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小泉防衛大臣がマレーシアで臨時記者会見 ADMMプラス、各国防衛相会談などについて言及(11月1日)

  • 日本の防衛

2025-11-6 10:30

 令和7(2025)年11月1日(土)19時35分~19時48分(現地時間)、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、マレーシアのクアラルンプール・コンベンションセンターで、ADMMプラス、日ASEAN防衛担当大臣会合、日米防衛相会談、日韓防衛相会談、日米豪比防衛相会談、日中防衛相会談及び日星防衛相会談後の記者会見を行った。
 内容は、以下の通り。

大臣からの発表事項

 まず、本日午前中に、第12回拡大ASEAN国防相会議に出席し、スピーチを行いました。
 スピーチでは、インド太平洋地域の安全保障環境がかつてなく厳しく複雑な状況にある中で、各国間で運用や共同訓練、人的交流や能力構築支援、装備・技術協力を幾層にも重ねて「相互連結性の重層的な網」を張り巡らせ、シナジーを生み出すことで、地域全体に柔軟で強靭な、安定的な秩序をもたらしていく重要性を訴えました。
 続いて、本日午後、今回2年ぶりに開催された、第9回日ASEAN防衛担当大臣会合に出席しました。同会合においては、私から、人道支援及び災害救援分野、海洋における協力、非伝統的分野における課題への対処の3つの分野を中心に、新しい視点も取り込みながら、日ASEANの防衛当局間の連携を強化していきたい旨述べ、各国からの賛同を得ました。
 また、本日は、アメリカ、インドネシア、韓国、中国、シンガポールとの防衛大臣会談を実施するとともに、日米豪フィリピン防衛大臣会談、通称SQUADと言いますが、これを実施し、これらの会談では、高市内閣の防衛政策の強化に向けた方針などをしっかりと説明いたしました。
 また、アメリカのヘグセス長官とも、先日に引き続き会談を行いました。長官とは、アメリカの国家防衛戦略策定の進捗状況、そして、韓国に対する原子力潜水艦の建造許可などについて意見交換を行い、地域の平和と安定に向けた日米韓3か国の協力の重要性について一致いたしました。
 それぞれの会談について申し上げますと、日インドネシア防衛大臣会談においては、インドネシアが海洋抑止力を強化することは地域全体の平和と安定に資することを両国間で確認した上で、そのための具体的な協力について議論を行いました。
 日韓防衛大臣会談においては、これまでどおり日韓・日米韓防衛協力を強化していく方針を確認しました。そして、両大臣の相互訪問や防衛大臣会談を含む両国防衛当局間の定例協議、人的交流を更に活性化していく方針を確認しました。
 日米豪フィリピン防衛大臣会談(SQUAD)においては、共同訓練などを通じて、4か国で海空域における様々な活動を深化させ、地域における抑止力・対処力を高めていくことの重要性等について確認しました。また、この4か国の会談を、より定例化していくことについて前向きな議論が行われました。
 日中防衛大臣会談においては、私から、日中関係において安全保障分野は最も難しい分野であり、現に数多くの懸案が存在しており、とりわけ我が国としては、東シナ海や太平洋地域における、様々な形での中国側の軍事活動の活発化を深刻に懸念している旨伝えました。同時に、こうした懸念があるからこそ、日中首脳間の一致事項である「戦略的互恵関係」の包括的な推進及び「建設的かつ安定的な関係」の構築に向け、率直な議論と意思疎通を重ねることが極めて重要である旨指摘しました。その上で、「日中防衛当局間ホットライン」について、適切かつ確実な運用をしっかりと確保していく重要性について指摘したほか、防衛当局間を含め、政務から実務レベルまであらゆるレベルで対話や交流を強化していくことの重要性についてお互い確認いたしました。
 日シンガポール防衛大臣会談においては、ハイレベル交流を中心とした緊密な意思疎通等を歓迎するとともに、多国間協力の重要性についても議論いたしました。
 防衛装備移転について、トップセールスを進めていきたいということを先日申し上げましたが、今回、いくつかの国からは、日本の潜水艦を含む日本の装備品の取得について関心が示され、今後協議を進めることになりました。
 明日も、個別の会談が予定されております。例えば、オーストラリア、ニュージーランドなど、「もがみ」型の護衛艦、これを採用したり、もしくは関心をもっている国がありますので、引き続き、防衛装備移転に関するトップセールスを含め、スピード感をもって防衛関係を深めていく上での基盤を構築してきたいと思います。長くなりましたけれども冒頭は以上です。

記者との質疑応答

ASEAN諸国の重要性、日中防衛相会談の狙い

記者
 今日、初日お疲れ様でした。今日、2つの全体会合、午前と午後ありましたけれども、このASEAN諸国の重要性、こうしたものをどう認識されて、どういうメッセージを伝えたのかというところと、1年ぶりの開催となった日中の会談ですけれども、その開催の狙いを教えてください。
 またあわせてですね、重要な隣国である中国、韓国、カウンターパートの方々とも面会されたと思うんですけれども、今後どのように個人的な信頼関係を構築されていきたいと考えでしょうか。

大臣
 最初にASEANですけれども、今回、拡大ASEAN国防相会議、そして日ASEAN防衛担当大臣会合という2つの会合への出席を通じて、今回の会合の主要なテーマであるASEANの一体性と中心性の重要性、そして、日本とASEANの間で防衛面での連携を強化するだけでなくて、日本とASEANが共に、インド太平洋の平和と繁栄への貢献を強化していくとの方向性を確認することができたことは、大きな成果だと考えています。
 また、今日は様々な2国間の会談を行いましたが、日中防衛大臣会談については、10月31日に、高市総理と習近平国家主席の間で日中首脳会談が行われ、「戦略的互恵関係」を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で、進めていくという日中関係の大きな方向性について、改めて一致したことから、各種の懸念の伝達を含め、率直な意思疎通を図るべく実施するに至ったものであります。日中防衛相会談においては、私から日中関係において、安全保障分野は最も難しい分野であり、現に数多くの懸案が存在しており、とりわけ我が国としては、尖閣諸島を含む東シナ海や太平洋地域における、様々な形での中国側の軍事活動の活発化を深刻に懸念している旨伝えました。同時に、こうした懸念があるからこそ、日中首脳間の一致事項である、建設的かつ安定的な関係の構築に向けて、率直な議論と意思疎通を重ねることが極めて重要である旨指摘しました。その上で、「日中防衛当局間ホットライン」について、適切かつ確実な運用をしっかりと確保していく重要性について指摘したほか、防衛当局を含め政務、そして事務レベル、あらゆる対応や交流の重要性、これも確認をいたしました。
 韓国についてもありましたけども、これも先ほど述べたとおり、これまでどおり日韓・日米韓防衛協力を強化していく方針を確認ができました。そして、両大臣の相互訪問や、防衛大臣会合を含む両国防衛当局間の定例協議、そして人的交流をさらに活性化していく方針を確認いたしました。特に、前回9月に中谷大臣が訪韓したことを踏まえて、次回はアン長官に訪日いただき、じっくりと今後の日韓・日米韓防衛協力の強化等について議論することを私から提案しました。
 また、今日はヘグセス長官と、そして、アン長官との1つのフォトセッションの機会を設けましたけれども、これはヘグセス長官の会談の際に、私から提案をして、こういう局面だからこそ、日米韓の、この連携の姿を示していくことが必要だと。こういったことについても一致をした上で、あのようなフォトセッションの形になりました。こういったことも含めて、日中、日韓、懸念があるところもありますが、だからこそ、しっかりと率直な対話・議論、これを積み重ねていく必要性が確認できたことは、今回の会合の成果だと思っています。

日中防衛相会談の内容について

記者
 日中防衛大臣会談について大きく3点伺います。
 1点目は、大臣冒頭でも御紹介ありましたとおり、今日、中国の活発化する行動について懸念を伝えられたということですが、中国側からはどのような反応があったかもあわせて教えていただければと思います。2点目は、ホットラインについては機能していないという指摘もありますけれども、大臣の問題意識とですね、中国側とは会談でどのようなやり取りがあったかを改めて伺います。あと3点目はですね、こうした挑発ともとれるような中国の行動を抑止していくために、大臣は今後どのようなことを取り組む必要があるとお考えでしょうか。

大臣
 日中の防衛相会談では、私から、我が国固有の領土である尖閣諸島について、本年5月に発生した中国海警船から発艦したヘリコプターによる領空侵犯のような活動の即刻停止を強く求めつつ、尖閣諸島周辺では中国の活動に対する強い懸念を表明しました。董国防部長官からは、中国の立場に関する発言がありました。
 また、ホットラインについては、不測の事態や、そのエスカレーションを未然に防止する観点からも重要な役割を担っていますので、適切かつ確実に運用していくことが重要と考えているところ、この考えを明確に伝達いたしました。中国の対外的な姿勢や軍事動向等は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり、防衛省としては、厳しい安全保障環境に対峙していく中で、国民の命と暮らしを守り抜くという政府の最も重大な責務を果たすべく、引き続き、我が国周辺の軍事動向に対し、強い関心をもって注視しながら、冷静かつ毅然と対応していく考えです。
 同時に、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じる中で、先般、高市総理から示された三文書の改定の方針も踏まえて、我が国の独立と平和、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくために何が必要か、あらゆる選択肢を排除せずに検討していく考えです。

日米豪比防衛相会談について

記者
 日米豪比の会談についてお尋ねします。この会談では中国に対してどのような共通認識を確認されましたか。また、トランプ政権下でマルチの枠組みを維持するために日本が果たすべき役割は増すと思いますが、この4か国の枠組みの重要性とあわせて教えてください。

大臣
 日米豪フィリピン、この4か国は基本的価値を共有する重要なパートナーであり、これら4か国、いわゆるSQUADが連携して地域の平和と安定を確保することは、我が国の安全保障及び「自由で開かれたインド太平洋」の実現にとって非常に重要であります。
 先月29日に実施したヘグセス長官との会談においても、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化し、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、豪州、韓国、フィリピンをはじめとする地域のパートナーとの間で、情報共有や運用面を含む協力を進展させていくことで一致したところです。
 こうした考えの下、今回の会談では、アメリカとフィリピンが主催の多国間共同訓練「バリカタン」などを通じて、4か国が地域における即応性等をより一層向上させることで一致しました。
 今回の会談では、中国が南シナ海において、力や威圧による一方的な現状変更の試みを継続、強化させていることについて、引き続き、深刻な懸念を表明するとともに、国連海洋法条約をはじめとする国際法を遵守し、航行及び上空飛行の自由を守ることの重要性を確認しました。防衛省としては、引き続き、様々なレベルでの意思疎通を継続し、こうした取組を発展させていくことで、地域のパートナーとの連携強化を図るとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた地域的・国際的な協力を推進していく考えです。また、先ほど申し上げたとおり、このSQUADをより定例的に開催していくことについて、前向きな議論が行われました。

(以上)

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