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中谷防衛大臣が記者会見 NATO事務総長との会談、ミャンマーへの部隊派遣など(4月4日)

  • 日本の防衛

2025-4-8 09:19

 令和7(2025)年4月4日(金)08時37分~08時50分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、参議院本会議場議員食堂側において閣議後の会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

1 大臣からの発表事項

NATOの事務総長との会談について

大臣:
NATOの事務総長との会談についてお話させていただきます。来週4月8日(火)、NATOのルッテ事務総長を防衛省にお迎えをし、会談を実施をいたします。ルッテ事務総長との会談は、昨年10月、NATO国防相会合の際に実施をして以来となります。

NATOは我が国と基本的価値やグローバルな安全保障上の課題に対する責任を共有するパートナーであります。一昨年、2023年に策定をしましたITPP、「日・NATO国別適合パートナーシップ計画」の下で、サイバー、宇宙、戦略的コミュニケーションや相互運用性の向上など、様々な分野で協力を深めてまいりました。

そして、前回ですね、ルッテ事務総長とお会いした昨年10月、NATO国防相会合には、日本、豪州、ニュージーランド、韓国のIP4の国防大臣が初めて招待されるなど、今も我が国とNATOの関係は大きく進展をしているところであります。このような中で、今後の更なる協力、そして交流の拡大に向けて、ハイレベルの対話の機会を持つということは非常に有意義であります。

今回の会談では、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障が不可分であるとの認識の下で、日NATO間の安全保障・防衛協力の更なる進展に向けて、具体的な議論を行う予定であります。

また、ルッテ事務総長には、この機会に海上自衛隊横須賀基地を視察をしていただくことを予定をしております。防衛省としましては、視察を通じて自衛隊への理解を深めていただきたい、NATO、日本の協力の更なる進展につなげたいと考えております。

また、滞在中の予定でありますが、ルッテ事務総長はナトパと言いますけれども、日NATO議員連盟との会合を、私、会長を20年近くやっておりますけれども、9日の15時30分から議員会館で、これの議員連盟に出席をされる予定でございますので、国会での議員連盟の方々との懇談も予定をされているということでございます。

2 記者との質疑応答

日英伊次期戦闘機プログラムへのサウジ、インド参画の可能性について

記者
次期戦闘機の共同開発に関連でお尋ねいたします。サウジアラビアの参画の検討に向けて、5月の日英伊の防衛相会談にサウジの防衛当局が参画する方向で調整が進んでいる、また、インドが日本側にですね、参画の可能性を打診してきているということが一部報道で取り上げられています。それぞれのですね、事実関係を教えてください。また、日英伊以外の第三国の参加の可否について、改めて大臣の考えをお聞かせください。

大臣
報道については承知をいたしております。日英伊の防衛相会合の開催については、現時点で何ら決まったものはありませんが、様々な機会をとらえて日英伊3か国の高いレベルでのコミュニケーションを持つということは極めて重要なことであると考えております。

その上で、GCAP(次期戦闘機開発にかかわるグローバル戦闘航空プログラム)、これは日英伊3か国の同盟国やパートナー国との協力を念頭に置いて設計をされてきたものでありますが、現時点におきまして、お尋ねのサウジアラビアやインド、またそれ以外の第三国の参加につきましては、申し上げられる段階にはないということです。

地震被害に見舞われたミャンマーのへの部隊派遣について

記者
ミャンマーの大地震に関連してお伺いいたします。防衛省は調査チームを派遣したということなんですけれども、今後、自衛隊の部隊を現地に派遣する予定はあるのか、その検討状況について伺います。

大臣
3月28日に発生したミャンマー中部を震源とする地震被害に関して、現地における甚大な被害を踏まえまして、政府として、苦難に直面するミャンマー国民を支えるとの一貫した方針の下で対応することといたしております。こうした中で、政府は、ミャンマー国民に直接裨益(ひえき)する人道支援として、これまでに緊急援助物資の供与を決定をし、そして国際緊急援助隊・医療チームの派遣を行っています。また、国際機関を通じて緊急無償資金協力を実施する用意があるという旨を発表したところであります。

防衛省としましては、こうした政府の方針の下で、関係省庁と連携をしつつ、今後の対応に万全を期す観点から、被害状況や支援ニーズ等について情報収集を行うため、調査チームをミャンマーに派遣をしておりまして、調査を開始しております。調査チームは、日本時間4月3日に、ヤンゴンに到着をいたしております。

今後、防衛省・自衛隊としての協力の在り方につきましては、現時点で決まっておりませんが、この調査チームによる情報等を踏まえつつ、情勢の推移に応じて適切に判断してまいたいと考えております。

昨今の中国無人機の動向の分析と対応について

記者
防衛省が昨年度、南西諸島周辺で飛行を確認し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させた中国無人機の数が2021年度と比較して7倍の30機に上っていることが明らかになっています。このような動きについて防衛省としてどう分析し、どう受け止めているか伺います。また、先日の日米防衛相会談でも、中国軍の動向に留意をし、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したということでしたが、このような中国の動向に対して、同盟国や周辺国とどのように協力をして対処していくのか、大臣の考えをお聞かせください。

大臣
近年、中国による我が国周辺における軍事活動、これはますます拡大・活発化をしておりまして、この中国無人機の飛行についても、その一環であると考えております。2024年度の中国無人機の公表回数は23回であり、推定を含めて計30機の無人機を確認をいたしております。これは、2021年度の4回、計4機、これを大きく上回ったものであります。

中国無人機の活動範囲も非常に拡大の傾向にありまして、例えば、2023年4月以降は、それまで見られなかった与那国島と台湾との間の通過を確認をしているほか、2024年度には、奄美大島沖までの飛行を3回、計4機を確認しました。また、中国は、尖閣諸島周辺における海警船による領海侵入を含め、力による一方的な現状変更の試みを継続・強化させているほか、台湾周辺で軍事活動を活発化させてきております。

このような中国の対外的な姿勢、また軍事動向などは、我が国と国際社会の深刻な懸念事項でありまして、我が国の総合的な国力と同盟国・同志国との連携によりまして対応すべきものであると考えております。

先日の日米防衛相会談におきましても、私とヘグセス長官との間で、こうした情勢を踏まえて、東シナ海などでの力による、威圧による一方的な現状変更の試みに反対をするとともに、日米同盟の抑止力と対処力を一層強化をしていくという必要があるという認識で一致をいたしました。

そして、そうした中で日米同盟が並外れた力を持ち、インド太平洋の平和と安定を維持するという共通の認識に至りました。また、多国間連携の必要性についても一致をしました。引き続き、同盟国・同志国と連携をしてまいります。

防衛省としましては、我が国の領土・領海・領空を断固として守るために、まず警戒監視、これに万全を期すとともに、国際法及び自衛隊法に従いまして、対領空侵犯措置に万全を期していく考えであります。

陸自レンジャー隊員養成の一時中止について

記者
陸上自衛隊の新規レンジャー隊員の育成の中止について伺います。大臣、レンジャー出身でありますけれども、今回の決定についての受け止めをお願いいたします。合わせて、新たなレンジャー育成を一時的に止めるということで、日本の安全保障上ですとか、防衛力の観点で、そういった面での影響をどのように考えているのか教えてください。

大臣
陸上自衛隊のレンジャー隊員はですね、まず現代戦に対応するために、特殊作戦群、水陸機動団及び第1空挺団といった特別な能力を有する部隊の基盤となるべく、高度な能力を持つことを求められておりまして、現在、陸上自衛隊において、レンジャー隊員の能力強化に資するように教育を見直しをしているということであります。

この見直しに伴いまして、部隊等が行う新たにレンジャー隊員を養成する教育につきましては、一時的に中止しております。他方で、独自の教育内容を含む富士学校、水陸機動団及び第1空挺団における新たなレンジャー隊員の養成、また各部隊におけるレンジャーの資格を有する隊員の練度の維持・向上のための訓練、これは継続をしております。

陸上自衛隊において、新たなレンジャー教育を、速やかに開始出来る準備をしておりまして、現代戦に対応した、より高度な能力を持つ隊員を養成をすることで、我が国の安全保障に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

(以上)

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