小泉防衛大臣が臨時会見 宮古島・石垣島を初視察し現場の声を強調(11月22日)
- 日本の防衛
2025-11-26 11:55
令和7(2025)年11月22日(土)19時24分~19時39分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、石垣市役所で臨時会見を行った。本会見は、宮古島市長との面会、空自宮古島分屯基地視察、海上保安庁石垣海上保安部視察、石垣市長との面会後に行われたもの。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は下記の通り。
大臣からの発表事項
宮古島・石垣島訪問の概要と狙い
今日、日程が過密だったので長くなりますが、お話させていただきます。
今回大臣就任後初めて、宮古島及び石垣島を訪問する機会を得ました。防衛大臣就任後、日々、我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさを肌身に感じており、可能な限り早期に先島諸島を訪問して国防の現場を確認し、そして自衛隊を受け入れていただいている地元の皆様と意見交換をする機会をもちたいと考えておりました。
まず本日は、航空自衛隊宮古島分屯基地の部隊視察を行いました。着任直後に起こった北朝鮮の弾道ミサイル発射をはじめ、空からの脅威への対応は最重要課題の一つであり、いわば自衛隊の目として、24時間態勢で日本を守るために最前線で国防に従事している隊員を激励できたことは、大変有意義だったと考えています。
宮古島では嘉数市長と、そして石垣島では、中山市長と意見交換をさせていただきました。防衛省・自衛隊の活動に様々な思いがある中で、地元の皆様には、日頃から防衛省自衛隊の活動に御理解・御協力をいただいており、自衛隊の部隊、隊員、そしてその家族一人一人を温かく受け入れていただき、様々な地域行事で、隊員が島民の皆様と交流させていただいてることに関し、感謝申し上げるとともに、各市長からいただいた様々な御要望については、しっかりと取り組んでいくことをお伝えをしました。
また自衛隊の防衛力強化や、平素からの訓練、日米共同訓練を含む様々な演習によって、我が国及び日米同盟の抑止力・対処力を向上させることの重要性について説明させていただき、私の責任においてしっかりとした説明を行っていることをお伝えをしました。
さらに宮古島では、日頃より隊員やその家族を支えてくださっている協力団体の皆様ともお会いさせていただいて、日頃からの御支援に対して、防衛大臣として感謝をお伝えしました。また、実際に隊員の御家族とも一緒に写真を撮ったり、また懇談をさせていただく、触れ合う機会もいただきました。
その際、家族会や隊友会から、地元においては自衛隊の活動に対して一部の方が抗議活動を行っているが、過度な抗議活動といったものについては、大変残念。家族としては、人の役に立ちたいという思いで、日夜懸命に任務に当たっている隊員が萎縮してしまうようなことはあって欲しくない。大臣には、自分たちのこのような声も受けとめて、しっかりと発信をしてもらいたいと、そういう声をいただきました。私も全く同じ思いであります。このような声を心に刻んで、防衛大臣としての発信、しっかりとやっていきたいと思います。
そして石垣島では、海上保安庁の石垣海上保安部を訪問させていただきました。これは我が国の領海警備の最前線のお話を伺うために、私の希望で設定いただいたものであります。日々、文字どおり最前線で、領海警備を含む海の安全の確保に従事している海上保安官の皆様から、現場の緊迫した情勢についてお話を伺い、防衛大臣としてより一層身が引き締まるとともに、組織は違えど、国の安全を守るために全身全霊で任務に従事する我々自衛隊と志を同じくする仲間に出会えて、本当にうれしく、誇りに思いました。
今回石垣島、宮古島を訪問させていただき、いかなる事態においても、国民の命と平和な暮らし、我が国の領土・領海・領空を守り抜くこと。そのためにも、地元の皆様への丁寧な御説明、適時適切な情報提供に努め、防衛省・自衛隊の活動に御理解と御協力をいただくこと。そして、離島などの厳しい勤務環境にある隊員の処遇をより良いものに改善すること、この3点について思いをより強くしたところであります。
明日は引き続き、石垣島の部隊を視察をするとともに、与那国島を訪問させていただき、現下の厳しい安全保障環境と地元の皆様の率直な思いにしっかりと理解を深めていきたいと思います。長くなりましたが冒頭は以上です。
記者との質疑応答
先島諸島先行訪問の意義と、沖縄の諸課題への向き合い方
記者 :
高市政権の発足後、防衛大臣として初の来県となりました。県知事より先に先島諸島の首長と面会することや、このタイミングでの訪問の意義と狙いを教えて欲しいいただきたい。また、自衛隊の南西シフトにより先島諸島を中心に自衛隊駐屯地の整備が進み、石垣島では米軍による空港や漁港などの民間地使用が常態化するなど基地負担軽減に逆行する状況が続いてます。防衛力の南西シフトなど、県と国で立場が違う中で、国としてどのように沖縄の諸課題に向き合うつもりなのか、お考えを伺います。
記者 :
在沖縄アメリカ海兵隊の海外移転についてです。日米両政府は沖縄から約四千人をグアムに移転させる計画です。既に第一段階として、100人の移転が完了していますが、現在の移転作業の進捗と今後の計画について教えていただきたい。また今年8月に玉城デニー知事がハワイで米軍の基地司令官と面談した際に、米軍から海兵隊が第1列島線から離れた位置に移転することについて懸念が表明されました。これについて政府の見解を伺います。
大臣 :
2問ですけれども、その中にいくつかあるので数が多くなるかもしれませんが、最初は訪問の意義と狙いということだったので、そちらからお答えさせていただきます。
まず大臣就任後に、日々我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさを肌身に感じる中で、我が国の防衛の最前線の現場を自らの目でしっかりと確認をし、そして自衛隊を受け入れていただいている地元の皆様と直接意見交換をする機会をもちたいと考え、今回、先島諸島を訪問させていただきました。
今回、知事とはまだ会っていないというお話がありましたけども、できる限り早い期間に沖縄本島を訪問し、県知事を含む地元の皆様とも意見交換をする機会を作りたいと考えています。そして、沖縄の諸課題についても、どのように考えているかという御指摘もいただきました。
それにつきましては、先に述べた現下の厳しい安全保障環境を踏まえれば、南西地域を含む我が国の防衛体制の強化は喫緊の課題でありますので、国民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、自衛隊の部隊配備や施設整備のほか、日米共同訓練を含む訓練、演習などの様々な活動について着実に実施することが必要です。これらはどれも沖縄県民の皆様を含む国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要不可欠なものであります。
その一方で、戦後80年を経た今もなお、大きな県民の皆様に大きな基地負担を担っていただいていることを重く受け止めており、沖縄の基地負担軽減は政府の最重要課題の一つだと受け止めています。今後も米軍機の飛行の安全や騒音問題について、地元への影響を最小限にとどめるよう、アメリカ側に粘り強く働きかけるとともに、訓練移転などの施策を進めていきたいと思います。
また、土地の返還に必要な移設事業を着実に実施するいうことによって、引き続き、基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。沖縄の基地負担軽減に向けて全力で取り組みつつ、南西地域の防衛体制の強化についてもしっかりと進めていく。この両輪の取り組みを進めるに当たっては、沖縄県民の皆様を含む国民の皆様に一つ一つ丁寧な説明を積み重ねていくことが重要ですので、私が先頭に立って、そのために必要なあらゆる努力を継続してまいりたいと思います。
そして、移転のことについても御質問がありました。こちらにつきましては、先ほども質問の中で述べていただいた100人の移転が既に完了ということは、もう御質問があった通りであります。今後につきましては、移転は段階的に行われますが、今後の具体的な計画については、アメリカ側において厳しい安全保障環境のもと、インド太平洋地域における多様な事態に対応できる運用能力と体制の確保を考慮しつつ検討が進められていると承知をしています。
また、一部の報道について御指摘もありましたが、これまでに日米両政府は4,000名以上の海兵隊の要員が沖縄からグアムに移転することを含め、在日米軍の再編を着実に進めることについて累次の機会に確認をしています。先月の日米防衛相会談、私とヘグセス長官の間においても、既存の二国間取り決めに従った在日米軍再編の着実な実施が極めて重要であることを確認をしたところであります。
引き続き、アメリカ側と緊密な意思疎通を行いつつ、グアム移転の着実な実施に取り組んでまいりたいと思います。
先島諸島のシェルター整備、沖縄の重要性・反対運動・住民理解について
記者 :
南西諸島で武力攻撃に備え、2週間ほど滞在できるシェルターの建設が計画されています。この地域の特性を踏まえシェルターの重要性をどのように考えますでしょうか。更に拡充すべきだと考える点があればあわせて教えてください。
記者 :
次です。大臣就任後初の沖縄視察となりましたが、改めてこの地域の重要性をどう認識しているか。今年9月には日米輸送訓練が中止となりましたが、反対派の活動や住民の理解をどのように考えるか、また沖縄に近い台湾有事をめぐる日中の応酬が現在続いています。これに対する大臣の所感を伺います。
記者 :
最後に、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画で、防衛省は11月中にも米軍キャンプ・シュワブ東側で埋立て工事を始める方針を固めたとのことですが、事実関係と地元の理解をどう得ていくお考えかお聞かせください。
大臣 :
まず、シェルターについてありましたのでお答えさせていただきます。
有事に際して、住民の生命・安全をしっかりと確保するためには、我が国に対する武力攻撃に十分先立ち、住民の迅速な避難を実現することが何よりも重要です。
一方で、輸送手段に大きな制約があり、かつ、避難先地域が遠距離にあるといった避難の困難性がある地域では、万が一の際に要避難地域に留まらざるを得ないことも想定されるため、そうした方々の安全を確保するために、必要な機能を備えた一定期間、避難可能で堅ろうな避難施設、シェルターが必要であります。
こうした避難の困難性等の事情に鑑み、政府としては、沖縄県先島諸島の5市町村において特定臨時避難施設を整備し、国がその整備を支援するとしています。このうち防衛施設が所在する与那国町、石垣市、そして宮古島市こちらの整備については、防衛省が支援をしています。
特定臨時避難施設が備えるべき技術的な仕様等については、内閣官房から示されているガイドラインに基づいて、各自治体が整備計画等へ適切に反映しているものと承知をしていますので、防衛省としては、特定臨時避難施設を着実に整備できるようにこの各自治体の整備計画などを踏まえて、引き続き必要な支援を行っていきたいと思います。
そして2問目が、大臣就任後の視察で、この地域の重要性をどう認識しているかということなどがありましたが、沖縄には多くの米軍施設・区域が集中しており、県民の皆様に大きな基地負担を担っていただいていることを重く受け止めています。
その負担軽減に全力で取り組んでいくとともに、こうした取組などについて、国民の皆様に可能な限り丁寧に御説明をすることが重要だと考えています。その上で反対派の活動や住民の理解をどのように考えるかという報道がありました。
そのときに私としては、先ほど冒頭に申し上げたことが、今日直接伺ったことなので、重要だと思いますし、私としても同じような思いでいますので、もう一度この家族会や隊友会などの声を紹介させていただくと、やはり地元においては、自衛隊の活動に対して一部の方が抗議活動を行っているが、過度な抗議活動といったものについては大変残念だと。家族としては、人の役に立ちたいという思いで、日夜懸命に任務に当たっている隊員が萎縮してしまうようなことはあって欲しくない。大臣には、自分たちのこのような声も受けとめて、しっかりと発信をしてほしいと。これがやはり隊員のことを支えている皆さんの声、隊員の御家族を支えている皆さんの声であります。
私も全く同じ思いでありますので、是非ですね、そういった声が少しでも地元の方にも御理解をいただけるように、私としてはあらゆる努力を図ってまいりたいというふうに思っています。
台湾有事をめぐる応酬、辺野古移設・キャンプ・シュワブ埋立て工事について
記者 :
台湾有事は。
大臣 :
そちらについてはですね、これはもう高市総理が申し上げてるとおり、従来の政府の立場を変えるものではないということであります。私も連日、いろいろな形で申し上げているとおりであります。状況を注視して、防衛省・自衛隊としては粛々と我々の任務を果たしていくということに尽きます。
そして最後、キャンプ・シュワブの関係もありました。今後の作業の見通しについては、工事の進捗や気象・海象状況等を踏まえて適切に判断していくものだと承知をしています。防衛省としては、普天間飛行場の1日も早い全面返還に向けて、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。
(以上)
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