中谷防衛大臣が記者会見 IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)への出席などについて発表(5月30日)
- 日本の防衛
2025-6-3 09:30
令和7(2025)年5月30日(金)09時01分~09時10分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は国会議事堂本館閣議室前において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)への出席について
大臣 :
私は、本日からIISS(アジア安全保障会議)いわゆるシャングリラ会合に出席するため、本日から6月1日までシンガポールを訪問いたします。私が本会議に参加するのは、今回が4回目でありまして、2002年の第1回にも参加をいたしましたが、それから四半世紀の間に、世界情勢は予想をはるかに上回るスピードで変化をしてきました。現在、我が国、そしてインド太平洋を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中、シャングリラ会合が、地域の平和と安定について、果たしている役割というのは、一層大きくなっています。この会合に出席をし、各国の防衛大臣等との間で、安全保障課題や防衛協力について、意見交換を行うことは極めて重要であると考えております。会合におきまして、私からスピーチを行う予定でありまして、現下の安全保障課題を踏まえた、防衛当局間の更なる連携強化の重要性について訴える考えであります。個別の会談といたしましては、米国のヘグセス国防長官、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣、シンガポールのチャン国防大臣、フランスのルコルニュ軍事大臣など、時間が許す限り、各国の国防大臣等との意思疎通をする機会を持てますように、最終的な調整を進めているところであります。この機会をとらえて、同盟国・同志国等との連携を一層深めてまいりたいと思います。併せまして、令和7年度の「安全保障技術研究推進制度」、いわゆる「防衛省ファンディング」の応募状況について、お知らせをいたします。防衛省では、先進的な民生技術の積極的な活用を図るために、平成27年度に先進的な民生技術に係る基礎研究について、外部の研究機関等に委託、または補助金を交付をする、いわゆる「防衛省ファンディング」を創設をいたしました。以降、大学・企業等に対する公募を毎年実施してきたところであります。令和7年度の公募は、本年3月14日から5月21日まで実施をしましたが、その結果、昨年度の203件を大きく上回る、340件の応募をいただき、制度創設以降、最多の応募件数を更新をいたしました。今回は、企業や公的研究機関などから、幅広く応募いただきました。特に、大学及び大学共同利用機関からは、前年度比で約3倍になります123件の応募をいただき、こちらも制度創設以降の最多の応募件数となりました。産学官の連携の下、防衛分野において先進的な民生技術を積極的に活用するということは、近年の急速な技術の進展に対応し、将来にわたって国の平和を守っていくために不可欠であります。また、防衛分野以外での我が国の科学技術イノベーションにも広く寄与するものであります。この観点から、様々な研究機関等から数多くの応募をいただくことになりまして、心から感謝を申し上げたいと思います。今回応募をいただいた案件につきましては、この後、外部有識者による審査を経て、本年8月頃までに採択案件を決定する予定であります。今後、多くの研究機関から応募いただけますよう、引き続き、学術界を含む各界の理解を賜るべく、様々な努力を重ねつつ、産学官連携によるエコシステムの構築を推進してまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
シャングリラ会合が安全保障に果たす役割と日本が行う主体的、具体的な取り組みについて
記者 :
今日からシャングリラへ行かれるということですけれども、あらためて、この会議にですね、出席することが日本の安全保障にどのように資するというふうに考えるのかをお聞かせいただきたいと思います。また、今回、国防相参加しませんけれども、この地域ではですね、中国が海洋進出を強めて既存の国際秩序に挑戦するような動きをとっています。一連の会議や会談を通じてですね、価値観を共有する国々と地域の平和と安定に向けてどのように議論をし、日本として主体的にどういった取組を具体的に行っていきたいのかお聞かせください。
大臣 :
我が国、そしてインド太平洋を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中で、各国の国防大臣等が一同に会するシャングリラ会合が地域の平和と安定に果たす役割というのは、一層大きくなっております。我が国が、この会合に出席をし、各国の国防大臣等との間で、安全保障課題、また防衛協力について意見交換を行うということは、同盟国・同志国等との連携を一層深めていく観点から、極めて重要であると考えております。今回の会合におきまして、私から、現下の安全保障課題を踏まえた、防衛当局間の更なる連携強化の重要性について訴えるとともに、各国の国防大臣等との間で、率直に意見交換を行うことを通じまして、様々な分野における防衛協力・交流の一層の進展につなげてまいりたいと考えております。そして、これ以上の詳細につきましては、今調整中でありますので、また、相手国との関係がありますから、お答えができませんが、今後、調整をいたしまして、実りある成果を残してまいりたいと思っております。
トランプ米政権の関税措置を巡り、「安全保障と関税交渉」の切り分けと米国からの防衛装備品の購入について
記者 :
昨日、赤澤大臣が総理官邸で記者団に対して、「安全保障と関税通商対策は物差しが違う」と述べた一方で、対米交渉で米国からの防衛装備品の購入は米国の貿易赤字を縮小させるとして、「視野に入り得る」と発言しました。政府は、これまで関税交渉と安全保障を切り分けていましたが、大臣の見解をお伺いします。
大臣 :
赤澤大臣の発言につきましては、承知をいたしておりますけれども、日米間の関税協議の内容につきましては、赤澤大臣が、現在、協議を行っているということで、私からお答えすることはいたしません。その上で、防衛力整備の具体的な内容につきましては、関税措置の見返りということではなくて、我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえ、そして我が国の独立と平和、国民の命と豊かな暮らし、そして平和、これを守るために、我が国に何が必要なのかという観点から検討し、実施すべき事項を積み上げていくべきものであります。購入すべき装備品につきましては、何が日本の防衛力強化に相応しいのか、これを第一に考えて具体的な機種・数量を決定することとなります。お尋ねの関税協議と安全保障の関係について申し上げれば、これまでも政府は、繰り返し述べてきたとおり、米国の関税措置に関する日米協議は、主に、経済分野の取組に焦点を当てるものであると認識をしております。いずれにしても、米国の関税措置をめぐって、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組むこととしており、防衛省としても、引き続き、関係省庁との協力、そして連携の上、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
(以上)
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