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中谷防衛大臣が記者会見 次期戦闘機GCAPの進展、中古護衛艦の移転報道、佐賀へのオスプレイ配備などについて(7月8日)

  • 日本の防衛

2025-7-10 15:15

 令和7年7月8日(火)10時24分~10時41分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

大臣からの発表事項

英国、イタリアとのGCAP(グローバル戦闘航空プログラム)の議論について

大臣
 日英伊防衛相会談の実施につきまして報告をいたします。昨日の17時頃から英国のヒーリー国防大臣、イタリアのクロセット国防大臣とともに、オンラインで日英伊防衛相会合を実施をし、次期戦闘機の共同開発事業、GCAP(グローバル戦闘航空プログラム)について議論を行いました。
 このGCAPの本年の重要なマイルストーン、これは本プログラムを一元的に管理・運営する政府間の国際組織でありますGIGO、ここと先月20日に設立をされましたエッジウィング、ジョイント・ベンチャーとの間で統合契約を締結をすることであります。これにより、プログラムの管理体制がより効率的・効果的なものになりまして、プログラムが一層加速をすることが期待をされております。
 また、統合契約を締結し、事業を加速させるためには、GIGOとジョイント・ベンチャーの双方の体制を強化をし、早期に本格稼働させる必要があります。この点、昨日の会合では、日英伊それぞれが、GIGOとジョイント・ベンチャーに必要な人員を速やかに追加派遣をするとともに、年内にGIGOとジョイント・ベンチャー間の統合契約を実現させるとの方針で一致をいたしました。
 さらに、3者での会合の後に企業を交えたセッションを実施をしまして、3人の閣僚から企業側に対して、年内契約の実現に向けて企業側でもしっかりと対応するようにという要請をいたしました。GCAPを進めるにあたりまして、GIGOとジョイント・ベンチャーは正に車の両輪であります。早期にGIGOとジョイント・ベンチャーの体制へと移行しまして、ワンチームでGCAPを更に強力に進めていけますように、引き続き、大臣間でも緊密に連携をしていければと思います。

記者との質疑応答

中古護衛艦のフィリピン輸出報道について

記者
 フィリピンに対して、海上自衛隊が使用した中古の護衛艦を輸出する方向で日本とフィリピンが一致していたとの報道がありました。輸出が想定される「あぶくま」型をフィリピン軍が視察するとの報道もありますけれども、これらの事実関係をお伺いします。あわせて、5類型に該当しない護衛艦を輸出するに当たり、防衛装備移転三原則で輸出が認められる共同開発を中古の装備品に適用することは適切なのかどうか、防衛省の見解をお伺いします。

大臣
 フィリピンとの間では、両国の防衛協力、これの強化のために、今年に入って2度、テオドロ・フィリピン国防大臣と防衛大臣会談を含めまして、あらゆるレベルで様々なやり取りを重ねておりますが、中古のものも含め、護衛艦のフィリピンへの移転については何ら決まった事実はありません。
 フィリピンとの間では、本年2月の日比防衛相会談におきまして、運用面の戦略的連携について協議をするハイレベルの枠組み及び防衛装備・技術協力に係る装備当局間のハイレベルの枠組み、これを新設をしており、引き続き、このような枠組みも活用しながら、防衛協力の強化を進めていく考えであります。こうした取組の一環としまして、海上自衛隊では、平素からフィリピンを含む同志国海軍との交流を積極的に実施をしているところ、装備品の紹介・視察を含む部隊間交流について先方と調整を行っております。
 また、お尋ねの国際共同開発・生産を中古の装備品に適用することにつきましては、あくまで一般論として申し上げれば、国際共同開発・生産に該当するか否かについては、個別具体的に判断をすることとしておりまして、具体的な移転に当たりましては、移転の可否を厳格に審査をしてまいります。

GIGAO本部設置と日本の役割

記者
 冒頭で今、大臣からありました関連なんですけれども、次期戦の開発の司令塔となる国際機関の本部がですね、イギリスに正式に設置されたということで、次期戦の2035年の配備に向けて、この国際機関がどう機能していくべきか、期待する役割や、日本としてプレゼンスをどう発揮していくのか、そして期限までの配備に向けて求めていることを改めてですね、お考えをお願いいたします。

大臣
 昨年12月に設立をされました政府間の国際組織であるGIGO、これは日英伊3か国による次期戦闘機の共同開発事業であるGCAP、これを一元的に管理・運営する体制を構築することで、より円滑な共同開発、これを実施をする本事業の進展の鍵となるものであります。
 GIGOの運営につきましては、日英伊3か国で協力をして、その体制を支えています。その中において、日本は、例えば、初代首席行政官には元防衛審議官の岡真臣氏が就任をし、また我が国から必要な人員を派遣するなど、主体的な役割を担ってきております。また、JAIEC、そしてBAEシステムズ、レオナルド社、この日英伊3か国の企業間で、先月20日に設立をされました、ジョイント・ベンチャー「エッジウィング」と、GIGOとの間におきまして、本年中に最初の統合契約を締結をし、事業の円滑化を図ることを目指して、現在作業を加速しているところでございます。
 こうした事業の進捗の方向性につきましては、冒頭申し上げたとおり、昨日7日の日英伊防衛相会合においても、3閣僚のみならず、GIGOや企業側も交えてしっかりと確認をしたところでございます。引き続き、日英伊3か国の官民で連携をしながら、効率的な次期戦闘機の開発に取り組んでまいる考えであります。

オスプレイ佐賀配備の意義と安全性への対応

記者
 佐賀駐屯地の開設が明日に迫っております。改めてになりますが、オスプレイを佐賀に移駐をさせる意義と狙い、また安全性については依然として懸念の声がありますが、どうそれを払しょくしていくお考えかお聞かせください。

大臣
 明日の7月9日に佐賀駐屯地が開設をされ、陸上自衛隊のV-22オスプレイが同駐屯地に配備をされます。我が国を取り巻く安全保障環境は、近年、一層厳しさを増してきており、南西地域を含む島嶼防衛能力の強化は、我が国の防衛にとって喫緊の課題となっております。
 オスプレイの佐賀駐屯地への配備は、相浦駐屯地など近傍に所在する水陸機動団の部隊と一体的に運用できる体制を構築をし、南西地域を含む島嶼防衛能力の強化を実現する上で、極めて大きな意義を持つものであります。また、災害救援、そして急患輸送の観点からも有益であります。なお、オスプレイの安全性につきましては、これまでも累次の機会に確認をし、安全性を確保して運用しているところであります。
 防衛省としましては、引き続き、地元の皆様の様々な声に真摯に耳を傾け、安全確保に万全を期すとともに、オスプレイの安全性に関する情報提供を含めまして、丁寧な御説明を尽くしてまいりたいと考えております。

新田原基地へのF-35B配備計画と地元対応

記者
 オスプレイの配備について、今お答えになりましたけれども、一方で、2024年度に配備予定とされていました新田原基地へのF-35Bの配備時期については、現状いつ頃を見込んでおりますでしょうか。また、配備については、地元から厳しい指摘を踏まえて、どのような負担軽減が可能か検討中と以前お答えになっていましたが、現在の検討状況もあわせてお答えください。

大臣
 F-35Bの新田原基地への配備につきましては、具体的な時期については引き続き調整中であります。いずれにしましても、令和7年度中を予定をしております。また、新田原基地におけるF-35Bによる垂直着陸訓練の実施につきましては、地元から厳しい御指摘もいただいておりまして、どのような負担軽減が可能であるのか、真摯に検討を行っているところであります。
 現時点におきまして、具体的な負担軽減の内容やお示しできる時期について、お答えができる段階ではありませんが、今後、検討結果が得られた暁には、改めて地元に説明をさせていただく考えであります。

日米共同訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック」への参加意義

記者
 航空自衛隊は9日から米軍が主催する訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック」に参加します。米軍が本土やハワイから大規模部隊を展開して日本周辺で訓練するのは近年では珍しいかと思いますが、今回の訓練に空自が参加する目的や意義について伺います。また、中国軍は空母2隻の同時展開など、太平洋での活動を活発にしていますが、今回、米軍がこの地域で大規模な訓練をすることで、どのようなメッセージを対外的に発信できるとお考えでしょうか。

大臣
 航空自衛隊は、7月9日(水)から8月4日(月)までの間、米軍が主催をする訓練「レゾリュート・フォース・パシフィック」に参加をいたします。
 具体的には、日本周辺空域において、日米の戦闘機等による防空戦闘訓練を行うほか、日米相互の基地への戦闘機の展開訓練、そして、共同での滑走路被害復旧訓練、また、患者後送訓練を実施をいたします。これによりまして、部隊の戦術技量向上や米軍との相互運用性の向上を図ります。本訓練は、特定の国や地域を想定したものではありませんが、実戦的かつ高度な訓練を実施をしまして、日米の共同対処能力を強化をするということで、地域の平和と安定に貢献することができると考えております。

防衛装備移転と日本版FMSの必要性

記者
 デイリーのニュースの質問とは違って、構造的な日本の課題について伺いたのですけれども、今オーストラリアの次期護衛艦の導入計画で日本は「もがみ」の能力向上型、フリーゲートですね、日本は新型FFMを売り込んでいますが、海外のメーカーさんから聞くと、日本の課題・弱点は、例えば、この新型FFMを日本から共同開発でも輸出してもらうのでも良いのですけれども、そうした時に日本はFMSみたいな構造がないから、船体は三菱重工、レーダーは三菱電機、ユニコーンアンテナはNECといったバラバラで契約せざるを得ない場面が出てくるので、本当は日本が本当にこれから装備品の輸出とか共同開発を本当にやるならば、日本版FMSみたいなものが必要ではないかという声を聞いたのですけれども、大臣はこの日本版FMS、これから、オーストラリアは準同盟国なので、これをきっかけに始めとしてやっていくチャンスだと思うのですけれども、多分オーストラリアのフリーゲートは間に合わないと思うのですが、今後そうした必要性については、大臣どのように思いますか。

大臣
 防衛装備の移転につきましては、国内でも様々な御意見がございますが、現在豪州へのフリーゲートの装備移転を目指しているわけですが、これについてはですね、官民合同委員会、これを設立をいたしまして、これを基にですね、行ってきております。官民協力というのは、非常に今後の防衛装備海外移転において大事なことでありますので、しっかりとこの官民合同委員会の中でですね、協議をしながら、そしてこの事業が成功できるようにですね、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 それを目指してさらにどのように発展するか等につきましては、この官民合同委員会の中でですね、大いに議論をして、今後の在り方について提言なり、また検討していただきたいというふうに思っております。

記者
 将来的に日本版FMSみたいな機関ですね、日本が本当に装備品の輸出に力を入れていくならば、海外のメーカーさんなり、政府さんからみて、日本がホスピタリティもちゃんとそういう制度を整えているんだと見せる意味でも、そういう必要性はどのようにお感じでしょうか。

大臣
 個人的には非常に有力な御意見だというふうに思いますが、そこに至るまでは、日本の防衛産業においても実績とですね、実力、これを備えて、そして企業間でもですね、今後どうしていくのか、まずは官民協力という分野で議論をしていただいておりますけれども、そういった中で、まとまっていけるかどうかですね、そういうお話だと思います。

(以上)

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