小泉防衛大臣が臨時会見 与那国駐屯地視察で隊員・家族支援の重要性を強調(11月23日)
- 日本の防衛
2025-11-26 12:05
令和7(2025)年11月23日(日)17時2分~17時9分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、与那国駐屯地で臨時会見を行った。本会見は、石垣駐屯地視察、与那国町長との面会、与那国駐屯地視察後に行われたもの。
大臣からの発表事項と、記者との質疑応答は以下の通り。
大臣からの発表事項
石垣駐屯地・与那国駐屯地視察の概要
本日は、陸上自衛隊石垣駐屯地と与那国駐屯地の部隊視察を行い、その実情を把握いたしました。
強い日差しと塩害という厳しい勤務環境の中においても、高い士気と緊張感をもち、24時間態勢で日本を守るために働いている一人一人の隊員を激励できたことは、私にとっても大変有意義でありました。そして改めて、今日私の横に並んでいる現場の隊員のことを、心から誇りに感じました。
石垣駐屯地では、日頃より隊員やその御家族を支えてくださっている協力団体の皆様ともお会いさせていただき、日頃からの御支援に対して、防衛大臣として感謝をお伝えをしました。また、実際に隊員の御家族とも一緒に写真を撮ったりするなど、触れ合う機会もいただきました。家族会や隊友会の方からは、「一部の自衛隊に反対の考えの方々の心ない行動などにより、隊員の子ども達や家族が肩身の狭い思いをすることがある。」という話を伺いました。
国民の命と平和な暮らしを守り抜く、そのためにも、隊員やその御家族を守り抜く、これを使命とする立場にある私、防衛大臣としても、隊員やその御家族がそのような思いをすることに大変心を痛めています。
彼らはこの国の宝であり、誇りであります。過度な抗議活動を含め、一部の方々の心ない行動により、隊員だけでなく、その子ども達や家族まで肩身の狭い思いをする、このような状況を必ず変えなければならない。その思いを新たにし、今後情報発信や環境づくりなど、全力でやっていきたいと思います。
午後には上地与那国町長にお会いをしました。昨日、嘉数市長や中山市長にもお伝えしましたが、防衛省・自衛隊の活動に様々な思いがある中で、与那国島の皆様に、防衛省・自衛隊の活動に御理解・御協力をいただき、自衛隊の部隊、隊員、そして御家族の一人一人を温かく受け入れていただいていることに、感謝申し上げるとともに、町長からはいただいた様々な御要望がありますので、しっかりと取り組んでいくことをお伝えをさせていただきました。
また、自衛隊の防衛力強化や平素からの訓練、日米共同訓練を含む様々な演習により、我が国及び日米同盟の抑止力・対処力を向上させることの重要性について説明させていただき、私の責任においてしっかりとした説明を行っていくことをお伝えをしました。本日は、石垣島、与那国島を訪問させていただき、3点について、思いを新たにしたところであります。
一つ目は、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らし、我が国の領土、領海、領空を守り抜くこと。
二つ目は、そのためにも、地元の皆様への丁寧な御説明、適時適切な情報提供に努め、防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力をいただくこと。
そして三つ目は、離島などの厳しい勤務環境にある隊員の処遇をより良いものに改善すること。この3点について、私はこれからも防衛大臣として、常に全自衛隊員の先頭に立って、隊員と共に我が国を守る、国防という崇高な使命を果たしてまいりたいと思います。
今後とも、機会あるごとに現場にお訪ねをして、そして隊員や地元の皆様の声に直接耳を傾けつつ、我が国の防衛に万全を期してまいります。
記者との質疑応答
与那国町長の要望と中距離地対空ミサイル配備・地域緊張への影響
記者 :
与那国町の上地町長は、防衛力強化について、丁寧な説明を求めていますが、今日の意見交換では町側からどのような要望があり、大臣は意見、意向についてどのように受け止めたかというところをまずお願いします。
そして今後どのように対応していくお考えかというところですね。その上で配備を計画している中SAM部隊について、いつ頃までに配備をしたいかと考えているか教えてください。また、台湾に近い与那国島にミサイル部隊を配備することで、地域の緊張を高めることにならないか見解をお願いします。
大臣 :
まず町長からは、防衛省・自衛隊が取り組む案件につきまして、様々な御要望がありました。自衛隊の部隊配備等について、島民の皆様に様々な御意見がある中で、防衛省としては、島民の皆様の声によく耳を傾けながら、私の責任において引き続き、丁寧な御説明や適切な情報提供をしっかりと行っていく考えであります。
そして二つ目のお尋ねがありましたが、与那国駐屯地への配備を計画している中距離地対空誘導弾部隊、こちらは島の安全を守るための部隊であり、配備によって、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えており、地域の緊張を高めることになるという御指摘は当たらないものと考えています。
現在配備に向けた準備を着実に進めているところであり、具体的な配備時期が見通せるようになりましたら、地元の皆様にしっかりとお示しをしたいと考えています。
与那国島の戦略的位置付けと今回視察の意義
記者 :
台湾有事に対応する上での与那国島の防衛戦略上の役割や位置付けについて、大臣の見解を伺います。与那国島は台湾からわずか110km余りの距離にあります。このため台湾有事の際には国内で最も影響を受ける場所になります。日中関係の緊張が高まる中ではありますが、今回このタイミングで部隊視察をされた理由と視察して実感したことを聞かせてください。
大臣 :
台湾有事という仮定を前提に置いた御質問については、お答えすることは差し控えたいと思います。
なお、視察についてもお尋ねがありましたが、私は常に現場の部隊視察を行い、その現場でお伺いをする声を大切にしたいというふうに思っていますので、今後、例えばですね、この南西地域に限らず北海道も含めまして、あらゆる地域で24時間365日任務に当たっている隊員の皆さんのことを、この目でしっかりと見た上で激励をし、また、意見交換をさせていただき、そしてできればその御家族の皆さんとも直接触れ合いをする。そしてお声を聞く。そんなお時間もいただければと思います。
これからも、国会の関係もありますけども、できる限り、そういった現場を見る時間をいただければと思います。
(以上)
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