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《「こんごう」乗艦レポート》
リムパック2026 #13 第1水上戦群司令が語る HA/DRにおける日本への期待

  • 特集

2026-10-2 06:19

今回「こんごう」は参加する機会がなかったが、派遣部隊指揮官である第1水上戦群司令小林海将補は、リムパックでHA/DRの訓練の指揮官を務めた。各国が日本のHA/DRに期待するものとは柿谷哲也 KAKITANI Tetsuya

 環太平洋合同演習リムパック2026に参加する海上自衛隊護衛艦「こんごう」(DDG173)は、今年度から水上艦隊の第1水上戦群に所属している。パールハーバー基地マカラパゲートに近い施設で、派遣部隊指揮官で、第1水上戦群司令小林卓雄(こばやし・たくお)海将補に、わずかな時間だがお話を聞くことができた。

リムパック2026のHA/DRで指揮官を務めた第1水上戦群司令小林卓雄海将補(写真中央) 写真:U.S. Navy

「リムパックでの私の重要な任務は、連合部隊の副司令官(VCCTFバイスコマンダーコンバインドタスクフォース)を務めることです。リムパック全体の司令官である太平洋艦隊の副司令官ジャブロン中将をお支えするのが私の仕事です。バイスは指揮系統にほとんど入らず、サポート役ですから、演習がうまくいくよう司令官に助言し、調整したり、日本での経験をアドバイスするなどしています。そのほかにも、演習を視察するアメリカの議員や、ハワイ総領事の皆さんの対応もします。
 リムパックでは人道支援・災害派遣(HA/DR)の訓練があり、その指揮官は私が務めます。リムパックで日本がHA/DRの指揮官を執り始めたのは2014年からです。東日本大震災の翌年リムパック2012はそれどころではなかったのですが、リムパック2014から実際の日本の知見を活かして貢献できるので、HA/DRの指揮を執るようになりました。
 今回HA/DR訓練のシナリオは、太平洋地域での大規模自然災害発生を想定し、多国籍部隊と民間機関が連携して対処する能力を高めることを目的としています。訓練はいくつかあります。まず都市型捜索救助、被災地域での行方不明者捜索、救出活動、初動対応の訓練。そして大量傷病者へ対応するため、ハワイ州の医療緊急事態管理機関と連携し、多数の負傷者が発生した状況を想定した医療支援訓練。航空機やヘリコプターを利用して被害状況を把握し、救援計画を立案する航空被害評価訓練。機能停止した港湾施設を再開させ、救援物資や部隊の受け入れ能力を回復する港湾復旧訓練。そして後方支援、救援物資、医療資材、人員輸送を多国籍で調整する訓練です。
 現実は戦争よりも、自然災害に襲われる方が確率としては高いですからね。皆さん日頃から自然災害の備えを常に考えているのです。どうやったら参加できるかと聞いてくる総領事がいらっしゃるくらいです。日本は災害大国であることを皆さん知っているので、演習でその指揮官として日本人が選ばれ、日本の部隊が選ばれているということで、皆さん関心があるようです」
 今回のリムパックでは、海上自衛隊の水上艦は護衛艦「こんごう」1隻だったため、「こんごう」がHA/DRに参加することはなかった。しかし、筆者はリムパック2014でHA/DRを取材したことがある。中畑康樹(なかはたやすき)海将補(当時)がHA/DR指揮官となり、洋上の医療拠点となった護衛艦「いせ」の航空プラットフォームを使って、アメリカ陸軍ヘリコプターが頻繁に発着艦する様子に、ヘリコプター護衛艦の有効性を強く感じた。
 それに先立ち、2005年のスマトラ沖地震津波では、日本は護衛艦「くらま」にUH-60JA 2機、海上自衛隊SH-60J 1機、輸送艦「くにさき」にCH-47Jを3機搭載して、アチェ沖からHA/DRを行っている。当時派遣された航空部隊の隊員は開発中だった「ひゅうが」型に、HA/DR能力を強く要望したという。リムパック2014のHA/DRに参加した「いせ」はまさにそれを実証していたのだ。
 現在の日本には4隻の全通甲板型DDHがある。リムパック2026で小林群司令が語る「戦争よりも、自然災害に襲われる方が確率としては高い」とは、災害大国日本に大いに関係がある。「ひゅうが」型、「いずも」型DDH4隻が国民の目の前にあることは心強い。そして次回リムパック2028で再びDDHのHA/DR能力を各国視察団に見てもらえる機会が訪れるように期待したい。

「こんごう」乗艦レポート リムパック2026 〜 タイトル一覧 〜

 #1 パールハーバー出港
 #2 迎撃ミサイルSM-2発射
 #3 撃沈訓練 SINKEX
 #4 艦上体育と医療搬送体制
 #5 ハープーン対艦ミサイル発射
 #6 緊迫の対潜戦訓練
 #7 毎日が実戦! 厨房の戦い
 #8 127mm砲が吼える“対地射撃”
 #9 対空戦訓練 ADEX
 #10 「絆」で結ばれた洋上補給
 #11 イージス艦から見る星々と人工衛星の恩恵
 #12 「ミスターこんごう」
 #13 第1水上戦群司令が語る HA/DRにおける日本への期待

柿谷哲也KAKITANI Tetsuya

フリーランス・フォトジャーナリスト。1966年生まれ。航空機使用事業を経て、自衛隊や外国軍を取材し内外に記事と写真を発表する。外国軍の取材は公式・非公式合わせて74か国。著書多数。

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