小泉防衛大臣が閣議後会見 秋田県の熊被害による自衛隊派遣や防衛費、日米防衛相会談などについて回答(10月28日)
- 日本の防衛
2025-10-30 10:30
令和7(2025)年10月28日(火)08時57分~09時28分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、防衛省A棟10階会見室で閣議後の記者会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
本日から明日まで、米国のヘグセス戦争長官が日本を訪問し、明日の29日、日米防衛相会談を実施する予定です。私の防衛大臣就任から僅か1週間後にヘグセス長官が来日し、早速、防衛相会談を実施できることは、我が国の防衛と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、非常に意義深いものと考えています。この機会に、日米同盟の根幹である人と人との信頼関係を構築する観点から、ヘグセス長官との個人的親交を深めたいというふうに思っています。
日米同盟は、我が国の安全保障政策の基軸であり、インド太平洋地域の平和と安定の礎です。現下の安全保障環境に即して進化を続ける自衛隊と米軍が、その能力を最大限発揮できるよう、私自身が先頭に立って、カウンターパートであるヘグセス長官と共に、同盟の抑止力・対処力をより一層強化していく決意です。
明日の防衛相会談では、急速に厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢について認識を共有した上で、日米同盟の抑止力・対処力の強化のための具体的な取組についての議論を予定しています。その際、我が国が独自の主体的な判断で防衛力を強化し、地域の平和と安全を担っていく考えであることをしっかりとお伝えしたいと思います。
記者との質疑応答
秋田県知事からの要請による熊対策のための自衛隊派遣について
記者 :
本日、秋田県の鈴木県知事は熊による人身被害が相次いでいることを受け、防衛省に自衛隊の派遣を要請すると表明していますが、自衛隊を派遣するお考えはありますでしょうか。派遣する場合、具体的にどのように自治体を支援するお考えでしょうか。熊に対する火器を使用した撃退も想定しているのか伺います。
大臣 :
今、秋田県内で熊による人身被害が続いていることを受けまして、秋田県の鈴木知事が御自身のインスタグラムで、また、様々な場で自衛隊派遣を要望すべく調整していると表明されたことは承知をしていますし、私自身、電話で鈴木知事とも既にお話をしております。
有害鳥獣対策については、防衛省・自衛隊は、これまでも地方自治体からの協力要請に基づき、任務遂行上支障のない範囲で必要な協力を行っており、具体的には、自衛隊法第100条に基づいて捕獲した鳥獣の輸送支援を実施したなどの実績があります。
本日この後、鈴木知事からツキノワグマによる被害防止対策への支援に係る緊急要望を、私が直接お受けする予定ですが、いただいた要望の内容に基づいて、国民の命と平和な暮らしが脅かされている状況に何ができるのか速やかに検討して、できるところから進めていきたいというふうに考えております。
記者 :
今の関連でお伺いします。できることからやっていくというお話だったんですけれども、そうすると部隊を派遣すること、何ができるか、その任務の内容はこれから検討ということですが、派遣すること自体については前向きに考えていらっしゃると受け止めていいのでしょうか。
大臣 :
これは私が就任の訓示でも、冒頭に防衛大臣としての私の責任は大きく分けて3つだと、1つ目は、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。そういった話をしたとおり、今の熊の被害が出ている地域は秋田県に留まることはないですが、特に秋田県の状況を見てみれば、間違いなく県民の皆さんの命が失われています。そして、平和な暮らしも今脅かされているのは間違いありません。この状況の中で、自治体の知事の要請に基づく中で、何ができるかを考えることは、私は当然のことではないかと思います。
鈴木知事は自衛隊の元隊員でもあります。今回私もお話をさせていただく中で、自衛隊は何でも屋ではありませんから、やはり本来業務が、いざ、万が一のときに備えて訓練なども含めて練度を高めておくことが最重要であること。国防が最も重要なことであること。そこは御理解をされた上でもなお、例えば、自治体、そしてまた自治体の皆さんと一緒に猟友会の方々が駆除実施隊として活躍をしておりますが、それももう相当な疲弊で、例えば、熊の駆除にのみならず、その駆除した熊の輸送、そして解体、こういったところでもかなり疲弊をされていること、そしてまた、もうスーパーに熊が現れ、そしてまた家の前に、もしかしたら朝起きたら熊がいるかもしれないということで、秋田県の方とお話をしたのですが、私は電話を通じて、今毎朝、家を出るときに、家の扉をまず開ける前に、ガチャガチャガチャっと、あえて音を出して、それでその後に初めて開ける。もうそれぐらい毎日不安の中を生活をしているという現状も聞いています。
そして、子供達の今の毎日の通学、こういったことについても、一部集団登下校、こういったことをやられてるところもあれば、もう本当に何とか今日も無事に帰ってきてほしいという、願うような、祈るような、そんな気持ちでの生活が続いているということは、やはり平和な暮らしというものでは今ない、もう本当に不安な日々をお過ごしだと思います。
その上で、知事からも元々駆除を自衛隊にやってほしいという思いではなくて、駆除に伴う負担、こういったものがやはり相当現場の疲弊に繋がっているということを踏まえて、やむにやまれず、自衛隊にと。こういった思いだというふうに伺っていますので、今日はこの後具体的に、思いも含めてお伺いをしながら、担当間で詰めて、そして迅速にできることから始めるというのが私の基本的な思いです。
記者 :
これに関連してまたお伺いいたします。大臣おっしゃるとおり、猟友会かなり高齢化ですとか、会員の減少で、猟友会だけでの対応というのはなかなか難しいというような指摘もあります。秋田の鈴木知事は熊駆除のための自衛隊出動を明確に想定した法令はないので、これはなかなか難しいということで、熊駆除の法的根拠というのはなかなか難しいものがあると思います。
大臣御自身は、熊の駆除について直接自衛隊が対処する必要性、また法令改正の必要性についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣 :
これはまた同じことを申し上げますが、やはり自衛隊の本来業務、本来任務について、最も全身全力を尽くして遂行できるという環境を作らなければいけない。それは国防を担う者としての大臣としての使命だと思っていますから、できる限り過度な負担が様々増えて、本来の最も大切にしなければいけないことが、練度が下がったり、また熟度が下がるようなことがあってはならないとは思います。
一方で、やはり国民県民市民の皆さんの命や暮らしが脅かされるようなことを、他の行政機関では対応できないという環境をもってもなお、何もせず座して見ているということも、また違うのは当然のことです。そういった中で今回、熊の駆除ということとか、これを対応できる法令とか法規とか、こういったことについてはですね、今自衛隊法100条の中では、過去のエゾシカも含めて、輸送はできますけれども、駆除という規定がないのはそのとおりであります。これを踏まえて、じゃあ今後、法体系や対応の在り方をどうするかっていうことは、これは防衛省だけではなく、熊害といいますか、そういったことに対してどのように向き合うかを、政府全体で考えていく必要性も出てきてるんだろうと。これは私は環境大臣も農水大臣も務めましたけれども、やはりこの鳥獣被害の対策というのは、環境省の部分もあれば農水省の部分もあれば、そして今回このように、もうそれでも対応できないから自衛隊ということが出てきているわけですから、そこの整理が必要な部分はあるのかもしれません。
記者 :
熊に関連しまして、今回のような事案について、災害派遣として対応することは難しいという声も聞かれますけれども、具体的にこの3要件のうちのどの部分について、災害派遣の適用が難しいのか、大臣のお考えをお願いいたします。
大臣 :
緊急性・公共性・非代替性ということを鑑みた時に、捉え方はいろいろあると思います。ただ、間違いなく私が現時点で言えることは、訓示で申し上げたとおり、国民の命と平和な暮らしを守り抜くという観点からすれば、今、これは秋田県だけではないですが、もう熊の被害者が100名を超えてますよね。そして、平和な暮らしは間違いなく脅かされていると。こういった中で、他の行政機関ではもう対応できないと、こういった状況の中で、地元の知事から自衛隊に対する緊急要請が上がってきた。そういったことは、私は自衛隊が対応すべき一つの状況にはなっていると思います。
どのような形で、何を具体的に行っていくか、これは今日の知事との議論を踏まえて、よく整理して対応したいと思います。
記者 :
そうしますと、今おっしゃった中では緊急性については今大臣がおっしゃったとおりだと思いますけれども、例えば非代替性については、地元にも猟友会の方々いらっしゃいますし、その辺りはどのようなお考えなんでしょうね。
大臣 :
これ、どれがどの3つの要件に緊急性・公共性、そして非代替性に当たるのかということについては、今後の具体的に何をやるのか、そして何が、知事は駆除を求めるのではなくて、その駆除の周りの後方支援的なことに対して求められているというふうに承知をしておりますが、今日この後お話をした上で、どのような整理が必要かを考えるべきだと思います。
ただ、これが災害派遣に当たるかどうかということを、まずは1回置いておいて、今の状況を一般常識という観点から見れば、間違いなく緊急を要する話ですよね。今毎日熊の被害がニュースでも報じられ、毎日、やはり人の命が失われている。そして、もうスーパーでも、熊が来るからということで、自動ドアの対応をやめて、自動ドアの電源を切って、そして手動じゃないと開かないような対応をしているような状況ですから、こういったことも踏まえれば、緊急性はあるし、そしてなお、警察の銃では対応できない。こういった状況も踏まえて考えれば、猟友会の高齢化も含めて、これは、なかなか今の体制だけで対応できないという思いになるのは、私は一般常識感覚からすれば当然のことではないかなというふうにも思います。
その上で、もちろん、自衛隊の命を預かる防衛大臣として、今、安全保障環境も大変厳しい中ですから、こういった中での負荷がある、そういった日々を過ごしている自衛隊員に対して、この新たな要請に対して、士気高く取り組んでもらえるような、そういった対応も同時に考える必要があると思っていますので、仮にこの後知事と話をした上で対応するということになれば、もちろん万全の準備をして、隊員が任務を遂行できる環境を整えます。
自衛隊員の成り手不足とその解消について
記者 :
自衛隊の成り手不足の問題について伺います。
大臣就任後、関東近辺の自衛隊基地・駐屯地を視察されてますけれども、そもそもですけれども、この自衛隊の成り手不足が深刻な状況になっている理由をどのように考えているのでしょうか。視察されている中で、例えば、現場で対応に当たっている若い隊員達とですね、生活環境でしたり、任務環境について、何か課題とか、そういったコミュニケーション取られているのか、実際に対応されていましたら教えてください。
大臣 :
これは、NHK番組の日曜討論でも申し上げましたけれども、今、令和6年度で1万5,000人を採用する必要があるところ、1万人に達しなかったと。そしてこの令和7年度ですね、1万5,000人の採用をしたいですが、これも楽観視できる状況にはないというふうに思っています。そして、これから例えば、今の民間の状況を踏まえて言えば、賃上げも進みつつありますよね。この民間の待遇が良くなってる中で、自衛隊が見劣ることのないような処遇を用意しなければ、やはり、なかなか自衛隊を選ぼうという環境にはならないという方がいるのも事実だと思いますから、これは前政権でも進めてきた、処遇の改善をどのように更に強化していけるのか。こういったことは不可欠だと思いますし、また一方で、この金銭面の待遇だけではなくて、自分らしい働き方が出来るような職場環境も含めて、防衛省・自衛隊がどのように整えていくか、これも重要なことだと思います。
私は就任以降、できる限り、大臣室の中だけのレクや報告ではなくて、その報告を上げてくる部署に私が行く形で、機微な情報も含めて、今、報告なども受けています。例えば、情報本部も含めてですけれども、今、民間の世界でも、様々なデータを扱える人材だとか、そして、AIや様々な最新の技術に長けている人材というのは、もう取り合いです。こういった中でも、国のためにという、この崇高な思いで、この防衛省で働こうと、自衛隊で働こうと、働き続けようと思ってもらえる。そういった環境を常に改善を繰り返して、人を惹きつけておけるような防衛省・自衛隊を作らなければいけないというのは改めて痛感をしています。
そして、今、私は発信を強化をしていますけれども、やはり、自衛隊の活動ぶり、この内容というのを、今までだったら外に言わなかったことも、どこの部分までだったら保秘の観点もしっかりと踏まえた上で対応できるかっていうことを、今あらゆる部局に整理をさせていますので、そういったことも対応を変えていく中で、自衛隊ってこういうことやってるんだと。そういったことを伝えていくことも、私は自衛隊に多くの方が目を向く上で非常に大事なことだと捉えています。
現に、ロシアの戦略爆撃機、これ、核兵器搭載できるものですけれども、これが接近をしたっていうことも含めて相当な反響があるわけです。こういったことを行われてると知らなかったっていう声も多く寄せられていますし、これに対応しているのが24時間態勢で働いている自衛隊である。こういったことも含めて、やはり、私自身、大臣としてできる発信は強化していくことも、この成り手をしっかりと1万5,000人集めていく上では一助となればという思いもあります。
自衛隊員について自衛隊側からの発信について
記者 :
関連で、今、大臣がおっしゃった、発信の面でもそうですけれども、24時間365日、緊張感ある警戒監視任務もそうですけれども、近隣諸国の緊張状態も含めて、現場の自衛隊員が取り組んでいることが、今、国民に理解されている状況だというふうには、今、大臣は思っていないということでしょうか。
大臣 :
課題があると思ってます。私は横須賀に生まれ育ってますから、体験入隊をする機会に恵まれましたが、やはり、その体験入隊のような、自分が実際に身を置くことによって初めて分かることもあって。
あとは、陸上自衛隊の高等工科学校の方で、私はいつも触れますけれども、本当に、あの高校生の世代の皆が、あれだけの思いで日々、親元から離れて生活をしている。そして国防を考えている。このことも、実は、地元でも誰もが知ってるかといったら、そうではないのですね。なので、全てをオープンにできない自衛隊という組織の性質はありますけれども、どこまでを開かれた自衛隊として、よりオープンにできるものはオープンにして、隊員の生身の姿を知っていただけるか。こういったことも、私は自分の中でできることを防衛省・自衛隊と頭を合わせて、心を合わせながら進めていければというふうに思っています。
自衛隊という仕事の魅力についてどう考えるか
記者 :
最後にしますけれども、かねて大臣は、その自衛隊という職の魅力について、どのように考えているのか教えてください。先ほど、視察の話もそうですけれども、大臣自身が就任される以前と以後で、自衛官という職についての考え方、魅力についての考え方が変わった点もあれば、あわせて教えてください。
大臣 :
自衛隊は、やはり、人のために、誰かのために。こういった、日本人として、自分のことより人のこと。こういった思いをもってる方、非常に多いというのが、私は日本人のものすごい評価されるところであるし、素晴らしいところだと思いますが、やはり、こういう思いをもってる方が、自分が必要とされていると思えて、そして、自分が何のために生きているか、こういったことを考えたときに、思いをもって、それを形にしやすい一つの生き方でもあるのではないかなというふうに思います。
ただ、この崇高な任務や使命に対して、今まで、その発信や、そしてその方々に対する生涯を通じた支えが十分だったのか。そしてまた、待遇面だけではなくて、誇りに繋がるような、そういった社会の中での位置付けとして、自衛隊員がどのように見られるべきか、こういったことも含めて、まだまだ改善し見直さなければいけないことがあるというのを感じています。特に、安全保障環境が厳しい中ですから、この平和な暮らしを守っていくためには、日々、黙って黙々と働いている自衛隊。そこの中で、黙っているべきじゃないことだっていっぱいあります。伝えようとしなかったら、届かないことが、今の時代はいっぱいあります。そういったことを考えれば、SNS時代のこのフィルターバブルも含めてですね、自分が欲しい情報しか接することがないと。こういった傾向が増えている中で、どんどん積極的に出していく努力を、これは、かなり抜本的に変えて強化をしていかなければ、そういった新たな人材に自衛隊の魅力に気づいてもらうことにはなかなか繋がらないではないかというふうに思いますので、ここについては、私は思いをもちながら、改善の取組を進めていきたいと思います。
記者 :
今の質問に関連して1点お尋ねします。発信強化のお話で、先ほど活動の理解に課題があると、活動ぶりだったり、内容をどこまで保秘の観点を踏まえて明らかにできるか聞いていて、これから開かれた自衛隊にしたいとおっしゃっていたかと思いますが、これまで、御担当されていた農水省だったり、環境省と比較したときに、やはり、防衛省では公表できない事柄だったり、そういうものが多いっていう印象をおもちなのか、その点確認させてください。
大臣 :
それは間違いなくそうですし、それは当然だと思います。やはり、この国家存立の基本である国防の周辺の情報は、機微な情報で、それが全てオープンになるべきではないっていうのは当たり前のことですが、ただ、その中で、自衛隊の活動を伝えるという意味において、あまりにも伝えなさすぎる面があることも、私は事実だと思っています。そのことが自衛隊にとってもプラスにならず、国民の皆さんにとってもプラスにならない。それを変えたいという思いです。
やはり、この安全保障政策を抜本的に強化をする中で、日本は民主主義国ですから、国民の皆さんの理解なくして政策の抜本的強化は進みません。私は、これからの政策遂行で最も重要なのは、私が機微な情報に日々触れて、安全保障に対する危機意識を日々高めていることと、同じような情報に接していただくわけにはいきませんが、同じような危機意識をもって、だから、防衛政策の強化が必要なんだ、このように思っていただけるような情報提供をどのようにできるかということに知恵を絞りたいと思ってます。
記者 :
1点だけ、すみません。今後、どのように機微な情報を扱ってるという観点と、両立を考えるということだと思いますが、いつ頃までにやりたいとか、そういうめどみたいなものというのはあるのでしょうか。
大臣 :
これは、早速この前、ロシアの戦略爆撃機が接近をしたということを私自身が発信したことも、今までなかったことをやってますから、これは、いついつまでにいつとかいうことも、これから出てくるかもしれませんが、日々、関係の部局と議論する中で、これは出していいのかと、どこまでやったらいいか、こういったことを一つ一つの案件についても考えてやってますから、それはその都度の発信も見ていただくことがあるのではないかなというふうに思います。
今後の防衛費について
記者 :
防衛費に関してお伺いします。大臣は防衛費に関して、自民党総裁選中や、先日の大臣会見でも、金額やGDP比の割合ありきではなくて、大事なのは防衛力の中身だという話をされてきました。今回のトランプ米大統領やヘグセス長官との会談で、防衛費に関してGDP比2%を超える比率を含め、引き上げを求められる可能性がありますが、その場合はどのように対応されますでしょうか。
大臣 :
これも、NHKの日曜討論を含めて、いろいろな場で申し上げてるとおり、我が国の防衛費がどうあるべきかというのは、日本の平和と独立と主権を守るために必要なものを積み上げた上で、主体的な判断で決めるべきことだと思っています。
今、日米の会談も明日予定をされていますけれども、防衛相会談、この中で、私からはこの新しい内閣の取組の方針、そしてまた、日本の明確な、この防衛政策の強化に対するコミットメントをしっかりと伝えること、そのことをもってすれば、日米同盟の更なる強化に繋げ、そして個人的な信頼関係も、より強固にできるものと思っています。
米「国防総省」を日本でも「戦争省」に変えたのは
記者 :
米国の戦争省について伺います。政府は昨日発表のヘグセス戦争長官との日米防衛相会談のリリースをもって、公的文書などでは今後原則ですけれども、国防総省を戦争省、国防長官を戦争長官と記載することとしています。米国内では正式に改称するために必要な議会の承認等がまだ済んでいないところですけれども、このタイミングで日本政府として、国防総省の呼称を変えるに至った背景を教えてください。
大臣 :
アメリカにおいては、先般発出された大統領令を受けて、追加の副次的名称として戦争省や戦争長官といった名称を使うことができるようになり、アメリカ政府の公式文書、やり取り、ウェブサイト等において、これらの名称が既に使用されていると承知をしています。私も先ほど、ホームページ確認しましたけれども、もう既に「Department of War」という形になっていますので、現状はこういうことだと思います。その上で、アメリカ側からは大統領令を踏まえて、日本側においても戦争省等の名称を使用することを推奨する旨の連絡があったところです。
こうしたアメリカ政府の運用や意向を踏まえ、政府として大統領令の記載の例を踏まえ、例えば、公式なやり取り、対外発信、儀礼的場面等については、戦争省、戦争長官等の名称を基本的に使用することとして、今般のプレスリリースにおいて使用したところでもあります。
記者 :
トランプ大統領は戦争省へと改称する理由として、世界情勢を踏まえるとこの名称がふさわしい等の説明をしています。世界最大規模の軍事組織である米軍の動向が日常的に戦争という言葉とともに発信されていくことについて、小泉大臣はふさわしいとお考えでしょうか。
大臣 :
他国の政府機関の名称が与える影響や、名称に関する評価については、防衛大臣の立場からはお答えすることは、差し控えたいと思います。
ただですね、先般発出されたアメリカ大統領令によれば、戦争省等の名称について、「力による平和を確かなものとする」という、アメリカの決意を示すものであると承知をしています。その上で申し上げれば、トランプ大統領は力による平和を掲げていますが、地域の平和と安定を守り抜くには、裏付けとなる確固とした抑止力、対処力が必要であります。こういったことも踏まえて、戦争省ということが今、御質問の中だとふさわしいかということですが、トランプ大統領は現実は戦争を止めるために、むしろ平和を志向している大統領だと思っています。
こういった中で、ヘグセス長官も自らのことを戦争長官と、このように「戦士の精神」というものを重視をする長官がその呼称を使うということを私としては何ら否定することはないと思っていますので、明日もお会いをするときには、そのように呼ばせていただこうと思っています。
翌日行われる日米防衛相会談について
記者 :
明日の日米防衛相会談について改めてお伺いします。大臣は就任会見で沖縄の米軍基地の負担軽減を最重要課題と発言していましたが、明日の長官との会談では、この点どのようにメッセージを伝える予定でしょうか。具体的な軽減策を求めることも考えていますでしょうか。
あともう一つ、沖縄ではリバティー制度が守られていない現状があります。相次ぐ米軍関係者による事件事故の対応についても触れる予定はありますか。お伺いさせてください。
大臣 :
詳細に日米防衛相会談において、どのような話をするかは現時点では控えたいと思いますが、いずれにしても、私も地元は横須賀であります。日頃から米軍基地と、そして市民生活の関係というのは常に双方が努力しなければならないことがあるのも事実であります。
そういったことも含めて、国民の理解があっての日米同盟の強化です。その上で、防衛大臣として、新たな内閣の防衛政策の強化、日米同盟を更に高みに上げていこうという、こういった明確なメッセージはしっかりとお伝えしたいと思います。
記者 :
熊対策について、1点お伺いします。大臣がおっしゃるように地域の不安が日々高まっていますが、自衛隊が直接駆除することについては、大臣は個人的にはどのようなお考えをお持ちでしょうか、教えてください。
大臣 :
国民の命と平和な暮らしを守るためには、できることは何でもやるという決意はあります。一方で、今、知事から駆除を求められている状況にはないというふうにも思っています。そして、自衛隊はそもそも熊の駆除などに対応するための訓練をしているわけでもないということも御理解をいただきたいというふうに思います。そういった中で、今回知事から具体的に何を求めておられるのか、そういったことを踏まえてできることを対応したいと思います。
(以上)
◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。
Ranking読まれている記事
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月
- 人事発令 令和7年8月1日付け、将補人事(陸自36名、海自11名、空自20名)
- 人事発令 令和7年8月1日付け、1佐職人事(陸自196名、海自60名、空自62名)
- 小泉防衛大臣が閣議後会見 秋田県の熊被害による自衛隊派遣や防衛費、日米防衛相会談などについて回答(10月28日)
- 人事発令 10月28日付け、1佐職人事(海自1名)
- 《ニュース解説》航空機へのレーザー照射──陸自ヘリ事案から考える実態と対策
- 防衛省関係者956名が受章:第45回危険業務従事者叙勲(令和7年10月11日)
- 人事発令 10月21日付け、指定職・書記官人事
- IHIが、海の次世代通信システムVDESの社会実装に向け産学官の連携を強化(10月27日)
- 防衛装備庁発令 10月21日付け人事(防衛事務官2名、防衛技官1名)
- 人事発令 3月24日付け、1佐人事(陸自87名、海自81名、空自86名)
- 人事発令 10月21日付け、指定職・書記官人事
- 人事発令 令和7年8月1日付け、将補人事(陸自36名、海自11名、空自20名)
- 在日米海兵隊 第3海兵遠征軍、10月27日に東富士演習場でハイマース実弾射撃訓練を実施予定(10月20日)
- 人事発令 令和7年8月1日付け、1佐職人事(陸自196名、海自60名、空自62名)
- 防衛装備庁発令 10月21日付け人事(防衛事務官2名、防衛技官1名)
- 小泉防衛大臣が就任会見 防衛費、自衛隊の定員不足など広範な質問に回答(10月22日)
- 人事発令 3月24日付け、1佐人事(陸自87名、海自81名、空自86名)
- 《特集:ブルーインパルス》飛行展示と飛行条件の基礎知識
- 人事発令 令和7年8月1日付け、将人事(陸自7名、海自5名、空自7名)
- 《特集》5つの艦種で構成される海自の主力艦 基礎から分かる「護衛艦」概論
- 《特集》トヨタ・ランクルが自衛隊の装甲車に? 陸自・軽装甲機動車の後継をめぐる新たな展開
- 防衛省関係者956名が受章:第45回危険業務従事者叙勲(令和7年10月11日)
- 人事発令 10月21日付け、指定職・書記官人事
- 人事発令 令和7年8月1日付け、将補人事(陸自36名、海自11名、空自20名)
- 《ニュース解説》陸自・軽装甲機動車の後継をめぐる新たな展開 本命は国産SUV?
- 《ニュース解説》陸自の新型装輪装甲車「AMV XP」を知る
- 人事発令 令和7年8月1日付け、1佐職人事(陸自196名、海自60名、空自62名)
- 人事発令 10月8日付け、1佐人事(空自6名)
- 人事発令 令和7年8月1日付け、将人事(陸自7名、海自5名、空自7名)
- 自衛隊統合演習、10月20日から全国規模で実施へ 日米豪も参加

