日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

木原防衛大臣、4月5日の記者会見 極超音速兵器への対応、フィリピンとの防衛協力など

  • 防衛省関連

2024-4-5 08:39

 令和6(2024)年4月5日(金)8時30分から、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、参議院別館3階防衛省控室において閣議後の記者会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答のみ行われた。

 言及のあった話題は、こちらの通り。
- 北朝鮮の極超音速ミサイル
- フィリピンとの防衛協力
- 日米首脳会談を前にした防衛省の基本的認識

記者との質疑応答

記者 :北朝鮮の動向について伺います。北朝鮮国営メディアは3日、極超音速ミサイルの発射実験に成功したと報じました。防衛省の最新の分析状況をお願いします。また、一昨年策定された国家防衛戦略では、概ね10年後までに統合防空ミサイル防衛能力を強化するとしていますが、こうした極超音速兵器への対処方法と、迎撃体制の早期構築の必要性について考えをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

大臣 :まず、前段の最新の分析状況ということですが、これまで政府から発表しているとおり、北朝鮮は2日の6時台に北朝鮮の西岸から、少なくとも1発の弾道ミサイルを北東方向に向けて発射しました。発射の詳細については分析中ですが、これまでに得られた情報を総合的に勘案すると、発射されたミサイルは、新型の固体燃料推進方式の中距離弾道ミサイル、いわゆるIRBM級の弾道ミサイルであったと推定しております。また、北朝鮮の発表内容については承知をしているところですが、その一つ一つにコメントするということはいたしません。いずれにしましても、発射の詳細については、発射されたミサイルが極超音速兵器であったかも含めまして、引き続き分析中であります。
 それから、後段の対処方法ということですが、一般的に、極超音速兵器というものは、低い高度で機動しながら飛翔することから、レーダーによる探知が遅くなるとともに追尾が困難になるなど、迎撃がより困難になるとされているものと承知しております。こうした脅威に対応するため、3文書に従って、ペトリオットミサイルをはじめとする地対空誘導弾の能力を向上させるとともに、高い迎撃能力を有するイージス・システム搭載艦の整備、GPIの日米共同開発の推進など、迎撃能力の更なる向上に取り組んでおります。加えて、統合防空ミサイル防衛能力として、このようなミサイル防衛と反撃能力というものを組み合わせて、ミサイル攻撃そのものを抑止してまいります。

記者 :岸田首相は11日に、初となる日米フィリピン首脳会談に臨む予定です。防衛省として、フィリピンとの今後の防衛協力についてどのように進めていきたいとお考えかお聞かせください。

大臣 :フィリピンを含む東南アジアの諸国というものは、我が国のシーレーンの要衝を占めるなど戦略的に重要な地域に位置をしております。また、フィリピンは米国の同盟国でもあることから、我が国にとってフィリピンとの防衛協力・交流を進展させることは重要だと考えています。フィリピンとの間では、これまで、様々な分野で防衛協力を強化してまいりました。例えば、人道支援・災害救援や、また、艦船整備に関する能力構築支援などを通じ、フィリピン軍の災害対処能力や海洋安全保障の向上を支援してきています。
 また、防衛装備・技術協力については、我が国から海外への初の完成品の移転案件としまして、2020年に日本製の警戒管制レーダー4基をフィリピンに納入する契約が成立し、昨年の10月に1基目が納入されたところです。さらに、昨年12月の日フィリピン首脳会談において一致したように、日フィリピンRAA(部隊間協力円滑化協定)の早期妥結に向けて交渉を進めているところです。
 二国間関係のみならず、昨年6月には日米豪比防衛相会談を行い、また、8月には南シナ海で日米豪比4か国による共同訓練を行うとともに、米哨戒機に4か国の艦隊司令官等が搭乗した状況視察も行いました。防衛省・自衛隊としては、今後ともこうした取組を通じまして、フィリピンを含む東南アジア諸国と防衛協力・交流を強化するとともに、日米比3か国及び日米豪比の4か国の防衛協力を様々なレベルで継続・強化してまいる所存です。

記者 :来週の日米首脳会談を前に、改めてとはなりますが、防衛省の基本的な認識についてお聞かせください。昨今の北朝鮮や中国、ロシアの動向を踏まえまして、現在の安全保障環境をどう認識されていますでしょうか。また、3文書を踏まえて、反撃能力の保有や防衛費の増額が決定されておりますが、今後どのように抑止力を強化されていくか、改めてお聞かせください。

大臣 :基本的な認識を改めてということでございますので、詳しく少し申し上げると、現在、国際社会は戦後最大の試練の時を迎えて、既存の秩序というものが深刻な挑戦を受けて、新たな危機の時代に突入しているところです。
 まず中国は、東シナ海・南シナ海において、力による一方的な現状変更やその試みを継続・強化をしております。北朝鮮は、今月の2日にも弾道ミサイルを発射するなど、核・ミサイル開発を進展させています。そしてロシアですが、ウクライナ侵略を行うとともに、我が国周辺でも活発な軍事活動を継続しています。こういった戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の命と平和な暮らし、そして、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く、そのために、2022年12月に戦略3文書というものを策定したところです。
 その中に、反撃能力の保有も含めて、防衛力を抜本的に強化する、そのような決断をいたしました。この検討に際しては、政府としては、国民の命と暮らしを守り抜けるのかという視点からですね、極めて現実的なシミュレーションをはじめとする様々な検討を行って、必要となる防衛力の内容を積み上げて、その結果として43兆円という防衛費の規模というものを導き出したところです。必要となる防衛力の内容については予算をしっかりと確保して、戦略3文書策定から5年後の2027年度までに、我が国への攻撃が行われたとしても、我が国が主たる責任をもって対処できるように、防衛力を緊急的に強化する必要がございます。
 また、厳しい安全保障環境に直面している中で、もはやどの国もですね、一国だけでは平和を守ることはできないと思っております。この点、我が国の安全保障を確保する観点からは、米国との同盟関係、これがまずその基軸であり、さらに、1か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要であります。したがって、日米同盟の更なる強化に加えて、同志国等との連携を強化することとしております。これらの取組により、我が国の抑止力・対処力を向上させて、武力攻撃そのものの可能性を低下させていくという、そういう考えでありまして、防衛省としては、引き続き、策定した戦略3文書に基づく防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでまいります。基本的な認識というところでございます。

bnrname
bnrname

pagetop