小泉防衛大臣5月4日の臨時会見 インドネシア訪問の成果、防衛協力の拡大など
- 日本の防衛
2026-5-8 10:00
令和8年5月4日(月・祝)17時17分~17時30分(現地時間)、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、ホテル・インドネシア・ケンピンスキー・ジャカルタにて、日・インドネシア防衛相会談、DCA署名式、カリバタ英雄墓地献花後の臨時会見を実施した。大臣からの発表と記者との質疑応答は以下の通り。
大臣からの発表事項
大臣 :
今回、日・インドネシア防衛大臣会談等実施しましたので、そのことについて触れます。
シャフリィ大臣との間では、昨年11月にマレーシアで実施された拡大ASEAN国防相会合で初めてお会いをして、日・インドネシア防衛相会談を実施して以来、個人的な信頼関係の構築を含め、緊密に連携してきました。昨日はシャフリィ大臣に政府専用機を用意していただき、ともにバリを訪問するとともに、夕食会などのおもてなしや早朝からウォーキング、そして防衛相会談と昼食会、なかなか今まで他の大臣会合を重ねていますけれども、朝・昼・夜と3食をともにするということは、おそらく、シャフリィ大臣が初めてだと思います。これだけ緊密に連携をさせていただいて、長い時間の日程をともにしていただいたおかげで、改めて、個人的な信頼関係の構築をさらに深化させることができました。
今回、シャフリィ大臣とともに、日・インドネシアの防衛関係を新たな段階に引き上げるために、具体的な議論を重ねることができ、大変嬉しく思います。今回の訪問において、シャフリィ大臣と防衛協力取決めDCAに署名しましたが、これは昨年11月以降、議論・調整を進めてきたものです。半年足らずで合意・署名に至ったことは、私とシャフリィ大臣の間の信頼関係だけではなく、事務方同士でも緊密に連携できていることの証左であります。これだけ短期間の間に、ここまで具体的な中身を詰めた事務方の皆さんにも心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。本取決めは、2015年に署名した防衛協力の覚書を拡充するもので、今後の協力の新たな羅針盤となるものです。
日・インドネシア防衛相会談では、本取決めの署名を踏まえ、次の5点について一致しました。
第1に、政治・政策・部隊運用の3層のトップによる統合防衛対話メカニズムを立ち上げることです。この3層での対話を制度化している国は他に多くはありません。3層というのは、私とシャフリィ大臣の大臣同士、そして、次官級の防衛戦略対話、そして、統幕長と司令官の間による統合幕僚長のハイレベル対話、この3層であります。
第2に、運用面での連携を強化するため、軍事秘密の保護の在り方に関する議論を前進させていくことでも一致をしました。
そして第3に、今後、両国の安全や地域の平和と安定を確保するために必要な状況が生じた場合には、両国が協議することでも一致しました。
第4に、新たな装備移転制度の下で、更に協力を具体的に深めていくことで一致し、そのために私とシャフリィ大臣の下にワーキンググループを設置することにしました。
第5に、地域及び世界の平和と安定にともに貢献していくため、ADMMプラス等の枠組みにおける協力に加え、日本・インドネシア・オーストラリアといった多国間の枠組みにおける協力についても検討を進めることで一致しました。
また、今般のDCA署名を踏まえ、シャフリィ大臣により、日・インドネシア防衛関係を大きく前進させたとして、勲章を授与したいとの意向が寄せられました。今後、正式な受領のため、必要な手続きをとりますが、シャフリィ大臣との友情と信頼の気持ちを表していただいたものと、大変光栄に思います。また防衛相会談後には、インドネシア国家建設に功績のあった英雄が埋葬されているカリバタ英雄墓地において献花を行い、同墓地に埋葬されている元日本兵の墓所を参拝いたしました。
インドネシアは、我が国のシーレーンの要衝に位置する戦略的に重要な国であり、また、同じ海洋国家として、防衛面での協力強化が不可欠なパートナーです。本日の会談において、シャフリィ大臣より、日・インドネシア協力のキーワードはWisdom Capability、叡知の力を結集して、困難を乗り越え、ともに未来を作っていく力だと、そんな話がありました。私も全く同意見です。シャフリィ大臣とともに、インドネシアとの防衛協力関係を更に発展させていきたいと考えています。冒頭は以上です。
記者との質疑応答
装備移転について
記者 :
装備移転について伺います。会談の中で日本の装備移転緩和について、インドネシア側からどのような反応がありましたでしょうか。また、インドネシアは自衛隊の中古の潜水艦に関心を示しているかと思いますが、今回の会談でどのようなやり取りがあったか教えてください。
大臣 :
会談では、私から今般の日本政府による防衛装備移転三原則及び運用指針の改正について説明し、これは地域と世界の平和と安定に対する日本の貢献を更に強化するものであることをお伝えをしました。これに対しシャフリィ大臣からは、新たな制度のもとでの協力を追求していきたい旨の歓迎の意向が示されました。
インドネシアとの間では、新たな防衛装備移転制度の下、両国の海洋抑止力の強化に資する防衛装備・技術協力について、日本側は萬浪防衛政策局長、インドネシア側はユスフ兵站庁長官をトップとするワーキンググループを設置し、スピード感を持って具体的に議論した上で、私とシャフリィ大臣に報告させることで一致しました。今回の防衛相会談を踏まえ、インドネシアとの防衛装備技術協力を具体的に推進していく考えです。これ以上の詳細については、相手国との関係もあることから控えさせていただきます。
インドネシアとの安全保障連携強化について
記者 :
インドネシアとの関係について伺います。インドネシアはですね今年1月に都内で開催されましたJPIDDにオブザーバー参加したほか、日本の準同盟国ともされるオーストラリアとの安全保障条約に署名するなど結びつきを強めています。一方でインドネシアは非同盟主義を掲げ、最大の貿易相手国である中国との関係も指摘されています。今回の会談で東・南シナ海における抑止力・対処力の向上に向けて、どのような進展が見られたとお考えでしょうか。また、ASEANの大国であるインドネシアと安全保障面での連携を強化する狙いについて伺います。
大臣 :
インドネシアは、我が国のシーレーンの要衝に位置する戦略的に重要な国であり、海洋安全保障分野をはじめとして、防衛面での協力強化が不可欠なパートナーです。今回の訪問では、今後の協力の幅を一層拡大するため、防衛協力取決め(DCA)に署名することができました。冒頭で申し上げた通り、本取決めの署名を踏まえ、統合防衛対話メカニズムの立ち上げ、そして軍事秘密の保護の在り方に関する議論の前進等について一致したところですが、それは大きい、意義のあることだと思います。
装備移転について申し上げれば、本日の会談では新たな装備移転制度の下、両国の海洋抑止力の強化に資する防衛装備・技術協力について、先ほど申し上げたとおり、萬浪局長とユスフ兵站庁長官をトップとするワーキンググループを設置をした上で、スピード感を持って具体的に議論した上で、私とシャフリィ大臣に報告させることで一致できたことも非常に意義があることだと思っております。防衛装備移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策的手段であり、地域の抑止力、対処力の向上に資するものです。防衛省・自衛隊としては、インドネシアを含むインド太平洋地域の同盟国・同志国との連携強化といった観点から、意義のある防衛装備移転を進めてまいります。
なお今回、この装備移転の見直しがあった上で初めてとなる外国との大臣会談となりましたが、率直にそういった中で会談を通じて感じたことの一つというのは、やはりこの装備移転について具体的な話ができるということについては、議論の質を今までと違う次元に引き上げることができる、なかなか中身について詳細は触れることは控えますが、この政策が両国、そしてまた地域の同盟国・同志国との関係を強化することに間違いなくプラスになるし、そして今までも繰り返し国会等でも説明をしているとおり、日本にとって望ましい安全保障環境の構築・創出に繋がると、こういった確信を感じました。
シャフリィ国防相との個人的な信頼関係について
記者 :
小泉大臣ですね、シャフリィ国防相と個人的に親密な関係を築かれているようにインスタグラムとかで拝見するのですけれども、どういったところが気が合われるっていうふうに考えられますか。
大臣 :
そうですね、これは理屈だけではないですけれども、マレーシアで初めてお会いをしたときから、日本の防衛大学校にインドネシアから留学生が非常に多いこと、そして私はその防衛大学校がある横須賀で生まれ育ったこと、そして、今までの会談でも、そして今日の実は昼食会でも、防大卒業生を、私が今日確認する限り6、7名ですかね、いらっしゃって、その皆さんを引き合わせてくれて、そこでシャフリィ大臣ともみんなで写真撮影をすると、そういったこともありました。改めて、こういった人的交流の礎と、そして私自身の生い立ち、こういったものも含めて、最初から相当お互いに胸襟を開く雰囲気を創出していたなというふうに思います。そしてそれ以降、頻繁に、ある意味型にこだわらずに会談を重ねてきたということも大きいと思います。
何かあれば、例えば12月の中国のレーダー照射事案、こういったことがあった直後に電話会談等をして、インドネシア側からシャフリィ大臣から日本の立場に対する理解、こういったものをすぐに示していただいたときのあのスピード感、そしてさらに、2週間ぐらい前に、アメリカからインドネシアに帰る途中に給油で立ち寄った成田空港に数時間滞在するから会えないかと言われて、私は成田空港に行って、そして成田空港で会談をするという、これも異例のことですけれども、こういった形、そういったことの積み重ね、さらに日本に来られたときに、今日我々がインドネシアの国防省で最初にメディアの皆さんの前で署名をした後ろに、スディルマン像がありましたけれど、あのスディルマン像は防衛省・市ヶ谷にもあります。そこにスディルマン像をともに、昨年来日したシャフリィ大臣とともにお参りをして、そこで献花をし、そういったことの積み重ねも含めて、やはりこれだけ短期間の間に信頼関係を、また友情を深めることができたのかなと。
またその礎には、相手のユスフ長官をはじめとする事務方同士がしっかりと緊密な連携をして、もうインドネシア側のユスフ長官をはじめ皆さんと会うと、まるで一つのチームのような、こういう垣根のない雰囲気ができるんですよね。今回のバリの訪問についても、その成田空港でお会いをした時に、実は大統領専用機だった政府専用機を用意しているから、バリに行こうと。こういったお申し出をいただいたことも本当にありがたく思っています。これを契機に、次シャフリィ大臣が来日された時に、今回の歓待に見合う歓待をどれだけできるかどうかだろうかというのは率直に言って不安でありますけれど、かなりハードルは上がったなというふうに思いますが、これからさらに具体的な装備移転の話、そしてこの統合対話メカニズムにベースとなっている、この3層構造での各レベルにおける対話と協力と、具体的な政策というのが間違いなく進んでいくと思いますから、私は全力でそれを引っ張っていきたいと思います。
(以上)
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