中谷防衛大臣が記者会見 予備自衛官への支給額引き上げ、F-15欧州展開などに言及(8月29日)
- 日本の防衛
2025-9-2 11:43
令和7(2025)年8月29日(金)11時06分~11時44分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
予備自衛官等の処遇改善について
大臣 :
予備自衛官等の処遇改善についてであります。予備自衛官及び即応予備自衛官については、有事や災害に際しては自衛官となって防衛力を急速に増強するという役割を担っております。継戦能力の上でも大変重要な存在となっておりますが、近年、この安定的な確保というのが大きな課題となっております。防衛省・自衛隊としましては、この喫緊の課題に対応すべく、予備自衛官等の処遇改善、これを進めてきております。
昨年末に関係閣僚会議において取りまとめられた「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」におきましても、予備自衛官等の処遇改善について取り組むこととされております。基本方針にも示された予備自衛官等の処遇改善に係る方向性につきましては、防衛省は、令和7年9月1日から、予備自衛官手当や訓練招集手当などの予備自衛官等の各種手当、これを大幅に引き上げます。
具体的には、予備自衛官については、予備自衛官手当及び訓練招集手当の引き上げに加えまして、新たに勤続報奨金を支給することによりまして、1任期当たりの支給額は、現行から約41万円増の約68万円に大幅に増額をされることとなります。また、即応予備自衛官につきましては、即応予備自衛官手当、訓練招集手当及び勤続報奨金の引き上げによりまして、一例としまして、例えば3等陸曹の場合であれば、現行から約103万円増の約274万円に大幅に増額をされるということとなります。
また、自ら事業を営む予備自衛官につきましては、災害派遣活動で招集をされた場合などには、その事業の継続に資するために新たな給付金を、日額3万4千円支給をいたします。これによりまして、予備自衛官等になることによる本業への影響、これが可能な限り抑えられるということになります。
このような取組をしっかり周知をしまして、より多くの方に予備自衛官等に魅力、そして誇りを感じていただき、充足の向上につながることを期待しております。引き続き、予備自衛官等の安定的な確保に向けた取組を含めまして、この基本方針に基づく各種政策を着実に実施してまいりたいと思っております。
日豪の「2+2」及び日豪防衛相会談の実施
大臣 :
日豪の「2+2」及び日豪防衛相会談の実施についてであります。私は、9月5日に日本で予定をされております日豪防衛相会談及び日豪「2+2」、これは外務・防衛閣僚協議ですね、これに出席をいたします。これに出席をするために、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣を日本にお招きをいたします。
マールズ副首相兼国防大臣とは、先日オーストラリア海軍の次期汎用フリゲートとして、「もがみ」型護衛艦の能力向上型が選定された旨を直接電話でお伝えをいただいたわけでありますが、その際にお話しをいたしましたが、オーストラリアとの「2+2」は、ちょうど1年前、2024年の9月にオーストラリアで実施をされて以来でありまして、対面での防衛相会談は、今年6月にシンガポールで実施をしておりますが、それ以来となります。
我が国とオーストラリアは、価値観、戦略目標、これを完全に共有をしております。防衛協力についても、戦略連携、共同訓練・運用協力、並びに装備・技術協力などあらゆる分野に拡大を今してきております。そして、今般の次期汎用フリゲートに関する決定によりまして、こうした日豪のですね、防衛協力が更なる高みに引き上げられたと認識をいたしております。
今回の会談につきましては、地域情勢について両国の認識を共有をするとともに、日豪間の安全保障・防衛協力の更なる進展に向けて具体的な協議を行う予定であります。両国にとって実りのある会談になることは間違いがないと思っておりますので、この会談でマールズ国防相にお会いすることを非常に楽しみにしております。
記者との質疑応答
航空自衛隊F-15の欧州(英国)展開について
記者 :
昨日の日英の防衛相会談について伺います。イギリスのヒーリー大臣が昨日共同発表の中でですね、近く日本のF-15戦闘機が初めて欧州に展開する予定と述べられました。共同発表の場での正式な発言となりますが、日本の防衛省・自衛隊からは関連する発表はなく、共同声明文などにも盛り込まれていません。F-15の欧州展開の具体的な見通しや、計画の目的などについて検討状況、御説明をお願いします。
大臣 :
本件につきましては、本年1月の日英防衛相会談におきまして、私からですね、将来的に航空自衛隊戦闘機の英国への派遣を検討していることをヒーリー大臣に伝達をしたところであります。昨日会談が行われまして、公表したこの日英防衛相会談共同声明におきましても、航空自衛隊の戦闘機の英国を含む欧州展開について、歓迎をするという旨の記述をしたところでございます。
この航空自衛隊戦闘機の英国への派遣は、実現すれば初めてのことになりますが、部隊レベルも含め日英間で相互理解が深まり、防衛協力・交流、これが一層推進をされるということが期待をされております。
このため、出来る限り早く実現をすべくですね、英側との間で、具体化な調整・検討を進めているところでございます。空自が保有する戦闘機のうち、海外への展開実績が豊富なF-15戦闘機の派遣もこの中で有力な選択肢であると承知をいたしておりますが、詳細につきましては、現在調整・検討が行われておりまして、これが整い次第ですね、公表をさせていただきたいと考えております。
宮古島駐屯地と市民団体のやり取り(徒歩防災訓練・拡声器)
記者 :
陸上自衛隊宮古島駐屯地トップと市民団体をめぐるやり取りについて伺います。警備隊長がですね、19日に市民団体幹部と面会して一部謝罪したとの報道も出ていますけれども、本件について部隊から大臣にどのような報告があったのか、またですね、警備隊長側の謝罪について当時の状況から大臣はどのように受け止めているのか、まず以上2点伺います。
大臣 :
陸上自衛隊の宮古島駐屯地におきましては、新隊員教育の一環といたしまして、8月の5日の夕方から6日の早朝にかけて徒歩防災訓練を実施をしたところ、6日の早朝、いらぶ大橋の海の駅におきまして、新隊員が休憩中に、訓練に同行した同駐屯地司令と市民団体との方々のやり取りがございました。
これにつきましては、報道があった後ですね、私のところにも報告が挙がりましたが、その後事情を調べまして分かりましたことは、やり取りをした市民団体の方々から、訓練前に徒歩防災訓練を中止するように抗議声明を受け取り、訓練時も5日の午後7時頃に、そして6日午前6時頃、そしてその後午前7時頃においても、拡声器を用いた抗議活動を受けたということでございます。
この中で、司令としましては、市民団体の方々の拡声器を用いた抗議活動によって周辺施設の方々への御迷惑がかかると考え、また新隊員の安全な訓練の実施を確保するために、この拡声器を用いた抗議活動をやめていただきたいという意図で、市民団体の方々に緊急的に声をかけたという報告を受けました。
これについて、私としては、市民団体の方々が夜間や早朝に拡声器を用いた抗議活動を行った場所は、観光施設や観光客が多く滞在する宿泊施設に程近く、周辺に迷惑がかかり得る状況でありまして、また、訓練に参加した新隊員の中には、懸命に訓練に取り組んでいる中でこの比較的近距離で拡声器を用いた抗議を継続的に受け、これを大声に感じまして、精神的な負担や士気に影響が出たと訴える者もいたということでございます。
そのような報告を受けまして、こうした状況を踏まえて、市民の方々と拡声器を用いたこの抗議活動、これをやめていただくために接触をしたということ自体はですね、何ら問題はなかったというふうに認識をしております。
他方で、その際の声の大きさ、また口調等については、もう少し冷静に、節度をもった形で行うべきではなかったかなと認識をいたしております。19日の市民団体の方々との面会の際も、司令から、「私の行動が威圧的だと捉えられたのであれば、それは私の本意ではなく、そのことについては申し訳ございませんでした」とお伝えをしたと承知をいたしております。6日の早朝の司令の対応については、上級部隊の第15旅団長から、司令に対しまして、部隊の長である立場を踏まえ、節度ある行動を心がけるように、指導を行っております。
今回の徒歩訓練というのは、新隊員がですね、実地で実際に近い装備を用いて、災害対応における基本動作を習熟するためには、一晩中歩き続ける訓練であり、そしてその疲労困憊の中でも、士気や集中力、これを維持しながら訓練を行うことで、実際の災害時に迅速かつ円滑な対応を可能とする、この国民の皆様方の命を守る上でもですね、必要不可欠なものであるというふうに認識をしております。
私も以前自衛隊勤務の時にですね、こうした新隊員並びに自衛隊員との徒歩訓練によりまして行動をしたわけでありますが、これによって隊員自らの持つ能力、それから忍耐力、そして緊急事態に対する対処能力、こういうことが非常に向上させるためにですね、必要な訓練でありまして、実際の災害時においても迅速かつ円滑な対応をしなければなりませんので、国民の皆様の命を守る上でも、必要不可欠なものでありますという点をですね、ぜひ国民の皆様方にも御理解をいただきまして、御協力を賜りたいと思っております。
記者 :
15旅団長がですね、指導を行ったということですが、これで事案としては対応は以上で、何ら処分というのは基本的に考えていないという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :
そのとおりであります。これにつきましては、規律違反に該当するものとは考えておらずですね、懲戒処分の必要はないと。その一方でですね、上級部隊の旅団長からですね、この司令に対して部隊の長である立場を踏まえて節度ある行動を心掛けるように指導を行ったということでございます。
記者 :
今の産経新聞さんの質問で関連なんですけれども、2問目の質問で今最後おっしゃっていた指導したという内容は、この立場を踏まえて節度ある行動を心掛けるように指導したという以外の内容は何か指導内容というのは他にありますでしょうか。
大臣 :
これは実際の司令からもですね、直接部隊長の長であるという立場も踏まえてですね、節度ある行動を心掛けるようにしてほしいと、また宮古島の司令の方もですね、威圧するということは本意ではないのだけれども、受け取った側としては、そのようなことを感じ取ったということでございますので、今後こういった言動等につきましては節度をもってですね、また丁寧にですね、行うべきではないかなというふうに思います。
記者 :
口頭でという理解でよかったでしょうか。
大臣 :
はい。司令から。
佐世保・前畑弾薬庫の移設・返還計画(施設配置案の合意)
記者 :
長崎県佐世保市の米海軍前畑弾薬庫の移転・返還計画についてお尋ねします。昨日の日米合同委員会で、移転先の施設配置案について合意しました。米軍や自衛隊の基地を複数抱えて、日本の国防に大きく貢献している地元が、長年強く要望してきたのですが、返還の正式合意から14年もかかって、ようやく進展しました。そこで、大臣にお尋ねします。なぜ、これほど時間がかかり、またなぜこのタイミングで合意できたのでしょうか。
また、地元もしくは日本に対して、どのようなメリットをもたらすのでしょうか。最後に、今後、米軍側の方に提供するまでに20年程度かかるというふうに長い見通しがあると聞いたのですが、これを短縮することはできないのでしょうか。
大臣 :
この佐世保はですね、極めて狭隘な場所にありまして、ここに在日米軍、自衛隊、民間施設、これが混在している状況にありまして、地元の要望も踏まえまして、施設の棲み分け、これが課題となっております。
この歴史は長くですね、地元の佐世保市にとっては、前畑弾薬庫の返還、これは最重要課題として取り組んでおられまして、昭和46年、1971年以降の御要望をいただき、ようやく平成23年の2011年1月、前畑弾薬庫の針尾島弾薬集積所への移設と返還について日米間で合意が至ったわけでございます。
その上で、火薬庫というですね、特性上、安全性を考慮して慎重に検討を重ねて、今般、施設配置案について日米間で合意に至ったということでございます。この施設配置案の合意につきましては、前畑弾薬庫の移設と返還に向けて具体的な進捗を示すものでありますが、これは、佐世保における在日の米海軍の安定的な駐留を通じた日米同盟の抑止力の向上、並びに各種施設のすみ分けという地元の佐世保市の御期待に応えるといった点につきまして、非常に大きな意義がありまして、御地元や日本側にメリットをもたらすものでありました。
そこで全体の工事スケジュール等につきましては、現在検討業務、調査及び設計を完了していない現時点で確たることを申し上げることは困難でありますが、あくまでも現時点において、環境影響評価、また公有水面埋立の承認に約6年、安久ノ浦湾の埋立てや、埋立地への火薬庫の整備などに概ね十数年を要するのではないかと考えております。
したがいまして、移設後の火薬庫等を米側に提供するに必要な期間としましては、20年程度又はそれ以上要するのではないかと考えておりますが、防衛省としましては、できる限り早期に前畑弾薬庫の返還が実現できますようにですね、精力的に取組を進めてまいりたいと考えております。
川崎重工の潜水艦エンジン検査不正疑いへの対応
記者 :
川崎重工業建造の潜水艦エンジンについてお尋ねします。本日、川崎重工業がですね、川重建造の潜水艦エンジンについて、昨年既に同社に公表しています検査データの改ざん問題に絡んで、潜水艦エンジンについても不正の疑いがあるということで防衛省に通知しているという旨の発表をしております。昨日、既に報道も出てはいますけれども、この件につきましての防衛省として把握している事実関係と、大臣の受け止めと、今後省としてどのように対応していくのかの3点お願いいたします。
大臣 :
報道については承知をいたしております。昨年発覚をしました川崎重工業における舶用エンジンに係る検査不正に関しまして、昨年8月の28日に同社が設置をしました特別調査委員会が進めている調査の過程において、潜水艦エンジンにおいても燃料性能に関わる検査の不正ですね、これが行われていた可能性があるということが明らかになった旨、本年の8月7日に川崎重工業から報告がありました。
この本件につきましては、潜水艦の安全性や性能に影響を及ぼすものではないということを報告を受け、確認をいたしております。現在、この特別調査委員会において詳細な調査が行われておりまして、調査が完了次第、速やかに調査結果が公表されるものであると承知をしておりますが、現時点におきましては調査の妨げになる可能性があるために、これ以上の詳細につきましては、防衛省からお答えをするということは差し控えさせていただきます。
なお、川崎重工につきましては、潜水艦の修理契約に関する不適切な行為が行われていたことなど、不祥事が相次いでおりまして大変遺憾に思います。防衛省としましても、同社の特別調査委員会により、この調査結果を厳重に執り行っていただきまして、それを踏まえてですね、適切に対応してまいりたいと考えております。
記者 :
関連しまして、補足でお尋ねしますけれども、今おっしゃった遺憾に思うというのは、あくまで潜水艦修理契約に絡むものであって、今回の潜水艦エンジンに関して不正が既に疑惑が出ていることについての遺憾ではないということですか。そこはどちらでしょうか。遺憾の意を今表明されましたけれども、潜水艦エンジンに絡む不正に対する遺憾の意を表明されたという認識でよろしいでしょうか。
大臣 :
遺憾というのは、これまでですね、長期間にわたって不適切な対応が行われてきたということに対して遺憾の事例であったということで、今回新たな事案として浮かび上がりましたけれども、これについては現在調査中でありますので、その調査の結果を待ってですね、対応したいと思います。
記者 :
先ほどの川崎重工の件でお尋ねします。8月7日に川崎重工から報告があったということなんですが、防衛省の方から川崎重工に対してこの件を早期に公表した方がいいというふうな働きかけはなさったのでしょうか。あるいは、なされなかったのでしょうか。
大臣 :
この件について、今川崎重工とはですね、やり取りをしているわけでありますが、とにかくこの事実関係ですね、これについて特別調査委員会で調査を続けられているということでありますので、川崎重工においてしっかりと調査を行い、事実関係を明らかにしてですね、そして判明したことにつきましては、直ちに防衛省にですね、報告するようにということを要望をしております。
記者 :
前回の潜水艦における修理契約についてはですね、防衛装備庁の方が川崎重工に調査に入られて色々調べられたんですが、今回の件は、なぜそういった立入調査とかを現状として考えていらっしゃらないのでしょうか。
大臣 :
現在ですね、報道がありましたけれども、その点に関する関係資料、そして会社側の考え、また川崎重工において行われている特別調査委員会、これが調査をしておりますが、その結果の精査など必要な対応は行っております。
今後の対応につきましては、この細部のですね、調査結果が出た上でですね、判断したいと思いますが、現在会社側ともやりとりしておりますので、今後の対応に影響を及ぼすこともありますので、これ以上の詳細については、お答えすることは困難であるということは御理解いただきたいと思います。
記者 :
最後にもう1点だけお尋ねします。検査不正の疑いがあるということで調査が続いているわけなんですけれども、調査が続いている中で、潜水艦の運用や安全性に影響はないということを確認したとおっしゃられたんですが、その根拠は何ですか。
大臣 :
現時点におきましてですね、ディーゼルエンジンの防衛省への納入前に実施する、この陸上での確認運転検査によっての不正、これが疑われているところでございます。
しかし、潜水艦の防衛省の引き渡しの前にその性能を確認するために、建造会社が行う海上公試においてディーゼルエンジンを潜水艦に搭載した形で燃料消費率を改めて検査をしておるということでございますが、その際には性能基準、これを満たしているということを報告を受けですね、確認をしている段階でございます。
記者 :
海上公試において、ディーゼルエンジンの性能を確認したというふうに今おっしゃられたんですが、前回、川崎重工業の出している舶用エンジンに関する調査報告では、海上公試においては自然環境の影響が大きいためにこれではディーゼルエンジンの性能をきちんと確認できないというふうに明記されているんですけれども、それでもこれ確認できていると言えるんでしょうか。
大臣 :
私のところにですね、報告が上がっていることにつきましては引渡の前にですね、この公試において、この燃料消費率を改めて検査をしているということで、その際には性能基準を満たしているということを確認したという報告が上がっています。
自民党総裁選の前倒し・記名公開に関する所見
記者 :
自民党の動きについてお伺いしたいと思います。火曜日の会見でも、ちょっと言及ありましたけれど、臨時の総裁選挙を巡る動きでですね、前倒しを求める場合は、議員の名前を公表するという形で決まりました。
このことについては、政府内からも若干反発の声も上がっていまして、昨日、法務政務官がですね、続投を支持する側からの政局なのではないかと、自分の政務官を辞任した上で実施を要求するということも示唆されているのですが、今回の記名となったことと、その後の反発をする動きなども踏まえて、大臣は今どのように御覧になっているでしょうか。
大臣 :
一国の総理大臣を選ぶ際には、国会においてですね、首班使命選挙が行われてまして、野党の国会議員も全てですね、記名投票において選んでおります。
それだけ国会議員としてのこの責任の重い投票による選択、選別であると思っておりますが、総理大臣としての身分を失わせることになる自民党の総裁選の前倒しをさせるためにですね、総裁選を実施することの是非についても、自民党の国会議員としての責任、これをもって自らの対応を明らかにするということは当然のことでありまして、自らの対応を明らかにするということは、当然のことであります。
党本部の選挙管理委員会において、決められたとおり記名で公開するということを実施をするということは、私は当然のことであると思慮しております。
記者 :
関連でですね、今回内閣を支える政務三役の方から、前倒しを要求する場合にはですね、その職を辞するべきではないかというような意見も出ているのですが、これは大臣、どうお考えになりますか。
大臣 :
これはそれぞれの政治家としての考え方によるものでございますが、私は防衛大臣という職責をいただいておりまして、指名を受け、任期を全うしている間におきましては、現職の総理大臣に対してですね、それの失脚を求めるようなですね、そういうことはするべきではないというふうに思います。
スタンド・オフ・ミサイル導入の意義と課題
記者 :
スタンド・オフ・ミサイルに関してお伺いしたいのですが、現在配備に向けた準備が進んでいると思いますが、改めて導入する意義と課題について大臣のお考えを聞かせてください。
大臣 :
年々我が国の周辺のですね、情勢というのは大きく変化しております。特に北朝鮮における弾道ミサイルの能力というのは実験、実射を含めてですね、向上しておりまして、我が国の安全保障上のですね、脅威になっております。
そこでスタンド・オフ防衛能力というものが必要になっておりまして、これは東西南北、それぞれ約3,000kmに及ぶ我が国領域を守り抜くためにはですね、島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇等に対して脅威圏の外から対処するという我が国への侵攻がどの地域で生起してもですね、我が国の様々な地点から、重層的にこれらの艦艇等を阻止・排除できるという必要かつ十分な能力を保有することが必要であります。このような方針に基づいて、我が国の防衛に必要な能力として整備をしているところであります。
これによりまして、我が国のいかなる地域に向けたものであれ、我が国に侵攻しようとする相手に対して、艦艇や上陸部隊等による侵攻が確実に阻止をされるという認識をさせるということが必要でありまして、我が国への武力攻撃そのものの可能性、これが低下をさせることが可能になってまいります。
本年度から、スタンド・オフ・ミサイルの配備が始まりますが、配備と同時にスタンド・オフ防衛能力の実効性をしっかりと確保していくということが重要であります。例えば、目標の探知・追尾能力の強化のため、本年度は衛星コンステレーションの構築に着手をすることとしております。
引き続きまして、必要な能力、これを整備することによりまして、この実効性というものを確保してまいりたいと考えております。
日豪「2+2」および防衛相会談の主な協議事項と期待成果
記者 :
日豪について伺います。「2+2」、防衛相会談、それぞれに関して、どういったトピックについて協議するのか、また期待する成果についてお願いします。
大臣 :
これはやはり現状におけるですね、情勢認識、非常に今安全保障環境が変わってきておりまして、特にオーストラリアとの間はですね、インド太平洋地域の平和と安定、これを確保するために同盟国・同志国間のネットワーク、これ重層的にですね、構築・拡大をし、抑止力を強化をしていくということが重要であるということ。
中でも、価値観、それから戦略目標、これを完全に一致をさせるということにおきましては、豪州との防衛協力の中でもですね、同志国連携の中核であると位置づけをしておりまして、この戦略連携、共同訓練、運用協力、装備・技術協力など、あらゆる分野に拡大をしております協力、これを一層強化をしていきたいと考えております。
これまで、マールズ国防大臣やウォン外務大臣との間では、何度か話し合いをもったわけでございますが、さらに大きく今、地域情勢が変化しておりますので、こういったさらなる共有、そして日豪安全保障、地域防衛協力、並びに汎用の護衛艦などの協議等につきまして、より確かなものになるようにですね、協議をしてまいりたいと思っております。
総裁選前倒し賛同と職責の関係(再確認)
記者 :
先ほどの自民党の総裁選を巡る動きについての大臣の発言について確認させてください。任期を全うしている期間においては現職の総理大臣に対して失脚を求めるようなことはすべきではないというふうな考えを今お話しされましたけれども、これはつまり内閣にいるうちは、総裁選の前倒しに賛同すべきではないということで、仮に前倒しに賛同するのであれ職を辞するべきという考えに聞こえるのですが、そういった意図で捉えてもよろしいのでしょうか。
大臣 :
これは私個人の考え方あってですね、特に防衛大臣という職をしておりますが、自衛隊の最高指揮官は総理大臣なのですね。したがいまして、私は総理の指示や方針の下にですね、シビリアンコントロールを守るべく防衛大臣として、職務をしておりますので、こういった基本的にですね、そういうことを違えるようなことはしてはならないという意識をもって仕事をしているということであります。
記者 :
それは防衛大臣だからということであって、他の例えば役職についても同じことを言えるのではないでしょうか。
大臣 :
そこまでのことは私は申し上げません。私個人としては、政治家として、それから防衛大臣という職をもらっている以上ですね、総理が最高指揮官であって、防衛大臣がそれに従って行動しておりますので、そんなことはすべきではないという思いであります。
(以上)
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