小泉防衛大臣5月5日の臨時会見 フィリピン訪問の成果と5類型撤廃の意義を説明
- 日本の防衛
2026-5-8 10:45
令和8年5月5日(火)19時49分~20時03分(現地時間)、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、マカティ シャングリラにて、ホセ・リサール記念像献花、マルコス大統領表敬、日比防衛相会談、日比共同記者発表後の臨時会見を実施した。大臣からの発表と記者との質疑応答は以下の通り。
大臣からの発表事項
我が国にとって、海を越えた友人であり、重要な戦略的パートナーであるフィリピンを訪問しました。
まず、マルコス大統領表敬では、これまでの日・フィリピンの防衛面での連携強化の成果を、御説明させていただくとともに、今月末の日・フィリピン首脳会談も見据えて、防衛当局間で緊密に連携していく旨お伝えしました。その後、テオドロ大臣との防衛相会談と共同記者発表を終えました。厳しい安全保障環境の中、私のカウンターパートであるテオドロ大臣と今後の具体的協力について認識を共有し、連携を一層強化していくことを、確認できたことは、大変有意義であったと感じています。
まず、テオドロ大臣との間では、東シナ海及び南シナ海における、力または威圧による、いかなる一方的な現状変更の試みにも、強く反対することを改めて確認し、地域情勢が緊迫化する中、情勢認識の継続的な共有を行っていくことを確認しました。あわせて両国の安全、及び地域の平和と安定を確保するため、必要な場合には、両国で協議を実施することでも一致しました。
また、フィリピンの海洋状況把握能力向上のため、我が国はこれまでも警戒管制レーダーの移転等を進めてきました。今般の日本の防衛装備移転三原則、及び運用指針の改正について私から説明したところ、地域と世界の平和と安定に対する日本の貢献を更に強化するものとして、テオドロ大臣から支持と、期待の表明をいただき、地域の抑止力・対処力の強化に資する、防衛装備・技術協力を更に推進・促進していくことを、両大臣で確認しました。
その上で、この新たな装備移転制度の下、本日、テオドロ大臣との間で、防衛装備・技術協力の更なる推進に関する、声明に署名を行いました。この中で、両国防衛当局の政策・運用・装備部門を含むワーキンググループを設置しました。そして、「あぶくま」型護衛艦及びTC-90を早期に移転することを目指し、これらを含む防衛装備品の移転について、教育訓練・維持整備・運用面での連携、情報共有・装備品の適切な管理の在り方を含め、包括的な装備協力を実現する議論を進めることで一致しました。
さらに、テオドロ大臣との間で、昨年9月の円滑化協定(RAA)の発行や、今年1月のACSA署名をはじめとする、防衛面での一層の連携強化を可能とする、法的基盤の整備を歓迎しました。
明日、円滑化協定発効後、自衛隊が初めて参加する、アメリカ及びフィリピン主催の、大規模多国間共同訓練「バリカタン26」をテオドロ大臣とともに視察します。円滑化協定(RAA)の発行により、今まで出来なかったフィリピン国内への武器の持ち込みが可能となったことから、フィリピン国内では初めてとなる地対艦ミサイルの実弾射撃を含む、実働訓練を実施します。日・フィリピン間の連携強化に向けた新たな第一歩を、テオドロ大臣とともに確認することを楽しみにしています。
フィリピンは、我が国のシーレーンの要衝に位置する戦略的に重要な国であり、また、同じ海洋国家として、防衛面での協力強化が不可欠なパートナーです。今回の訪問も踏まえ、フィリピンとの防衛協力関係を更に発展させていきたいと考えています。冒頭私からは以上です。
記者との質疑応答
「あぶくま」型護衛艦のフィリピン輸出について
記者 :
フィリピンへの「あぶくま」型護衛艦の輸出の関連でお尋ねします。今日、これらを協議する作業部会を新設されて、正式に協議入りとなりましたが、いつごろまでに何隻程度輸出するお考えでしょうか。また、無償譲渡の場合は、自衛隊法116条の3の改正が必要になります。来年の通常国会を目指すという一部報道もありましたが、無償譲渡、若しくは安価での譲渡を検討しているのか、その場合のスケジュール感を教えて下さい。また、中古装備品を同志国に輸出することの意義を改めて大臣の言葉で御説明ください。
大臣 :
今般の防衛相会談では、フィリピンへの「あぶくま」型護衛艦を含む、防衛装備品の移転の実現に向けて、具体的な議論を開始していくことで一致しました。今後、今御質問のあった移転時期や隻数を含めた諸条件について、日本側は万浪防衛政策局長がトップを務め、フィリピン側においては、ミソン調達・リソース管理担当次官が、ヘッドを務めて、新たに設置されたワーキンググループの下で、早期に具体的な結論を得るべく、フィリピン側と議論を精力的に実施していきます。その上で、決まっていきます。また、今般の運用指針の見直しを受けて、今後、自衛隊の中古装備品を同志国のために、有意義に活用していくことを積極的に検討していきますので、その暁に、法改正が必要なのかどうか、そういったことについても、この具体的な議論の中で、判断をされていくということになると思います。
以上を含め、フィリピン海軍の能力向上、日・フィリピン間の相互運用性の向上、地域における将来的な維持整備基盤の強化といった観点から、地域の抑止力・対処力の向上に資する移転を推進していけるように、新たに設置されたワーキンググループの下で、議論を深めていきたいと思います。
今日はこういったことを含めても、マルコス大統領の同席の下でも、議論を具体的にできたこともですね、やはり、フィリピンという、日本にとって戦略的にも不可欠なパートナーという重要性を象徴している会談だったと思います。先方の官房長官、そしてテオドロ大臣、そして私が、マルコス大統領の下で、具体的な議論をして、そして、こういったことが、やはり他の国はなかなかないケースだと思いますし、今日、海幕長も、そして遠藤大使もいらっしゃいますけれど、フィリピンに我々、駐在武官を陸・海・空それぞれから派遣をしているという世界の中でも数少ない国であります。こういったことを、しっかりと今日の取決め、また合意に至ったものを更に具体化をしていくために、力強く、現場の武官にも活躍をいただきたいと思います。
東南アジアへの装備輸出について
記者 :
東南アジアへの装備輸出についてお尋ねします。今回の訪問国ではありませんが、タイは中国から約5割、ミャンマーはロシアから5割、ベトナムは中国から約2割、マレーシアは中国から約4割などの装備品を輸入しています。東南アジア各国との関係構築が重要な一方で中国との距離の近さは国により様々で、情報漏えいなどのリスクもあります。東南アジアへの装備品輸出の重要性と、今後の課題についてどう考えるか教えて下さい。
大臣 :
我が国を取り巻く安全保障環境の変化が加速度的に生じる中で、防衛装備移転を我が国にとって望ましい、安全保障環境を創出するための重要な、政策的手段として、実効的かつ戦略的に推進していく必要があると考えています。
具体的には、防衛装備移転を通じ、同盟国・同志国と共通の装備品を保有し、生産基盤・維持整備基盤を共有することで、平素から有事に至るまで、相互に支援することが可能な環境を構築することができる関係を築くとともに、同盟国・同志国、ひいては地域全体の抑止力・対処力を向上させることが必要だと考えます。
こうした観点から、東南アジア諸国を含め、インド太平洋地域の同盟国・同志国との連携強化といった観点から、意義のある防衛装備移転を進めていく必要があり、今般のインドネシア・フィリピンの訪問で、防衛装備・技術協力を、一層進めていくことで一致できたことは、有意義であったと考えています。
また、御指摘のような、装備移転に伴う、情報漏えいのリスクについて申し上げれば、我が国から防衛装備を移転する際には、個別の案件ごとに移転先の適切性や、安全保障上の懸念等を厳格に審査した上で、移転後の適正管理が確保される場合に限って移転を認め得るとしており、原則として、目的外使用及び第三国移転について、我が国の事前同意を相手国政府に義務付けることにしています。また移転後の管理状況のモニタリング体制を強化するなど、これまで以上に移転後の適正な管理を確保する考えです。更に装備品等に係る秘密の保全、その他の、我が国の安全保障上の観点から適切なものとするため、必要に応じて、防衛装備移転円滑化基金も活用し、ブラックボックス化やリバースエンジニアリング対策といった措置を講じます。
このように、政府としては、新たな制度の下、厳格審査や適正管理の確保に関する措置等を確実に行っていくことにより、我が国の優れた技術を守るとともに、防衛装備移転を通じた、同盟国・同志国の抑止力・対処力の強化を実現していく考えです。
フィリピンとの連携強化について
記者 :
フィリピンとの関係について伺います。フィリピンとはですね、会談でも言及ありましたRAAの締結や、バリカタンへの参加、その他、能力構築支援など安全保障面での連携が深化しています。日本とは互いに太平洋の西端に位置し、台湾に近接する国でもあります。米国が自国第一主義を掲げ、太平洋への関与低下が指摘される中、日・比や日・米・比と連携を深化させる狙いや、日・比間の更なる連携強化には何が必要だとお考えなのか伺います。
大臣 :
2国間の日本とフィリピンの協力に加えて、明日、私とテオドロ大臣で行くバリカタン、そして海上共同活動(MCA)などを通じて、日・米・フィリピン、そして日・米・オーストラリア・フィリピン、SQUADというふうに言われますけど、これらの多国間における協力も強化しています。今回の防衛相会談では、2国間および多国間の防衛協力を、更に強化していくことで一致しました。まだスケジュールが許すかどうかでありますけども、シャングリラダイアローグもあります。そういった様々な場を通じてですね、テオドロ大臣と連携をしながら、これからの2国間に限らず、多国間の様々な枠組み・連携、こういったものを一緒になって考えていこうと、こういった話もしていますので、今後、引き続き、防衛装備移転等を含めて、フィリピンとの防衛協力を深化させて、地域の平和と安定を確保するために尽力していきたいと思います。
5類型撤廃の意義について
記者 :
今回のインドネシア、フィリピンの訪問は、政府が防衛装備移転三原則と運用指針を改定してから、小泉大臣による初めてのトップセールスの場となりました。改定された三原則には装備移転の推進を通じて同盟国・同志国の抑止力・対処力を強化することの重要性が増していると記載されていますが、改めて今回の訪問を通じて5類型撤廃の意義をどのように感じたかを教えてください。
大臣 :
ありがとうございます。まず、やはり今日の大統領との会談の中でも、日本の防衛装備移転、政策の見直しについて話題になりました。
やはり、その大統領が同席をしている中でも、具体的な話ができる、こういったことについては、間違いなく防衛装備移転の政策の見直しがあってこそ、この具体性というものが議論に出ますので、インドネシアでも申し上げましたけど、このフィリピンにおいても、やはり防衛装備移転の5類型の撤廃・見直し、こういったものが同志国との連携を間違いなく深めて、そしてまた政策の加速に繋がっている、事務方の今回の政策の見直し、そしてまた、インドネシアとフィリピンと、インドネシアとは取決め、これで合意をして、具体的な話をこれから進めていきますし、フィリピンとは「あぶくま」型の護衛艦、そしてTC-90といったことも含めて、具体的な議論をこれから隻数とか時期とか進めていきますけど、ここに至るまでは間違いなく事務方の努力と、やはり、お互いの国同士での事務方同士の調整が物凄い重ねられてきた努力の結晶なんですよね。その事務方の努力をより前向きに、そしてより調整に、必要のないコストをかけないっていうためにも、今回の見直しについては、私はこれから事務方同士のやり取りも相当会話がしやすくなる、連携がしやすくなるきっかけになっていると思います。
ですので、こういったことが結果として、日本にとって望ましい安全保障環境を創出することに繋がると、今までもこの見直しの前から言ってきたことですけど、改めて今回のインドネシア、フィリピンで政策の見直しの後に具体的な話を両国の大臣、そして大統領とも重なる中で、この政策の前進というものが、間違いなく同志国連携の強化に繋がっているという実感を持っています。
米中首脳会談への期待について
記者 :
今月中旬には米中首脳会談が控えています。両国の動向はインド太平洋地域の平和と安定に大きく影響を及ぼすかと思いますが、米中首脳会談にどのようなやり取りを期待するか大臣のお考えを教えてください。
大臣 :
第三国のやり取りについては、予断を持ってコメントすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、米中関係が日本を含む国際社会の安定に資するものとなることが重要であると考えており、我が国として、引き続き、関連の動向を注視していく考えです。
(以上)
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