《ニュース解説》陸自の来年度予算案──ウクライナの教訓を活かし攻撃用UAV導入、装備品を保存
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2025-1-6 14:01
2025年最初の《ニュース解説》は、昨年末に閣議決定された来年度(令和7年度)予算案。稲葉義泰氏の解説で、陸・海・空・新領域の順に注目のポイントをお送りします。陸自は、ウクライナに学ぶところが大きいようです。
2024年12月27日、防衛省は令和7年度防衛予算案を公表した。総額は8兆4748億円と過去最大規模の金額で、これには陸海空自衛隊へのさまざまな装備品調達のための予算が含まれている。
2022年12月に決定された「安全保障三文書」において明記された7つの重視分野、すなわち①スタンド・オフ防衛能力、②統合防空ミサイル防衛能力、③無人アセット防衛能力、④領域横断作戦能力、⑤指揮統制・情報関連機能、⑥機動展開能力・国民保護、⑦持続性・強靭性について、令和7年度予算においても引き続き重点的に予算が配分されており、陸海空自衛隊それぞれがこれらの重点事項に関する能力向上を目指している。
今回、陸上自衛隊では無人アセット防衛能力の一端である小型攻撃用UAVの導入や、機動展開可能な新型装輪装甲車の導入、さらに装備品のモスボール保存により継戦能力の拡充に努める構えだ。
小型攻撃用UAVの取得(32億円)
ウクライナ戦争以降、各国では各種の無人機(UAV)の導入を進めており、とくに機体に炸薬等を搭載して敵の人員や車両を攻撃する「自爆型無人機」が注目を集めている。令和7年度予算では、陸上自衛隊用に小型攻撃用UAVを取得することが決定された。小型攻撃用UAVは、「空中を遊弋(ゆうよく)して車両等を迅速に撃破可能」な機体と説明されており、防衛省によると機体については、今後、一般競争入札により決定される。
過去の防衛省の調達用資料によると、攻撃用UAVにはいくつかの種類がある。普通科隊員が携行可能なサイズで、主に敵に人員や非装甲目標を攻撃するⅠ型、同じく普通科隊員が携行可能ながら、接近する舟艇や車両を撃破可能なⅡ型、そして車両に搭載され、より遠方にある舟艇や車両を撃破可能なⅢ型である。
共通戦術装輪車の取得
陸上自衛隊では、侵攻してくる敵部隊に対して機動的に対処するため、タイヤを装備して迅速な移動が可能な「共通戦術装輪車」の取得を進めている。これは、共通のベース車体(16式機動戦闘車)に各種機能を加えた派生車両を開発することで、製造効率や整備性の向上を図るというもの。
令和7年度予算では、普通科隊員を下車展開可能で、搭載する機関砲により火力支援を行うことができる24式装輪装甲戦闘車(18両:220億円)、部隊に密着した火力支援を実施可能な24式機動120mm迫撃砲(8両:85億円)に加え、新たに共通戦術装輪車(偵察戦闘型)(6両:91億円)の調達が決定された。共通戦術装輪車(偵察戦闘型)は、搭載する光学・赤外線センサーにより周辺の情報を収集し、そのデータを衛星通信等で部隊に共有する車両だ。
予備装備品を捨てずにモスボール(7億円)
ウクライナ戦争における教訓として、撃破された車両などを置き換える予備車両を準備することにより、経戦能力を高める必要があるという点が挙げられる。そこで、陸上自衛隊では令和7年度予算において、予備装備品の長期保管(いわゆるモスボール保存)を行うための態勢を確立することを決定した。
これは、継戦能力を強化するため、部隊改編等で使用しなくなった装備品のうちまだ能力を発揮し得る装備品について、管理コストを抑制しつつ長期保管を行い、必要に応じ部隊に補充するというもの。令和7年度には74式戦車、90式戦車、多連装ロケットシステム自走発射機(MLRS)の保管を開始するとのことだが、防衛省によると具体的な候補地については未定だという。
(以上)
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