軍用機メーカー最前線 ①
- 特集
2023-12-1 01:02
世界の防衛産業をリードするアメリカ、欧州を中心とする主要メーカーを総ざらい。SIPRI (ストックホルム国際研究所)発表の軍用品売上高実績(2021年)をベースに日本とも関わりの深い企業グループや注目のメーカーをピックアップした。*2023年4月(Jウイング2023年6月号)初出の記事です
ロッキード マーティン(Lockheed Martin / アメリカ)
広範な領域をカバーする世界最大規模の防衛企業
SIPRI調査では売り上げランキング首位
U-2やSR-71、F-117など航空機分野で名を馳せたロッキード社と、マーティン・マリエッタ社とが合併して1995年に誕生したのがロッキード・マーティンだ。アメリカのメリーランド州に本社を置き、軍用機の開発・製造に加え、各種ミサイル、ヘリコプター、艦艇、レーダー、戦闘システム、さらには衛星などの宇宙関連事業まで、幅広い分野を手掛け、かつ日本を含めた世界各国に広く顧客を抱えるグローバル企業である。
防衛関連企業としては規模も非常に大きく、スウェーデンに拠点を置くストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の調査によると、世界中の防衛関連企業の売り上げ高のランキングにおいて、ロッキード・マーティンは常に上位を維持し続けており、近年でも2020年と2021年連続で首位となっている。
ロッキード・マーティンの主要製品は数多くあれど、やはり代表的なのは各種軍用機だろう。かつてのロッキード時代に開発されたものも含めると、そのラインナップはまさにアメリカ軍用機の歴史そのものという陣容だ。現在運用されている戦闘機に限ってみても、世界で初めて実用化された第5世代戦闘機であるF-22や、現在、運用国を拡大し続けているF-35、さらに西側で開発された戦闘機の中でベストセラー機の呼び声が高いF-16など、一度は目にしたことがある機種ばかり。
また、先進的な航空機の開発や実験を担う専門部門である「ロッキード・マーティン先進開発計画(Lockheed Martin's Advanced Development Programs)」、通称「スカンクワークス」を有しており、ロッキード時代にはU-2やSR-71、さらにF-117など時代を先取りした各種の先進的な軍用機を生み出してきた。現在もスカンクワークスは引き続き活動を続けており、たとえば無人偵察機のRQ-170を生み出したほか、マッハ6の極超音速飛行を目指す無人機SR-72を開発している。
さらに、2015年にアメリカの航空機メーカーであるシコルスキー・エアクラフト社を傘下に加えたこともあって、ロッキード・マーティン社では固定翼機だけではなくヘリコプターの開発や製造などにも力を入れている。最近では、ベル・ヘリコプター社と共同開発したティルトローター機のV-280が、アメリカ陸軍において、現在運用中であるUH-60の後継機として採用決定がなされた。
F‒35、UH‒60、JAなど自衛隊装備とも深い関わり
しかし、ロッキード・マーティンが開発・製造しているのはこうした軍用機だけではない。たとえばミサイルに関しては、地上に向かって落下してくる敵の弾道ミサイルを迎撃する「THAAD(終末高高度
防衛)」や、逆に敵の陣地などをピンポイントで攻撃可能な短距離弾道ミサイルであるMGM-140「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)」を製造しているほか、現在ではより長射程の地対地ミサイルである「精密打撃ミサイル(PrSM)」の開発を進めている。
また、レーダーに関しても、イージス艦に搭載されているフェーズド・アレイ・レーダーのAN/SPY-1や、アメリカ本土に飛来する弾道ミサイルを探知・識別するためアラスカに配備されている「長距離
識別レーダー(LRDR)」や、その技術を基盤に開発された派生型である艦載レーダーのSPY-7などを開発している。また、多数の対空目標に対して同時対処が可能な対空戦闘システムである「イージス・システム」も、ロッキード・マーティンの製品の一つだ。
このように、幅広い分野で防衛関連の製品開発や製造に携わっているロッキード・マーティンだが、日本の自衛隊にも各種装備を提供している。たとえば、陸上自衛隊が運用するUH-60JAは、先述したシコルスキー・エアクラフトの製品であり、そのライセンスの下に日本の三菱重工が生産している。海上自衛隊では、艦隊を敵の対艦ミサイルから護り、そして日本の領域を弾道ミサイルから防衛するイージス艦を8隻運用しているが、それらに搭載されているイージス・システムおよびSPY-1レーダーは、いずれもロッキード・マーティンの製品。加えて、今後2020年代後半に2隻の就役が予定されている「イージス・システム搭載艦(弾道ミサイルの迎撃を専門的に行う戦闘艦)」にも、このイージス・システムに加え、艦載レーダーとしてSPY-7が搭載されることとなっている。航空自衛隊では、これからの日本の防空の要となるF-35Aをすでに運用しているほか、海上自衛隊のいずも型護衛艦への搭載されるF-35Bもこれから順次引き渡しされることになる。
【会社情報】
本社所在地:アメリカ・メリーランド州 ベセスダ
軍用品売上高(2021年実績。SIPRI発表[以下同]):603億4000万ドル
設立:1995年
グループ社員数:11万6000人
主な製品名やシステム:F-22、F-35、SPY-7、イージス・システム
レイセオン・テクノロジーズ(Raytheon Technologies / アメリカ)
※現 RTXコーポレーション:RTX Corporation(2023年7月に社名変更)
ミサイル迎撃システムからレーダー、エンジンまでカバーする総合防衛企業
傘下に4部門を展開
レイセオン・テクノロジーズは、アメリカの航空宇宙分野および防衛関連分野の主要企業。同社が誕生したのは、今からわずか3年前の2020年のこと。しかし、それ以前から「レイセオン」という社名に聞き覚えがあるという方は少なくないはず。現在のレイセオン・テクノロジーズは、かつて存在した「レイセオン・カンパニー(Raytheon Company)」と、「ユナイテッド・テクノロジーズ(United Technologies Corporation)」が合併して誕生したものだ。
レイセオン・カンパニーは1925年に創設され、当時は電流を交流から直流に変換する整流器や真空管などを販売するメーカーとして成長していった。その後、第2次世界大戦に際してレーダーの開発に当たったところから防衛産業への参入が始まり、その後はミサイルの誘導システムを開発。各種誘導兵器メーカーとして知られていく。一方、ユナイテッド・テクノロジーズは、航空機のエンジンメーカーとしてその名が知られており、その傘下にはプラット&ホイットニー社があったほか、2018年にはロックウェル・コリンズ社(現在はコリンズ・エアロスペース)を買収した。
これら2社が合併して誕生したレイセオン・テクノロジーズ社は、現在レイセオン ミサイル&ディフェンス、レイセオンインテリジェンス&スペース、プラット&ホイットニー、コリンズ・エアロスペースの4つの部門に分かれており、弾道ミサイルを迎撃するSM-3や、アメリカ海軍にこれから順次配備が始まる新型レーダーのAN/SPY-6、地対空ミサイルシステムであるパトリオット用の新型レーダーであるLTAMDS(低層防空ミサイル防衛センサー)、さらにF-35のエンジンであるF135など、さまざまな装備を開発・生産する。ちなみに、今後これら4部門は、レイセオン ミサイル&ディフェンスとインテリジェンス&スペースが統合され、3部門体制に改められることが明らかにされている。
【会社情報】
本社所在地:アメリカ・マサチューセッツ州ウォルサム
軍用品売上高(2021年実績):418億5000万ドル
設立:2020年
グループ社員数:18万2000人
主な製品名やシステム:SM-3、AN/SPY-6、LTAMDS、F135
ボーイング(Boeing / アメリカ)
軍民ともに名機を生み出してきた歴史ある飛行機メーカー
F‒15J/DJ、E‒767など自衛隊でも多機種を採用
ボーイング社は、民間旅客機や各種軍用機、さらに衛星やロケットの開発・生産を担う世界的な航空宇宙産業メーカーとして知られる。同社は1916年にアメリカの実業家であるウィリアム・E・ボーイングが創立したエアロ・プロダクト社にルーツがある。幾度かの社名変更などを経て、1934年には当時のユナイテッド・エアクラフト&トランスポートからボーイング・エアプレーン社が独立。その後、同社は1960年にヴァートル・エアクラフト社を買収し、ヘリコプターの開発にも参入。さらに1997年にはマクドネル・ダグラス社と合併し、さらに企業規模を拡大するに至った。
ボーイングは日本との関係も深い。同社が日本事務所を開設したのは1953年のことで、以来約70年にわたり活動を続けてきた。現在でも、ボーイング関連の各種航空機が自衛隊で運用されている。たとえば、航空自衛隊ではF-15J/DJ戦闘機、E-767早期警戒管制機、KC-767空中給油・輸送機、また陸上自衛隊ではAH-64D戦闘ヘリコプター、CH-47J/JA輸送ヘリコプター、スキャンイーグルUAV、さらにベル社と共同開発したV-22オスプレイが挙げられる。加えて、現在は最新鋭空中給油・輸送機であるKC-46Aの導入も進んでおり、今後機体数を大幅に増やす見込みだ。さらに航空自衛隊が運用する政府専用機も、初代がボーイング747、そして現在の2代目が777-300ERである。
もちろん民間でも日本の航空会社はボーイングの旅客機を多数運航しており、日本航空では737-800、767、777、787を、全日本空輸では737-800、767-300(貨物型含む)、777(貨物型含む)、787(ローンチカスタマー)が運航されている。また、日本の航空機メーカーとも密接な関係を築いており、ボーイングの機体各部の製造には日本企業が参画。たとえば、767では16%、777では21%、そして787では35%を日本企業(三菱重工、川崎重工、SUBARUなど)がそれぞれ分担してきた。主翼など機構のみならず、機体に用いられる炭素繊維系複合材料や、機内のインテリアなどにも日本企業が参画する。
【会社情報】
本社所在地:アメリカ・バージニア州アーリントン
軍用品売上高(2021年実績):334億2000万ドル
設立:1916年
社員数:1万5000人(防衛・宇宙・セキュリティ部門)
主な製品名やシステム:旅客機、戦闘機、空中給油・輸送機、宇宙関連分野
ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman / アメリカ)
主に爆撃機でその名を知られ最新鋭機B-21レイダーも開発中
宇宙関連分野での日本企業との連携も活発
ノースロップ・グラマン社は、軍用機の開発や宇宙関連分野に進出しているメーカーで、とくにB-2スピリットやB-21レイダーなど、ステルス全翼機の開発で知られる。ノースロップ社とグラマン社という別々の企業からスタートしており、まず1929年にリロイ・R・グラマンがグラマン・エアクラフト・エンジニアリング社を創設し、主にアメリカ海軍の艦載戦闘機などを開発・生産したほか、アポロ計画に際しては月面着陸船の開発も担当した。一方、1939年にジャック・ノースロップによって創設されたのがノースロップ社で、同社が1994年にグラマン社を買収したことにより、現在のノースロップ・グラマン社が誕生した。ノースロップ・グラマン社は、1950年代後半から海上自衛隊にアヴェンジャー哨戒機(当時はグラマン社)などを納入したことから、日本での活動が始まった。以来、自衛隊向けに各種航空機を提供しており、現在は航空自衛隊のE-2C/Dや、無人偵察機RQ-4グローバル・ホークなどが運用されている。また日本企業との連携も強めており、とくに宇宙関連分野での連携が重要になりつつある。
これまでもIHIエアロスペースが、ノースロップ・グラマンが開発・製造する衛星に推進装置を提供してきた。さらに今年3月には、IHIとノースロップ・グラマンが「小型・高機動人工衛星の協業に関する覚書」を締結。近年その重要性が増している宇宙状況監視(SSA:不審な衛星の監視など)のために、小型かつ機動性のある衛星が必要となっており、ノースロップ・グラマンの衛星バス(衛星としての基本機能を実行するために必要な機器・構造のこと)を用いて、日本も早期かつ効率的に整備していこうとしている。
【会社情報】
本社所在地:アメリカ・バージニア州ウエストフォールズチャーチ
軍用品売上高(2021年実績):298億8000万ドル
設立:1994年
グループ社員数:9万5000人
主な製品名やシステム:B-2、B-21、MQ-8、RQ-4、AARGM-ER
ジェネラル・ダイナミクス(General Dynamics / アメリカ)
主に艦艇および陸上兵器の開発・生産で知られる
F‒16を生み出したが軍用機部門は売却済み
ジェネラル・ダイナミクス社の歴史を遡ると、1899年に設立されたエレクトリック・ボート社まで遡る。同社はアメリカ海軍向けに潜水艦を建造しており、第2次世界大戦までその経営は順調だった。しかし終戦に伴い潜水艦の受注が減ったことを契機に、カナダの航空機メーカーであるカナディア社を買収して、航空機産業の世界へと足を踏み込むこととなった。もはや潜水艦を建造するだけの企業ではないということで、社名もジェネラル・ダイナミクスに改められた。
その後、ジェネラル・ダイナミクスはコンベア社を買収し、F-106デルタダートやB-58ハスラー、さらにアメリカ初の大陸間弾道ミサイル(ICBM)であるSM-65アトラスなどを相次いで開発。1970年代に入ると、アメリカ空軍の「軽量戦闘機計画(LWF)」に参加し、同社が提案したYF-16が採用され、これが現在まで運用され続けている名戦闘機F-16の歴史の始まりとなった。
その後は航空機関連の傘下企業を売却し(そのため、F-16は現在ロッキード マーティンが製造している)、代わりにクライスラー社の防衛部門であるクライスラー・コンバット・システムズ社(1982年)、バス鉄工所(1995年)、ナショナルスチール&シップビルディング(NASCCO)(1998年)をそれぞれ買収し、陸上兵器および艦艇の生産・建造に力を注ぐことになった。
現在では、ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートにおいてオハイオ級攻撃型原子力潜水艦を建造するほか、オハイオ級戦略ミサイル原子力潜水艦の後継艦であるコロンビア級の1番艦「ディストリクト・オブ・コロンビア」が2022年6月に起工し、建造が進められている。さらに、バス鉄工所においてはアーレイバーク級駆逐艦を建造中。一方、ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズでは、M1A2エイブラムス戦車や、ストライカー装甲車などが生産されている。
【会社情報】
本社所在地:アメリカ・バージニア州レストン
軍用品売上高(2021年実績):263億9000万ドル
設立:1952年 グループ社員数:10万人
主な製品名やシステム:オハイオ級、ヴァージニア級、コロンビア級、M1、ストライカー
BAEシステムズ(BAE Systems / イギリス)
防衛装備のあらゆる領域に関わるGCAPの英国代表企業
次期戦闘機開発を通じて日本との関係を深める
BAEシステムズは、陸・海・空、さらに宇宙や電子戦などあらゆる領域に関連する防衛装備品の開発・製造を行うグローバルな防衛関連企業で、製造業としてはイギリス国内では最大級。また、他国の防衛産業界との連携も推進している。1977年にスコティッシュ・アビエーション、ホーカー・シドレー・アビエーション、ホーカー・シドレー・ダイナミクス、ブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーションの4社が統合・国有化されて誕生したブリティッシュ・エアロスペース社(BAe:British Aerospace)に起源を有する。同社が1999年にマルコーニ・エレクトロニック・システムズと合併したことで、現在のBAEシステムズが創設された。欧州4か国で共同開発したユーロファイター・タイフーンのプログラムに参加するほか、イギリス海軍史上最大級の軍艦であるクイーン・エリザベス級空母や、アスチュート級攻撃型原子力潜水艦、さらに2022年12月に1番艦が進水したばかりである26型フリゲートなどの開発・建造を担うなど、イギリス軍の各種能力を下支えする基盤的存在だ。
近年、BAEシステムズは急速に日本進出の度合いを強めている。その背景にはEU離脱(Brexit)にともない、イギリス政府がインド太平洋地域への経済的な進出を強め、あわせて中国の影響力拡大を受けて各国との安全保障面での協力を推進していることが関係している。2022年1月には、「BAEシステムズ・ジャパン合同会社」を創設し、同年12月には日本(三菱重工)、イタリア(レオナルド)、そしてイギリス(BAEシステムズ)による共同戦闘機開発プログラムである「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP:Global Combat Air Programme)」への参画が発表された。
【会社情報】
本社所在地:イギリス・ファーンボロ
軍用品売上高(2021年実績):260億2000万ドル
設立:1999年 グループ社員数:9万500人
主な製品名やシステム:クイーン・エリザベス級、アスチュート級、GCAP
中国航空工業集団(Aviation Industry Corporation of China[AVIC] / 中国)
国産戦闘機を開発する傘下メーカーを束ねる
中国航空工業集団は、2008年に中国航空工業第一集団(AVICⅠ)と中国航空工業第二集団(AVICⅡ)が合併したことで創設された国有企業。その傘下には中国の主要航空機開発メーカーがグループ企業として名を連ねており、中国の国産第4世代戦闘機J-10や、初の第5世代ステルス戦闘機J-20を開発・製造している成都飛機工業(集団)や、中国海軍の空母に搭載されている艦載戦闘機のJ-15(Su-33の試作機をベースに開発された国産戦闘機)を開発・製造している瀋陽飛機工業(集団)、SA-321「シュペルフルロン」のコピーであるZ-8や、中国初の本格的な国産攻撃ヘリコプターWZ-10を開発した昌河飛機工業(集団)、そして汎用ヘリコプターのZ-9や、Tu-16爆撃機のライセンス生産版であるH-6を生産するハルビン飛機工業集団などがある。
【会社情報】
軍用品売上高(2021年実績):201億1000万ドル
設立:2008年
グループ社員数:40万7000人
主な製品名やシステム:J-10、J-20、WZ-10、H-6
その他の主要中国メーカー
中国電子科技集団(China Electronics Technology Group Corporation[CETC])
主に通信システム、コンピューター、電子機器、各種ソフトウェアなどを開発する国有企業。民間用の需要に応えるものばかりではなく、軍事用製品も多く含まれる。軍事用レーダーや通信システム、さらにミサイル関連の電子部品や半導体などを製造しており、さらに中国の衛星測位システムである北斗システムの衛星コンポーネントも担当。中国国内での監視カメラを用いた治安管理システムの構築にも関わり、とくに子会社であるハイクビジョン(杭州海康威视数字技术股份有限公司)は、世界規模での監視カメラに関するシェアを獲得していたことで、アメリカほか各国での安全保障上の懸念が高まっている。
軍用品売上高(2021年実績):149億9000万ドル
設立:2002年 グループ社員数:18万人
主な製品、技術:北斗システム、通信システム、監視カメラ
中国航天科技集団(China Aerospace Science and Technology Corporation[CASC])
改革開放路線の中の一環として設立された国有企業で、中国の宇宙開発計画に関する主契約企業。宇宙船や衛星、そしてその運搬手段であるロケットなどを、傘下のグループ企業が開発・製造する。また、こうした比較的平和的な宇宙開発事業だけではなく、純粋な軍事分野である弾道ミサイルの開発や製造も担う。中国のロケット軍で運用される最新鋭の大陸間弾道ミサイル(ICBM)であるDF-41は、グループ傘下の中国運載火箭技術研究院(China Academy of Launch Vehicle Technology:中国キャリアロケット技術研究院)が開発・製造する。同社は中国の国産ロケットである長征シリーズの製造も担ってきた。
軍用品売上高(2021年実績):191億ドル
設立:1999年 グループ社員数:17万人
主な製品、技術:各種弾道ミサイル、衛星打ち上げロケット
中国兵器工業集団有限公司(China North Industries Group Corporation[NORINCO])
中国の軍需関連企業を取りまとめる親会社で、国有企業を統括する中華人民共和国国務院国有資産監督管理委員会(国資委)の管理・監督を受ける国有企業。もともと中国人民解放軍の兵器廠を企業化したことで誕生した中国国内の軍需企業のとりまとめは、1980年に創設された中国北方工業公司(Norinco)が担った。しかしその後、中国兵器工業集団有限公司が創設されたことで、その役割はこちらに移管。
一方、中国北方工業公司は同グループの傘下入りし、以降、同社では主に兵器の輸出事業を手掛けている。中国兵器工業集団有限公司は、傘下企業により各種兵器の開発および製造が行われ、各種ミサイルや誘導兵器、99式戦車といった戦車や装甲車両、通信システムなどが主な製品。民需用のトラックや、インフラ、エネルギー開発なども担う。
軍用品売上高(2021年実績):215億7000万ドル
設立:1988年 グループ社員数:23万人
主な製品、技術:戦車、装甲車、各種ミサイル
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