日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

岩屋外務大臣が日米韓外相会合に出席、共同声明を発表(9月22日)

  • 日本の防衛

2025-9-25 11:30

 外務省は令和7(2025)年9月22日(月)、ニューヨークを訪問中の岩屋毅(いわや・たけし)外務大臣が参加した日米韓外相会合の概要について以下のように発表した。また、合わせて共同声明も発表した。

写真:外務省
写真:外務省

日米韓外相会合

 現地時間9月22日午後4時5分(日本時間23日午前5時5分)から約45分間、米国(ニューヨーク)を訪問中の岩屋毅外務大臣は、マルコ・ルビオ米国国務長官(The Honorable Marco Rubio, Secretary of State of the United States of America)及び趙顕(チョ・ヒョン)韓国外交部長官(His Excellency Cho Hyun, Minister of Foreign Affairs of the Republic of Korea)との間で、日米韓外相会合を行ったところ、概要は以下のとおりです。
 なお、会合終了後、日米韓外相共同声明が発出されました。

1 三者は、日米韓を取り巻く戦略環境が厳しさを増す中、三か国が結束を強化し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するとともに、強固な日米同盟・米韓同盟、そしてその戦略的連携を示し続けることの重要性を再確認しました。また、日米韓の行動志向の議論が具体的な取組に繋がってきていることを歓迎しつつ、特に、北朝鮮への対応や、安全保障、経済安全保障分野における協力を一層進展させることを確認しました。

2 特に、三者は、北朝鮮の増大する脅威について議論し、あらゆるレベルで意思疎通を一層強化していくことを確認しました。具体的には、核・ミサイル開発について、深刻な懸念を表明するとともに、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向けての三か国のコミットメントを再確認しました。また、露朝軍事協力の進展及び核・ミサイル計画の資金源となる暗号資産窃取を含む悪意あるサイバー活動等についても、緊密に連携して対応していくことを再確認しました。この観点から、8月の北朝鮮サイバー脅威に関する日米韓外交当局間作業部会の開催や北朝鮮IT労働者に関する三か国の取組の進展を歓迎しました。さらに、拉致問題について、米韓両政府の一貫した支持に対し、岩屋大臣から謝意を表明しました。

3 また、三者は、力又は威圧による一方的な現状変更の試みを含む地域情勢についても意見交換し、日米韓で緊密に連携していくことを確認しました。加えて、重要鉱物を含むサプライチェーン強靭化や、量子・AIを含む重要・新興技術の保護・促進を始めとする経済安全保障等についても意見交換し、これらの分野でも緊密に連携していくことを改めて確認しました。

日米韓外相共同声明(和文仮訳)

ニューヨーク市における日米韓会合に際しての共同声明

 マルコ・ルビオ米国国務長官、岩屋毅日本国外務大臣、趙顕韓国外交部長官は、9月22日、ニューヨーク市において、法の支配を含む共通の原則を堅持しつつ、日米韓及びより広範なインド太平洋地域の安全、安全保障及び繁栄を進展させるための共同の取組を継続するために会談した。

地域及びグローバルな関与の強化

 米国は、核能力を含む比類のない軍事力によって裏付けられた、日本及び韓国の防衛に対する米国の強固なコミットメントを改めて表明した。米国は、朝鮮半島及びより広範なインド太平洋地域の安全保障及び安定にとって決定的に重要である、日本及び韓国の防衛に対する米国の拡大抑止のコミットメントを再確認した。閣僚は、複数領域における三か国共同訓練である「フリーダム・エッジ」の定期的な実施を通じたものを含む、強固な安全保障協力を進展させることにより防衛及び抑止を強化し、また、それぞれの防衛力を強化する決意を再確認した。

 閣僚は、2025年5月に行われた、三か国間の海難事故対応を強化するための専門知識及び経験の情報交換並びにASEAN加盟国に対する能力向上支援の提供を含む、三か国海上保安機関協力を歓迎した。閣僚は、日米韓海洋安全保障及び法執行協力枠組みの下、海洋領域の多面的な課題に対処し、地域におけるパートナーに共同の能力向上支援を提供するために取り組むことにコミットした。

 閣僚は、南シナ海における不法な海洋権益に関する主張及びそのような主張を強制する試みに強く反対した。閣僚は、南シナ海を含むインド太平洋の水域における、危険かつ不安定化をもたらす行動を含むあらゆる現状変更の試みに反対した。閣僚は、自由で開かれたインド太平洋を維持し、航行及び上空飛行の自由並びにその他の適法な海洋の利用を含む国連海洋法条約に反映された国際法を堅持するとのコミットメントを強調した。

 閣僚は、台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調し、台湾周辺での一層頻繁になっている安定を損なう活動への懸念を表明した。閣僚は、両岸問題の平和的解決を促し、あらゆる一方的な現状変更の試みにも反対した。閣僚はまた、適切な国際機関への台湾の意味ある参加への支持を表明した。

 閣僚は、ASEAN中心性・一体性及びASEAN主導の地域的枠組みへの揺るぎない支持を再確認した。

 閣僚は、北極地域の戦略的重要性を認識し、この点に関する緊密な政府間の意思疎通を通じて三か国協力を前進させることにコミットした。

 閣僚は、持続的な、交渉による解決に向けたロシアとウクライナの進展を促した。

北朝鮮の脅威への対処

 閣僚は、対話及び外交を通じて朝鮮半島の平和と安定を維持するために努力することを継続しつつ、関連する国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に対する確固たるコミットメントを再確認した。閣僚は、北朝鮮の核・ミサイル計画に共に対処し、関連する国連安保理決議の違反及び回避に対して、強固に対応し他国と協力することで、北朝鮮に対する制裁レジームを維持・強化する必要性を強調した。閣僚は、全ての国連加盟国に対し、関連する国連安保理決議の下での国際的な義務を遵守するよう強く求めた。

 閣僚は、北朝鮮の軍事能力、特に、長距離ミサイルに対するロシアの支援の影響を含め、拡大する北朝鮮のロシアとの軍事協力に対する深刻な懸念を表明した。閣僚は、ロシア及び北朝鮮に対し、全てのそのような活動を直ちに停止し、国連憲章及び全ての関連する国連安保理決議を遵守するよう強く求めた。

 閣僚は、北朝鮮のサイバーアクター及びIT労働者による悪意あるサイバー活動に対する深刻な懸念を表明した。閣僚は、三か国の協調した行動を歓迎し、最近の北朝鮮IT労働者に関する共同声明で強調されたように、公共・民間部門間の連携を深化させる必要性を強調した。閣僚は、北朝鮮サイバー脅威に関する日米韓外交当局間作業部会の継続した取組の重要性を再確認した。

 閣僚は、北朝鮮に関する三か国間の緊密な政策調整の重要性を再確認し、全てのレベルでの三か国の協議を強化することにコミットした。

 閣僚はまた、拉致問題、抑留者問題、帰還していない捕虜の問題及び離散家族の問題の即時解決へのコミットメントを改めて表明した。

経済安全保障及び経済的強靱性の強化

 閣僚は、サプライチェーン強靱性、デジタルインフラ、人工知能(AI)、量子、バイオテクノロジー及びその他の新興技術に関する三か国の協力を進めることにコミットした。

 閣僚は、米国産の液化天然ガス並びにその他のエネルギー資源及び技術に支えられたエネルギー安全保障を強化することの重要性を強調した。重要鉱物及びその他の重要なサプライチェーンを一層多角化するために、閣僚は、日米韓早期警戒システムの下での積極的な連携を更に促進することを通じ、重要鉱物に関する三か国対話を強化するとともに、東南アジア及びサブサハラ・アフリカを始めとする様々な地域で協力することにコミットした。加えて、閣僚は、経済安全保障に関する対話を継続することで一致した。閣僚は、増大するエネルギー需要に応えるため、最高水準の原子力安全、核セキュリティ及び核不拡散の下、先進的な民生用原子炉の開発及び導入に関する共同の取組を加速させることにコミットした。

 閣僚は、9月の量子産業セキュリティに関する日米韓ワークショップ及び6月の第2回日米韓技術リーダーズ研修プログラムを含む、重要・新興技術の開発及び保護に関する具体的な協力の進展を歓迎した。閣僚はまた、三か国の国立研究所間の研究連携を維持することへの支持を表明した。

 閣僚は、強化された人的つながり及び強化された三か国協力に寄与したとして、日米韓ヤング・リーダーズ・プログラムを歓迎した。閣僚は、重大なサプライチェーンの途絶を引き起こす可能性のある輸出規制を含む、経済的威圧並びに非市場的政策及び慣行に断固反対し、自由で公正な国際経済秩序へのコミットメントを再確認した。閣僚はまた、韓国の2025年のAPEC議長年の成功及び今秋のAPEC首脳会議における有意義な成果のための支援を表明した。

三か国協力の推進

 閣僚は、行動志向の目標を整合させ、具体的な取組の調整及び実施に責任を有する、日米韓調整事務局の積極的な役割を歓迎した。閣僚は、全てのレベルで三か国会合を継続することにコミットした。

(以上)

Ranking読まれている記事
  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
bnrname
bnrname

pagetop