航空幕僚監部が美保基地所属のKC-46Aに係る事故の調査結果を発表(12月2日)
- 日本の防衛
2024-12-4 09:02
防衛省 航空幕僚監部は令和6(2024)年12月2日(月)16時30分、美保基地所属のKC-46Aに係る事故の調査結果について発表した。全文は下記の通り。
美保基地所属KC-46Aに係る事故調査結果について
事故の概要
(1)日時:令和6年8月6日(火)15時01分頃
(2)場所:北海道奥尻島南西の日本海上
(3)機種:KC-46A空中給油・輸送機
(4)概要:第3輸送航空隊第405飛行隊所属のKC-46A空中給油・輸送機がF-35Aに対する空中給油を実施中、空中給油ブーム(以下「ブーム」という。)がF-35Aの空中給油口から突然分離して急激に上昇し、KC-46Aの機体後胴に接触。KC-46Aの機体後胴とブームが損壊し、ブームが正常な位置に格納できない状態となった(F-35Aには損壊なし)。
ブームを正常な位置に格納できない状態となったことから、当該機はブームが下方に垂れ下がったまま、19時08分頃に美保基地(米子空港)に着陸。
(5)被害:KC-46A空中給油・輸送機機体後胴及びブームの損壊
事故の経過
(1)14時57分、KC-46AとF-35Aは空中給油を開始。
(2)15時00分、KC-46Aは燃料の移送を開始したが、ブームを操作する隊員(以下「ブームオペレーター」という。)が給油状況を確認する画面において、「ブームが空中給油口から分離している状態を示す表示」(以下「ディスコネクト表示」という。)となったことを確認。
(3)その後、ブームがF-35Aの空中給油口から分離するとともに急激に上昇。
(4)KC-46Aは、ブーム格納手順に従いブームの格納を実施したが、ブームが正常な位置に格納できない状態となったため、美保飛行場への着陸を決心。
(5)19時08分頃、KC-46Aはブームが格納できない状態のまま、
美保飛行場に着陸。
事故の原因
(1)KC-46AのブームとF-35Aの空中給油口が接続し、給油しているにも関わらず、給油状況を確認する画面においてディスコネクト表示となったため、ブームオペレーターが困惑。
(2)ブームを分離する際、通常の手順では、ブームを空中給油口から分離させるまでは、ブームを垂直方向へ上昇させる操作を実施することはないが、ブームオペレーターは無自覚に、ブームを空中給油口から分離する前にブームを上昇させる操作を行ったものと推定。
(3)結果、ブームを上昇させる荷重が多大にかかった状態で、ブームがF-35Aの空中給油口から分離したためブームが急激に上昇し、KC-46Aの機体後胴に接触。その際の接触により機体後胴及びブームが損壊し、ブームが正常な位置に格納できない状態になったものと考えられる。
再発防止策
(1)不測事象に対する対処要領等の策定
ブームと空中給油口が接続しているにもかかわらずディスコネクト表示が出た場合の対処手順等は規定されていなかったことから、空中給油の状態を示す表示を含め、空中給油中に、予期せぬ状況が生じた場合の対処要領等を策定。
(2)訓練実施基準等への反映
策定した対処要領等に関して、空中給油に係る各種の練成訓練等の実施基準への反映。
(以上)
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