじ型)については、令和5年度の分析及び評価において、材料費の高騰により、平均量産単価等が計画の見直し調整基準(115%以上)を超過したため、民生品の最大限活用や、主要装備品を中心とした器材の統一等、建造コスト抑制に資する取得計画の見直しに必要な検討を行った。 今般の分析及び評価においても、材料費等の高騰による経費増加も見られ、現行ベースライン(補正後)と年度見積りの比較において、事業継続の必要性検討基準を超過した。 
  一方、掃海艦(あわじ型)は、深深度機雷への対処が可能な唯一の艦艇であり、防衛上において必要不可欠な機能であること、本掃海艦の代替措置として、木製掃海艦の検討も考えられるが、造船所の工場は既にFRP船建造用に設備変更しており、更に、木船建造の技術者も現在は存在しない状況である。そのため、引き続きLCC抑制のための策を検討及び取得計画の見直しを行いつつ、現行の計画を進めていくこととした。 
  ウ   KC-46Aについては、今般行った分析及び評価において、世界的な物価の上昇及び為替変動に伴い航空機の取得経費が増加したことから、現行ベースライン(補正後)と年度見積りの比較において、平均量産単価及び単位事業取得コストが117.9%となり、計画の見直し調整基準を超過した。 
  一方、太平洋側の広大な空域を含む我が国周辺空域において、戦闘機部隊等が各種作戦を広域かつ持続的に遂行し得る態勢を構築するためには、KC-46Aの取得による空中給油・輸送能力の強化は必要不可欠である。 
  そのため、残り5機の取得については、為替の状況を踏まえるとともに、米空軍のKC-46A取得の時期と整合を図ることによりスケールメリットを最大限活用し、取得経費の縮減を図り、ライフサイクルコストの抑制に努め現行の計画を進めていくこととした。 
  エ   03式中距離地対空誘導弾(改善型)については、令和4年度の分析及び評価において、防衛力整備計画の策定に伴い、「1 部隊」単位当たりの誘導弾取得数の大幅な増加により経費(取得経費及び初度費)が増加し、「1部隊」単位あたりの平均量産単価等が事業継続の必要性検討基準(125%以上)を超過したが、誘導弾や地上装置の個々の調達単価は上昇したものの適正な範囲であり、実質的にコストは適切に管理されていることから事業継続することとした。 
  今般の分析及び評価においても、誘導弾等個々の調達単価には大きな変化はないことから、コスト抑制対策を行いつつ引き続き計画を進めていく。 
  オ   23式艦対空誘導弾については、令和15年度までに必要な数量の取得を計画していたところ、防衛力整備計画等に基づき、令和11年度までに必要な数量を取得することとされた。そのため、製造態勢を構築する初度費が増加し、令和5年度の分析及び評価において、平均量産単価が事業継続の必要性検討基準(125%以上)を超過したが、長射程の新艦対空誘導弾が必要であることから、事業継続することとした。 
  今般の分析及び評価においても、材料費等の高騰により経費が増加しているが、コスト抑制対策を行いつつ、引き続き計画を進めていく。 
  カ   23式空対艦誘導弾については、本装備品と一元的な管理を行っていた「12式地対艦誘導弾(改)」の「12式地対艦誘導弾能力向上型」への発展解消に伴い、「12式地対艦誘導弾(改)」で負担する予定であった費用等が影響し量産単価が上昇したことに加え、技術試験等の追加費用及び製造中止部品対策費用等の初度費の増加等により、令和4年度の分析及び評価において、平均量産単価等が計画の見直し調整基準(115%以上)を超過した。 
  今般の分析及び評価においても、材料費等の高騰により経費が増加しており、平均量産単価等は、現行基準見積りに対し、計画の見直し調整基準を超過したが、我が国の海上優勢を獲得・維持するため、従来に比べ射程を延長した哨戒機用の空対艦誘導弾が必要であることから、コスト抑制対策を行いつつ、引き続き計画を進めていく。 
キ グローバルホーク(滞空型無人機)については、平均量産単価及び単位事業取得コストが計画の見直し調整基準 (115%以上)を超過しているが、計画の見直しを平成29年度に実施済みである。なお、令和3年度までに機体等の取得経費の支払は終えているため、平均量産単価及び単位事業取得コストの比率に変動はない。
  ク   「ASM-3(改)」については、当初令和21年度までに必要な数量の取得を計画していたところ、防衛力整備計画の策定に伴い、令和17年度までに必要な数量を取得することとされた。そのため、その製造態勢を構築する初度費が増加したこと等により、令和4年度の分析及び評価において、平均量産単価等が計画の見直し調整基準(115%以上)を超過した。 
  今般の分析及び評価においても計画の見直し調整基準を超過したが、超音速飛しょうによる高い残存性と射程の延伸を図った空対艦誘導弾が必要であることから、製造態勢構築のための経費等について、今後、製造工程の効率化、他機種と共有化など、コスト抑制対策を行いつつ、引き続き計画を進めていく。 
(別図)プロジェクト管理対象装備品等の現状一覧

(別表)取得プログラムの分析及び評価の概要(コスト状況の判定)

公表資料(全文)は下記からご覧いただけます。
- プロジェクト管理対象装備品等の現状について(取得プログラムの分析及び評価の結果の概要等)
- https://www.mod.go.jp/atla/soubiseisaku/project/gaiyo_r070417.pdf
(以上)
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