中谷防衛大臣が記者会見 日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」、オーストラリア次期汎用フリゲートに我が国護衛艦が選定されたことについて、ほか(8月5日)
- 日本の防衛
2025-8-7 10:30
令和7(2025)年8月5日(火)09時12分~09時31分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟10階会見室で閣議後の記者会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
オーストラリアが我が国の「令和6年度型護衛艦」を、次期汎用フリゲート艦として選定
オーストラリアの次期汎用フリゲート艦に関しまして、8月5日、オーストラリア政府は、日本とドイツが提案をしました2つの候補のうち、我が国の「もがみ」型護衛艦の能力向上型であります「令和6年度型護衛艦」を、次期汎用フリゲート艦として選定をした旨の発表をされました。この内容につきましては、昨晩、マールズ副首相兼国防大臣から、NSCでの内定につきまして、直接、御連絡をいただきました。私からは、お互いにマールズ大臣とともに、このプロジェクトを進めていくということは、無上の喜びであると述べました。マールズ氏も、「もがみ」型の護衛艦につきましては、豪州にとっても最も適したベストなフリゲート艦であると述べられまして、2人で喜びを分かち合いました。
この選定結果は、我が国の高い技術力への信頼性、また、自衛隊とオーストラリア軍との相互運用性の重要性を評価をされた証と考えております。我が国にとって、特別な戦略的パートナーであるオーストラリアとの安全保障協力、これを更なる高みに引き上げる大きな一歩となるものでありまして、オーストラリア政府の決定を歓迎をいたします。
そして、我が国は、これまでも「もがみ」型護衛艦を、12隻継続的に建造してきた実績、これを有しておりまして、令和6年度型護衛艦についても、令和6年度以降、12隻の建造を計画をしております。このため、オーストラリア海軍が求める時期に確実に引渡しができる強固な建造基盤、これを有しております。また、我が国が提案した「令和6年度型護衛艦」には、優れたステルス性、米空母機動部隊に随伴できるスピード、そして、米海軍との相互運用性を確保した信頼性の高い武器システム、これを備えた非常に能力の高い艦艇であります。加えて、自動化・省人化によりまして、従来の護衛艦よりも大幅に少ない乗員数で運用が可能でありまして、正に我が国の防衛産業が有する優れた技術力が結集した、最新鋭の護衛艦であります。
このような省人性や能力の高さに加えて、政府として本プログラムの成功に向けて、官民一体となって、コミットメントをしていくという点が、オーストラリア政府から高い評価につながったものであると認識をしております。
また、私も第1回目の会議に出席いたしましたけれども、防衛事務次官と三菱重工業会長を共同委員長とする官民合同委員会、これを設置をするなど、防衛省とこの三菱重工業を始めとする関係企業、そして関係省庁が官民一体となって移転の実現のために取り組んできました。こうした関係者のたゆまぬ努力があったからこそ得られた「もがみ」、すなわち「最上(さいじょう)」、ベストの結果であると認識をいたしております。改めて、これまで本件に取り組んでこられました全ての関係者の皆様方の努力に対して、敬意と感謝を申し述べたいと思います。
今後は、来年初めと見込まれている最終的な契約の締結に向けまして、引き続き、オーストラリア政府と議論を更に進めていく必要があります。引き続き、関係省庁及び関係企業としっかり連携をしまして、官民一体、オール・ジャパンの体制で、プロジェクトの成功に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」について
記者 :
米軍と自衛隊の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン」で、米軍の新型兵器「ネメシス」の石垣展開を検討していることが分かりました。石垣で展開することの意図と、展開を検討するに至った経緯を御教示ください。
また、地元の反発が予想されますが、県や市への説明など対応をどうされるのかも教えてください。
大臣 :
御質問いただきました「レゾリュート・ドラゴン」、これは、陸上自衛隊と米海兵隊が国内で実施をする、日米共同の実動訓練でありまして、本年9月の実施を予定をいたしております。
この訓練の実施場所、期間、参加する装備品など、具体的な内容につきましては、現在、日米間で調整中でありまして、お尋ねについて、現時点でお答えできる段階にはないということを御理解いただければ幸いでございます。
豪次期汎用フリゲート艦が「令和6年度型護衛艦」を選定したことについて
記者 :
護衛艦の関係で伺います。大臣、先ほど選定とおっしゃいましたが、これは優先交渉ではなくて、基本的に日本案を豪側が採用した、そういうふうに伝えてきたという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :
これは最終候補になっていましたドイツと日本の2社の提案のうちですね、日本の三菱重工業の提案が選定された旨のオーストラリア政府の連絡があったということです。
記者 :
ありがとうございます。昨日の夜に、大臣、先ほどおっしゃったとおり、マールズ大臣と電話会談したということですけれども、まず、大臣はですね、先ほどの会見で、開発への主意表明を大臣が行ったと話していますけれども、もう少し電話会談での中身、どのようなことをお伝えしたのか教えてください。
大臣 :
マールズ大臣からも昨日の会談の中でですね、我が国の優れた技術が結集した装備品に対する高い信頼、そして、評価の表れであると述べられました。私としましては、このオーストラリア政府の決定を歓迎をするものでございます。
今後につきましては、我が国と令和6年度の護衛艦をベースに、オーストラリアとの間で計11隻のフリゲートの共同開発・生産を行って、オーストラリアに移転をするということになりますので、本件につきましては、日本とオーストラリアの連携、これを更に深めるだけではなくて、共同開発・生産を通じまして、我が国の艦艇の能力向上にも資するものであり、我が国の安全保障上の極めて高い意義があると考えております。また、両国が同じ装備品で訓練をしたり、運用をするということにつきましては、更に共同連携や運用上の効果・効率性、これが向上するものであると考えております。
この最終的な契約の締結は、来年2026年の初めを見込んでおりまして、契約締結に向けては、関係省庁、関係企業としっかり連携しまして、官民一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
記者 :
もう1点、オーストラリアとの間にですね、潜水艦の受注契約も昔、参入して敗れたこともありましたけれども、今回、「もがみ」が選定されたという、そこについての装備移転を今後目指す上で、大臣がどういうふうに今回の意義を捉えているのかというところと、来年の最終選定に向けてどう取り組んでいきたいか、伺えますでしょうか。
大臣 :
本件につきましては、9年前になりますけれども、私、防衛大臣でありまして、その時に、残念ながらフランスが受注をされました。その件につきましては、防衛省としましてもこの教訓をですね、活かしていこうということで、本契約につきましてもあらゆる努力をしたわけでありますが、非常にその点につきまして、先方からですね、この我が国の令和6年度の護衛艦が持つ高い省人性、能力の高さに加えて、官民一体となってコミットメントをしていくという点が、オーストラリア政府からの高い評価につながったものであるというふうに受け止めております。
また、日本とオーストラリアは、特別な戦略的なパートナーであるということで、オーストラリアとも安全保障協力を更に高みに引き上げる大きな一歩となったわけでありますが、言わば、考え方として、防衛力そのものである我が国の防衛生産の防衛基盤の強化につながるということで、国といたしましても、こういった防衛生産、防衛基盤の強化につきましては、抜本的な改革を通じてですね、その体制を見直しておりますので、このような努力、そして、官民合同委員会というものを設置をいたしました。これは、防衛省と三菱重工を始めとする関係省庁と関係企業、これが官民一体となって移転の実現のために取り組んできたということで、こうした関係者のたゆまぬ努力があったからこそ得られた結果であるというふうに認識をしております。
記者 :
今回の移転に関する決定をめぐり、豪州側と同じ装備を使うメリットと日本の防衛産業へどのような効果を期待するか教えてください。
また、今ちょっと御発言ありましたが、潜水艦の選定もされなかった経緯もあるかと思いますが、今回はどういった経験則として踏まえて働きかけたかっていう部分を教えていただければと思います。
大臣 :
日本とオーストラリアは、先ほど申し上げましたけれども、特別な戦略的パートナーであるということで、日豪の防衛協力、また、協議は、非常に大切なものだと認識をしておりますけれども、この装備の共通化につきましては、いわば防衛力そのものである我が国の防衛生産・技術基盤の強化につながるものであると考えております。
豪州と共通の装備を保有・運用するということは、両国の相互運用性の向上に資するものと考えております。また、結果につきましても、高い省人性、能力の高さ、そしてプログラムの成功に向けた官民一体となってコミットメントをしてきたという点、この点につきましては、今回非常に大きな成果となったものでございますので、今後、共同生産、また、共同管理につきましてもですね、メリットが大きいものではないかということでありまして、先ほど言ったとおり、官民合同委員会を設置をしまして、関係省庁が官民一体となって、企業とですね、この実現に向けて取り組んできた。そして、たゆまぬ努力があったからこそですね、得られた結果であるというふうに認識しております。
記者 :
今の「もがみ」型の選定についてなんですけれども、無事今回選定されたということなんですが、今後に向けて、最初の3隻は、元々豪州としては海外で建造して、残りはオーストラリアで建造するという話もありました。
最初の船は2029年に引き渡すという予定だと思うんですけれども、今後の課題っていうところは、例えばどういうところがあるのか、引き渡しとか、現地の製造とかそういった面も踏まえて、課題をどのように認識してらっしゃるか教えてください。
大臣 :
今回決め手になりましたのは、我が国の艦艇の生産能力でありまして、ずっと連続してですね、製造をしてきた。こういった能力と実績があるということが大きいなポイントになってきておりますので、今後とも、できるだけスピード、これを重視をしてですね、オーストラリア側のニーズにお応えをしていくということでございます。
本件につきましては最終的な締結は2026年の初めを見込んでおりますので、最終的には締結に向けましては、引き続きですね、内容や価格、また、在り方につきましては、官民一体となって調整を加速させていきたいと考えております。
記者 :
引き続き、では契約に向けた課題というものは何か認識しているものがあれば教えてください。
大臣 :
まず一つは、価格を最終的に決めるということもありますし、また、メンテナンスですね、完成された後の維持整備の在り方とか、また、現地においてどのような形で生産を続けていくのかなどなど、課題はたくさんあります。
日本の防衛装備の海外移転という側面から見た見解は
記者 :
14年に日本が武器輸出を見直してから、今回この決定はどのように歴史的な意味はあると思いますか。
大臣 :
防衛装備の海外移転ですね。これは最初の移転実例は、フィリピンに対してレーダーの移転がございました。今回が2件目でありますが、護衛艦というですね、非常にこの我が国にとりましても日頃から運用している能力の高い装備がですね、移転になったということで、これのメリットにつきましては、先ほどお話をいたしましたけれども、特に、日豪・日米豪、こういった運用の共同性、共通性について、非常にメリットがあるんじゃないかなというふうに思いますので、こういう点におきましては、非常に今後の日豪間のですね、防衛協力に資するものになるのではないかなというふうに思います。
記者 :
1点確認させてください。最終的な契約なんですけれども、26年初めでしょうか、26年度初めでしょうか。
大臣 :
来年の初め、年です。
石破総理大臣の戦後80年談話について
記者 :
戦後80年メッセージの件で1点お伺いしたいんですけれども、石破総理が戦後80年に合わせて、これまでの歴代内閣の歴史認識を引き継いだ上で、メッセージを発したいということで、昨日改めて表明されてますけれども、防衛大臣として、このメッセージにどういった内容を期待されるか、あるいは発出の仕方もですね、閣議決定を踏まえるものなのかどうかっていうところもまたあると思うんですけども、どういう形式で、どういう内容のものであるべきだとお考えかっていうのを1点お伺いできればと思います。
大臣 :
これは石破総理自らがですね、決めることでございまして、本件につきましては、私もまだ御意見も十分伺ったわけではございませんが、拝察する上においては、やはり戦後80年の節目を迎えるに当たって、改めて平和国家、そして日本の在り方について考えていくということは重要であるというふうに認識をいたしております。
特に今、世界が激動期にある中ですね、日本の戦争についても80年経ちまして、当時の方々もどんどんどんどん少なくなっていく一方でですね、あの戦争というものはどういうことであったのかということを、国家として考えるということは非常に重要であると考えております。
この石破内閣は、これまでも、内閣総理大臣の談話を含めまして、歴史認識に関する歴代内閣の立場を、全体として引き継いできておりまして、今後もそれを引き継いでまいるということを申しておられます。その上で、昨日、石破総理が国会で答弁をされましたように、今までの談話の積み重ねも踏まえながら、適切に判断することが大切であると考えているということでございますので、そういった内容、形式等につきまして、今後ですね、検討されるのではないかなというふうに思っております。
(以上)
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