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中谷防衛大臣が記者会見 長距離ミサイルの配備や新型FFMの来年度予算などについて(9月2日)

  • 日本の防衛

2025-9-4 09:55

 令和7(2025)年9月2日(火)11時28分~11時42分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 なし

記者との質疑応答

国産長射程ミサイルの配備と意義について

記者
 防衛省は先週、国産スタンド・オフ・ミサイルの配備場所を公表しました。当初計画からそれぞれのミサイルで1年ずつ前倒しして配備する形となりましたが、改めて、今回の国内6拠点に長射程ミサイルを配備する意義を教えてください。
 また、配備先の地域は有事の際に攻撃対象となるリスクをはらみますけれども、今後、こうしたリスクについて地域住民に説明する機会を設ける予定はありますでしょうか。また、有事の際にミサイルの配備先が攻撃対象とならないよう、防衛省として現時点で何か対策されていることがあれば教えてください。

大臣
 長射程ミサイルを配備する意義についてでありますけれども、我が国は、戦後、厳しく複雑な安全保障環境に直面をしている中で、侵攻する敵の艦艇、また上陸部隊、これを早期かつ遠方で阻止をして、排除することが可能であるスタンド・オフ防衛能力を、より迅速に構築をするというようなことを取り組んでいるところであります。
 国産のスタンド・オフ・ミサイルについては、開発が順調に進捗をしておりまして、今般、令和9年度までの配備先を決定したことから、8月29日に公表をいたしました。今般、国産のスタンド・オフ・ミサイルの開発及び配備の進捗を示したということは、我が国を守り抜くという強固な意思と能力、これを示すものであります。
 スタンド・オフ・ミサイルの配備は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めるものでありまして、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。そして、その上で一般論としましては、自衛隊の部隊は、状況に応じて、平素の配備先から機動展開、移動してですね、任務に当たることになるために、特定の場所への配備をもちまして、その場所で運用するというわけではありません。具体的な展開場所、また運用要領、これは事態の態様に応じて判断をしていくということになります。
 また、スタンド・オフ・ミサイルの早期配備につきましては、配備先の関係自治体に対して既に説明を行っておりますが、先ほど申し上げた内容も含めまして、地元の皆様に対する丁寧な説明、また適切な情報提供にしっかりと努めていくことが大変重要であると考えておりまして、引き続き、適切に対応してまいりたいと考えております。

新型FFMの取得経費(令和8年度)とオーストラリアへの移転について

記者
 先週の金曜日に、来年度予算の概算要求が発表されて、その中で、国際的に今注目を浴びているオーストラリアの次期汎用フリゲートに関わる「もがみ」型能力向上型の1隻分の予算のみが調達されました。その前の年と前の前の年を見ると、2隻3隻で今回、来年度予算で1隻のみ。
 この1隻のみというのは、オーストラリアが非常に今、海軍力増強で、日本に対して、デリバリーの納期を順守してほしい、「もがみ」型能力向上型が唯一の選択肢だったという、8月5日に言ってましたけれども、やっぱりオーストラリアへの調達を優先して、来年度予算では「もがみ」型能力向上型1隻になったのでしょうか。

大臣
 現在ですね、オーストラリア政府の調達計画に基づきますと、最初に建造する1番艦から3番艦までの3隻については、日本国内で建造をしてですね、オーストラリアに移転をするということになる見込みであります。今回の新型FFMの豪州の移転につきましては、豪州との相互運用性、互換性及びこのような大幅な点の向上に資するとともにですね、インド太平洋地域の艦艇の建造や維持整備基盤の強化、そして将来の我が国の艦艇への能力向上に資するものでありまして、我が国の安全保障上、極めて高い意義があるということであります。
 その上で、令和8年度の概算要求における新型FFMの取得については、豪州への移転が実現したことを受けた製造会社との調整のほか、海上自衛隊の護衛艦の除籍計画などを総合的に勘案した結果として1隻の取得経費を計上することにしたということであります。

記者
 すみません、追加で。そもそもオリジナルの計画を見てみると、2032年までに「もがみ」型プラス「もがみ」能力向上型の就役が、揃って計24隻が2032年という目標があったと思うのですが、防衛力整備計画を踏まえてですね、それは、今回オーストラリアの分が入ったことで、特に長期の調達の時期とか変更はないってことでよろしいでしょうか。

大臣
 これは令和4年の12月にですね、策定をしました防衛力整備計画において、おおむね10年後における護衛艦の隻数を54隻としております。令和9年度までに護衛艦12隻を整備をすることとしておりまして、令和7年度予算までに7隻の予算経費を計上しているところであります。残る5隻については、令和8年度概算要求で計上している1隻を含めて、防衛力整備計画に沿ってですね、整備を進めまして、引き続き、我が国の防衛に穴を空けることがないように取り組んでいくという考えであります。

9月2日(火)の自民党両院議員総会について

記者
 政治の方の話題でお伺いさせてください。自民党の関係でお伺いしたいのですけれども、本日、両院総会が午後から開かれることになると思いますけれども、こちらで参院選挙の総括についての報告がなされると思います。大臣はこの後、両院総会に御出席されるのか。そして、今、総括進んでいますけれども、どういったお考えを述べられる御予定なのか、お伺いできればと思います。

大臣
 本日の自民党の両院議員総会には、私も出席をする予定でございます。事後の予定等もありますので、どの程度滞在できるか分かりませんけれども、必要に応じてですね、自分の意見を述べることになると思いますが、この場では本当に様々な意見が述べられると思いますので、それぞれ自民党の国会議員としましては、意見を述べること自体は自由でありますけれども、自民党内の様々な動きに関しましては、それぞれ定められた手続の下にですね、行われるものであるというふうに承知をしております。したがって、ルールに従って自由闊達に行われるべきであるというふうに思います。

記者
 短く関連で伺わせてください。大臣、先日も総裁選の前倒しについてはですね、やる必要はないし、やるべきではないというような御見解を述べておられましたけれども、党内では政務三役に就いている方からも前倒しを求める意見もある一方で、世論調査で支持率が上がっていることなんかも踏まえてですね、世論と乖離してはいけないというような見方もあります。
 改めてですみませんが、大臣としては今の前倒しの是非、この動きについてどのような御見解をおもちでしょうか。

大臣
 自民党の総裁の任期は3年あります。石破政権もですね、この3年の任期の半ばにありまして、この今の政治課題、国民生活で必要なこととか、外交安全保障など、現政権の課題というものは、山積をいたしております。したがって、現時点で総裁選を行いますと、その間、政治空白ができてしまいますので、私としましては、この現時点において、マスコミ各社のですね、世論調査によりましてもある程度の国民の続投に対する理解もいただいている数字が出ておりますので、総裁選の前倒しを求めるようなことはすべきではないし、また、するつもりもないということであります。

新型FFMに関する豪州メディアの報道について

記者
 新型FFMの件で、すごいオーストラリアメディアの報道とか、日本のメディアの報道を見てもちょっとバラバラな点が1個あって確認したいのですけれども、この計画の今、最大のプロジェクトの総額最大100億豪ドルって言われてますけども、これはシー・プロジェクト3000っていうのが、2034年までの予算だと聞いてるんですね。
 その2034年までには、先ほど大臣おっしゃった3隻目までのデリバリーが入っていて、つまり私が伺いたいのは、来年初めまでの契約は、その2034年までの3隻分の契約になるのか、あるいはその2034年超えて10隻分の契約になるのか、大臣もし分かったら教えてもらえますか。

大臣
 先ほどお話した内容に基づきますけど、この政府、オーストラリアの計画に基づけば、最初に建造する1番艦から3番艦までの3隻について日本で建造して、豪州に移転をするということで、トータル、オーストラリア政府が整備することになっております。そういうことを前提にですね、今現場において調整をしておりますし、またこれ以上のことにつきましては、オーストラリアの国防大臣が、今週末来日して、「2+2」、また会談を計画されてますので、その際疑問なところは協議をしていきたいと思います。

記者
 ちなみにオーストラリアのメディアを見ても、いや、2034年の3隻分までだというところと、いや、11隻分まで全部一括でやるんだという報道がバラバラで、3隻分か11隻分かって結構総額も違ってくると思うんで、ぜひまた分かったら教えてください。

大臣
 先ほどお話したとおり、3隻までについては日本国内で建造して、豪州へ移転するということで、その後の計画等に従ってですね、トータルの整備をしていくということになります。

総裁選の前倒しについて

記者
 先ほどの関連で1つ確認なのですけれども、総裁選の前倒しの件ですが、続投を求めるということで、手続きするべきではないというお話もされておりましたけれども、中谷さん自身は総裁選前倒しを求める書面とかには提出するお考えはないのかというのを、改めて確認したいのと、今後も石破さんを支えていくというお気持ちで変わりはないのかというのを、改めて確認をさせてください。

大臣
 私個人としては、政治的に見てもですね、現時点で任期3年ありますから、その間職責を全うすべきでもあるし、この時点で改めて総裁選を実施するべきでもないということであります。それに加えてですね、現在、私防衛大臣を務めておりますが、防衛大臣というのは、最高指揮官が自衛隊の総理大臣でありまして、それを支える防衛大臣という位置にあります。
 要するにシビリアン・コントロール、シビリアン・コントロールの大本は、1つは日本の国会でありますが、もう1つは総理大臣がシビリアンの代表で、防衛大臣もシビリアンの代表ということでありますので、この任にあるうちはですね、シビリアン・コントロールを守って、自衛隊の最高指揮官たる総理大臣の指示、また方針の下に、その職責を全うすべきであると考えておりますので、任期半ばでですね、総理大臣を解職するということは全く考えておりません。

(以上)

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