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小泉防衛大臣が記者会見 拡大ASEAN国防相会議や秋田県の熊対策支援などについて(10月31日)

  • 日本の防衛

2025-11-5 11:51

 令和7(2025)年10月31日(金)09時59分~10時32分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 冒頭まず、拡大ASEAN国防相会議。これについて言及したいと思います。私は、本日10月31日から11月2日の日程で、第12回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)及び、これに続いて第9回日ASEAN防衛担当大臣会合への出席のため、マレーシアを訪問いたします。
 ADMMプラスは、ASEAN諸国11か国及び域外の8か国の国防大臣等が一堂に会し、地域の安全保障上の課題について意見交換を行う非常に重要な場です。今回の会議では、地域や国際社会を取り巻く現下の厳しい安全保障環境や、地域と国際社会の平和と繁栄のため、ASEANの一体性と中心性を確保しながら地域全体で連携を強化していく必要性について、各国のカウンターパートにしっかりと訴えたいと考えています。
 また、同会議の後に開催される、日ASEAN防衛担当大臣会合においては、日本とASEANの間での防衛面での連携の強化に加え、日ASEANがインド太平洋の平和と繁栄に共に貢献していくため、率直かつ建設的な議論を行っていきたいと考えています。加えて、この機会を通じ、時間が許す限り、これらの会議に出席するASEANを含む各国の国防大臣ともそれぞれ会談を行い、今ですね、日印、日中、日豪、日ニュージーランドなど、各国とのバイ会談を予定をしています。
 今後、各国とスピード感をもって防衛関係を深めていく上での基盤を構築したいと考えています。ASEANは「自由で開かれたインド太平洋」、すなわちFOIPの要であり、我が国にとって非常に重要な地域です。今回の会議を通じ、FOIPを防衛面からしっかりと下支えすべく、率直かつ建設的な議論を行っていきたいと考えています。

記者との質疑応答

秋田県における熊の捕獲に伴う活動支援について

記者
 秋田県の鈴木知事より要請のあった、熊の捕獲支援のための自衛隊派遣について、部隊を派遣することが決まったのかどうか、調整状況をお聞きします。

大臣
 28日に秋田県知事から、熊の捕獲に伴う活動支援の御要望を受け、それ以降、秋田県と協力をして、早急に対応策の具体化を進めているところです。県からは、箱罠の運搬に伴う輸送支援などの依頼を受けており、自衛隊としてもこれを実施する方向で調整を進めています。
 現在、秋田県の具体的なニーズを確認するとともに、具体的に実施する場所、輸送要領等について調整しておりますが、自衛隊が協力し得るものから速やかに実行に移してまいります。防衛省・自衛隊の本来任務は国防であり、無制限に熊対策を実施することはできませんが、国民の命と暮らしを守り抜くことを任務とする観点から、今般の事態の特異性も鑑み、与えられた能力と権限をいかし、安全と安心を取り戻すべく対処してまいりたいと考えております。

記者
 昨日ですね、官邸で熊被害対策の関係閣僚会議が開かれたと思います。追加の対策パッケージを、来月中旬までにまとめるように長官から指示があったと思いますが、この中で、防衛省として、どのように役割を果たしていきたいのかということがまず一つ。
 あともう一つはですね、1961年、かなり前なんですけれども、「自衛隊年鑑」の中で、熊を駆除したという記録があったという話があります。また1962年には標津町の方でも、自衛隊が熊の駆除に当たったという、地元の開拓史に記載があったということなんですけれども、今とはかなり時代背景も違うとは思うんですけども、現行の法体系ではやはり直接の駆除は難しいという認識に変わりはないか、2点お伺いいたします。

大臣
 2点ありましたが、昨日の関係閣僚会議については、政府全体として取り組んでいくべき課題でありますので、私も出席をさせていただきました。その中で申し上げましたが、今、冒頭幹事社からもあったとおり、早急に対応策の具体化を防衛省・自衛隊としても秋田県と協力をして進めています。
 一方で、これもやはり再三申し上げておいた方がいいだろうと思うことは、防衛省・自衛隊の本来任務は国防でありますから、無制限に熊対策を実施することはできませんということでもあります。ただ今回、国民の命と暮らしを守り抜くことを任務とする観点から、今般の事態の特異性も鑑みて、与えられた能力と権限をいかし、安全と安心を取り戻すべく対処していきたいと考えています。
 また、過去の事例についても御指摘がありました。これは当時の自衛隊による熊への対応は、確認はできましたが、それ以上の詳細については、確認はできておりません。なお、自衛隊は、猟銃等を使用した鳥獣駆除の訓練を実施していないこと。また、狩猟従事者が持つ山野に生息する鳥獣の特性等を踏まえた狩猟のノウハウを有していないこと。こういったから鳥獣の駆除を担うということは困難だというふうに考えております。いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、現在、秋田県の御要望を踏まえて、何ができるのかを検討していて、任務遂行に支障のない範囲で最大限協力をしていきたいと考えています。

原子力潜水艦の導入について

記者
 話題変わりまして、原子力潜水艦についてお伺いしたいと思います。先日アメリカのトランプ大統領が韓国に対して、原子力潜水艦の建造を承認するということを表明されました。大臣は、まず韓国が原潜の運用を目指すことについて、どのように受け止めているのか教えてください。
 またですね、先日の就任会見で、VLS潜水艦の次世代の動力についてはあらゆる選択肢を排除しないという考えを示されました。これは原子力も排除しないということだと思うんですけれども、一般論として、大臣のお考えとして、原子力の動力を潜水艦の動力として使う場合の利点と、実際に反面ですね、日本が使おうとした時の課題について、どういったものがあるかお聞かせください。

大臣
 まず1点目の韓国のケースでありますが、昨日、トランプ大統領が自身のSNSにおいて、韓国による原子力潜水艦の建造を承認した旨発信したことは承知をしています。また、本件に関して韓国側は、急激に変化している安全保障環境に対応するため、原子力潜水艦の導入についてアメリカ側と協議した旨言及していると承知をしています。
 こうした米韓の動向の一つ一つについて、防衛省としてお答えすることは差し控えますが、韓国は、国際社会の様々な課題にパートナーとして協力すべき重要な隣国であります。先般、北朝鮮による弾道ミサイル発射事案があったように、北朝鮮による核・ミサイル開発をはじめ、地域の安全保障環境が厳しさと複雑さを増す中、日韓・日米韓の連携が益々重要となっていることは言うまでもありません。韓国側とは引き続き、お互いの安全保障政策も含め、緊密に意思疎通を図っていきたいと考えています。
 そして2点目に、私が就任会見において、VLS搭載潜水艦の次世代の動力として原子力も排除しないという点についての御確認と、この原子力動力の利点と、そして課題、これをどう考えるかということについてでありますが、原子力も排除しない、あらゆる選択肢を排除することなく議論すべきだということはそのとおりであります。今でもその思い変わりません。
 そして、一般論として申し上げれば、原子力潜水艦は長時間の潜行や無補給で長期間の行動が可能であるという一方で、通常動力型の潜水艦に比べて、水中での静粛性が劣るとされているほか、原子力機関そのものが高価格なこと。そして船体も大型化の必要があること。さらに原子力機関の維持整備や運用に特殊な専門技術が必要なこと。こういった特徴があることは言われていることです。
 その上で、現時点で次世代の動力について、現在民間において、開発中の全固体電池や燃料電池といった技術も含め、何かに決め打ちをしていることではありません。様々な分野で加速度的に変化する安全保障環境の中で、原子力も含めて、あらゆる選択肢を排除せず、抑止力・対処力の向上に必要な方策を検討していきますが、特定の結論ありきで進めるようなことはありません。今後の防衛力の内容については、我が国の主体的判断の下、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、安全保障環境を踏まえて具体的にかつ現実的に議論を積み上げていきたいと考えています。

10月28日に行われたトランプ大統領と高市総理の演説について

記者
 質問2問ありますが、1つずつお聞かせお願いします。29日のですね、日米防衛大臣共同記者会見で、米国の記者さんがですね、ヘグセス長官に質問した内容を私の方から大臣に質問したいと思います。質問はですね、トランプ大統領と高市総理が横須賀基地のステージで演説したことは、米側の兵士にとってどういった感情をもたらしたと大臣はお考えでしょうか。また、日米同盟に対して疑問を持っている人に対してどのようなメッセージになったとお考えでしょうか。

大臣
 28日に、高市総理はトランプ米大統領と共にアメリカの空母「ジョージ・ワシントン」の艦上で日米両国の隊員を激励し、日本の地域の平和と安全のために尽力をしている自衛隊員と在日米軍の皆様に敬意と感謝を伝え、日本の防衛力の抜本的な強化を通じたこの地域の平和と安定により一層貢献し、トランプ大統領と共に世界で最も偉大な同盟である、日米同盟を更なる高みに引き上げる決意を語られました。
 私もその際に、ヘグセス長官と隣で高市総理とトランプ大統領の言葉を聞いていましたが、私の地元横須賀で、日米同盟を象徴する町で、日米の絆の強さを体現をした象徴的な光景だったと感じました。その場にいたアメリカ側の兵士の皆さん、そして多くの自衛隊員の皆さんも参加をされておりましたが、誇らしい、そしてこれからの日米同盟が更に強化されて、地域の抑止力と対処力を明確に対外的にも示す場になったと感じていただいたのではないでしょうか。
 また、日米同盟を疑問に思っている方々にという、そういったお言葉でありましたが、そういった方々がもしもいらっしゃるとしたら、改めて日米がゆるぎないと、こういったことも伝える一つの象徴的な場になったのではないかというふうに思います。今後、トランプ大統領と高市総理の下で築かれた強固な信頼関係を、私とヘグセス長官の下で具体的に防衛力の強化、そして日米同盟強化のための取組を実行をしていく責務、これをひしひしと感じているところであります。

小泉大臣がヘグセス長官に贈ったスカジャンについて

記者
 ありがとうございます。ヘグセス長官との絡みでですね、2つ目の質問は、ちょっと質問がらっと変わるのですけれども、小泉大臣がですね、特注のスカジャンをヘグセス長官に贈りまして、大変喜んだ様子が伺えて、国内外のユーザーからも非常に高い評価でした。そこで、お聞きしたいのはスカジャンのですね、赤みがかった色がですね、ヘグセス長官に大変似合っていたのですが、どなたがどのように決めたのでしょうか。

大臣
 スカジャンについてはですね、日米の友好の象徴としてふさわしいものは何かという観点から、私自身の横須賀生まれ育ちだということと、私も地元で長年ドブ板通りの商店街の皆さんと共に、スカジャンを含めて地域振興に取り組んでまいりましたので、歴史的な背景も踏まえて、省内でも相談の上、最終的には私が選んだものであります。
 スカジャンの紹介をしておきますと、戦後間もない1940年代、米軍兵士が日本駐留の記念に本国へ持ち帰る土産物として、私の地元である横須賀で誕生したものであります。現在、横須賀の地には、自衛艦隊司令部とアメリカ第7艦隊司令部が並んで所在し、両国の艦艇や隊員が同盟の抑止力・対処力を不断に強化をしています。28日には、ヘグセス長官と私自身が、実際に肩を並べて、その横須賀で、両国の隊員を激励したところでありますので、横須賀を象徴するスカジャンは、日米同盟の強固さの象徴でもあると考えています。
 今回、このスカジャンを送ったところ、非常に喜んでくださいまして、その後すぐにですね、御自身のSNSでも私があげる前にですね、あげていただいたということから考えても、気に入っていただけたとしたら、私にとっても嬉しいですし、きっと横須賀の皆さんも喜んでいただいたのではないかなと思っています。

小泉大臣とヘグセス長官の会談について

記者
 先ほどの会談の関連で伺います。先ほどありましたように、横須賀では長時間ヘグセス長官と共に過ごされて、スカジャンの話もありましたけれども、長官との個人的な関係も深まった関係で、印象的なエピソードとか、やり取りがあれば教えてください。
 また、大臣は会見の方で日米がインド太平洋地域の平和と安定のための責務を果たすと述べられておりましたけれども、その責務とは具体的に何を指すのか、あわせてお聞かせください。

大臣
 ヘグセス長官は歩兵将官としてイラクでの第一線の勤務を経験されたことがあります。こういったことも踏まえてですね、私から紹介させていただいた一つは、総理大臣として自衛隊のイラク・サマワへの派遣を決定したのが私の父であると。そして、その父が、私が就任の訓示でも申し上げましたが、派遣隊の安否を常に気にしていた姿を見て、最高指揮官として自衛隊の命を預かる重責を感じたことが、私の安全保障に関する原点の一つでもあることに加え、私の祖父も防衛庁長官を務めていたこと。そして、私はまだ防衛大臣に就任して間もないわけでありますが、44年間、この防衛の町である横須賀で生まれ育ってきている中で、安全保障、そして防衛に関して骨身に染みて、その重要性を痛感をしていること。
 こういったことも含めてお話をさせていただいたことに加え、ヘグセス長官が物凄く重視をしている軍人に対する思い、そして戦士の精神という言葉をよくヘグセス長官が使われますが、こういった思いというのは、日本でも武士道という言葉もあれば、やはりサムライという存在は、我々も誇りに思っている歴史の一つでもありますから、そういった精神というのはお互い共通するものである。こういったことも率直にお話をさせていただきました。
 そういったことも含めて、ヘグセス長官とは大変心の通うコミュニケーションが横須賀での、アメリカの空母の中での長時間の隣同士での様々なコミュニケーション、そして当日、この会合の中でも忌憚のないやり取りができて、そしてやはり、これ2点目の質問にも絡むことですが、ではインド太平洋地域の平和と安定のための責務を、そのような信頼関係をベースにどのように果たしていくのかということについては、一言で言えば、この日米同盟の抑止力と対処力を強化をしていくということが、この我々2人に課せられた責務だと思っています。
 その観点から、日米の共同記者会見の場で、ヘグセス長官からアメリカ側から日本側に要求したことは一切ないという言葉があったことに加えて、アメリカ側のプレスからの質問に対して、日米は共に価値観を共有していることがあるので、相互理解と相互尊重の下、相手が何をなすべきかを言う必要がない。ここまで言ってくれたことは、改めてこの日米の絆と、そして今までの日米同盟が更に次元が高まっていると、こういったことを内外に示す、私は象徴的なヘグセス長官の言葉だったのではないかと捉えています。
 これから、今日マレーシアに行って、またヘグセス長官と同席をしますので、そういった機会を通じて、更に個人的な信頼関係と日米同盟の強固さを確立をしていきたいと思います。

次世代エネルギーの潜水艦について

記者
 話題少し戻りまして恐縮ですけどれも、次世代エネルギーの潜水艦について補足でお尋ねいたします。大臣先ほど原子力も排除せず、あるいは決め打ちせずにというお話でしたけれども、仮に原子力潜水艦を導入した場合はですね、現在の日本の潜水艦ですと70名ぐらい乗っていますが、アメリカベースで言いますと、150人以上、原潜だと人数が必要になりますし、そのうちの半分以上は原子力関連の人員を用意しないといけないと、かつ港湾の整備も大幅に変えないといけないということで、海自の体制をですね、大きく転換せざるを得なくなると思いますけれども、この点については現時点ではどのように現実的にお考えでしょうか。
 あるいは、それほど改革してまでですね、次世代エネルギーの潜水艦をやっぱり導入しなければ、周辺国の趨勢を考えると。日本の潜水艦体制が劣っていくという危機感なのでしょうか。

大臣
 今回のアメリカによる韓国の原子力潜水艦の建造の許可や、またAUKUS、こういったことの動きも含めてですね、日本を取り巻く安全保障環境、また戦略環境がかなり大きな変化を見せているというのは、これは言うまでもないことだと思います。その中で、高市政権の下で戦略三文書の見直し。これを来年中にやるという中で、今御指摘のあったような課題。こういったことについても、フラットに一定の前提などを置くことなく、やはりタブーなく議論することが不可欠だと感じています。
 具体的にどのような整備が、装備が必要か、どのような防衛力が必要か、こういったことも新しい戦い方がロシア、ウクライナで出てきているということに加えて、この我々を取り巻く安全保障環境の変化も含めて、やはりこれから一つ一つ議論していくのが大事だと思っています。いずれにしても、選択肢を何かを排除することなく、いかに日本の平和と、そして国民の命を守っていくのか、日本の領土・領海・領空を守れるのか、こういったことを純粋に追求をしていく中で、様々な課題には向き合うということが大事だと思います。

10月20日~31日に行われた「令和7年度自衛隊統合演習」について

記者
 もう1点、また別のトピックで恐縮ですけれども、本日ですね、31日をもって自衛隊統合演習が全国各地で行われていたものが終了いたしますが、今回の成果ですとか課題については今後検証をしていくと思いますけれども、今回は過去最大規模の人員を動員して、民間の空港や港湾の活用の数もですね、また少し増えました。その点について改めて南西シフトを進めていく中でですね、こうした民間の空港や港湾を活用しての自衛隊訓練の意義について、大臣のお考えを教えてください。

大臣
 まず、このような訓練についてですけれども、防衛省・自衛隊は今月20日から31日にかけて、今、御指摘がありましたとおり、日本全国において「令和7年度自衛隊統合演習」、これを実施をしました。本演習は、陸・海・空自衛隊が統合により演習を行うことで、自衛隊の統合運用能力を維持向上させるものであります。
 本演習は、自衛隊が実施する統合訓練の中で過去最大規模、これも御指摘をいただきました陸・海・空の自衛隊から人員約52,300人、そして車両が約4,180両、艦艇約60隻、航空機約310機が参加するほか、一部の訓練には米軍及びオーストラリア軍が参加をして、日米豪の相互運用性の向上を図るものであります。
 今後の訓練の規模については、現時点で予断をもってお答えすることは困難でありますが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえれば、言及をされた南西地域における抑止力、対処力の向上は喫緊の課題であり、九州、鹿児島県を含め、南西地域においてしっかりと訓練を行うことは、我が国の平和と安全を守る上で重要です。地域の皆さんの御理解も含め、今後とも必要な訓練を行ってまいりたいと思います。

記者
 民間空港と港湾を活用することについての意義は、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣
 これはやはり、安全保障の環境が急速に変化をしている中で、日本の対応力・対処力・抑止力を強化する上で、特定利用港湾、そして特定利用空港、こういったことを自治体の皆さんとも連携をして、また協力をしながら進めていくことは、間違いなく有益なことであると思います。引き続き、御理解を得られるように、対処力・抑止力を向上させられるように努力を続けていきたいと考えています。

秋田県の熊対策支援における自衛隊員の安全確保策ついて

記者
 秋田県の熊対策支援に関して伺います。今回、自衛隊法100条を適用する場合、隊員は銃などの火器を法的に携行できるのか。できない場合、隊員の安全確保策について教えてください。

大臣
 一般論として自衛隊は、自衛隊法第87条において、その任務の遂行に必要な武器を保有することができると規定をされており、任務の遂行に必要がある場合、武器を携行することはあり得ます。自衛隊の活動において、実際に個々の部隊等が武器を携行するかについては、個別の任務の性質や具体的な活動の内容に即して判断するものと考えております。
 なお、今般の対応について申し上げれば、現在、秋田県からの要望を受け、任務遂行上支障のない範囲で協力すべく、携行する装備や安全対策も含めて、県や猟友会等の助言も受けながら、具体的な対応策を検討、調整しているところであります。隊員の命を預かる防衛大臣としては、隊員には、いざというときは日本の身を守るための行動を躊躇なくとることとさせたいと思います。

記者
 ちょっと1点確認いたしますと、大臣おっしゃったように任務遂行上であれば、必要な火器を傾向できるという理解でよろしいでしょうか。今回の熊対策支援も含めてですね。

大臣
 これはですね、先ほど私が最初に言及したのは自衛隊法第87条の規定でありますが、仮に自衛隊法第100条、これを根拠としてということでお聞きされてるとしたら、任務の遂行に必要がある場合、武器を携行することは排除されませんが、一般的に自衛隊法第100条に基づく土木工事等を実施する場合には、武器の携行を要することは想定しがたいというふうに考えています。

記者
 もう1点伺います。例えば、箱罠の輸送支援を行った場合に、熊の生息地にある程度接近する危険もあるかと思います。その場合でも安全は担保をされるのかどうか、その辺は大臣どのようにお考えでしょうか。

大臣
 これは担保するのは当然のことであります。万全の措置をせずに隊員をそういった現場に送ることはいたしません。それは隊員の命を預かる防衛大臣として当然のことだと思います。その上で、先日、秋田県の知事などともお会いをしてお話をしましたが、秋田県側からもですね、隊員の皆さんの身の安全について、しっかりと対応策を講じることについての理解は得ています。
 その中で先ほども申し上げたとおり、秋田県からの要望を受けて、携行する装備や安全対策等も含めて、県や猟友会などの助言も受けながら、今、具体的な対応策を検討調整しているところであります。改めて申し上げますが、隊員の命を預かる防衛大臣としては、隊員には、いざというときは身を守るための行動を躊躇なくとるようにさせたいというふうに思っています。

日米防衛相会談における確認事項について

記者
 日米防衛相会談での確認事項についてお聞かせください。日米の共同訓練について、より高度かつ実践的なと、表現していたところですが、これはどういう訓練を指しているのか。特に南西地域での拡充をというふうなところもおっしゃっていましたが、この規模や機能などについては、どのような拡充を想定しているのかお伺いしたいと思います。

大臣
 今、お話がありましたとおり、同盟の最優先事項の1つとして、南西地域における日米の共同プレゼンスの拡大の取り組みの進捗を歓迎するとともに、より高度かつ実践的な共同訓練の各地、特に南西地域における拡充に向けて取り組むことについて、ヘグセス長官との間で確認したことは事実であります。具体的な共同訓練の内容につきましては、今後、日米間で調整してまいりますが、引き続き、日米がインド太平洋地域の平和と安定のために何をすべきかという観点から、あらゆる事態に対応できるよう、共同訓練を進化させていく考えであります。

熊対策支援の実施について

記者
 熊の対策の件でお伺いします。大臣、一番最初の質問に対して、箱罠のですね、運搬支援を実施する方向で調整しているとおっしゃられたわけですけれども、これまでスピード感をもっての緊急事態に対応していくと何度も強調されていたと思うんですが、もちろんいろいろ調整中のこともあるかと思うんですけれども、大臣としては早ければ、来週にももう実施する方向でお考えなのでしょうか。
 また、秋田県の方からはですね、罠の見回りですとか、駆除した熊の解体処理の要望も出ていたかと思うんですけれども、こちらについてはまだ実施するかどうかも含めて調整していると考えたらいいのでしょうか。

大臣
 これは具体的な調整は、今進めてますので、先ほど申し上げた通り、箱罠の運搬に伴う輸送支援などを実施する方向で進めているということはそのとおりであります。また、今、我々としては、もちろん協力できるところを具体的に進めることを考えていますが、これは防衛省自衛隊の本来任務は国防ですから、無制限に熊対策を実施することができないということも国民県民の皆さんにも御理解をいただきたいと思います。
 そういった中で、昨日、熊対策が連絡会議から閣僚会議に各上げをされた中で、警察も含めて関係各省が対策を強化をする。こういった中で、政府全体として、スピード感をもって進めていくことが大事だと思っています。ですので、自衛隊、これはやはり本来はこれだけ安全保障環境が厳しい中ですから、先ほどの過去最大規模の統合演習の話もありましたけれども、こういった国防に対しての備えを、練度を落とさずに実施する環境を作ること、これに対する国民の皆さんの御理解もしていただかなければいけないと思います。
 ただ一方で、これだけの熊被害ですから、これに対して既に、例えば警察の中では対応できないだとか、自治体では対応がもう限界だとか、猟友会の皆さんも疲弊をしているとか、こういったことの中で、だったら我々が出てきますということではなく、そういった現状を鑑みて、自治体の長である知事から、そういったことも含めて、自衛隊員という経験もある知事ですから、何でもかんでも自衛隊ということは決して言ってはならない。だけども、やむにやまれぬ思いで、もうここは駆除してくれとは言わないけれども、できることをお願いしたいと、むしろ駆除の後方支援、こういったところで要望が上がってきてます。駆除に対する要望は上がってきていません。こういうところも含めてご理解いただける中で、我々としては速やかにできることから、実施に移してまいりたいと考えています。

記者
 すいません、関連でもう1点だけ。秋田県内、本当に様々な場所で熊が出没しているのは、そのとおりだと思うんですけれども、そうなりますと、この貴重な自衛隊の戦力を投入する場合にですね、最も効果的な場所に、当然ながら罠を設置する必要があるかと思うんですが、ただ、これだけ様々な場所に出没しております。なかなか自衛隊を導入する地域を選択すること自体が難しいのではないかと思うんですが、そのあたり大臣どのようにお考えでしょうか。

大臣
 そういったことも含めて、知事から御要望がある中で、現場でどこのエリアが、こういったことについても、やはり担当者間で詰めないと特定できませんから、今、そういった具体的なニーズを確認をするとともに、具体的に実施する場所、輸送要領などについて調整をしているところです。こういった調整が整ったら、自衛隊として協力し得るものから速やかに実行してまいります。

(以上)

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