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中谷防衛大臣が記者会見 有識者会議の報告書、インダストリーデー、米軍FCLPなどについて回答(9月26日)

  • 日本の防衛

2025-10-1 10:00

 令和7(2025)年9月26日(金)10時15分~10時39分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟10階会見室で閣議後の記者会見を行った。
 内容は、以下の通り。

大臣からの発表事項

なし

記者との質疑応答

防衛力整備計画の見直し等について

記者
 防衛力の抜本的強化に関する有識者会議の報告書に関連してお伺いさせていただきます。
 先日、大臣も榊原座長から報告書を受け取ったかと思いますけれども、防衛力整備計画について、国際情勢や戦い方の変化の速さを踏まえ、対象期間や策定と見直しのサイクルなどの在り方をより柔軟にするなどの工夫も検討すべきだと指摘されておりますけれども、この有識者会議の提言も踏まえて、大臣は今、整備計画の前倒し改定の必要性をどのように感じていらっしゃるか教えてください。

大臣
 ちょうど1週間前の金曜日、9月19日に、有識者会議からの報告書を提出をいただきました。これは有識者の皆様の専門的な知識が活かされたものでありまして、極めて有意義な提言をいただいたと認識をいたしております。私としましても、この提言を真摯に受け止めているところでありまして、今後、防衛力を抜本的に強化をしていくことをはじめとするですね、防衛省の政策の遂行を主導していくに当たりまして、大いに活用させていただきたいと考えております。
 その上でですね、現時点においては、防衛力整備計画を前倒しで見直す予定はなく、計画期間の短縮についても検討しておりませんが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国として主体的に、また、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討をし、進めていくことも当然のことであるというふうに認識しております。

記者
 今のに関連してお尋ねします。今回の総裁選をめぐっては、候補者が安保・防衛分野についても様々な主張を展開しております。例えば、小林さんは、GDP比2%では到底足りない。国家安保戦略を早急に改定して、必要な額は積み足すですとか、林さんも、必要があれば米国と調整し、その次の段階に行くといった旨述べられています。先ほど現時点では予定はないということでしたが、それぞれの主張に対する評価や考えなどあれば聞かせてください。

大臣
 総裁選においての各候補者の主張につきましては、防衛省としてコメントすることは差し控えます。防衛省としましては、我が国の防衛力を整備するに当たりまして、大切なのは金額ありきではなくて、防衛力の中身であると考えていることには変わりはありません。国家安全保障戦略等に基づく防衛力の抜本的強化の取組も、我が国を取り巻く安全保障環境の変化などを踏まえまして、必要な防衛力の内容を積み上げた上で行っているものであります。引き続き、これを着実に進めてまいりたいと考えておりますが、その上で、戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境の中で、我が国としては主体的に、抑止力・対処力を強化するための取組を不断に検討をし、進めていくことも当然であるというふうに認識をいたしております。
 今後とも防衛省といたしまして、また政府としましても、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守るための取組を、我が国自身の主体的判断によって行ってまいります。

原子力潜水艦導入の検討について

記者
 原子力潜水艦の導入についてお尋ねします。先週金曜日に受け取られた有識者会議の報告書では、VLS搭載の潜水艦について、次世代の動力の活用の検討について言及されており、当然原子力潜水艦も選択肢に含まれているものと承知しています。
 今後、原子力潜水艦導入の必要性と課題、メリット、デメリットについて現時点でどのように考えていらっしゃいますでしょうか。提言を受けて今後どう検討していくかもあわせて教えてください。

大臣
 ちょうど1週間前にですね、有識者会議からの報告書を御提出をいただきました。この報告書におきましては、御指摘の点も含めまして、非常に多岐にわたる観点から御提言をいただいたものでありまして、この提言は、有識者の皆様方の専門的な知見、これが活かされたものであり、極めて貴重なものであると同時に、戦略的・機動的な防衛政策の企画立案に資するものであるというふうに考えております。
 このいただいた報告書につきましては、今後、防衛力の抜本的強化をはじめとする防衛省の政策を主体的・主導的に推進するに当たりまして、大いに活用させていただく所存でありますが、まずは、この内容をしっかり確認をさせていただきたいと思っております。

記者
 今の点なのですけれども、まずは内容を確認されるということでしたが、現時点で原子力潜水艦の導入の必要性、課題、メリット、デメリットについてはどんなふうに考えていらっしゃいますか。

大臣
 現時点におきましては、この次世代の動力の活用について、決まっていることはなく、具体的に検討を行っているわけでもございません。この報告書につきましては、しっかりと内容を確認させていただきたいと思っております。

インダストリーデーの成果と課題

記者
 インダストリーデーについて伺います。このイベントの狙いと2日間終えての成果があれば教えてください。また、日本の防衛産業の基盤強化や企業の販路拡大のための課題とそれにどう対応するお考えかも、あわせて教えてください。

大臣
 これにつきましては、防衛装備庁でですね、9月24日水曜日、25日木曜日の2日間にですね、昨年と引き続いて4回目となるインダストリーデーを東京で開催をいたしたものでございます。
 このイベントは、日米の防衛産業協力がますます重要となっている中で、米国製の装備品のサプライチェーン及び米軍の維持整備事業への国内企業の参画を促進するということを目的といたしたものであります。
 我が国の防衛関連企業27社、米国政府・米軍6機関と米国防衛関連企業5社が出展をしまして、日米両国の出展者及び来場者が活発に意見交換を行うなど、盛況のうちに終了したという報告を受けております。特に、我が国の出展企業は過去最多でありまして、来場者数も過去最多と聞いております。日米の官民ともに非常に関心が高まっていることの表れではないかと思います。我が国の防衛産業からは、米軍や米国の防衛関連企業とのマッチングの機会が少ないことが参入障壁になっているという意見もですね、聞かれる中でですね、こうしたイベントの開催、これは非常に重要なものとなりました。
 防衛省としましては、我が国の防衛産業の販路の拡大、また、防衛生産・技術基盤の強化を実現できるようにですね、企業の皆様を伴走支援をしまして、しっかりと成果に結びつけていきたいと考えております。

記者
 来場者数過去最多とおっしゃってましたが、具体的に何名か分かりますか。

大臣
 後ほど、事務方から回答させます。(※1)

ドローン・コアリションへの日本の参加について

記者
 ウクライナ支援について伺います。ラトビアが立ち上げた西側諸国のドローン連合について、日本政府に参画を打診したと一部報道でありました。防衛省もそういう事実を認めているということでしたが、事実関係を教えてください。また、参加する場合、どういった分野で参加ができると今現時点で考えておりますか。参加に当たって、課題はどういう面があるか、あわせて教えてください。

大臣
 ウクライナ戦争におきましては、皆様も御認識であろうと思いますが、現在、ウクライナ軍及びロシア軍の双方が無人機を積極的に活用するなど、新たな戦い方も見られております。
 我が国にとりまして、このドローンにつきましては、長期間、過酷な環境下において人的損耗を伴わない運用が可能であるということ、そして相手方にコストを強要することができるといった無人機の特性を踏まえまして、「無人アセット防衛能力」を防衛力の抜本的強化の7つの柱の1つとして位置付けた上でですね、無人機を早期に整備をするための必要な取組を進めているところでございます。
 御指摘のドローン・コアリションにつきましては、ラトビアが主導国としまして、他の欧州各国とともに、ウクライナへのドローンの提供や資金援助等を実施していると承知をいたしております。その上で、ラトビアから日本のドローン・コアリションへの参加について打診があったということは事実であります。
 先日、9月18日、日・ラトビア外務大臣会談においても、ラトビア側から参加の打診があったと承知をいたしております。このコアリションへの参加の有無につきましては、我が国として可能なウクライナ支援の在り方や、このコアリションが提供する支援の内容等も踏まえまして、ウクライナに対して可能な限りの支援を行っていくという基本方針の下でですね、引き続き検討してまいりたいと考えております。

記者
 欧州各国とありましたけれども、現時点で防衛省が把握しているのは、どういった国々が参加する、どういった連合というのは、どういうふうに把握していますか。

大臣
 NATOにおいてですね、今、ドローン対策が非常に議論をされている中でですね、既にコアリションというものが形成されております。参加国におきましては、今のところ把握しているのはイギリス、ドイツなどでありますが、おそらく東欧の国々ではないかなと思っておりますので、後ほど事務方から回答させるようにします。(※2)

記者
 その関連なのですけれども、日本がもし参加する場合は、殺傷性がある装備なのか、それとも、偵察とか、どういったことが今考えられるか、もう一度改めて伺ってよろしいですか。

大臣
 そのとおりですね、警戒監視とか、偵察とか、目標の観察とかですね、そういう分野の活用に限るということです。

岩国基地での米軍FCLP訓練について

記者
 米軍が岩国基地で実施しているFCLP訓練について、もともと土日祝は実施されないという話でしたけれども、先日、祝日も実施されていたほか、当初説明していた時間の範囲外にも行われているようです。
 防衛省として把握している事実関係や実施の理由、米軍などへの対応についてお聞かせください。

大臣
 9月17日から行われておりましたFCLPにつきましては、昨日をもって終了したという旨の報告が米側からありました。
 この米側の着陸時間につきましては、米側から、訓練の日時は天候や航空機の維持整備上の問題といった不測の事態により変更があり得るという旨の説明を受けているところでありますが、政府としては、地元の皆様から厳しい御意見をいただいているところでございまして、このことをですね、非常に重く受け止めております。
 また、祝日の訓練につきましては、米側から、23日の離発着はFCLPであったが、運用上の理由によりまして、これ以上の詳細につきましては答えを差し控えるという旨の説明があったところであります。
 防衛省としましては、祝日にFCLPが実施されたことを含めまして、米側に対して、飛行時間の限定などに関する岩国日米協議会における確認事項を遵守をするとともに、岩国飛行場周辺の皆様に与える影響が最小限になるように、改めて求めたところであります。
 その上で、地元の皆様の負担が軽減されるように、恒久的な施設が完成をされるまでの間は硫黄島でFCLPを実施するように、引き続き、米側に求めているところでございます。本日、岩国市長をはじめとする地元の皆様から御要請をいただく予定でございますが、私の方から、こういった点について改めて説明をさせていただきたいと考えております。

硫黄島での噴火発生と現状について

記者
 普段、FCLPを実施している硫黄島の状況についてお伺いします。訓練をする上で現在ネックとなっているのは、どのような被害なのでしょうか。例えば、滑走路の降灰なのか、インフラ施設の破壊なのか。また、現在防衛省はですね、現地に入って被害状況っていうのを確認できているのかも教えて下さい。また、あわせて復旧作業はですね、始まっているのか、また復旧の時期のめどについても伺います。

大臣
 本年の3月でありますが、日米合同慰霊祭が開催されまして、私とヘグセス米国防長官も出席をいたしました。その時、全周をですね、回りましたけれども、その時は全く異常がなかったのですけれども、9月1日に硫黄島で噴火が発生をしたわけでありまして、その後もですね、様々なレベルから、今回のFCLPもこれまでと同様に硫黄島において実施をするように米側に求めていたところでありますが、この噴火によりまして人員、物資、航空機への影響などのリスクが大きいために、やむを得ず、岩国飛行場で実施せざるを得なくなったという説明を米側から受けたところであります。
 その上で、硫黄島における噴火による被害について申し上げますと、現在、噴火活動の影響によりまして、硫黄島航空基地に燃料を供給するパイプライン等の施設に被害が出ているという状況の報告を受けております。
 そして、防衛省としましては、これらの施設の復旧に向けて、現在のところ、部隊からの情報を得ながら復旧活動、そして復旧方法等を検討しているところであります。現在も噴火活動は継続をしており、今後につきましては予断をもってお答えすることはできませんけれども、引き続き、この噴火活動の動向を踏まえつつ、施設の復旧にしっかりと取り組んでいく考えでございます。

記者
 この硫黄島がですね、今後当面使えない場合、本土の予備施設が再びFCLPの実施場所になる可能性もあります。今回も岩国基地周辺の住民からは懸念の声も上がってますけれども、政府としては今後どのように向き合って、米側と協議していくお考えなのか教えてください。

大臣
 要は、硫黄島において訓練が可能であるかどうかということでありまして、現状においてはまだ噴火の被害が発生している状況のままでございますので、この点につきましては、予断をもってですね、お答えできる状況にはございません。現状におきましては、この施設の復旧に向けてですね、全力で今取り組んでいる最中であるということです。

記者
 関連で、大臣、周辺住民への影響を最小限にするよう働きかけたとおっしゃっていますが、今回の訓練の超過、もしくは祝日の運用も含めて、今回住民に配慮されているかどうかっていう、この辺に関しての評価というのはどのように受け止めておりますか。

大臣
 今日、岩国市長をはじめ周辺の地域の代表の方が来られますので、改めてこの状況がどうであったのかですね、しっかりと聞いて、今後判断していきたいというふうに思います。

南西地域の防衛力強化する必要性、意義

記者
 改めてお伺いしたいのですけれども、南西防衛の強化の意義についてお伺いさせてください。
 先月8月にですね、防衛省として佐賀駐屯地にオスプレイを配備されたりですとか、新田原基地の方にF-35Bを配備されたりしているほか、反撃能力のあるミサイルの配備計画を1年前倒しすることなども公表されています。
 改めてですけれども、一連のことを踏まえてですね、今の安全保障環境を踏まえて南西地域の防衛力強化する必要性、意義というのをお伺いしたいと思います。加えて、配備先の自治体などからはやっぱり懸念とかですね、要請・要望も来ておりますけれども、防衛力強化を進めつつ、どのように地元の理解を得ていくのかということで、意義と理解を深めていく取組についてあわせてお伺いできればと思います。

大臣
 我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をいたしております。こうした中でですね、南西地域を始めとする防衛体制の強化、これは正に喫緊の課題であり、このことは改めてですね、強調しておきたいと思います。こうした取組は、力による一方的な現状変更、またその試みを決して許容しないとの我が国の意思をしっかり示すとともに、我が国の抑止力と対処力を高めるということで、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下をさせるものであります。このことが、国民や地域の住民の皆様方の安全につながるものであると考えております。
 その上で、自衛隊施設の安定的な運用、部隊活動等の円滑な実施に当たりましては、地元の皆様方の御協力が必要不可欠でありまして、こうした考えの下で、引き続き、地元の皆様に対する丁寧な説明と適切な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

大臣
 先ほどの御質問でですね、ちょっと補足をいたしますけれども、硫黄島が当面使えない場合の実施の可能性につきましてですね、これは今後政府として米側とですね、協議をしてまいります。
 今回の硫黄島における火山活動の影響については、先ほど申し上げましたが、予断をもってですね、お答えすることは困難でありますが、その上で、硫黄島が使用できない状況となった場合には、適切な実施場所を米側において判断することとなると承知をしております。この時点においても何ら決定がされていないということで現時点においてはですね、それはまだ決定されていないということでありますが、いずれにしましてもFCLPの実施につきましては、米側に対して改めて恒久的な施設が完成するまでの間は、硫黄島で実施するように求めるとともに、引き続き地元の皆さんとの意思疎通を密にしながら、真摯に対応してまいります。硫黄島の関連施設の復旧等につきましては、今、全力で取り組んでいる最中であります。
 以上、補足いたします。

後刻、以下のとおり回答。

※1:『来場者数については延べ約1,000名』
※2:『現時点で、共同主導国であるラトビア、英国を含め20カ国が参加していると承知。(参加国:ラトビア、英国、オーストラリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フランス、エストニア、イタリア、ニュージーランド、カナダ、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、トルコ、ウクライナ、ドイツ、スウェーデン)』

(以上)

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