内倉統合幕僚長がインド太平洋参謀総長等会議に参加(8月26日~28日)
- 日本の防衛
2025-9-5 10:00
防衛省 統合幕僚監部は令和7(2025)年9月3日(水)、8月26日(火)~28日(木)に内倉浩昭(うちくら・ひろあき)統合幕僚長が参加したタイ王国におけるインド太平洋参謀総長等会議について、概要を写真付きで公表した。
インド太平洋参謀総長等会議への参加
8月26日から28日にかけて、内倉浩昭統合幕僚長は、タイ王国において米インド太平洋軍及びタイ王国軍が共催した、インド太平洋参謀総長等会議に参加しました。また、本会議に合わせて、オーストラリア、インド、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ニュージーランド、フィリピン、パプアニューギニア、韓国、シンガポール、タイ、アメリカ、ベトナムの計13か国との間で二国間会談を、日米豪、日米豪比の2つの枠組みで多国間会談を実施しました。
1.インド太平洋参謀総長等会議
インド太平洋参謀総長等会議は、インド太平洋地域の参謀総長等が一堂に会し、同地域の安全保障に関するテーマについて意見交換を行い、相互の信頼関係の増進及び安全保障問題に係る連携の強化を図ることを目的とした多国間会議です。本年は、全体テーマとして「力による平和:インド太平洋地域における安全保障と繁栄の確保」を掲げ、「地域的脅威認識」「非伝統的脅威の探求」「インド太平洋の安全保障が世界に与える影響」「新興技術による解決策」「抑止力の再確立-共同責任」の5つのトピックについて、各国の参謀総長等の間で意見交換が行われました。
内倉統合幕僚長は、パネラーとして登壇した「地域的脅威認識」のセッションにおいて、インド太平洋地域の平和と安定を守り抜くためのキーワードとして「連結性(Inter-connectivity)」に言及し、様々な規模においての連結性を高め、多層的な協力を深化させていくことにより、枠組みや規範の形成を推進することが有効である旨を述べました。また、日本は、各国との連携を更に強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋の発展を引き続きリードしていく決意を表明しました。
さらに、「抑止力の再確立ー共同責任」のセッションにおいては、現在の安全保障環境においてはどの国も一国では自国を守ることは困難な状況にあり、同盟国・同志国の「意志」と「能力」を結集し、自由で開かれたインド太平洋を築くことが我々の使命である旨を改めて強調しました。
2.二国間会談
【日豪会談(オーストラリア国防軍司令官 デイビッド・ジョンストン海軍大将)】
内倉統合幕僚長は会談の中で、先月実施された米豪主催多国間共同訓練「タリスマン・セイバー25」の成功に祝意を表しました。さらに両者は、共同演習・訓練及び装備協力などの多岐にわたる分野において日豪防衛協力を引き続き深化させていくこと、及び日豪を含めた多国間連携もより一層進展させていくことで一致しました。今後も日印防衛協力を具体化していくことについて一致しました。
【日印会談(インド統合国防参謀本部幕僚長 アシュ―トシュ・ディクシット空軍中将)】
両者は、両国を取り巻く安全保障環境について認識を共有するとともに、本年5月に実施された日印防衛相会談の成果を踏まえ、今後も日印防衛協力を具体化していくことについて一致しました。
【日モルディブ会談(モルディブ国防軍司令官 イブラヒム・ヒルミー海軍少将)】
内倉統合幕僚長は会談の中で、海賊対処行動等に従事する自衛隊の艦艇及び航空機の寄港・寄航の受け入れについて感謝を述べました。また、気候変動や地震による災害に対する強靭性の向上が両国共通の課題であるとの認識を共有しました。
【日マレーシア会談(マレーシア国軍司令官 モハマド・ニザム・ジャファル陸軍大将)】
両者は、共同訓練「MALPAN」など海軍種間の連携を中心として、日馬防衛協力が着実に進展していることを歓迎しました。また、共同訓練やHA/DR分野をはじめとした、今後の日馬防衛協力の方向性について意見を交わしました。
【日モンゴル会談(モンゴル軍参謀総長ガンビャンバ・スンレブ陸軍中将)】
両者は、多国間訓練「カーン・クエスト」への参加など、日モンゴル防衛協力の発展を歓迎するとともに、留学生派遣などの人的交流や防衛装備・技術の分野などにおいて、引き続き日モンゴル防衛協力を進めていくことで一致しました。
【日ニュージーランド会談(ニュージーランド国防軍司令官 トニー・デイヴィーズ空軍中将)】
両者は、両国周辺の安全保障環境について認識を共有するとともに、インド太平洋地域の安定を確保するため、引き続き日NZ防衛協力を深化させていくことで一致しました。
【日フィリピン会談(フィリピン国軍参謀総長 ロミオ・S・ブラウナー陸軍大将)】
両者は、先月署名が実現した日比円滑化協定(RAA)に触れ、望ましい安全保障環境の創出に資する日比防衛協力の着実な進展を歓迎するとともに、日比防衛協力及び多国間の協力について、引き続き具体化を図っていくことで一致しました。
【日パプアニューギニア会談(パプアニューギニア国軍司令官 フィリップ・ポレワラ海軍少将)】
両者は、南太平洋地域の安全保障環境について認識を共有するとともに、共に海洋国家である両国にとって、持続可能な海洋安全保障が重要であるという認識で一致しました。
【日韓会談(韓国合同参謀本部J4部長 カン・ドン-ギル海軍中将)】
両者は、両国周辺の安全保障環境を踏まえたうえで、日韓防衛協力の今後の方向性について意見を交わしました。また、多国間訓練等を通じて、引き続き日韓防衛協力の発展に取り組むことを確認しました。
【日シンガポール会談(シンガポール国軍司令官 アーロン・ベン海軍中将)】
両者は、両国周辺の安全保障環境について認識を共有するとともに、デジタル・サイバー分野をはじめとした、今後の日星防衛協力の方向性及び具体的な取り組みについて意見を交わしました。
【日タイ会談(タイ王国軍司令官 ソンウィット・ヌーンパックディー陸軍大将)】
両者は、6月のソンウィット司令官の訪日や7月に行われた日泰幕僚協議、そして今回のCHOD会談の実現など、日泰間で緊密に意思疎通が図られていることを歓迎しました。また、人道支援・災害救援分野及び多国間訓練等における日泰防衛協力を深化させていくことで一致しました。
【日米会談(米統合参謀本部議長 J. ダン・ケイン空軍大将)】
両者は、現在の国際情勢を踏まえ、インド太平洋及び世界規模の平和と安定の確保のための日米防衛協力の重要性はかつてなく高まっているとの認識を共有し、引き続き日米同盟の抑止力・対処力の強化に資する取り組みを推進していくことで一致しました。
【日ベトナム会談(ベトナム人民軍副参謀長 タイ・ダイ・ゴック陸軍中将)】
両者は、両国周辺の安全保障環境について認識を共有するとともに、日越防衛協力が様々な分野で進展していることを確認しました。また、アジアと世界における平和と安定のため、引き続き日越関係の進展に取り組んでいくことで一致しました。
3.多国間会談
【日米豪3国間会談(米インド太平洋軍司令官 サミュエル・パパロ海軍大将/オーストラリア国防軍司令官 デイビッド・ジョンストン海軍大将)】
三者は、日米豪防衛協力の実効性の向上に向け、日米豪の作戦司令部間における連携や防衛装備協力などについて意見交換を行うとともに、引き続きハイレベルでの意思疎通を図りつつ、協力を深化させることで一致しました。
【日米豪比4国間会談(米インド太平洋軍司令官 サミュエル・パパロ海軍大将/オーストラリア国防軍司令官 デイビッド・ジョンストン海軍大将/フィリピン共和国軍参謀総長 ロミオ・S・ブラウナー陸軍大将)】
四者は、日米豪比4か国間の防衛協力のさらなる深化に向け、緊密な情報共有のための具体的な取り組みなどについて意見交換を行うとともに、議論を具体化させていくことで一致しました。
(以上)
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