日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

防衛省が「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」を特定事業に 法的評価を公表(7月4日)

  • 日本の防衛

2025-7-8 11:35

 防衛省・自衛隊は令和7(202年)年7月4日、衛星コンステレーションの整備・運営等事業を同条に規定する特定事業として選定するに当たって、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の法第11条第1項に規定する客観的な評価を行ったと公表した。

(参考)衛星コンステレーションのイメージ 画像出典:防衛省

 内容は以下の通り。

衛星コンステレーションの整備・運営等事業に関する特定事業の選定の公表

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)第7条の規定により衛星コンステレーションの整備・運営等事業を同条に規定する特定事業として選定するに当たって、同法第11条第1項に規定する客観的な評価を行ったので、同項の規定により別添のとおりその結果を公表します。

令和7年7月4日 防衛大臣 中谷 元

衛星コンステレーションの整備・運営等事業特定事業の選定について

1 事業の名称

 衛星コンステレーションの整備・運営等事業(以下「本事業」という。)

2 事業の対象となる公共施設等の種類

 衛星コンステレーションを構築する衛星及び当該衛星から画像取得を行うために必要な施設等

3 公共施設等の管理者等

 防衛大臣 中谷 元

4 事業の内容

 入札公告等に定める手続きによって選定された民間事業者は、会社法(平成17年法律第86号)に定められる株式会社を本事業の遂行のみを目的として設立することを基本とし、本事業に係る次の各号に掲げる業務を実施する。落札者が前述の株式会社を設立する場合においては、当該株式会社のことを指し、また、株式会社を設立しない場合においては、落札者自身のことを指して、以下「事業者」という。

(1)画像データ取得業務
(2)専用地上施設運用等業務
(3)全般管理業務

 なお、事業者又は事業者から業務を直接受託する者(以下「事業者等」という。)は、本事業に支障を及ぼさない等の一定の条件を満たす範囲において、他のユーザーに対する画像データの販売及び本事業で専用する地上局(アンテナ)の利用サービスの提供に係る商用事業(以下「民間商用事業」という。)を積極的に行うことが強く期待されている。

5 事業方式

 事業者等は、防衛省が撮像優先権を有する国産衛星(日本国法人が、主として日本国内で設計・開発し、製造し、及び所有し、並びに管理する衛星をいう。以下「本事業衛星」という。)によるコンステレーション及び防衛省が本事業で専用する地上施設(以下「専用地上施設」という。)を自らの資金で整備した後、事業期間中、本事業衛星及び専用地上施設の所有権を有し、本事業終了後も防衛省に譲渡しない、いわゆるBOO(Build-Own-Operate)方式により実施する。
 ただし、本事業を実施するために必要な使用権原が確保されることを条件として、事業者等が賃貸借等により本事業衛星によるコンステレーション及び専用地上施設を調達することもできる。

6 事業期間

 本事業の事業期間は、本事業の実施に係る契約(以下「本事業契約」という。)の締結の日から令和13年3月末までの約5年間を予定している。
 また、本事業のうち、令和8年4月1日から令和10年3月30日までにおいて本事業衛星によるコンステレーションを段階的に整備し運用することを段階的運用といい、令和10年3月31日から令和13年3月31日までにおいて本事業衛星によるコンステレーションを所要の衛星機数によって整備し運用することを本格的運用といい、それぞれの期間を段階的運用期間及び本格的運用期間という。
 本事業の概要スケジュールは以下のとおりである。

令和8年2月頃 本事業契約の締結
令和8年4月1日~令和10年3月30日 段階的運用期間
令和10年3月31日~令和13年3月31日 本格的運用期間
令和13年3月末 本事業契約の終了

 なお、本事業契約の終了を予定する時点において、本事業衛星によるコンステレーション及び専用地上施設を継続して使用することが有効と認められる場合、防衛省は事業者と協議し合意の上、延長可能と見込まれる時点まで本事業の事業期間を延長することができる。

7 本事業の実施に要する費用

 本事業は、いわゆる混合型によって実施するものとし、事業者が本事業を実施するに当たり要する費用(以下「サービス対価」という。)については、防衛省が本事業契約に基づき、本事業衛星によるコンステレーション及び専用地上施設の運用を開始してから事業期間終了までの期間にわたり、原則、提供される各業務のサービス水準に応じて支払うこととする。
 ただし、事業者において民間商用事業により回収することを見込む本事業衛星及び専用地上局の費用の一部については、本事業契約に基づくサービス対価から当該費用を予め除くものとする。また、民間商用事業において衛星画像の販売や衛星の売却を実施する場合は、事前に販売先等を防衛省に届け出ることとし、防衛省から協議を求める場合には協議に応じることとする。

8 公共施設等の立地並びに規模及び配置

(1)本事業衛星によるコンステレーションの基本的な性能

 本事業衛星によるコンステレーションの具体的な性能は、業務要求水準書(案)(実施方針の添付資料(資料-Ⅰ)。以下この項において同じ。)に示すとおりである。

(2)本事業地上施設の性能、規模及び立地に関する事項

 事業者等は、業務要求水準書(案)に示される本事業衛星の性能及び運用業務の要件に留意した上で、新築又は既存施設の増改築をすること等により必要な規模を有する専用地上施設を整備するとともに、地上局サービス会社における国内外の地上局等を活用する。
 本事業に関連する専用地上施設は、国内を拠点とし、統合運用システム等及び専用地上局で構成する。専用地上施設の役割及び機能については、業務要求水準書(案)に示すとおりである。
 なお、専用地上施設について、原則として、本事業の予定された事業期間が終了するまで、事業者等が、業務要求水準書(案)の条件を満たす事業実施用地及び建物を自ら所有することとする。

9 本事業をPFI方式で実施することの定量的評価

 本事業について、防衛省が自ら実施した場合と事業者にPFI方式での実施を委ねた場合を比較するに当たって、その前提条件を別紙のとおり設定した。当該前提条件のもとで、PFI方式の実施により得られる定量的効果について分析を行ったところ、本事業を事業者にPFI方式での実施を委ねた場合には、防衛省が自ら実施した場合に比べて、本事業に必要な防衛省の負担額は、現在価値ベースで約4.91%程度軽減されることが見込まれる結果となった。
 なお、これらの前提条件は、仮定のものであり、実際の事業者の提案内容を制約するものではない。

10 本事業をPFI方式で実施することの定性的評価

 本事業を事業者にPFI方式での実施を委ねた場合には、次の各号に掲げるような定性的効果が期待される。

(1)安全保障用途で必要となる機能等を備えた衛星で、防衛省が求めるタイミングで高頻度かつ優先的に撮像することによる、安定的な画像の取得を可能とする長期的な手段の確保
(2)宇宙分野、衛星分野等における民間の技術的知見やリスク管理能力を活用することによる、本事業衛星及び専用地上施設の確実かつ効率的な整備並びに安定的な運用及び維持管理
(3)画像データ取得業務及び専用地上施設運用等業務が一括発注されることによる、統合的な運用、各業務間の連携及び整合性の向上並びに業務の効率化
(4)長期契約による、事業者におけるコストの投入、業務遂行並びに業務管理の習熟及び最適化等、効率的かつ計画的な事業の実施
(5)民間商用事業の活用による、本事業に係る財政負担の低減
(6)本事業に係る業務を事業者に一括発注し、防衛省は業績監視(モニタリング)に注力することによる、防衛省の整備業務、運用業務及び維持管理業務の負担軽減
(7)民間の宇宙技術を安全保障分野に活用し、国内の宇宙産業基盤・産業競争力を強化し、宇宙産業の発展を促すことで、我が国の防衛力の強化にもつなげる好循環の実現

11 本事業をPFI方式で実施することの総合的評価

 本事業をPFI方式で実施することにより、定量的及び定性的効果を期待できることから、PFI方式で本事業を実施することが適当であると認め、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)第7条の規定により、特定事業として選定する。

定量的評価の前提条件

PSCとPFI-LCCとVFMの値
※1 PSC(Public Sector Comparator)とは、防衛省が自ら実施する場合の事業期間全体を通じた公的財政負担の見込額の現在価値をいう。※2 LCC(Life Cycle Cost)とは、事業期間にかかる費用の全てをいう。※3 VFM(Value For Money)とは、本事業を防衛省が自ら実施する場合に比べて、事業者にPFI方式で実施を委ねた場合に費用をどれだけ削減できるかを示すものをいう。
VFM 検討の前提条件
※4 上記に加えて、税の還元等の調整として、防衛省が支払う消費税(10%)のうち国税相当分(7.8%)及び事業者が支払う法人税等のうち国税相当分を還元している。
事業費などの算出方法
※5 E-IRR(Equity Internal Rate of Return):株式内部収益率をいう。

(以上)

◎下の[次の記事][前の記事]ボタンで、日本の防衛に関するニュース記事を次々にご覧いただけます。

Ranking読まれている記事
  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
bnrname
bnrname

pagetop