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中谷防衛大臣が臨時会見 日トルコ防衛相会談やトルコの防衛産業などについて(現地時間8月20日)

  • 日本の防衛

2025-8-25 11:09

 令和7(2025)年8月20日(水)12時20分~13時37分(現地時間)、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣はシェラトン・イスタンブール・レヴェントで臨時会見を行った。本会見は、中谷防衛大臣の日トルコ防衛相会談、トルコ国防産業庁長官との懇談、トルコ航空宇宙産業及び海軍工廠イスタンブール造船所視察の実施後に行われたもの。
 大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 今回、日本の防衛大臣として初めてトルコを訪問しまして、昨日は、ギュレル国防大臣との間で、日本トルコ防衛相会談を行いました。ギュレル国防大臣との間では、防衛協力・交流に関する意図表明文書に基づきまして、これまで、ハイレベル交流、部隊間交流、並びに教育分野の交流など、防衛当局間で協力が進展をしていることを確認をいたしました。
 その上で、今回の防衛相会談を通じまして、日本トルコ間の防衛協力を更に拡充をさせることで一致をしまして、具体的な協力分野について協議をするために、防衛実務者間の協議を開催をするということで合意をいたしました。また、防衛技術・装備の分野における協力可能性についても意見交換を行いまして、装備当局間で日本・トルコ防衛産業間の交流の実現に向けて、議論を開始をするということで一致をいたしました。さらに、ギュレル国防大臣との間で、両国をとりまく安全保障環境、また、国際社会における諸課題について意見交換を行いまして、地域の平和と安定のために連携をすることを確認をいたしました。
 その後、国防産業庁長官との懇談を実施をしまして、日本・トルコ防衛装備・技術協力の今後の潜在的な協力可能性について、意見交換を行いました。具体的には、3点ございます。まず第1に、トルコ側の日本の掃海機能への関心、第2に、日本側のトルコ無人機産業への関心、これが共有をされまして、これらに係る協力の可能性を検討するために、第3として、相互の輸出管理制度や産業能力の詳細について、トルコ国防産業庁と防衛装備庁との間で、また、両国の産業間におきまして、実務レベルの協議、これを立ち上げるということにしました。
 また、私自身、昨日、無人機を製造をするTUSAS社を視察をしまして、本日も海軍の造船所を視察をいたしましたけれども、このトルコの国産化にこだわってますが、国産化を推し進めるこのトルコの防衛産業の能力の進展を目の当たりにしました。今後、実務レベルの協議を通じて、結果が出るということを期待をいたします。なお、国産化に舵をきったというのは、様々な外交的な要因もありましたけれども、要は国産化を進めているうちにですね、やはりできるんだと、やればできるんだということで、トルコがですね、それを実証しているわけで、かなりのたくさんの国々とですね、防衛装備のですね、協力関係も実施しておりますが、非常に国産化に伴った防衛産業の育成に力を入れているなということを感じました。
 今回のトルコ訪問におきましては、伝統的な友好国であるトルコとの間で、様々な分野において防衛協力をさらに進めていくための具体的な道筋について認識を共有できたということは、大きな成果でございます。今回の成果を実務レベルでもしっかりとフォローして、今後の具体的な協力を進めていきたいというふうに思います。
 そして、明日からヨルダンを訪れます。ハッサン首相兼国防大臣との会談、そして、アル・フネイティ統合参謀本部議長との会談などを行う予定でございます。出発は本日でありますが、会談は明日行います。ヨルダンは、中東地域の平和と安定においても、大変大きな役割を果たしておりまして、我が国との間でも、中東地域における戦略的パートナー国であります。昨年の在レバノン邦人輸送の際に自衛隊機が空港や施設を使用させてもらうなど、我が国と強固な友好関係を築いておりまして、明日の会談におきましても、ヨルダンとの防衛協力・交流、これを一層深化させていくことを確認をしたいと思っております。

記者との質疑応答

トルコの防衛産業やトルコとの防衛産業協力について

記者
 トルコの防衛産業は、各国から注目されています。大臣はこのあと予定するものも含めて、複数の防衛産業関連施設を視察されましたが、その具体的な内容をお聞かせください。また、無人機を含めたトルコ製の防衛装備品の導入や、トルコとの防衛産業協力について今後の方針を伺います。

大臣
 トルコは、NATOにおける2番目に大きな地上戦力、これを有しております。現在、軍の近代化、これを進めておりまして、防衛産業の分野の面におきましては、装備品の国産化を推進しているということを確認いたしました。
 今回の出張におきましては、国防産業庁のほか、トルコ航空宇宙産業、イスタンブール海軍造船所を訪問いたしました。また、トルコの装備関連施策のほか、装備品の開発・生産の現場を直接確認をしまして、様々な声・意見を聞くことができました。今後の我が国の防衛に必要な装備品を総合的に検討する上で、大変有意義な情報が得られたわけでございます。
 また、日本とトルコの防衛相会談におきましては、潜在的な協力分野としまして、防衛装備・技術協力の可能性について議論をいたしました。日本・トルコ防衛産業間の交流の実現に向けて、装備当局間で議論を開始をするということで一致をしまして、今後の防衛関連施設・企業との関係におきましては、今般もそこを訪問をいたしましたけれども、トルコ製の防衛装備品の取得を予断するものではありませんけれども、今般の防衛相会談の結果も踏まえまして、今後防衛当局間で具体的な協力の可能性について検討をしていくということになります。

中東地域の3か国の重要性や今後の協力関係について

記者
 今回の外遊では、ジブチ、トルコ、ヨルダンの中東周辺の3か国を訪問となりましたが、防衛省として中東地域におけるこの3か国の重要性や、今後の3か国との協力関係をどのように維持発展していきたいと考えているでしょうか。

大臣
 今回は、中東地域の訪問をしたわけでございますが、この狙いというのは、まず中東地域におきましては、ここはアジアとヨーロッパをつなぐ地政学上の要衝でありまして、この地域の平和と安定は、シーレーンの安定的な利用、またエネルギー・経済の観点から、我が国を含む国際社会の平和と安定にとりまして極めて重要であるということからでありました。
 こうした観点から、防衛省としてもこの地域の国々との協力関係の構築、そして強化、これを図っておりますし、今後もこれを発展させたいと思っております。まず、ジブチにおきましては、これは「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、これを実現するために極めて重要なパートナーであります。また、海外で唯一の自衛隊の拠点が存在をしておりまして、海賊対処、また在外邦人等輸送など、周辺地域における自衛隊の活動にとって重要な拠点となっております。このため、同拠点の安定的な活用のためにも二国間の信頼醸成は極めて重要であります。
 私を含むですね、まずハイレベルの交流、そして部隊間の交流の深化等を通じまして、関係強化に引き続き、取り組んでまいりたいと思っております。私、ジブチにつきましては、自衛隊の海賊対処法案が国会で成立をしまして、この直後、2011年に訪問をいたしました。その際、議長や首相に面会をしましたけれども、今回も当時の方々がまだ現職におられまして、当時、この原点であります日本から支援のお願いをしましたけれども、土地の提供やらですね、地位の向上のために色んな努力をしていただいたということで、改めて感謝と御礼を申し上げました。そして、今回は2015年の現職の防衛大臣に次いでの4回目の訪問になりましたが、訪問するたびにジブチが経済的な発展を遂げてですね、また各国との関係も非常にジブチならではのですね、外交手腕によってですね、非常に円滑にですね、行っておりまして、改めましてこの地域の外交の状況や、また現状の把握をいたしましたが、改めて確認いたしましたのは自衛隊の施設、非常に今充実を図っておりまして、こういった自衛隊の活動がですね、円滑に、また安全にですね、行っているということを確認をさせていただきました。
 次に、トルコは我が国にとって伝統的な友好国でありますけれども、これは2012年に署名をしました防衛協力・交流に関する意図表明文書、これに基づきまして、ハイレベル交流、部隊間交流、そして教育分野の交流など実施をしてまいりました。今回、我が国の防衛大臣として初めてトルコを訪問したことを契機としまして、今後、防衛実務者の協議を実施をするなど、防衛協力・交流を更に拡充をさせていくということを話をしまして、その協議も実施をしていくということになりました。今後とも、さらにこの事業をですね、充実させていきたいと考えております。
 最後に、ヨルダンとの間ではですね、2016年に防衛交流に関する覚書が署名をされておりまして、ハイレベル交流や外務・防衛当局の協議等を実施をしてまいりました。また、特に昨年10月の在レバノン邦人等の輸送に関しましては、ヨルダンの空港を活用したようにですね、中東地域における在外邦人等の輸送に備えた自衛隊の根拠地、これの確保の観点からですね、近年、その重要さを増しております。非常に中東地域の情勢等については予断を許さないですね、予見しないことが起こり得るわけでありますけれども、今回のヨルダンのようにですね、自衛隊機の受け入れをしていただいたということにつきましては、防衛大臣としても非常に有り難いことでありまして、そういう点におきまして心から感謝と御礼を申し上げますとともにですね、今後ともヨルダンと自衛隊の防衛協力についても一層促進をさせるための話し合いを続けていきたいというふうに思います。

GCAPの次期戦闘機について

記者
 今回のトルコでの防衛相会談についてなんですけれども、GCAPの次期戦闘機については議題に挙がりましたでしょうか。挙がっていれば詳細なやり取りを教えてください。

大臣
 GCAPというのは皆さんも御承知のとおりですね、日本とイギリスとイタリアの3か国にとって、同盟国・同志国との協力を念頭に置いて設計をされてきたものでありまして、様々な国に対して、その内容を説明することはあり得ますけれども、説明の有無も含めまして、その内容・詳細につきましては、相手国との関係もありますのでお答えできないことを御理解いただきたいと思っております。色々質問とかございましたし、私も意見を述べたことは事実です。

ギュレル国防大臣との会談について

記者
 昨日行われたギュレル国防相との会談において、ウクライナ情勢についてどのような意見を交わされたか教えてください。また、ウクライナ支援について今後トルコとどう連携していくかも伺います。

大臣
 米露の首脳会談やですね、ゼレンスキー大統領がワシントンに行って、協議をしているという現状についてですね、認識を伺いました。私の方からですね、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を 揺るがす暴挙であると。我が国としても、平和秩序を守っていくために、国際社会と結束をして、断固たる決意で対応してきているということ。そして、防衛省としましては、これまで100台以上の自衛隊車両をウクライナ軍に提供をし、今後も追加で提供する予定であると。また、ウクライナの負傷兵を自衛隊中央病院に受け入れておりまして、リハビリを実施しているということも話しをしまして、今後ともウクライナに対する支援を充実をしていくということを述べました。
 トルコは、ウクライナとロシアのですね、双方の仲介の努力を積極的に重ねてきているということを承知をしておりまして、昨日の会談におきましても、ギュレル国防大臣との間でウクライナ情勢についても議論をしまして、我が国として、ウクライナにおける一日も早い平和の実現に向けて、引き続きトルコを含めて、国際社会と連携して取り組んでいきたい旨をお伝えをしまして、ギュレル大臣からも同様の認識が示されたところでございます。
 困難に直面するウクライナの方々を支えるためにですね、トルコを含む国際社会や関係省庁と連携しながら、適切に対応してまいります。また、昼食会も開催をされまして、私の方から、アジアをめぐる周辺国の軍事情勢、また動きについてお話をさせていただきました。

(以上)

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