《ニュース解説》国内初の実弾射撃訓練を実施「88式地対艦誘導弾」(動画公開)
- ニュース解説
2025-6-25 15:27
陸上自衛隊は今年6月24日、北海道の射撃場で国内初となる地対艦ミサイルの実射訓練を行いました。訓練に使用された「88式地対艦誘導弾」について解説します。
陸上自衛隊は令和7(2025)年6月24日(火)、北海道日高郡の静内(しずない)対空射撃場において、国内初となる地対艦ミサイルの実射訓練を行った。
訓練は「令和7年度地対艦誘導弾年次射撃訓練(国内)」の名称で、北部方面総監の井土川一友(いどがわ・かずとも)陸将の指揮のもと、第1特科団(北千歳駐屯地)によって実施された。戦術行動を伴う実射訓練を実施し、地対艦ミサイル部隊の対艦戦闘にかかわる戦術技量向上を図ることが目的だ。訓練は6月30日(月)まで続けられる。
静内対空射撃場は、苫小牧(とまこまい)市とえりも町の中間に位置している。南西が海に面しており、射撃はその方向へ向けて行われた。これまでの実射訓練はすべて海外で行われていたが、今回、各方面の協力と理解が得られ、初の国内実射訓練が実現した。国内の訓練には、海外よりも多くの隊員が参加できるので、成果が大きい。
2000年までに102基を調達 現在は北海道と東北に配備
この訓練で使用された「88式地対艦誘導弾」は、陸上自衛隊が初めて保有した地対艦ミサイル(誘導弾)システムだ。航空自衛隊の「80式空対艦誘導弾」(通称 ASM-1)をベースに、陸上発射型ミサイルとして開発された。1988年に制式採用されたので「88式」という。
製造担当は三菱重工業で、2000年までに102基が調達された。中部を除く各方面隊の地対艦ミサイル連隊に配備されたが、東部方面隊では廃止され、北部、東北、西部方面隊で運用されている。1個連隊に発射機16両が配備されているので、最大で96発を一度に射撃できる。
主要配備先
| 駐屯地 | 都道府県 | 部隊・機関名 |
|---|---|---|
| 北千歳 | 北海道 | 第1地対艦ミサイル連隊 |
| 美唄 | 北海道 | 第2地対艦ミサイル連隊 |
| 上富良野 | 北海道 | 第3地対艦ミサイル連隊 |
| 八戸 | 青森県 | 第4地対艦ミサイル連隊 |
| 湯布院 | 大分県 | 第8地対艦ミサイル連隊 |
| 富士 | 静岡県 | 特科教導隊 |
| 土浦 | 茨城県 | 武器学校 |
機動性の高いシステム 内陸部から100キロ以上先の艦艇を狙う
システムは「指揮統制装置」「捜索・標定レーダー装置」「中継装置」「ミサイル発射機」「予備ミサイル装填装置」から構成されている。いずれもトラックに車載化されているため、極めて機動性が高いのが特徴だ。
発射機は74式特大型トラックの荷台に、6連装発射筒が搭載されている。発射筒は巨大な筒形をしており、発射時には仰角がかけられる。ミサイルは射程の延伸のため、80式のロケットモーターからターボジェット・エンジンに変更されており、発射時の加速用に、弾体の後ろに追加のロケットモーターを備えている。
誘導方式はASM-1と同じで、中間はプログラミングにしたがって飛ぶ慣性誘導、終末はアクティブ・レーダー・ホーミングである。ミサイル自身が目標を識別して突入する。射程が長く、山肌を縫って飛ぶ地形回避能力を生かして、内陸部から発射できるという特徴を持つ。
DATA(誘導弾)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 全長 | 約5m |
| 胴体直径 | 約350㎜ |
| 重量 | 約660㎏ |
| 有効射程 | 100数十㎞ |
| 誘導方式 | 慣性誘導+アクティブ・レーダーホーミング方式 |
| 製造 | 三菱重工業 |
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