中谷防衛大臣がソウルで臨時会見 日韓防衛相会談について報告(9月8日)
- 日本の防衛
2025-9-11 09:01
令和7(2025)年9月8日(月)17時05分~17時19分(現地時間)、韓国訪問中の中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、ソウルのロッテホテルで、日韓防衛相会談後の臨時会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
日韓の防衛相会談につきまして報告させていただきます。
本日14時45分から15時25分までの間に、アン・ギュベク韓国の国防部長官との間で日韓防衛相会談を実施をいたしました。
防衛大臣の訪韓と韓国での日韓防衛相会談の実現は、2015年以来10年ぶりであります。アン長官との間では先月、長官就任から時間を置かずにテレビ会談を実施をしたところでありますが、それから程なくしてですね、対面での防衛相会談が実現をして、大変嬉しく思っております。アン長官との間ではですね、実は2019年の2月に韓国のソウルで日韓安全保障戦略対話、これ民間のフォーラムでありますが、そこでアン長官が当時国防委員長として仕事をしておられまして、この戦略対話にですね、出席をされていまして、私も一衆議院議員としてですね、こちらに来て意見交換をしました。
本日は急変する安全保障環境の中で、日韓・日米韓の安全保障協力、これを推進していくということで意見の一致を見ました。そして、日韓の防衛協力・交流についても意見交換をいたしました。両大臣の相互訪問や防衛大臣会談を含む、両国の防衛当局間の定例協議並びに人的交流を更に活性化をするということで一致をするとともに、AI・無人システム・宇宙など先端科学技術分野における協力の可能性についても模索するということで一致をいたしました。
さらに、これまで日米韓の間で、複数領域における多国間訓練である「フリーダム・エッジ」、これの実施、また北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有などを実施してまいりましたが、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するために、こうした日米韓の協力を継続をしていくということでも一致をいたしました。
アン長官とは、会談に先立ちまして、昼食を共にいたしましたが、本日の日程を通じて、長官との間で確固たる信頼関係が構築をされたということであります。こぼれ話でありますが、この昼食会においてですね、信頼関係ということで向こうの長官からですね、不通則痛、通則不痛ということで、例えば、これ医学の言葉ということですが、体内の気と血と水、これがスムースに流れていればですね、痛みは感じないけれども、この流れが滞ると痛みが生じるという意味がありました。つまり、意思疎通というのが大切であるということでございます。
また、この安全保障環境についてですね、非常に複雑さを増している中で、安定を実現する上でですね、日韓・日米韓の安全保障協力の強化は益々重要となっているということで、アン長官とはこうした認識を完全に共有をし、地域の平和と安定に向けて前向きなメッセージを発信できたのではないかなというふうに思います。そして、防衛省・自衛隊としましては、OCEANの精神の下でですね、多層的な防衛協力を推進しつつ、韓国新政権との間でも、引き続き、日韓・日米韓の安全保障協力を強化をしてまいるということでございます。
記者との質疑応答
日韓の防衛協力をいかに持続させるか、また今後の相互訪問や定例協議について
記者 :
日韓関係は改善と悪化を交互に繰り返し、安保分野や防衛協力についても、GSOMIAの破棄の通告や、レーダー照射問題などで一時停滞してきた経緯があります。積み上げてきた防衛協力をいかに持続させるかを考えた時に、今後、重要なことは何だと思われますか。
また、ロシア、中国、北朝鮮など両国の周辺国の脅威は増し、トランプ政権下でインド太平洋地域の継続的な関与を不安視する向きもある中で、今後の日韓の防衛協力に期待することがあれば教えてください。
大臣 :
現在の状況を踏まえまして、非常に日韓・日米韓の連携は益々重要であるということで、本日の防衛相会談でもですね、日韓・日米韓の安全保障協力を進めていくという必要についてですね、アン長官との間で認識を共有をしたということでございます。
特に、防衛当局間の協力・連携を持続的に強化をするためには、双方の防衛当局間の信頼関係、これを粘り強く醸成をすることが必要である。そのためには、防衛当局間の協議、人的交流を更に活性化をしていく必要があると考えております。
したがいまして、日韓二国間の間では、今述べたような定例的に協議をするということ、そして人的交流、行ったり来たりということで幕僚間の協議などですね、こういった人的交流を活性化しつつ、先端科学技術分野における協力の可能性を模索するなど、日韓の防衛協力の関係を安定的・多層的に発展させていくとともに、日米韓を含むマルチでの防衛協力が進展していくということを期待をいたしているということでございます。
記者 :
日本の防衛大臣の訪韓が途絶えていた時期があったことを踏まえ、今回中谷大臣が訪韓したことでどのようなメッセージが発信できるとお考えでしょうか。また、今後、相互訪問や定例協議など、どのような頻度で実施していくお考えでしょうか。
大臣 :
今日10年ぶりに訪韓しまして、アン長官と対面でですね、防衛相会談が実現をいたしましたけれども、非常に対話を通じてですね、両国の意思を内外に明らかにする上でですね、大きな意義があったというふうに思います。特に、向こうの長官からですね、共に肝をさらけ出すということが大事だよということで、私の方からは日本語でですね、肝胆相照らすという言葉がありますけれども、やっぱりそういった率直なですね、話し合いというのが必要だということを体感をいたしました。
また、明日はソウル・ディフェンス・ダイアログの場で日本の防衛大臣として初めてスピーチをする機会を頂く予定でありまして、安全保障協力に関する私の考えを述べてみたいと。そして、相互訪問と定例協議について申し上げますと、昨年7月にシン国防部長官が韓国の国防部長官として15年ぶりに訪日をされ、今回私が防衛大臣として10年ぶりに韓国を訪問をいたしました。また、昨年10月の防衛大臣就任以降ですね、シン前長官との間では昨年10月にテレビ会談を、11月にはラオスの対面の日韓防衛相会談を実施をし、そしてアン長官との間でも、8月にテレビ会談を実施、そして日韓の防衛相会談の実績を今重ねているところでございます。
こういった地域の平和と安定を実現する上においては、日韓・日米韓の安全保障協力の強化が益々重要となっておりますので、こうした日韓の防衛大臣の相互の訪問、会談を重ねて、トップ同士で確固たる信頼関係、これを築いていくことは重要でありまして、この認識は先ほども申し上げましたけれども、アン長官とも共有をしているところでございます。
本日、会談を行いましたけれども、今後のことを考えるとですね、これは大変重要な一歩となったと認識をしておりまして、このような協議をですね、更に活性化すべく、日韓の防衛当局間で調整してまいりたいと思っております。
今回の日韓防衛大臣会談の成果を、日米韓協力にどうつなげるか
記者 :
先ほど御説明ありましたように今日の会談では日韓防衛協力の必要性を確認しました。共同プレスステートメントではですね、露朝の軍事協力の深化について日韓共に対処するということが書かれていますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、日韓だけじゃなくて、マルチに日米韓の協力が重要になると考えます。今日の日韓防衛大臣会談の成果をですね、日米韓のマルチでの枠組みでの協力に生かすためにですね、何が必要であるとお考えでしょうか。
大臣 :
今日協議をした上でですね、やはり日米韓、この3か国の連携は地域の平和と安定にとって大変重要であり、不可欠であるという認識をもちました。
これまで日米韓におきましては、まず第一に北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイムでの共有、第二に複数領域における3か国の共同訓練の「フリーダム・エッジ」の実施など、着実に今実績を積み重ねて、連携強化に取り組んでまいっております。今般、アン国防部長官との会談では、こうした日米韓の安全保障協力の重要性について一致、そして露朝軍事協力の深化についても共に対応していくということの必要性を確認をいたしました。
私としましては、3か国が情勢認識を共有しながら、実務レベル、部隊レベルを含めまして、あらゆるレベルで緊密に連携をして協力強化を継続をしていくことで、地域の平和と安定に貢献をしていくこと、このことが重要であるというふうに認識をいたしました。
記者 :
改めてこの会談の意義についてもう少しお伺いしたいのですが、昨日国内で石破総理が辞任表明されて、そういう意味ではもう政権が変わるっていうことは決まった状態なわけですけれども、それでも今日防衛会談を予定通り実施したっていうこと、それは政権変わっても防衛協力、防衛関係は継続するもんだという意思なのか、その辺りこのタイミングでもこの会談をやったことの意義というのを改めて伺わせてください。
あわせて、会談の中で昨日の石破総理の進退に関するやり取り、言及があったかどうかもあわせてお伺いできればと思います。
大臣 :
私は、現在防衛大臣でありまして、今日も政府を代表してですね、防衛大臣として訪韓をし、率直に意見交換をしですね、先ほど肝胆相照らすことが大事であると。やはり直接大臣として話し合うということは非常に大事なことなんですね。したがいまして、今後の日韓のですね、防衛協力につきましても、具体的に話をしですね、お互いに責任ある立場で協議をし、また合意できるところは合意したということでございますので、非常に意味のある訪韓であったというふうに思っております。
会談の途中でですね、こういった石破総理が総裁の職を辞することについては、向こうからコメントも無ければですね、議題にもありませんでした。なかったということです。
(以上)
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