中谷防衛大臣が佐世保で臨時会見 護衛艦「たつた」命名・進水式への出席を報告(7月2日)
- 日本の防衛
2025-7-7 10:30
令和7(2025)年7月2日(水)17時23分~17時36分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は陸上自衛隊 相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)本部隊舎前において、長崎県出張に伴う臨時会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
海自 最新鋭もがみ型護衛艦11番艦「たつた」の命名・進水式への出席について
大臣 :
本日、三菱重工業長崎造船所において、新型護衛艦であるFFMもがみ型11番艦「たつた」の命名・進水式に出席をいたしました。あわせて、工場の視察も行いました。もがみ型の護衛艦は、オーストラリア海軍の次期フリゲートの最終候補にも挙がっている、我が国が誇る最新鋭の護衛艦であります。顧客のニーズに応じて確実に建造をする。私は改めて、我が国の造船所の高い建造能力に感服をいたしました。こうした建造能力を下支えする防衛生産・技術基盤は、いわば我が国の防衛力そのものであります。四方を海に囲まれ、重要なシーレーンを抱える我が国において、海上防衛力の維持・強化は重要なことであり、優れた艦船を製造・維持整備する拠点となる造船所はその中核を構成するものであります。さらに、日本の造船所が米国の艦船修理を行うことで、日米同盟の抑止力・対処力の向上にもつながります。次に、工場の視察において、防衛生産基盤強化法の基盤強化措置、これが活用されており、特に、溶接工程の自動化、省人化などの製造工程効率化が進んでいるところも確認することができました。防衛省としましては、防衛生産基盤強化法等の活用を通じまして、我が国の防衛に不可欠な基盤である造船所等を引き続き支援をしてまいりたいと考えております。そして、昨日から本日にかけまして、海上自衛隊大村航空基地、そして、陸上自衛隊の相浦駐屯地の視察をいたしました。海上自衛隊の大村航空基地では、航空部隊のSH-60の整備状況などを視察しましたが、大変暑い中、炎天下、隊員達が、ひたむきに航空機の整備に従事をしておりました。隊員達からは、自分達が仕事をしている中で、防衛の第一線部隊の活動を支え、国を守ることにつながっているのだという気概と誇り、これを感じて、とても感動いたしました。また、私もよく「航空機の安全な運航」と言っておりますが、実際にそれを実現する陰には、彼らの整備要員のプロフェッショナルな仕事があるということを確認をいたしました。そして、炎天下、屋根のない整備所においても、ネジひとつ、工具をしっかり握り締めてですね、汗を流しながら整備をしていく、この隊員のひたむきな姿に感動いたしました。また、ここ、相浦駐屯地におきましては、水陸機動団の装備や教育訓練の様子を視察をするとともに、隊員の生活環境についても確認をいたしました。水陸機動団は、我が国の島嶼防衛における要の部隊でありまして、唯一無二の精鋭部隊であります。本日は、その高い練度を直接確認をし、新隊員とも面談をいたしましたけれども、隊員の一人一人が、国を守るという共通の使命を果たすべく、高い緊張感の下、任務に精励する姿を確認をでき、大変頼もしく感じました。その上で、相浦駐屯地に所在する水陸機動団について、今月、開設の佐賀駐屯地と一体的な運用体制を構築することで、南西地域を含む島嶼防衛能力が一層強化をされることになります。南西地域の防衛体制の強化につきましては、私のリーダーシップの下、今後とも、引き続き全力で取り組んでまいる所存でございます。
記者との質疑応答
9日開設の陸自 佐賀駐屯地へのV-22(オスプレイ)の移駐について
記者 :
今月9日に開設される佐賀駐屯地に、V-22オスプレイを運用している輸送航空隊が木更津駐屯地から移駐を開始します。オスプレイの佐賀駐屯地への配備は、相浦駐屯地などを拠点とする水陸機動団との一体的な運用を図るものとされています。オスプレイの佐賀への移駐後、水機団ではオスプレイを活用した訓練として、具体的にどのような内容の訓練が行われ、オスプレイを活用した訓練の頻度はどの程度高まるでしょうか。また、オスプレイの飛行ルートは、従来の輸送ヘリCH-47などと異なるのでしょうか。
大臣 :
佐賀駐屯地に配備されますV-22オスプレイを活用した水陸機動団との訓練につきましては、現在、具体的な内容を検討中でありまして、その頻度についても現時点で確たることをお答えすることは困難でありますけれども、訓練の実施に当たりましては、地元の皆様方に様々な形で情報提供をさせていただきたいと考えております。また、CH-47を含む自衛隊機に限らず、国内のヘリコプターは、有視界飛行方式で飛行することが一般的でありまして、V-22オスプレイにつきましても、基本的には固定翼モードで有視界飛行方式による飛行を行うことを想定をいたしております。この有視界飛行方式による飛行におきましては、目的地への飛行に際しては、自衛隊機に限らずパイロットの判断に委ねられ、場周経路のほかに定まった飛行ルートはありません。その上で、自衛隊のパイロットが飛行を行うに当たりましては、河川や高速道路など、識別が容易な地形等を参考にしまして、航空法で定められた最低安全高度、これを確保して飛行するとともに、地域の実情を踏まえまして、必要に応じて住宅地、市街地や病院等の上空の飛行を制限するといった措置を講じて実施をしてまいります。
記者 :
佐賀駐屯地から相浦駐屯地までは約60キロメートルと近く、相浦駐屯地がある佐世保市には海上自衛隊の佐世保基地や米海軍佐世保基地があります。オスプレイの佐賀への移駐によって、海上自衛隊や米海軍との連携の在り方はどう変わり、防衛拠点として北部九州が担う位置付け、役割はどう変化するでしょうか。
大臣 :
V-22オスプレイは、固定翼機のように速い巡航速度と長い航続距離、そして高高度を飛行可能といった高い性能を有しておりまして、我が国の島嶼部への侵攻があった際には、水陸両用戦を担う水陸機動団を速やかに展開させるための不可欠な装備品であると考えております。また、洋上における拠点となる得る海上自衛隊の艦艇から離発着することが可能となっておりまして、各種事態に対して持続的に対処し得る態勢を確保するためには、極めて効率的な装備であります。このような特徴をもつオスプレイの佐賀駐屯地への移駐は、近傍に所在する水陸機動団や海上自衛隊の部隊と一体的に運用できる体制を構築をし、島嶼防衛能力の強化を実現する上で、極めて大きな意義を持もつものであります。なお、米海軍佐世保基地は、海上自衛隊佐世保基地と同じく、南西地域における日米の活動を支える最も主要な基地の一つでありまして、抑止力を高める上で、その連携は極めて重要であると考えております。このように、特に南西地域の防衛体制を支える上で、長崎県、そして佐賀県を含む九州北部地域は極めて重要な位置であると認識をいたしております。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中において、自衛隊の統合運用、日米同盟の重要性、これはこれまでになく高まっており、引き続き、部隊間においても日米の連携を深めてまいりたいと考えております。
大臣が視察した水陸機動団について
記者 :
本日、視察された水陸機動団についてお願いします。中国の軍事的台頭を背景に、離島を奪還する作戦能力が必要と判断され発足した経緯があるかと思いますが、昨今の中国の動向など現在の安保環境を踏ふまえ、水機団に今後期待する役割を教えてください。九州を中心とした南西防衛の強化を今後どのように加速していく考えかもあわせてお尋ねします。
大臣 :
我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しており、南西地域を含む島嶼防衛能力の強化は、我が国にとりまして喫緊の課題となっております。今回視察した水陸機動団は、万が一島嶼を占拠された場合に速やかに上陸・奪回・確保する、水陸両用作戦能力を有する部隊でありまして、佐賀駐屯地に配備されるV-22オスプレイと一体的に運用することで、島嶼防衛能力の更なる強化、これが期待をされます。そして南西地域おいて、これまでも第2特科団、湯布院にありますけれども、これの新編、そして、陸自部隊陸上自衛隊の空白地域となっていた島嶼への部隊配置などを通じまして、これは沖縄のことでありますが、防衛力の強化を行ってきたところでありますが、今後とも、この第15旅団の師団化など、必要な部隊の新編や補給基盤・訓練基盤の整備等を含めまして、一層の抑止力・対処力の強化を図っていく考えであります。
大臣 :
非常に、この地でですね、この暑い中、ひたむきにこの錬成を続けている部隊を見まして、非常に心強く思いました。暑さを乗り越えて頑張ってもらいたいというのは率直に思いましたので、非常に有意義な視察となりました。どうもありがとうございました。
(以上)
◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。
Ranking読まれている記事
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月
- ブルーインパルス「大阪・関西万博」で再飛行へ 7月12・13日に予定、時間とルートを発表
- 「大阪・関西万博」初日(4月13日)のブルーインパルス展示飛行 時間とルートが発表
- 人事発令 7月1日付け、昇任1佐人事(陸自53名、海自32名、空自24名)
- 人事発令 3月24日付け、1佐人事(陸自87名、海自81名、空自86名)
- 《特集》5つの艦種で構成される海自の主力艦 基礎から分かる「護衛艦」概論