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小泉防衛大臣が記者会見 令和8年度予算案の満額回答と期するところに言及(12月24日)

  • 日本の防衛

2025-12-27 18:06

 令和7(2025)年12月24日(水)10時44分~10時55分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、参議院別館3階防衛省政府控室において令和8年度予算案大臣折衝後の臨時会見を行った。
 大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。

大臣からの発表事項

 大変喜ばしいことにですね、財務大臣の折衝を行った結果は、満額回答をいただきました。
 具体的には2点、隊員の処遇改善と新しい戦い方への対応に必要な経費を認めていただきました。特に、1点目の処遇の改善につきましては、私も昨日、大宮駐屯地、そして、全国の部隊を視察をしているたびに、隊員の処遇、そしてまた食べ物ですね。この食事の関係に、現場の隊員から具体的な要望を聞くことが多いです。
 昨日もレンジャー部隊から携行する食事、また栄養補給、これが菓子パンに限らず、カロリーメイトやプロテインバーとか、ゼリー関係のもの、こういったものを供給してほしいと。こういった具体的なお話もありましたので、今回認めていただいた満額回答の結果ですね、糧食費は過去最大の上げ幅、そして単価となる約14%の引き上げが可能となりました。片山大臣には心から感謝を申し上げたいというふうに思いますし、骨を折ってくれた財務省の職員の皆さん、そして折衝をした防衛省職員にも感謝を申し上げたいというふうに思います。
 そして、この生活環境には食事や糧食関係だけではなくて、耐震基準を満たしていないような築年数の長い駐屯地に対する対応も必要であります。例えば、仙台駐屯地、そして那覇航空基地などが60年を超える築年数であると。こういった老朽化している隊舎の建替え、そして改修が今回の措置によって可能となります。29地区における34棟の隊舎の整備を行うとともに、個室化など、時代のニーズを踏まえた隊員の生活環境を改善していきます。
 これに加えまして、新たな手当の創設も可能となりました。例えばですね、これまで整備に当たる隊員の手当が薄かったわけです。これは航空機の整備など、太平洋での警戒監視のために硫黄島に展開をした航空機の整備といった厳しい環境下での整備作業に従事をしている隊員に対して、今回の折衝の結果によりまして、新たな手当の創設が可能となりました。令和8年度予算案において、これらの事業を含めて、人的基盤の強化に関する事業の総額として、契約ベースで約6,000億円の計上を認めていただきました。また先般、高市総理からの御指示を踏まえ、自衛隊創設以来、約70年間で初めてとなる自衛官俸給表の改定作業を1年間前倒しの令和9年度中に実施し、自衛官の任務や勤務環境の特殊性、重ねた制約や負担に見合った処遇を実現したいと考えております。片山大臣に御協力を、この点についてもお願いをしました。
 そして2点目は、新しい戦い方に関して、これも満額回答いただきました。我が国が、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、防衛省・自衛隊として、新しい戦い方に適応できる体制を整えることも急務であります。そのことは、ウクライナ侵略において無人機を大量に投入し、伝統的な砲弾やミサイルなどと組み合わせた大規模な複合攻撃が展開されていることからも明らかであります。今回、防衛省として要求している無人アセットによる多層的沿岸防衛体制(SHIELD)の構築事業は、こうした新しい戦い方に日本が適用しようとするものです。具体的には、我が国に対する海上からの侵攻が起きてしまった場合に、自衛隊がスタンド・オフ・ミサイルをもって、遠方で敵の艦船を減らしつつ、さらに島嶼部に近づく敵に対しては、大量の無人装備を投入することによって、隊員の命をしっかり守りながら、沿岸で相手の侵攻を食い止めるため、必要な無人機を取得するものです。新しい戦い方への備えを早急に行って、我が国の守りをより強固なものにするため、SHIELD事業については、令和8年度予算案において、契約ベースで1,000億円の計上を認めていただきました。
 以上2点についてでありますが、この財務省による満額回答に応えるためにも、しっかりと執行と、そして効率化、こういったことも不断の努力を重ねていく責任が防衛省にはあると思いますので、この結果に応えていきたいと思います。そして隊員の皆さんには、この満額回答をもって、この処遇の改善が、さらに現場に届けられると。この嬉しい報告を、この年末に出来て良かったなと思っております。

記者との質疑応答

自衛隊員の処遇改善について

記者
 今、言及ありました糧食費なのですけれども、過去最大の上げ幅ということで、それに関する大臣の受け止めですね、そちら1点と、あと様々な所で、機会で、処遇改善、思いというのを述べられてきたと思いますけれども、それに関して受け止めと今後に向けた思いをお聞かせください。

大臣
 やはり、隊員の皆さんは本当に厳しい訓練をやっていますし、様々な制約がありながらも、それを歯を食いしばって頑張っていますから、腹は減っては戦はできぬという言葉があるとおり、せめて、食事に対して、しっかりと美味しいもの、温かいものを出来る限り届けたい。この思いは部隊視察を重ねるたびに強くなります。
 特に、昨日もレンジャー部隊と話しましたけど、今の若い世代の隊員からすれば、いろんな選択肢があるわけですよね。その中でも自衛隊を選んでくれた。そのことに応えていくには、我々も全てを満たすことは急には出来ないかもしれないけれども、昨日、視察をして言ったことが、翌日に、大臣折衝の話題になって、それが実現するんだっていうこと。このやはり、スピードと声が形になるっていう実感をもっていただくようなことは、私は隊員のモチベーションにも繋がると思いますし、防衛省・自衛隊が危機感をもっている中途退職者の多さ、こういったことが、今までどうせ言っても変わらないよなと。そういったことがもしかしたら、大臣が来て率直に声を届けたら、少しは変わるかもしれない。そういった思いに繋がってくれれば嬉しいです。
 これからも、部隊視察を重ねるたびに、昨日も人事教育局長が同行していましたから、全部の声聞いていますから、これが全てに回答できるような体制を作っていきますし、また、例えば、先ほど私が菓子パンではなくて、カロリーメイトみたいなものとか、こういった声があったって話もよく中の声を聞いてみると、この裁量をもってるのは業務隊長なんですよね。なので、この裁量権をもっている業務隊長とは、この後、私が電話をしますし、全国の業務隊長にも、私からの対応するようにということのメッセージを発出したいというふうに思います。
 陸幕長とも共有済みでありますので、この部隊視察というのが、単純に見たとか、こういったことに終わらずに、しっかりと現場の声を改善に繋げていくという、こういった機会としても隊員の皆さんには私のことを有効に使ってもらいたいと改めて思います。

多層的沿岸防衛体制(SHIELD)の構築事業について

記者
 冒頭、大臣から御発言あったSHIELDの関係でお伺いします。こちらの折衝の結果についての受け止めをまずお伺いします。その上でですね、概算要求から減額されている部分もあろうかと思いますけれども、この理由と影響についてお伺いしたいと思います。

大臣
 このSHIELD事業については、先ほど申し上げたものが中身でありますが、今回、満額回答を措置される過程の中では、防衛省と財務省の中で、いろんなやり取りがあったとは承知をしています。
 令和8年度の概算要求は1,287億円でありましたので、今、御指摘のあったとおり、290億円程度の減額というふうになっていますが、これは主に要求性能を精緻化し、想定する機種を変更したことに伴って、金額を精査したことなどによるということです。そのため、概算要求からの金額の低減、これはSHIELD事業による体制構築に影響を与えるものではないということなので、無事に満額の回答をいただいたことも、日本の抑止力・対処力を上げていくという観点からも非常に前向きな結果をいただいたと思っています。

満額回答の全体の総額は

記者
 満額回答ということですけれども、全体の総額はどのくらいの規模、見込みでしょうか。

大臣
 さっき言ったように、糧食費はこれで6,000億。契約ベースでですね。これでSHIELDは1,000億ということになりますので、この大臣折衝にどういう案件を折衝の議題としてもっていくかという中で、内部と議論をした中で、やはり、この糧食関係と処遇の改善が、今、間違いなく進んでいるとはいえ、やせ我慢の歴史ですから、これでもまだ、私は十分だとは思っていないので、せっかく大臣同士で折衝するなら、この糧食だけではない生活環境改善、この処遇改善を入れようという、最終的には内部のやり取りをして、そして持ち込んだ結果、片山財務大臣は財務大臣になる前から、シェルターですとか、自衛官の処遇ですとか、こういう防衛省関係の政策にも非常に御理解と思いをもっていただいてる方だったので、この全てに満額回答という形を導けたというふうに思っております。

記者
 全体の総額を教えていただいてよろしいでしょうか。

大臣
 全体というのは今回のあれですか。二つの玉だけの総額ではなくて。

記者
 はい。

大臣
 この令和8年度の政府予算全体については、大臣折衝は今日で満額回答でしたけど、全体の最終的な調整はまだ行っているということですから、具体的な内容については、然るべきタイミングで御説明をさせていただきたいと思います。
 ただ、いずれにしても、防衛費については、現行の防衛力整備計画に基づいて、令和8年度に必要、かつ十分な予算を確保していくと、そういった考えです。

※下線部:大臣発言中、糧食費(誤)を人的基盤の強化に関する事業の総額(正)に修正

(以上)

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